英雄に憧れるのは間違っているだろうか? 作:カステラ
これからも気ままに書いて行くのでよろしくお願いします。
茂みから出てきたのは、探検隊のような格好をした少女だった。
「えっ」
「えっ」
……えっ
「誰だこの子」、アルスの心中を支配したのはそれだけだった。
10歳ほどだろうか。
そもそも、アルスはここに来たから驚いた訳ではなく村でも見ない人物だから驚いたのだ。
基本的にここは中規模の農村である。過ごしていれば自然と村の人々と顔見知りになっていくので、知らない人などいないと言える。
だがこの子は見たことがない、つまりは村の外からの客人。そういうことだろう。
(でもなんでこの場所に?)
言っては悪いがここはあまり人が来ない、近場とは言っても地形もボコボコだろうし、よりつく理由もないと言える。
だからこそ修行に適しているとも言えるが。
(いや、そんなことよりも…)
今はやらなければならないことがある。
それは、
「こんにちは!」
挨拶である。
「…えっ」
(さっきの子どもたちには挨拶できなかったしなー)
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「えっと、こんにちは、私はマリヤと申します」
「こんにちは、俺はアルス、よろしくな」
二人はしばらくして落ち着き、互いに自己紹介をしていた。
先程の突然の「こんにちは!」に面食らったマリヤだが、話してみれば意外と普通で拍子抜けしていた。
(もっと危ない人かと思ってた)
「それでなんでここに来たんだ?言っちゃ悪いけどこことても人がよりつく場所じゃないぞ?モンスターが出そうって噂もあったくらいだし」
「えっ、あっその、えっと、気分転換に…ですかね?」
しどろもどろになりながら、どう見ても他に理由があるようにしか思えない言い方をするマリヤ。
どう見てもなにかあったあとだとわかる。
「ふーん、そっか、まあここ空気が澄んでておいしいしな、そういうこともあるか」
それを思いっ切りアルスはスルーした。
「えっ…何があったかとか、聞かないんですか?」
「聞いてほしくないこともあるだろうしな、初対面のやつに話すことじゃないんだろ?」
「は、はい」
「じゃあ聞かない」
それに、
(俺が解決できる問題だとも限らないしな)
そんな言葉を胸にしまい込み次の言葉を発する。
「あっそうだ、俺がここにいることは秘密にしておいてくれないか?」
「えっ、なんで、ですか?」
マリヤが疑問を口にし不思議そうな顔をする。
先程の言葉も合わさり、なぜそんなことを言うのか理解できないようだ。
「いやー、ここで修行してるのがバレちゃうと怒られるだけでは済まないんだよね、だから内緒にしてくれると助かる」
「等価交換ってね」なんて彼は言う。
不思議な人だとマリヤは思った。
自分の事情は聞いてこないし、かと思えば鍛錬を秘密にしてほしいなんてささやかな願いで等価交換の体にしようとしている。
あと、突然「こんにちは!」なんて言うし。
でも、
(不思議と悪い気分じゃないなぁ)
とその少女は思うのだった。
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「今日は色々話させてくれてありがとう、おかげでスッキリしました」
「こちらこそ、今やってる修行のアイディアも出してくれたしお陰でインスピレーションも得れたから」
「あいでぃあ?いんすぴれーしょん?」
「あっいや、なんでもない、忘れて」
あれから時間がたち、もうすっかり夕暮れになっていた。
こんなふうに口を滑らせてしまうくらいには仲良くなれたようである。
「あっ私もう行かなきゃ」
「そっか、じゃあお別れだな」
そういった途端、少し寂しそうな表情をするマリヤ。
それに気付いたアルスは少し笑いながら。
「俺結構ここにいるからさ、またなんかあったら来なよ」
「───!───うん!」
そう言うとマリヤは手を振って走り出す、丁度村の、夕暮れの方角だった。太陽に照らされた彼女はしばらく走ったあと、こちらに振り返り手を振ってまた走り出した。
「さて」
「マリヤからインスピレーションも貰ったし、帰ったら試してみるか」
そう言いながら彼は帰路について行った。
いかがでしたか?初めての小説なので上手くキャラがかけているか心配ですが、投稿してみましたよろしくお願いします。