異次元の殺し屋   作:クライングフリーマン

53 / 150
言った少女に「ああ。よく言われる。『トシの割りには』って追加されるけどな。」と俺は言い返した。
少女は、ナイフを受け取った手と反対側の手で自分の胸に俺の手を置いた。
「おい。」
「犯す為に来たんじゃないんだね。」



53.【叡智(wisdom)】

 

======== この物語はあくまでもフィクションです =========

ここは、『紅の国』。

俺の名は、「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋だが、殺すのは、人間とは限らない。

 

俺には聞こえる。殺してくれ、と。

どこの次元でも聞こえている。

 

跳んで来たのは、ある絵画教室。

入口に佇でいると、いきなり、ナイフが跳んで来た。

ペンチングナイフだ。

「危ない!!」言いながら、俺は避けて、手に取った。

「手に取れる位敏捷なら怪我はしないから、危なくは無い。オジサン、運動神経いいのね。」

言った少女に「ああ。よく言われる。『トシの割りには』って追加されるけどな。」と俺は言い返した。

少女は、ナイフを受け取った手と反対側の手で自分の胸に俺の手を置いた。

「おい。」

「犯す為に来たんじゃないんだね。」

「ああ。君の声が聞こえた気がしてね。」

「紳士的ね、紳士的暴漢。」

「紳士的暴漢?矛盾した言い方だな。」

「オジサン、クレープ、好き?」

「嫌いじゃないな。」

 

30分後。俺は喫茶店風クレープ屋でコーヒーを飲みながらクレープを食べていた。

時計屋の一件以来、注意深く観察しているが、昔いた次元と、跳んだ次元の世界で貨幣が似ていたり似ていなかったりするが、この次元では問題なさそうだ。

落ち着いたところで、少女は尋ねた。

「どんな声を聴いたの?」

「殺して、助けて!って声。」

「ふうん。心を読めるんだ。おんなしね、私と。でも、オジサンの心は読めないな。」

「分かった、ナオ。降参だ。」

俺は、南極ボケを止めて全てを話した。

「南極ぼけ封印は正解ね。この次元の世界『紅の国』じゃ、とっくに南極越冬隊は引き揚げてる。何故か?キックバックがないからよ。ボランティアなんかしない政府。『セカンドホームプロジェクト』とかいうのを始めたわ。座位務省主導でね。新しい移民計画だった皆怒ってる。名前がね。チンケって言うか幼稚よね。私なら『新姉妹都市計画』って名前にしてぼかすわ。セカンドホームって、その場所に一定期間住めるってことなのよ。で、契約した国から『契約保障料』を貰う。実際のネーミングは、もっとダサイだろうけどね。総理事大臣は、今まで無茶や無理ゲーしてきたから、周りが退陣要求している最中なのに国議会も開かず、独断で決めている。そもそも内核決定は、『有事』の為の制度なのに、国議会は軽視しすぎている。もう民主主義はとっくに終って、『裸のキング』の独裁政治が行われている。黒幕は、『他の次元』と同じ隣国。この次元では、『頭の国』と呼ばれている。」

以上が、彼女が声に出さずに教えてくれた情報だ。

「オジサン。自分で跳べる能力も出来たなら、いつか戻って来てよ。『事後確認』も必要でしょ。その時は私を抱い・・・。」

「ありがとう。じゃ、『時間』だから、行くよ。勘定は・・・。」

「いいよ、私の『奢り』ってことで。」

 

俺は、喫茶店を出ると、政府の建物に急いだ。

どこの『事務所』も隙だらけだ。

『壁抜け』をして、『重要書類』のしまってある金庫はすぐに見つかった。

そして、HDDの情報も『穴』だらけだった。

 

夕方のニュース。家電量販店前でテレビを観ている彼女がいた。

トップニュースは、『セカンドホームプロジェクト』が『スパイ防御法』の隠れ蓑だと判明し、総理事大臣は内核辞職と議員辞職をし、『外患誘致罪』で捌かれる予定と報じていた。

 

少女は俺に気づいたが、呼ばなかった。その代わり、Vサインを俺に送った。

「俺が戻るまで良い子にしてろ、と念じたら、『いいオンナ』に成長しておけ、でしょ。いいなづけなんだから。」と彼女は念じた。

 

俺は、苦笑しながら、腕時計を弄った。

 

俺の名は、「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋だが、殺すのは、人間とは限らない。

また、『仲間』が増えた。

―完―

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。