======== この物語はあくまでもフィクションです =========
ここは、『古の国』。
俺の名は、「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋だが、殺すのは、人間とは限らない。
俺には聞こえる。殺してくれ、と。
どこの次元でも聞こえている。
跳んで来たのは・・・ここは、ハイウエイ。
前の車が「煽り運転」で、今にも崖から突き落とされそうだ。
俺は、無理矢理割り込んで、その車を停車させた。
運転手が警察に通報した。
「大丈夫ですか?」と俺は、後部座席の、要人らしき人物に声をかけた。
俺は、偽の身分証を出し、外国で私立探偵をしていたが、通りかかって助けた、と言った。
要人は、宮糠吾一という、国税務管理官だった。
元は、金無心省の神僚だったが、金無心代臣を経て、影響力を持つOBとなった。
『増税はしても減税はしない』と言うのは、実は、彼個人のポリシーである。
もっと国民を誤魔化しながら、増税すればいいのに、という若手の意見は無視。
彼は、未だに「ソロバン」を使う。しかし、「引き算」の仕方を知らない。
習う筈の時、遊んでいたからだ。
叔父は金融代臣を経て、国総武代臣になった人だ。
とうとう、追い越すどころか追いつきもしなかった。
一度決めた税は減税しない。今まで、それにケチを付けた国総武代臣は、たった一人だった。盟友木場田の為に、宮糠は、隣国からヒットマンを送って貰った。
そうして、邪魔者がいなくなった政権は二代とも、盆暗だった。
俺は、会議で留守の間、その「日記」を読んだ。
ハニトラの手練手管まで詳細に書いていた。
俺のスマホが鳴った。本来の持ち物でなく、政府支給品だ。
「蔵前君。今、どこだ?」「あ。トイレです。」
「これから官邸に向かうと思うんだが・・・。」
「分かりました。駐車場でお待ち下さい。」
官邸までは、何事もなく運転出来た。
可哀想に、以前の運転手温水さとしは、首になった。
俺は、辞める前に彼の荷物の荷造りを手伝い、「サンマ定食」を奢って貰い、色んなことを教えて貰った。守秘義務なんか、糞食らえだ。
財産と土地の話になり、宮糠家と木場田家の土地が膨大な敷地であることを知った。
「元から、大金持ちなんだ。だから、庶民の暮らしの苦しさなんか知らない。サンマ定食なんか食ったことないよ。元々、ピンチヒッターの臨時雇い。未練はないよ。」
「もしさ、その土地が余所の土地、例えば、隣国の土地になった時、どうするかな?あ、手違いで、の話。」
「慌てるだろうなあ。公務ほったらかししても何とかするんじゃない?」
温水は溜飲が下がったみたいだった。
官邸に着いた時、秘書から電話があり、宮糠は実家に向かうように、俺に指示した。
そこは、更地にする工事中だった。
施工主は、隣国人のようだった。
俺は、電話での隣国人とのやり取りを聞いた。
宮糠吾一の一族の土地建物は、あっと言う間に「テンバイヤー」を通じて、隣国のものになっていた。
隣国からの返事は「そつのないもの」だった。「合法取引」だし、どの道、この国は隣国のものになるのだから自ら売った筈だと言われた。
公務をほったらかししても何とかしよう。暫く、ホテル住まいをして、新しい家を探そうとする宮糠だったが・・・。
秘書から2回電話があった。
何者かに寄って、宮糠の個人資産の預金も、金無心省の神僚口座も凍結されていた。
俺は、そっと、宮糠から離れた。
宮糠の個人資産の預金も、金無心省の神僚口座も、いつの間にか「国民への給付金」として、各家庭の口座に振り込まれていた。この事実は忽ちSNSで拡散された。
俺の名は、「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋だが、殺すのは、人間とは限らない。
温水さん、ボーナスと退職金、上乗せしておいたよ。
さ、次だ。
―完―