異次元の殺し屋   作:クライングフリーマン

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跳んで来たのは、この次元の材務省。
ある細工をして、区役所に跳んだ。

以前の次元でも見た光景だ。
ある男が、『通常生活保障』を申請している。
「まだ働けるだろう。働けなくなったら来なさい。」
そう言って、追い返された。
男は、待合スペースの端に退いた。



52.【偽造(forgery)】

 

======== この物語はあくまでもフィクションです =========

ここは、『伝の国』。

俺の名は、「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋だが、殺すのは、人間とは限らない。

 

俺には聞こえる。殺してくれ、と。

どこの次元でも聞こえている。

 

跳んで来たのは、この次元の材務省。

ある細工をして、区役所に跳んだ。

 

以前の次元でも見た光景だ。

ある男が、『通常生活保障』を申請している。

「まだ働けるだろう。働けなくなったら来なさい。」

そう言って、追い返された。

男は、待合スペースの端に退いた。

次に、隣国人の男が申請を出した。

職員は、パスポートをチラッと見て、判子を押した。

俺は、『南極から帰った証拠の判子を押したパスポート』と一緒に申請書類を出した。

「南極?」男は上司に相談した。

職員は、判子を押した。

俺は、さっきの男を呼んだ。

「おーい。納所さん。申請出来たよ。やっぱり、パスポート要るみたいだよ。」

納所は、申請書類を、奮える手でまだ持っている。

「後で、紛失届出せばいいじゃない。俺、番号、覚えているから。」

俺は、パスポートの欄に、スラスラとパスポート番号を書いた。

職員は、データベースを確認した。

クビを捻りながら、今度は、判子を押した。

これで、明日には納所の預金通帳に振り込まれるだろう。

 

俺は、納所と一緒に区役所を出て、公園まで歩いた。

「貴方は一体?」

「南極帰りの『魔法使い』さ。俺とアンタは、仕事仲間だった。でも、口論の末、ここで喧嘩別れする。」

 

俺が去ると、背後で土下座する納所を感じた。

 

材務省に跳んだ時、昼休みで出て行く男達の心を読んだ。

「通常生活保障申請を外国人に顔パスさせた時みたいに、今度は、『麻薬・変だ似る』チェックの際、顔パスさせるのか。あくどいな、『親分達』は。」

俺は、出て行った材務省の事務員のPCを借りて、『ホワイトリスト』を全て『ブラックリスト』として、メリケン国防省に送った。告発者として。

このホワイトリストは、メリケン国が世界に猛威を振るっている新麻薬の拠点が『伝の国』にあると踏んで政府涯務省を通じて協力を申し出、『おっちょこちょい』の『伝の国』送理大臣が、潔白だから刻会から調べればいい、と風呂敷を広げたので、慌てて事務員達が作ったリストだ。

 

翌日、刻会関係者から逮捕者が大勢出た。全員、『禁断の薬』を所持していた。

メリケン麻薬取締局通称ベアーは、『ホワイトリスト』と共に一通の告白文書を持っていた。

 

『我が国の材務省は、高労省、涯務省と共に外国人優先政策を行い、法律に関係なく外国人に特権を与えてきました。今回メリケン国初め世界の脅威になっている変だ似るは、我が国にとっても、メリケン国にとっても、他の国にとっても人類を滅亡させる危険性があると言われています。流行病にしても、とっくに収束しているにも拘わらず、金の亡者達の言いなりになってきた自らを恥じてきました。水際で防ぐ為にも、当局に協力致します。』

 

ホワイトリストには、大勢の議員も名前を連ねていた。

国の要人は、トップを初め、総入れ替えになった。

 

公園に行ってみた。

公園に止まった、廃品回収のトラックがあった。

納所が、元気よく、どこかの奥さんに挨拶していた。

 

俺は、そっと、次の世界に跳ぶことにした。

俺の名は、「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋だが、殺すのは、人間とは限らない。

 

―完―

 

 

 




「おーい。納所さん。申請出来たよ。やっぱり、パスポート要るみたいだよ。」
納所は、申請書類を、奮える手でまだ持っている。
「後で、紛失届出せばいいじゃない。俺、番号、覚えているから。」
俺は、パスポートの欄に、スラスラとパスポート番号を書いた。
職員は、データベースを確認した。
クビを捻りながら、今度は、判子を押した。
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