墓石に刻んである戒名はよく分からないが、墓標を見て分かった。
恐らく、暗殺されたのだ。今までの次元から類推すると、新しく国のトップになった女性が消されたのだ。
======== この物語はあくまでもフィクションです =========
ここは、『才の国』。
俺の名は、加賀見進。別名「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋だが、殺すのは、人間とは限らない。
俺には聞こえる。殺してくれ、と。
どこの次元でも聞こえている。
跳んで来たのは・・・墓場?
墓石に刻んである戒名はよく分からないが、墓標を見て分かった。
恐らく、暗殺されたのだ。今までの次元から類推すると、新しく国のトップになった女性が消されたのだ。
俺は、腕時計を触ったが、声が聞こえた。
「行かせないよ。殺し屋さん。」
あのオンナが目の前にいた。いや、似たオンナだ。
俺はオンナを無視して、近くの側溝に飛び込んだ。
そして、跳んだ。
俺は、寺の本堂に跳んだ。
住職と顔なじみではない。
俺は、掃除を終えた住職に庫裡に案内され、全てを語った。
僧侶という者は、信心深いものだと味方になってくれる。
幸い、俺の宗派は覚えていて、この寺の宗派とは同じだったので、味方になって貰うことにした。
「成程。興味深いお話ですな。要約すると、パラレルワールドなる並行世界が存在し、何者かによって歪まされ、各次元にひずみが生じ歴史が改ざんされた。あなたは、次元管理局という未来の世界の組織にスカウトされ、その歪みを修復すると同時に、その犯人を追跡している。では、『殺し屋』ではなく、『直し屋』ですね。この次元の世界のこの国、『才の国』でも、前の国のトップ、ここでは犀相と呼びますが、犀相が無制限に移民を受け入れ、国民にのみ税を課しているので、国民の『蜂起』によって各地で暴動が起きました。前犀相と前外耳大臣は逃亡し、隣国に亡命してしまいました。速やかに、次期犀相と内殻政府を打ち建て、『修復中』です。」
「そこまでは正しい。」
声と共に現れたのは、力石と、住職にそっくりな僧侶だった。
「甘いぞ、万華鏡。そいつは敵が化けた『偽物』だ。」
「俺は、嵌められたのか?」
「そうよ、おバカさん。『修行』が足りないわね。」
そう言って、偽物はオンナの姿になり、消えた。
「この国の情勢は、あの『偽物』が言った通りです。新犀相は、女性ということもあってか、敵が多い。例え暗殺されても、マスコミは『行方不明』扱いするでしょう。あのお墓は万一に備えて。ご本人の希望で先に建てたのです。墓標に日付が無かったでしょう?」と、本物の住職は言った。
「後は頼んだぞ、万華鏡。」「もう、行っちゃうんですか?」
「子供みたいなことを言うな。今夜、テレビの公開生番組がある。暗殺に打って付けだ。」
そう言って、『上司』の力石は消えた。あのオンナを追ったのだろう。
俺は、テレビ局に跳んだ。
番組が始まるや否や、全ての出演者が新犀相小野田澄子を口撃し始めた。
MCやスタッフは笑って見ている。
『木村』というネームプレートを付けたカメラマンが、小野田に『吹き矢』を放った。
随分、古風だが、この距離なら矢に毒を塗っておけばいい。
しかし、飛んだ筈の吹き矢を小野田は『真剣白刃取り』にした。
SPが飛んで?来た。
俺は、カメラマンごとカメラを倒して、逃げた。
吹き矢が収納された袋が、『全国ネット』で放映された。
当面、暗殺のヒットマンは手を出せないだろう。
実は、番組の前に、俺は合図と共に席を立つように小野田に言っておいた。
細かい説明はせずに、『テレポーテーション』を見せるだけで小野田は俺を信用した。
流石、国のトップになった女性だ。
警察がやってきて、SPは警察に木村を引き渡した。
「絶対、絶対、支持率を下げてやる。」
木村の捨て台詞は、マスコミの愚かさを証明することになった。
小野田は着席し、平然と言った。
「では、続きを。」
俺の名は、加賀見進。別名「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋だが、殺すのは、人間とは限らない。
俺は、上司や仲間が出来たが、各次元の『落とし前』は、俺の仕事だ。
さあ、次の世界だ。
―完―