少女は、ナイフを受け取った手と反対側の手で自分の胸に俺の手を置いた。
「おい。」
「犯す為に来たんじゃないんだね。」
======== この物語はあくまでもフィクションです =========
ここは、『紅の国』。
俺の名は、「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋だが、殺すのは、人間とは限らない。
俺には聞こえる。殺してくれ、と。
どこの次元でも聞こえている。
跳んで来たのは、ある絵画教室。
入口に佇でいると、いきなり、ナイフが跳んで来た。
ペンチングナイフだ。
「危ない!!」言いながら、俺は避けて、手に取った。
「手に取れる位敏捷なら怪我はしないから、危なくは無い。オジサン、運動神経いいのね。」
言った少女に「ああ。よく言われる。『トシの割りには』って追加されるけどな。」と俺は言い返した。
少女は、ナイフを受け取った手と反対側の手で自分の胸に俺の手を置いた。
「おい。」
「犯す為に来たんじゃないんだね。」
「ああ。君の声が聞こえた気がしてね。」
「紳士的ね、紳士的暴漢。」
「紳士的暴漢?矛盾した言い方だな。」
「オジサン、クレープ、好き?」
「嫌いじゃないな。」
30分後。俺は喫茶店風クレープ屋でコーヒーを飲みながらクレープを食べていた。
時計屋の一件以来、注意深く観察しているが、昔いた次元と、跳んだ次元の世界で貨幣が似ていたり似ていなかったりするが、この次元では問題なさそうだ。
落ち着いたところで、少女は尋ねた。
「どんな声を聴いたの?」
「殺して、助けて!って声。」
「ふうん。心を読めるんだ。おんなしね、私と。でも、オジサンの心は読めないな。」
「分かった、ナオ。降参だ。」
俺は、南極ボケを止めて全てを話した。
「南極ぼけ封印は正解ね。この次元の世界『紅の国』じゃ、とっくに南極越冬隊は引き揚げてる。何故か?キックバックがないからよ。ボランティアなんかしない政府。『セカンドホームプロジェクト』とかいうのを始めたわ。座位務省主導でね。新しい移民計画だった皆怒ってる。名前がね。チンケって言うか幼稚よね。私なら『新姉妹都市計画』って名前にしてぼかすわ。セカンドホームって、その場所に一定期間住めるってことなのよ。で、契約した国から『契約保障料』を貰う。実際のネーミングは、もっとダサイだろうけどね。総理事大臣は、今まで無茶や無理ゲーしてきたから、周りが退陣要求している最中なのに国議会も開かず、独断で決めている。そもそも内核決定は、『有事』の為の制度なのに、国議会は軽視しすぎている。もう民主主義はとっくに終って、『裸のキング』の独裁政治が行われている。黒幕は、『他の次元』と同じ隣国。この次元では、『頭の国』と呼ばれている。」
以上が、彼女が声に出さずに教えてくれた情報だ。
「オジサン。自分で跳べる能力も出来たなら、いつか戻って来てよ。『事後確認』も必要でしょ。その時は私を抱い・・・。」
「ありがとう。じゃ、『時間』だから、行くよ。勘定は・・・。」
「いいよ、私の『奢り』ってことで。」
俺は、喫茶店を出ると、政府の建物に急いだ。
どこの『事務所』も隙だらけだ。
『壁抜け』をして、『重要書類』のしまってある金庫はすぐに見つかった。
そして、HDDの情報も『穴』だらけだった。
夕方のニュース。家電量販店前でテレビを観ている彼女がいた。
トップニュースは、『セカンドホームプロジェクト』が『スパイ防御法』の隠れ蓑だと判明し、総理事大臣は内核辞職と議員辞職をし、『外患誘致罪』で捌かれる予定と報じていた。
少女は俺に気づいたが、呼ばなかった。その代わり、Vサインを俺に送った。
「俺が戻るまで良い子にしてろ、と念じたら、『いいオンナ』に成長しておけ、でしょ。いいなづけなんだから。」と彼女は念じた。
俺は、苦笑しながら、腕時計を弄った。
俺の名は、「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋だが、殺すのは、人間とは限らない。
また、『仲間』が増えた。
―完―