俺は、地面に横たわっていた。
火葬場から帰って来た自動車数台。その自動車から降りた少女が叫んだ。
「死んでる!!」
======== この物語はあくまでもフィクションです =========
ここは、『侠の国』。
俺の名は、「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋だが、殺すのは、人間とは限らない。
俺には聞こえる。殺してくれ、と。
どこの次元でも聞こえている。
跳んで来たのは、ある葬儀会館の前。
俺は、地面に横たわっていた。
火葬場から帰って来た自動車数台。その自動車から降りた少女が叫んだ。
「死んでる!!」
他の自動車から降りた人達の中から、1人の男性が近寄り、息を確かめた。
俺は思わず「生きてます。」と言った。
同じ自転車から降りた女性が鞄を持ってきた。
どうやら、医師と看護師らしい。
俺の血圧や体温を計った後で、「珠恵。看護師長に点滴を用意させなさい。」と言った。
喪主らしき男性がやってきて、尋ねた。
「先生。救急車は?」「要らん。多分、熱中症だろう。帽子も被らず歩くのは危険だ。冷房が効いてそうな建物だから、会館に向かおうとしたのだろう。診療所に連れて帰るよ。『骨上げ』は付き合えんが、いいだろう?広中君。」
「はい。」
「生きてた。」幼い少女は、にっこりした。
「本当は、広中家に用があったのかな?」運転しながら、医師は尋ねた。
後部座席で色々と調べている看護師を名前で呼んだから、親子かな?と思いながら、「いえ、偶然です。」と俺は答えた。
診療所に着くと、医師自ら頭部のレントゲンを撮り、点滴を看護師達が用意した。
「午後診の前で丁度良かった。」と、看護師長は言った。
点滴が済むと、診察室に案内された。
「頭に異常はないから、転んだときに頭は打ってないようだ。点滴は、少しは効いたかな?」
「はい。お陰様で。」「勘定はいい。広中君につけておこう。財布も身分証明書も健康保険証もない。私は、警察じゃない。医者だ。嘘は嫌いだ。何者だ、君は?」
やはり、南極ボケは効かないか。
「看護師達は忙しい。人払いはしないよ。」
俺は、正直に話した。
「成程な。どんな仕事か分からなかったが、そういうことか。状況は、どの次元でも暴君が隣国に自国を売り渡そうとしている。何故、国家反逆をするのか?民族としては、移民族だからだろうね。要領よく話してくれたから、分かった。恐らく、他の次元の暴君になった国のトップも、この『侠の国』のように、『越えられない先輩への嫉妬心』、詰まり、個人的感情が職務よりも大きいのだろう。ライバル心なら、肩を並べて追い越せばいいものを、殺してしまったら、永遠に追い越せないよ。どんなに悪口言っても、同調するのは、利害関係のある、僅かな人々だ。一般人は、彼が考えるよりも利口だ。じっと息を凝らして見守っている。厄介なのは、彼を神輿に担いだ税務省事務員達や与党美民党執行部、野党第一党の立件ミンス党などが応援し、『ぬるま湯』から出るのを嫌がっていることだ。そして、惣里の伊島が信奉している隣国早岐の国から、辞任推奨派の者達を闇に葬ろうとしていることだ。今、タイムリミットは9月2日と言われている。9月1日までにヒットマンと対決出来るかね?殺し屋君。報酬は幾ら払えばいい?金持ちじゃない医者だが。」
「いえ、ボランティアですから。」
俺は、跳んだ。
跳ぶときに、診察室の様子が見えた。
「あら、お父様。あの方は?」「珠恵が欲しい、と言うから追い出した。どこの馬の骨やら。」
「院長。そろそろ午後診ですが・・・。」「始めてくれ。」
「お父様の意地悪。タイプだったのに。」
珠恵は、院長の膝を思い切りつねった。
8月29日。税務省からリストとデータを入手した。
8月30日。
東京湾に似た海に停泊した船舶から降りたヒットマンを見付け、船内にカムバックさせた。
8月31日。
空港に降りた航空機からやってきたヒットマンを見付け、空港ホテルのトイレに閉じ込めた。
9月1日。
ヒットマンの乗ったタクシーは山中で行方不明になった。
9月2日。深夜。
診療所に1通の紙が舞い込んだ。
『点滴は、よく効きました。』
俺の名は、「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋だが、殺すのは、人間とは限らない。
伊島が式典で発表しようとした紙は、同じ文面だった。
伊島は、全てを諦める他なかった。
美民党は「代表選挙前倒し、現代表は立候補断念した。」と発表した。
―完―
はい。」
「生きてた。」幼い少女は、にっこりした。