誰の楽屋か知らないが、訪問客の振りをして、外に出た。
======== この物語はあくまでもフィクションです =========
ここは、『波の国』。
俺の名は、「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋だが、殺すのは、人間とは限らない。
俺には聞こえる。殺してくれ、と。
どこの次元でも聞こえている。
跳んで来たのは、テレビ局の控え室。
誰の楽屋か知らないが、訪問客の振りをして、外に出た。
その控え室から程遠くないスタジオでは、講師風の男が生徒風のタレントに『講義』を行っている。
「死んで当然だと思います。」発言したのは、子役タレントか。
「酷いな。」
「だろ?」と、俺の後ろから男が言った。
「あんた、何者?俺の楽屋から出てきたけどさ。俺の知り合いじゃないよね。まあ、ここじゃなんだから、寄って行きなよ。どうせ暇だし。」
俺は、彼、伊神伸吾の頭の中を覗き、色んな役を演じてきた俳優だと知った。
そこで、南極ボケを封じて、思い切って全てを話した。
「貴方が演じたことがある、スペースボードの主人公が近いかな。」
「宇宙船で色んな宇宙を探検する冒険家か。懐かしいな。調べてきたの?」
「いえ。今、教えて貰いました。頭の中を読んで。」
「驚いたな。加納英二と同じじゃ無いか。テレパシー使えるのか。テレポーテーションも?あ。次元を越えるんだものな。」
「ところで、この『波の国』の問題は?」
「ここのゼネラルプロデューサー兼副社長は双務省出身、というか『天下り』なんだよね。で、偏向報道ばかりやらせている。耳障りの悪いニュースは蓋。アンタが言った『辞めろ』デモ盛んだよ。でも、一切報道しない。俺もサア。若い頃遊んでなきゃ今頃左団扇で隠居生活だけど、アドリブ芸がいいなんて言われてバラエティーの『ひな壇芸人』っぽいことやってる。でも、世の中の『間違った』こと位分かる。じゃ、どうにかならないか、この世の中って言う俺の声がアンタに届いたのかな?今さ。アンタが経験してきた『総裁選』に近いのをやっている。この次元の『波の国』じゃ、『党裁選』だけどね。与党の義務党の党首の選挙だ。有力候補が、いつ暗殺されるか、って皆心配している。その有力候補は、数年前に暗殺された阿見元総理の後継者だ。あ、ここでも行政府は内閣だ。内閣総理代臣、略して総理。『辞めろデモ』に屈した訳じゃないが、前の総理が辞意を表わしたから、『党裁選』を行う。で、その有力候補を殺しても妨害したがる奴らがいる。その頂点がテレビ局天下り女帝の絹子氏だ。絹子あゆみ。彼女は、その有力候補が『電波オークション』するんじゃないか、と恐れている。詰まり、既存のテレビ局は解体、新しく構成し直す。視聴者が一番望んでいることが、奴らの一番好ましくない状態。その有力候補が新総理になるかどうかは分からない。不正をして当選しないようにする事も大事だが、その前に命が危ない。殺し屋さんに依頼するのもおかしな話だが、守ってやってくれないか。」
「分かりました。」
俺は、今度は堂々と楽屋を出た。
「あれ?伊神さん、帰ったんじゃなかったの?」
「夕方のバラエティーがまだあるでしょ。スポンサーさんと打ち合せしてたの。スポンサーさん、大事だよね。」
「ええ、まあ。」ADは、渋々帰ったの見届けると、俺はプロデューサー室に急いだ。
プロデューサー室。
伊神から、1番のスポンサーが『真ん中自動車』だと聞いている。
俺が出した名刺は、実際はただの紙切れだが、相手は名刺と思い込む。
「人事異動がありまして。」と短く言うと、「貴方が池田さんの後任ですか。よろしく。絹子あゆみです。」
「あ。それが、有力候補さんの暗殺計画ですか。」と言いたかったが、ここはグッと堪えた。
「済みません。『ケツカッチン』でして。」と言って辞去した。
3日後。有力候補の自動車は、『煽り運転』の為に高速道路の崖から転落した。
翌日。与党党裁選。
有力候補は当選した。
テレビ中継していたスタジオのモニター室。
その模様は、いつの間にか、全国ネットで、そして、海外にもSNSで中継された。
「消せ!って言っただろうが。役立たず!!このハゲー!!!!!!!」
そして、彼女がナイフを持って、乱入しようとした時、手錠がかけられた。
彼女は、「政府の命令に逆らうとどうなるか、分かっているのか!」と叫んだ。
手錠をかけた筈の警察官は、どこかに行った。
警察官は、伊神伸吾の演技だった。
それを見届けて、俺は、『次』に向かった。
俺の名は、「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋だが、殺すのは、人間とは限らない。
―完―
跳んで来たのは、テレビ局の控え室。
誰の楽屋か知らないが、訪問客の振りをして、外に出た。