異次元の殺し屋   作:クライングフリーマン

71 / 150
跳んで来たのは、テレビ局の控え室。
誰の楽屋か知らないが、訪問客の振りをして、外に出た。



71.【電波(radio waves)】

 

======== この物語はあくまでもフィクションです =========

ここは、『波の国』。

俺の名は、「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋だが、殺すのは、人間とは限らない。

 

俺には聞こえる。殺してくれ、と。

どこの次元でも聞こえている。

 

跳んで来たのは、テレビ局の控え室。

誰の楽屋か知らないが、訪問客の振りをして、外に出た。

 

その控え室から程遠くないスタジオでは、講師風の男が生徒風のタレントに『講義』を行っている。

「死んで当然だと思います。」発言したのは、子役タレントか。

「酷いな。」

「だろ?」と、俺の後ろから男が言った。

「あんた、何者?俺の楽屋から出てきたけどさ。俺の知り合いじゃないよね。まあ、ここじゃなんだから、寄って行きなよ。どうせ暇だし。」

俺は、彼、伊神伸吾の頭の中を覗き、色んな役を演じてきた俳優だと知った。

そこで、南極ボケを封じて、思い切って全てを話した。

「貴方が演じたことがある、スペースボードの主人公が近いかな。」

「宇宙船で色んな宇宙を探検する冒険家か。懐かしいな。調べてきたの?」

「いえ。今、教えて貰いました。頭の中を読んで。」

「驚いたな。加納英二と同じじゃ無いか。テレパシー使えるのか。テレポーテーションも?あ。次元を越えるんだものな。」

「ところで、この『波の国』の問題は?」

「ここのゼネラルプロデューサー兼副社長は双務省出身、というか『天下り』なんだよね。で、偏向報道ばかりやらせている。耳障りの悪いニュースは蓋。アンタが言った『辞めろ』デモ盛んだよ。でも、一切報道しない。俺もサア。若い頃遊んでなきゃ今頃左団扇で隠居生活だけど、アドリブ芸がいいなんて言われてバラエティーの『ひな壇芸人』っぽいことやってる。でも、世の中の『間違った』こと位分かる。じゃ、どうにかならないか、この世の中って言う俺の声がアンタに届いたのかな?今さ。アンタが経験してきた『総裁選』に近いのをやっている。この次元の『波の国』じゃ、『党裁選』だけどね。与党の義務党の党首の選挙だ。有力候補が、いつ暗殺されるか、って皆心配している。その有力候補は、数年前に暗殺された阿見元総理の後継者だ。あ、ここでも行政府は内閣だ。内閣総理代臣、略して総理。『辞めろデモ』に屈した訳じゃないが、前の総理が辞意を表わしたから、『党裁選』を行う。で、その有力候補を殺しても妨害したがる奴らがいる。その頂点がテレビ局天下り女帝の絹子氏だ。絹子あゆみ。彼女は、その有力候補が『電波オークション』するんじゃないか、と恐れている。詰まり、既存のテレビ局は解体、新しく構成し直す。視聴者が一番望んでいることが、奴らの一番好ましくない状態。その有力候補が新総理になるかどうかは分からない。不正をして当選しないようにする事も大事だが、その前に命が危ない。殺し屋さんに依頼するのもおかしな話だが、守ってやってくれないか。」

「分かりました。」

俺は、今度は堂々と楽屋を出た。

 

「あれ?伊神さん、帰ったんじゃなかったの?」

「夕方のバラエティーがまだあるでしょ。スポンサーさんと打ち合せしてたの。スポンサーさん、大事だよね。」

「ええ、まあ。」ADは、渋々帰ったの見届けると、俺はプロデューサー室に急いだ。

 

プロデューサー室。

伊神から、1番のスポンサーが『真ん中自動車』だと聞いている。

俺が出した名刺は、実際はただの紙切れだが、相手は名刺と思い込む。

「人事異動がありまして。」と短く言うと、「貴方が池田さんの後任ですか。よろしく。絹子あゆみです。」

「あ。それが、有力候補さんの暗殺計画ですか。」と言いたかったが、ここはグッと堪えた。

「済みません。『ケツカッチン』でして。」と言って辞去した。

 

3日後。有力候補の自動車は、『煽り運転』の為に高速道路の崖から転落した。

 

翌日。与党党裁選。

有力候補は当選した。

テレビ中継していたスタジオのモニター室。

その模様は、いつの間にか、全国ネットで、そして、海外にもSNSで中継された。

「消せ!って言っただろうが。役立たず!!このハゲー!!!!!!!」

そして、彼女がナイフを持って、乱入しようとした時、手錠がかけられた。

彼女は、「政府の命令に逆らうとどうなるか、分かっているのか!」と叫んだ。

 

手錠をかけた筈の警察官は、どこかに行った。

警察官は、伊神伸吾の演技だった。

 

それを見届けて、俺は、『次』に向かった。

 

俺の名は、「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋だが、殺すのは、人間とは限らない。

 

―完―

 




跳んで来たのは、テレビ局の控え室。
誰の楽屋か知らないが、訪問客の振りをして、外に出た。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。