英雄に憧れるのは間違っているだろうか? 作:カステラ
プロローグ
少年がいた。
出会いを求め、夢を持ち、神々が降り立つ大地、その英雄の都にやってきた少年
誰よりも優しい、平凡な少年。
しかし、英雄の都は少年を歓迎しなかった。
少年はまだ幼く、弱かった。
どの派閥からも門前払いを受け、失意に暮れていた。
自分には無理なのか?
⬛︎⬛︎には、なれないのか?
そんな時、
少年は女神に出会った。
しばらくして、その女神と少年の派閥ーーファミリアを結成し、恐ろしき怪物の生まれる迷宮、ダンジョンと呼ばれるものに潜り、小銭を稼ぐ日々。
貧しくはあったが、少年は女神といられて嬉しかった。
そんなある時。
少年は、憧憬に出会った。
彼女を想うと胸がうるさい
心が弾む
そんな淡い想いを胸に、彼はまた迷宮に潜っていた。
だが、少年は現実を突きつけられた。
ある狼人が口を開く
彼の仲間が笑う
軟弱、情弱、惰弱
少年は弱い、それをもう一度突きつけられた
少年は怒りを抱いた。
狼人に……ではない。
その言葉を肯定してしまう自分に。
否定できない自分に。
何もしなくても、何かを期待していた自分自身に。
少年は言った、自らの主神に。
「強くなりたい」と
それから少年は走り続けた。
弱くて、情けなくて、初々しい。
それでも、憧憬を目指し進み続けた白き光。
人を助け仲間を作り、敵にさえ、怪物にさえ手を差し伸べて、人を救い続けた。
まさに彼は、彼の夢見た⬛︎⬛︎だった。
そしてそれを「外」から見ていた者たちがいた。
彼の、白き光の物語を見て興奮する者、ヤジを飛ばす者、こうではないかと推測する者もいた。
自分も、その中の一人に過ぎなかった。
その物語を観る、観客の一人に。
だが憧れた。
自分もそのようになりたい
そのようにありたい
あの光のように
けれど、
自分は少年のようにはできなかった
ーーそれでも
ーー諦めきれなかった
これは白兎の物語ではない。いま語ったように、それに憧れた
それでもいいというなら見て行ってくれ。
彼の英雄譚を。
「ふぅ、疲れた。畑仕事も結構体力使うんだな…」
ここは、なんの変哲もない農村。
その一軒家の前の畑に、一人の幼い少年が座り込む。
「まあそりゃ、鍛錬しまくった後にやってるんだから当然なんだろうけど」
意味のないぼやきをしながらも、鍬を支えのようにして立ち上がり、土を払うと、少年は一軒家に向けて歩き出す。
「今日はだいぶ手伝いもできたんじゃないか?だんだん鍛錬の時間も両立できるようになってきたし」
「それにしても剣の方は全然上達してないよなぁ、まあ才能がないんだろうけどさ」
軽口でも叩くかのように悲観的なことを言っていると、一軒家の扉の前までいつのまにかきていた。
こんっこんっと扉をたたき声を張る。
「かーさん、とうさん、終わったぞー」
そういうと中からドタドタという足音が聞こえてくる。
そして勢いよく扉が開けられる。
「おかえりー!アルス!今日は早かったわね?」
青い目に青い髪の女性が、テンション高く出迎えてくれる。
少年は、これが日常とでもいうように特に大袈裟な反応を見せることなく、普通の声色で返事をする。
「ただいま母さん、だんだんコツが掴めてきたみたいでさ、今日は早く終わったよ」
すると女性の後ろから白髪に同じく青い目を持つ男性がやってくる。
「おかえりアルス、かなり畑仕事も上達してきたみたいだな」
「まあそうかもね、上達してるとは思う」
少年は苦笑して答える。
実際は褒められて嬉しいのだが、顔に出すと恥ずかしいので出さない。
「さあ、入っておいで。夕食にしよう」
「はーい、わかった」
その声と共に家の中へ入っていく、今日も変わらないいつも通りの日常。
(そう、これが“今”の俺の日常)
(転生者である、俺の日常だ)
どうでしょうか?上手く書けていましたか?
小説を書くのは初めてなので優しく見守ってくれるとありがたいです。