何もない空間?跳ぶ先を間違えたか。
俺は、教授のいる世界に、と念じて腕時計を触った。
あ。跳べない。万事休すだ。
============= 第二部 ===========
【不感地帯(dead zone)】
======== この物語はあくまでもフィクションです =========
ここは、????。
俺の名は、「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋だが、殺すのは、人間とは限らない。
俺には聞こえる。殺してくれ、と。
どこの次元でも聞こえている。
跳んで来たのは・・・どこだ?
何もない空間?跳ぶ先を間違えたか。
俺は、教授のいる世界に、と念じて腕時計を触った。
あ。跳べない。万事休すだ。
すると、どこからか声が聞こえた。
迫水だ。いや、迫水に化けていた男の声だ。
「万華鏡。こっちだ。」
俺は、声の方に目を向けた。穴がある。ドアノブ位の。近寄ると、ドアノブだった。
俺が出ると、迫水がいた。
ハンバーガーショップ?
「ここでは、『外貨』が使えないんだ。奢るよ。」
俺が黙っていると、迫水は、いや、迫水に化けていた男はハンバーガーセットを2セット頼み、席に運んできた。
「迫水隊長・・・?」「ああ、自己紹介がまだだったな。俺の名前は力石ルチル。友人は『パワーストーン』と呼んでいる。取り敢えず、『豚止め』バーガーを食え。」
恐る恐る食べると、『トンカツバーガー』だった。
食べ終わり、コーヒーを掻き混ぜていると、「シュガーが要るのか?」と力石に尋ねられた。
「いや、癖で。」と説明しようとすると、力石はタブレットを出した。
タブレット型PCではなく、ドロータブレットだ。
電子メモパッドでもある。
力石は、ゲージのようなものを描いた。
「何に見える?」「何かののゲージみたいだ。クルマのメーターの近くにもある。」
「そう。真ん中が『標準』だ。お前さんが行ったり来たりしていたのは、この外側の線のどれか。真ん中が、ここだ。ここは平和だ。ケメちゃん、今の国のトップは?」
カウンターの、先ほどの女の子に力石は声をかけた。常連???
「店長。また、力石がカスハラしてくるんですけどぉ。」
「ダメだろ、ルチル。あ、いらっしゃい。今の総理は明石紗菜。前の総理がやった不始末を大急ぎで『手直し』している。バッシングに耐えてね。」
店長は、表の掃除に行った。
詰まり、力石は、こここそが正常な世界だと言いたいのか。
「いよいよ、敵が本性を現わしたみたいだからね。教授に指示されて、お前さんを追い掛けてきた。詰まり、援軍だ。さっきの空間は、敵が仕掛けたトラップだよ。」
「遅ればせながら、ありがとうございました。じゃ、力石さんと俺は、同じ組織?」
「ま。そういうこと。お前さんはお前さんなりにやってきた。我流で。だが、相手が大きいと、何時までも単独では危ない。そう判断されたのさ。」
「どこに?いや、誰に?」
「どこに?だな。次元管理局だよ。お前さんが、スカウトされた後の記憶をある程度無くしているのは、所謂『バグ』、欠陥だ。」
「じゃ、力石さん、俺の『本名』は?」
「忘れたか。お前の本名は加賀見進。『加える』に『賀正』の『賀』に『見る』の見、進は『前進』のススム。覚え直せ。」
「はい。『次元管理局』って、ひょっとしたら?」
「ああ。未来の組織だ。パラレルワールドの存在は、古くから知られていた。自然現象として。だが、お互いに干渉しだした。そして、爆発的に増えた。どこかの次元で『故意に』歪められた。時間軸は、西暦2000年代初頭、それしか分からない。『次元管理局』のあった未来は消滅している。消滅する前に、あちこちに散った。」
「どうして無くなる事が予測出来たんです?」
「縮まって行ったから。お。お呼びのようだな。お前さんの方も、だな。また会おう。」
そう言って、迫水は、いや、力石は消えた。
カウンターを振り返ると、誰もいない。
俺は跳んだ。
俺を呼ぶ、声に導かれて。とにかく、俺の本名と死命は分かった。
俺の名は、「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋だが、殺すのは、人間とは限らない。
ここが、どこの次元かは分からない。だが、ここでの「死命」は無かったから、誰も死なず、何の事件解決も無かった。
とにかく、俺、加賀見は跳ぶ。死命の為に。
―完―