異次元の殺し屋   作:クライングフリーマン

55 / 150
跳んで来たのは、ある葬儀会館の前。
俺は、地面に横たわっていた。
火葬場から帰って来た自動車数台。その自動車から降りた少女が叫んだ。
「死んでる!!」



55.【あぶく銭(Easy money)】

 

======== この物語はあくまでもフィクションです =========

ここは、『侠の国』。

俺の名は、「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋だが、殺すのは、人間とは限らない。

 

俺には聞こえる。殺してくれ、と。

どこの次元でも聞こえている。

 

跳んで来たのは、ある葬儀会館の前。

俺は、地面に横たわっていた。

火葬場から帰って来た自動車数台。その自動車から降りた少女が叫んだ。

「死んでる!!」

他の自動車から降りた人達の中から、1人の男性が近寄り、息を確かめた。

俺は思わず「生きてます。」と言った。

同じ自転車から降りた女性が鞄を持ってきた。

どうやら、医師と看護師らしい。

俺の血圧や体温を計った後で、「珠恵。看護師長に点滴を用意させなさい。」と言った。

喪主らしき男性がやってきて、尋ねた。

「先生。救急車は?」「要らん。多分、熱中症だろう。帽子も被らず歩くのは危険だ。冷房が効いてそうな建物だから、会館に向かおうとしたのだろう。診療所に連れて帰るよ。『骨上げ』は付き合えんが、いいだろう?広中君。」

「はい。」

「生きてた。」幼い少女は、にっこりした。

 

「本当は、広中家に用があったのかな?」運転しながら、医師は尋ねた。

後部座席で色々と調べている看護師を名前で呼んだから、親子かな?と思いながら、「いえ、偶然です。」と俺は答えた。

診療所に着くと、医師自ら頭部のレントゲンを撮り、点滴を看護師達が用意した。

「午後診の前で丁度良かった。」と、看護師長は言った。

 

点滴が済むと、診察室に案内された。

「頭に異常はないから、転んだときに頭は打ってないようだ。点滴は、少しは効いたかな?」

「はい。お陰様で。」「勘定はいい。広中君につけておこう。財布も身分証明書も健康保険証もない。私は、警察じゃない。医者だ。嘘は嫌いだ。何者だ、君は?」

やはり、南極ボケは効かないか。

「看護師達は忙しい。人払いはしないよ。」

俺は、正直に話した。

「成程な。どんな仕事か分からなかったが、そういうことか。状況は、どの次元でも暴君が隣国に自国を売り渡そうとしている。何故、国家反逆をするのか?民族としては、移民族だからだろうね。要領よく話してくれたから、分かった。恐らく、他の次元の暴君になった国のトップも、この『侠の国』のように、『越えられない先輩への嫉妬心』、詰まり、個人的感情が職務よりも大きいのだろう。ライバル心なら、肩を並べて追い越せばいいものを、殺してしまったら、永遠に追い越せないよ。どんなに悪口言っても、同調するのは、利害関係のある、僅かな人々だ。一般人は、彼が考えるよりも利口だ。じっと息を凝らして見守っている。厄介なのは、彼を神輿に担いだ税務省事務員達や与党美民党執行部、野党第一党の立件ミンス党などが応援し、『ぬるま湯』から出るのを嫌がっていることだ。そして、惣里の伊島が信奉している隣国早岐の国から、辞任推奨派の者達を闇に葬ろうとしていることだ。今、タイムリミットは9月2日と言われている。9月1日までにヒットマンと対決出来るかね?殺し屋君。報酬は幾ら払えばいい?金持ちじゃない医者だが。」

「いえ、ボランティアですから。」

 

俺は、跳んだ。

跳ぶときに、診察室の様子が見えた。

 

「あら、お父様。あの方は?」「珠恵が欲しい、と言うから追い出した。どこの馬の骨やら。」

「院長。そろそろ午後診ですが・・・。」「始めてくれ。」

「お父様の意地悪。タイプだったのに。」

珠恵は、院長の膝を思い切りつねった。

 

8月29日。税務省からリストとデータを入手した。

8月30日。

東京湾に似た海に停泊した船舶から降りたヒットマンを見付け、船内にカムバックさせた。

8月31日。

空港に降りた航空機からやってきたヒットマンを見付け、空港ホテルのトイレに閉じ込めた。

9月1日。

ヒットマンの乗ったタクシーは山中で行方不明になった。

 

9月2日。深夜。

診療所に1通の紙が舞い込んだ。

『点滴は、よく効きました。』

 

俺の名は、「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋だが、殺すのは、人間とは限らない。

伊島が式典で発表しようとした紙は、同じ文面だった。

伊島は、全てを諦める他なかった。

美民党は「代表選挙前倒し、現代表は立候補断念した。」と発表した。

 

―完―

 

 




はい。」
「生きてた。」幼い少女は、にっこりした。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。