英雄に憧れるのは間違っているだろうか? 作:カステラ
今回で本当にプロローグが終わります。
また、微睡みのなかにいる。
さほど経っていない頃、ここに来たことがある気がする。
彼はそう思考しながらも、また微睡みのなかに堕ちていく───
わけはない。
もうこれは体験している。
ならばこの“未知”は“既知”に変えてやる。
───流石だね
……そうか?
───そうだよ、もうこの■■に慣れてしまったようだね
よく聞こえないが、今なんと言ったんだ?
───気にしなくっていいよ
そうか
───おや?やっぱり聞いてこないんだね
言いたくないことはあまり聞きたくはない
───そうか、君は優しいね
憧れただけだ
───そうかもね、そろそろ時間かも
そうか、じゃあ、またな
───……うん、またね
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朝、小鳥の囀りが聞こえてくる。
いつもどうりの朝が来た。
そして、いつも通りに目を開けて、体を起こす────
「起きました〜〜!!!」
「ぐふっ!?」
かなりの衝撃が腹部を貫いた。
(なになに!?なにが起きた!?!)
急に腹部を貫いた衝撃に悶えそうになる。だが、飛びついて来た人物の顔をみた途端、彼の顔は驚きに支配される。
「マリヤ……?」
「はいっ!おはようございます!!」
彼女は目尻に涙をためながら、そういった。
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「つまり、俺は
「はい……」
少々はしゃぎすぎていたマリヤは、少し顔を赤くしながら答えた。
それともう一つ、言われたことがある。
「まさか、村人たち全員で俺の戦いを見ていたとは……」
「止められず、申し訳ありません…」
なんと心配で見に行こうとする両親を止めようとする人たちで引きずられるように、俺の戦いが見えるところに来ていたらしい。
まあ、彼女も俺に頼った負い目があるから、止めきれなかったらしい。
「いやまあ、それはいいんだけどさ、多分修行の内容もバレるよな〜…」
「はい、おそらく……」
一番問題なのは、それだ。
あれだけ派手に戦った以上、どこであんな力を身につけたのかは聞かれるだろう。
(母さんに凄まれたら隠せる自信がないな〜……)
そんなことを考えてしまう。
「あの、それで、大丈夫なのですか?」
「うん?」
急に暗い顔になりながら、彼女が聞いてくる。
「その、怪我は…」
ようやく彼女の言いたいことがわかった。
「ああ、そのことか、大丈夫だ。痛みはするけど剣と魔力で勢いを殺したから」
「ま、魔力?」
あっやべ、しくじった。
そんなことを思いながら、自分の失敗を悔やむ。
「なっ、内緒にしといて」
「わ、わかりました」
あーあ、気が緩んでたな。
これからは気を付けてないと。
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その後、アルスの両親が来たり。ルイが来たり。村の子どもたちも来たり。ニーベルンゲン商会の人たちも来て、かなりの大人数で来ていたので狭かった。
そして、ニーベルンゲン商会の人たちから感謝を伝えられた。
『ありがとう、君のお陰で沢山の兵士の命が救われた』
『本当にありがとう、君は我が商会の恩人だ』
そう言われた。
ありがとう、この言葉はこの1日でたくさん言われた。
村を救ってくれてありがとう
子供を助けてくれてありがとう
他にもさまざまな感謝を伝えられた。
感謝されるって、こんな気持ちなんだなあ…
そして、怪我が治り、ニーベルンゲン商会の出発の日がやってきた。
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「本当に、ありがとうございます」
「いいよいいよ、友達のためだからな」
出発する前まで俺たちは話していた。
この小隊はモンスターの襲撃のせいで別ルートを通っていたらしく、あとで本隊と合流する予定だったそうだ。
そこでさらにこの村で騒動がおきて、かなり戦闘員が減ってしまったので、本隊と合流しなければオラリオにはいけないらしい。
本隊は合流地点にもう着いており、あとはこの小隊が合流するだけだという。
「もう、お別れなんですね…」
「ああー、まあな、でも─────」
「またオラリオで、絶対会おうな」
「───ッ!うん、うん!また会おうね!!」
そう言って、彼女は小隊の方へ走っていった。
そうして、俺たちは別れた
「さて、どうやって母さんを説得しようかなー」
あの日から厳しくなった母の視線をどうにかする方法を考えながら、帰路着いた。
見ていただきありがとうございます。これで第一章は終了です。次章からは原作キャラが出ると思います。よろしくお願いします。