あの10人は、候補者の替え玉バイト君だな。
時間軸が大きく逸れたかと思ったが、そうでもないようだ。
======== この物語はあくまでもフィクションです =========
ここは、『示の国』。
俺の名は、「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋だが、殺すのは、人間とは限らない。
俺には聞こえる。殺してくれ、と。
どこの次元でも聞こえている。
跳んで来たのは・・・国のトップを決める会場?
いや、様子が違う。
そうか。投開票日前日。リハーサルか。
あの10人は、候補者の替え玉バイト君だな。
時間軸が大きく逸れたかと思ったが、そうでもないようだ。
いつまでも、ホワイトボードの陰にいられないから、控え室の方に飛んだ。
どの次元も「アナログ」だな。止揚が言ってたな、そもそもがアナログ思考から出てないから、隣国に騙されてしまう。SNSが発達しても、テレビを使って嘘をつき続ければ、それが真実として伝わる、と。
幸い、控え室には、国のトップ総監大尽である与党のトップ監代を決める監代選挙の候補者の経歴と方針の資料があった。
「誰だ?どこから入った?おい、エスピー!!」
叫んだのは、前監代の芝山だ。
俺は、わざと挑発した。
「どの候補を殺す積もりかと思ってね。」
「何だと?」顔を真っ赤にした芝山に浮かんだ名前を出した。
「オウキ様の命令で、貴様に確認に来たんだよ。」
「オウキ様・・・失礼しました。」
その瞬間、俺はスマホの録音スイッチを入れた。
「一番、邪魔になるのは、誰だったかな?」と、惚けてみた。
「甲斐ですか?甲斐は一番票が多い。折角議員票を多く採ったのに、党員が、『雑音』に動揺してしまって・・・いざと言う時のヒットマンは?」
「お前が心配することではない。折角だから、暫く寛ごう。」
「ごゆっくり、どうぞ。」
どうやら隣国式の挨拶を心得ているようだ、前監代は。
俺は、尊大に頷いた。
投開票が始まった。
いよいよ確実になりそうになった時、書記官の一人が立ち上がって、一番票の多い候補者の胸に拳銃で撃った。
壁の陰で見守っていた俺は、部屋の隅の女性記者に目がとまった。
拳銃の弾をテレポートさせ、俺が、そのオンナの場所に跳ぶと、オンナは消えた。
拳銃を使った書記官は呆然としていた。
操れていたのだ。
俺は、すぐに控え室に跳んだ。
オンナがいた。しかし、すぐに消えた。
間違い無い。あの時の『乙姫様』だ。
俺は、一旦跳んだ。
色んな所へ。そして、腕時計を弄って、教授のいる次元に跳んだ。
『水の国』。『占い師の館』。
表向きは、女占い師の教授は、ハグをして出迎えてくれた。
「お帰り、万華鏡。さあ、話してご覧。」
俺は、前回の続きから、今日の出来事までをかいつまんで話した。
「恐らく、『声』の主は、当選した候補者だろう。強い危機感があったか。その場で操るんじゃ、殺した後にヒットマンを捕まえても何も分からないな。とにかく、アンタと2度目の接近遭遇をした、そのオンナは、アンタと同じように跳べる。アンタ以上の力を持っている。これを持って行け。」
俺は、教授先生に新しい腕時計を渡された。
今の腕時計を外して、教授に渡すと、新しいのを身に着けた。
「お守りを入れておいた。敵に隙を見せるな。」
俺は、外に出ると飛んだ。
俺の名は、「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋だが、殺すのは、人間とは限らない。
時には『殺させない』ことで『殺す』こともある。
俺に勝てるかどうかは分からない。やるしかない。
俺は、「異次元の殺し屋・万華鏡」だ。
―完―