転生したハイエルフが奮闘するのは間違っているだろうか 作:野生の鹿
「相変わらずしぶといなぁ」
どこか呆れたかのように言うペイルは、
「チッ……!中々倒れねぇな、あのヤロウ……!」
思わず吐き捨てたアレンの言葉に内心同調するフロディは、
だが、そんな膠着状態ともいえる戦いに、ようやく終止符が打たれようとしていた。
「【レア・ラーヴァテイン】!」
リヴェリアの持つ火炎の魔法がペイルに直撃した。
「ぐぅっ……!!」
いくら
「リヴェリアさん!?」
「フロディ、無事か?」
思わぬ助っ人に内心歓喜したフロディに駆け寄ったリヴェリアは、彼の傷だらけの身体を見て心配する。
「その怪我はやつによるものか?」
「えっと、今は説明してる場合じゃ……」
「喋ってる場合かぁ!?」
アレンの苛立ちを聞いたリヴェリアは、怪訝な顔をすぐに浮かべた。
「【
「うるせぇ……!今はあいつだ……!」
Lv.2とLv.5の間にある戦力差を自派閥の団長と副団長で身をもって知ってるアレンとしては、屈辱を感じているが、それよりも中々有効打を出せていないペイルの食えなさに青筋を立てる。
アレンの言葉に気を取り直したか、ペイルに目を向けたリヴェリアとフロディであるが、ペイル自身は焦りどころか、どこか楽し気な雰囲気を醸し出していた。
「【
Lv.5が目の前にいても尚、逃げ切れる自信を隠そうともしないペイルに、リヴェリアは顔を顰める。構造を把握している隠れ家で出くわしたときも、こうした余裕は見受けられたが、ダンジョンの中にいても同様であるのは、いささか不愉快であった。
「フロディ!最後に君に言っておくことがあるよ」
リヴェリアから漏れ出す魔力にも臆することなく、ペイルは言葉を紡いでいく。
「君、前々世もこの世界の人間かもしれないよ」
「………………は?」
ペイルの口から放たれた言葉に、フロディ本人はもちろん、リヴェリア、アレンも呆気にとられる。
フロディからは何も知らされていないことも手伝って、リヴェリアは、目の前にいる同族が抱えている秘密に直面していることに混乱していた。
「何を言っているんだ?フロディ……、やつの言葉は、一体どういう意味なんだ……?」
確認するかのようにフロディに問うリヴェリアだが、傍から見ても手に取るようにわかるフロディの動揺を見て、フロディにとっても初めて知ることであるのは理解した。
「タナトスに確認したけど、紛れもない事実だよ。だから、君は『転生者』というよりかは、『帰還者』といった方が正しいね。まあ、これ以上説明しても、そこの二人に殺されかねないから、また別の機会でね」
そう言ったペイルは混乱するフロディたちを他所に退散しようとするが、我に返ったリヴェリアは制止していく。
「待て!」
そんなリヴェリアに対して嫉妬を交えた嫌悪感を纏わせた表情をしたペイルは、銃口を突き付けていく。
「君が羨ましいよ、【
言われたリヴェリアからしてみたら理解に苦しむことだが、神々でいう『ヤンデレ』のようなものだと察したリヴェリアは魔法を唱えるが、それよりもペイルは早く行動した。
「では、あとは任せたよ」
ペイルの言葉が言い終わると同時に、十数人の『
そんな彼らを見たフロディは、ペイルがこれからやろうとしていることを推察し、急いでリヴェリアの手を掴んだ。
「これはまずい!」
「チっ……!」
フロディの言葉にアレンが走り出す。
「リヴェリアさん!防御を……」
「!分かった……!」
フロディの様子から只事ではないことを察したリヴェリアは、防御魔法を唱える。
「行くぞ!クソエルフども!!」
不本意極まりない雰囲気を隠すことなくさらけ出しているアレンの言葉に従い撤退する。
並行詠唱を身に着けているリヴェリアは、後衛と言えどもLv.5である故、脚は速い。敏捷に特化しているアレンよりもだ。
3人の中で一番鈍足であるフロディはアレンに担いでもらう形で撤退する。
やがて、フロディの予想通りのことが起きた。
ドゴォォォォンッッ!!!
ペイルの指示で突撃してきた『
突撃してきた『
そんな人間爆弾による影響がフロディたちに及んでしまう前に、リヴェリアの防御魔法が発動される。
「【ヴィア・シルヘイム】!!」
Lv.5の魔法使い故に、高速詠唱によって最高位の防御魔法を発動させたリヴェリアは、自分たちの後方に迫っている爆風を防いでみせた。
アレンに抱えられているフロディは、そんな後ろの様子を見ながら、ペイルがすぐに撤退してみせたことに、相変わらずの手際の良さに厄介さを感じずにはいられなかった。
* * *
「ふう……、これで一息つけるかな………」
【
ペイルが撤退した後、ペイルたちがいたあの場所は崩落している。
爆発の余波で汚れた衣服を部下に洗うように指示して、くつろぎやすさを重視した服装に着替えたペイルは、心を落ち着かせようとしていた。
「たっくんじゃないかぁ。実験の方はどうだったかい?」
そんなペイルのティータイムに割り込んでくるのは、主神であるタナトスだ。
にこやかな表情を浮かばながら、お気に入りの部下に話しかけるその姿は、何も知らない者から見れば、【
「まあまあ、ということかな?途中でフロディたちが来るのを察知したから、お披露目も兼ねて彼らと戦ったさ」
「そうなんだぁ……。けど、聞いたところだと、【
耳に入るのが早いタナトスに、ペイルは顔を顰めながらも、冷静に応える。
「まあ、予想はしていたよ。【フレイヤ・ファミリア】の介入については、大方フロディを手に入れたい主神の意向だね。自分の
「それはあり得そうだね。フロディくんの魂は、フレイヤから見ても珍しいのかもしれない」
そんな会話を続けていくうちに、ペイルの持つカップの中身が無くなり、ティータイムはそこで打ち切られる。
「さて、僕はまだまだ実験があるから、戻るよ」
「働き者だねぇ。それで?今度は何がテーマなんだい?」
タナトスの質問に、ペイルは右手で眼鏡を直し、そのまま小指で眉毛をかくと、笑顔で答えた。
「『エルフを始めとした
次からは第3章です。