【妄想(delusion)】
======== この物語はあくまでもフィクションです =========
ここは、『忍の国』。
俺の名は、「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋だが、殺すのは、人間とは限らない。
俺には聞こえる。殺してくれ、と。
どこの次元でも聞こえている。
「敗戦の日」祈念式典会場。今日は8月15日。
俺は来場者の1人だった。
「80年前の戦争は『ひとえに』『忍の国』の責任であり、国民は永代に渡って償う必要がある。ここに、補償金と、『移民・在住の外国人優先』・・・。」
まるで、デジャブだった。『重の国』のトップと同じことを言い出したからだ。
来場者は、皆目をつぶり、耳を覆った。
『忍の国』のトップ、三輪総粗相の演説の声はスピーカーから聞こえず、違う方向から聞こえてきたのは、先々代の皇帝の所謂『玉院放送』だった。皆は顔を上げ、声に聞き入った。
『玉院放送』が終った頃、三輪の隣に立って、はっきりした声で、現在の皇帝が言った。
「この国に、『死刑』しか罰が存在しない犯罪が『2つ』あるのを知っていますね。」
三輪は、逮捕連行された。
数時間前。跳んで来たのは、皇帝の部屋だった。
俺は、南極ぼけを封じ、正直に話した。
「では、並行世界でも、同じように暴君が執政し、国を隣国斉齊国に明け渡す準備をしていたのですね。」
「国民を助けられるのは、陛下だけです。」
「・・・お任せします。貴方が神なのかどうかは分かりません。でも、『敗戦の日』は、英霊を偲ぶ日です。国としての責任として、祖父は王国を止め、共和制にしたのです。戦犯と呼ばれる軍部指導者も外国の審判を受けました。現在の、これからの国民は関係ありません。国民の子孫を守ることは私の死命です。お任せします。」
三輪は、いきなり最高等裁に呼ばれ、裁判長に言い渡された。
「選択肢は2つあります。我が国で死刑になるか、我が国より厳しい隣国に追放されて、隣国の法で捌かれるか。」
その時、乱入した者達がいた。感量と呼ばれる、事務員達だった。
三輪は、感量達と船で逃げた。『母国』に向けて。
隣国の船に接近した所で、船は沈んだ。船は隣国斉齊国製だった。
沈むのをゆっくり眺めながら、俺は呟いた。「文字通り、『泥船』か。三輪の妄想も終わりだな。」
俺の名は、「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋だが、殺すのは、人間とは限らない。
さ、次の世界だ。陛下、ちゃんと臣民を守ってくれ。
―完―