英雄に憧れるのは間違っているだろうか? 作:カステラ
朝飯を食べ終わり、また修行を再開しようと近くの林へ向かう。
その道中、みたこともない集団が村の門を通っていくのをみた。
(あれは…行商人たちか?)
どこかへ向かう最中に休息をとりにきたように見える。
おそらく彼らの向かう先は、
(オラリオ)
世界の中心たるあの都市だろう。
(行商人も大変だな、あんなに護衛をつけないと行けないのか)
見ればかなりの重武装の護衛がたくさんいる、装備も上質なものなのだろう。
まあ最も、アルスの目利きが正しいのかはわからないが。
(やっぱりオラリオは未だ危険なんだな、おそらくは死人が出るほどに)
(いくことができたらお墓参りにでも行こうか)
そう思いながらアルスは修練場にしている林へとーーー
「やい!アルス!」
大きくも幼い声が飛んできた。
その声の主はアルスと同年代の子供で、周りには男女が少人数で集まっていた。
と言っても女性陣は遠巻きに見ている感じだが。
「今日こそお前をぶったおしてやる!!」
一番先頭に立つ男子が勢いよく吠える、手には木剣を持っておりどうやらアルスと勝負する気のようだ。
「そうだそうだ!」
「いつもいつも澄ました顔しやがって!」
先頭に立つ男子に続くように、後ろの男子たちがやいのやいの言ってくる。
(いやそんな顔はしてないし、両親にも村人のみんなにも表情豊かだと言われるくらいなのだが)
アルスは困惑しながらも口には出さない、なぜならこれは、
(またかー)
いつものことだから。
半年前のことだった、いつも通りに修行をしに向かっていたところ、いじめられている子供を見つけてしまったのだ。
いくらなんでもそのまま姿を消すことは憚られたアルスは、声をかけてしまったのだ。そして生意気にも自分達に声をかけ、いじめているやつを心配するやつを見つけた子供たちは、標的をその子供ーーーアルスに切り替えた。
そうしていじめっ子たちが挑んできたのだ。木剣片手に。
いや打ちどころが悪ければ大怪我するが?
まあともかく、
いくらいじめっ子とはいえ暴力を振るうことは躊躇われたので、いじめられている子を抱えて即座に離脱してしまったのだ。
それ以来このような形で見つければ勝負を挑み付き纏ってくるようになった。
時間を無駄したくないため、さっさと修練場に向かいたかったアルスだがどうしようかと思考する。
(この半年間見て分かったことだが、この子達は素人だ)
故に木剣を使って相手するのも、素手で相手をするのも危険だ。
当たりどころが悪ければ怪我をする。
(怪我をさせたくはないし、どうしたものか)
ふと女性陣に目を向けると心配そうな目でこちらを見ていた。
この騒ぎに加わっていない数人の男子も同様に。
心配で見にきたのだろうか。
(やっぱりここは……)
そう心の中で呟くとアルスは。
「三十六計逃げるに如かず!!」
そう叫びながらアルスは修練場にしている林へ向かった。
「あっ!逃げたぞー!追えー!」
少年たちがダダダと遅れて走り出す。
アルスは子供たちを撒くために、少し遠回りしてから修練場に向かった。
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またまたアホのような鍛錬を繰り返しているアルスだが、流石に休息を取らなければ無茶である。
というわけで木陰に座り水を飲んでいるアルスだったが
「20セットやっても血を吐かなくなったし筋肉や骨がバキバキ言わなくなったから上々だな」
訂正、無茶などやりまくりであった。
「もっと増やしてもいいかもな」
何言ってんだこいつ。
「?」
その時、誰かがこちらへ近づいてくる気配がした。
咄嗟に構えようとしてしまったが、その必要がある相手なのかもわからない。
何せ、ここにくる人間は自分以外は皆無と言っていいからだ。一年間この鍛錬+αをやり続けているかこそわかる。
自分以外がここにきたことはない、木こりも別の場所で木を切っているらしく、仕事でもここにくる人間はいない。
故に誰がきたのかと身構えてしまった。
そして
出てきたのは、探検隊のような格好をした一人の少女だった。
「えっ」
「えっ」
……えっ
いかがでしたか?結構きにいらないところがあったので改変しました。あの子の登場を楽しみにされていた方はすみません。