『学校無双〜実は世界最強の俺が以下略〜』って本読んだけどこれ私のことだ… 作:んえその木
「これより食堂にむかーう!」
「おー」
「昼飯昼飯」
「今日なんだっけ?卵系?」
「オバチャン特製卵と愛情と少しだけの悪意を込めたガパオライスだってさ」
「何の何の何……?」
この学校は食堂があるタイプの学校で、寮生の大半は朝昼はそこでご飯を食べている。
夜ご飯だけは寮で用意してねって感じらしい。
やー昔は貴族以外は食堂を使ってはいけないってルールだったから皆で朝から作ってたけど、いい時代になったねぇ。
「ユニは初めてだよね?食堂」
「うん、初めて行く」
「よし…なら少しだけ注意点があるから教えとくね」
「うん」
「食堂は皆で使う場所……つまりは私たち以外の寮生も来てるの。」
「うん」
「だからね、朝から魔術とかフォークとかナイフとか飛んでくるけどあんまり反撃しすぎちゃダメだよ。半殺し程度までね」
「私達今からご飯食べに行くんだよね……?」
これまた私の頃には無かったルールで前はクラス分けはただのクラス分けであり、強いて言うなら私が所属していたエリートコースと他で別れていたくらいだ。
しかし今はカス眼鏡が何やら性格の悪いクラス分けに変えたらしく、その寮生同士で仲が悪いらしい。
その面子が食堂では一堂に会すのでよく喧嘩とかが起きるらしい。
成程、あくまで学生同士過激にやりすぎてはいけないよってことだろう。
……ん?あれ、なんか皆攻撃魔術を構えてる気が……
そんなの撃ったら大惨事だよ、止め───
──そう思いながら食堂に入った途端、目の前にありとあらゆる攻撃魔術が飛んできた。
「うひゃあっ!?ばっ…爆破秘術《カ──」
「はい無駄〜」
「またやってんのかよBのカス共がよ、ぺっ」
「この程度じゃ無駄だってまだ理解できまちぇんか〜????」
「カ…………えぇ………」
扉を開けた途端に飛んできたそれ等をさも当然かのように全て防ぎ、死ぬほど人を煽る顔をした皆が食堂に入っていく。頭がおかしいのかもしれない。
戦場と対して変わらないレベルの魔術が飛んできてんのに何で当たり前みたいな顔してるの??
なんで??
「ちっ……ヤり損ねた」
「頭のイカれたテメェらには丁度いい挨拶だろうがよおっ……!」
「こんな挨拶程度で全力の結界張ってる癖に無駄とかお笑いなんだけど???」
「飯くらいゆっくり食わせろや!!!」
なるほど、なる……なるほどね。
仲が悪いって知ってたよ?知ってたけどね、ここまでとは思わなかったかな。
あれ……おかしいな?
私の知ってる学校生活はちょっと変だった自覚はあるよ?だからこうしてこの本に頼ってる訳だし……
でもこんなの書いてなかったかな…クラス総出で殺し合いギリギリの仲の悪さの場合はどうすればいいかなんて書いてなかったな……
「ほらね?Bのボケナス共がこうやって常識外れの馬鹿みたいな行動するから困ってるんだ」
「この前ここでクソでけぇ木生やしたテメェらかほざくじゃねぇか……!」
「しかも訳わかんない因縁つけてくるし、ほんと幼稚だよね」
「いきなり火炙りにしてくるような奴らを人間扱いする訳ないだろうがっ……!」
「私達A組より常識的な存在なんて居ないのにおかしな事言うよね」
「ごめん、私カレンちゃんの言ってることが全然理解できない……」
わた、私…もしかしておかしいのかな?
いや、普通じゃない自覚はあるし、変わってるってよく言われるから少し変なのもわかってるけどよくわかんない。
これ、これが普通?普通なの?
み…皆が普通なのを教えてくれるんだよね?
カレンちゃん?カレンちゃんも私を置いていくの?
私どっちかって言うと向こうの人達の方が常識的なこと言ってる気がするよ??
なんて思っていたら、その中からやたらと全体的に黒い人がでてきた。
珍しく黒髪のその人は黒い制服に黒いローブを羽織った黒々しいのに目だけが赤い、なんというかこう……
レオとかがカッケェ…とかいいそうな感じの人だ。
「お前らは静かに食堂に来ることも出来ないのか?頭の中に脳みその代わりにパスタでも詰まってるのか?頼むから人間の見た目をしているなら相応しい行動を取れないか?」
「あっれええ〜〜!?先に手ぇ出てきた癖に静かにとかそっちこそ脳みそ無くしちゃったんじゃないのかなアーテルくううううん???」
「君らが魔術を撃とうとしていたから先制しただけなんだが????正当防衛って言葉すら知らないのか???」
「は〜〜〜?撃とうとしたから、じゃ正当防衛は成立しませんが〜???法学の授業は難しくて理解できまちぇんでしたか〜????」
「おっと!知性の欠けらも無い君らがそんな事を知っているとは!バカの相手ならこんな冗談でいいと思ってたんだがね」
「お?」
「あ??」
いきなり罵りあいを始める2人を見て困惑していると、私に気がついたのか黒い人…アーテル君?が爽やかな笑顔をしてこちらに手を差し伸べてきた。
「おや、君が新入生のユニさんかい?やぁ、僕はB組の委員長アーテル。いきなり不躾な態度で済まないね、獣と食事を共にするにはこのくらいしないといけないんだ」
「こっちの台詞では?」
「ピクシー並の脳みそ」
「ね?こんな環境じゃ苦労する事もあると思う、何か困ったことがあったら僕らに言って貰って構わないよ。そんなクラスに入れられた君には同情しているんだ」
と、自己紹介をしてくれているが周りから笑える量の魔術が飛んできている(全部A組から)し、青筋立てながら全力でそれ等を止めつつ話しているせいで爽やか感は一瞬で無くなった。
なんというか、こう、私貴族嫌いだし、似たタイプのこういう偉そうなやつは嫌いって感じはあるんだけどね?
挨拶してくれるし別にこっちをバカにしてないし普通に良い人そうだなぁとは思う……思う…よ?
でも『学校無双〜実は世界最強の俺がクラスで実力を隠しているとバレてしまいハーレムに!?〜』にはこういう風に友達がバカにされたらちゃんとやり返せってあったし……
ど、どうしよう……
「う、うん…初めまして、ユニです。」
「初めまして、挨拶ができるなんてあいつらと違って君は常識ある素晴らしい人だね。今後とも仲良くしたいな」
「わ、私のクラスメイトをあんまり悪く……悪く………………ごめんね、カレンちゃん、ちょっと一回攻撃するの止めてくれないかな。私今すっごい気まずいかもしれない」
「ちっ皆一旦やめやめ。飯食うぞー」
「へっ命拾いしたな」
「ぺっ一昨日来やがれ」
「けっ夜道に気をつけるんだな」
「…み、みんなを悪く言わないで……その……欲しいなって……………………い、いい所もあるんだよ?」
「ちょっと無理があるんじゃないかな」
無理があるかもしれない。
「えっと…ちょっと待ってね、仕切り直すから……えーっと52ページ52ページ……あった、『オレノトモヲ、バカニスルナラオレガアイテニナルゼ』」
「待ってくれ、頼むから君が常識人である可能性をまだ僕に持たせてくれないか」
「『カクノチガイッテヤツヲミセテヤルヨ』」
「畜生!!!結局お前もA組の珍獣共と同じなのかよ!!!俺の期待を返せ!!!」
「『フッ…ショセンハサンリュー、オレノアシモトニモオヨバナイゼ』」
「クソがっ!!所詮はAに入れられるボケ専かよ畜生!!返せよ!!!俺の爽やかスマイルを返せよ!!!」
ふぅ……なんだか久しぶりにこうして普通になる為の行動ができてる気がする。
ボケ専なんて言われる謂れはないけれどこうして少しづつ普通に近づいていくと、何だかこう救われている気がしなくもない。こういう環境を作ってくれたという事で少しだけ感謝するよアル。
何故か悲痛な表情でブチギレているアーテル君は畜生!畜生!と鳴き声を上げながらどこかへ行ってしまった。
なんだったんだろうあの人。
とりあえずご飯を私も食べようと皆の方に行くと、男子勢は大量に用意したご飯を食べ始めていて見ているだけで胃もたれしそうになってくる。
ライネル君とかそれ私の1週間分くらい食べてない?
「お、ユニこっちこっちー席とってあるよ」
「つってもクラス毎に席は決まってんだけどね、俺らはこの辺りのスペース、侵入して来た奴がいたら好きに呪っていいよ」
「逆にBの領地に入ると襲いかかってくるから食後の運動には丁度いい、オススメだよ」
「皆はいつから蛮族にジョブチェンしたのか私気になってきたかな」
もう突っ込むのも疲れてきた私は大人しくご飯を食べる事にする。
侵入してきたB組の人達と戦い始めた皆を横目にカレンちゃんに連れられて食事を取りに行くのであった。
***
ユニを連れて食堂をあれこれ見てまわっていると、珍しくキョロキョロと気になるのか周りをよく見ている。
今までは(まあ知ってるけど)みたいな顔をしていたけれどここは来たことがないのだろうか?
無いんだろうなーなんかここのソファーとか机とかやたら高そうだし貴族専用スペースだったんだろうな。
まっ、ここが使えるようになったのもユニが頑張ったおかげだからね。ぜひ楽しんで欲しい。
バイキング形式の食堂は固定の料理と日替わりで色んな料理が並ぶが私は色々と日替わりを楽しむ派の人間だ。
逆にマルルとかは毎回同じクリームシチューとパンを食べている、飽きないのかな?
「ユニは色んなもの食べる?それとも同じタイプ?」
「私は……同じのしか食べない、けど最近は色々食べてみたい気分」
「いいね、日替わり料理オススメだよ。何でも最近新しい人が入ったとかで気合入ってるんだよね」
「へえ、じゃあそれにする」
「おっけー、こっちこっち」
食堂のおばちゃんは『食堂のおばちゃん』という余りにも強すぎる肩書きを持つ、この学校最強魔術師ランキングを作る時に必ず上位に食い込む謎の存在だ。
私あの人を見習って料理をする時に魔術を使い始めたんだけど、なんで私のは不評なんだろうな?
今もちらっとキッチンを見てみると魔法陣が飛び回りながらフライパンを振ったり、おばちゃんが投げたパン生地を受け止めて一瞬で焼き上げてたりしている。どういう操作技術なんだ。
「…………!?…………私なら…………いやアル並………え……こわ………」
ユニから見てもおかしいのかあの人。
野生の強者多くない?
「はいこれ、今日の日替わりはガパオライス」
「……どこの国の料理?」
「さあ?私も知らない。おばちゃんよくわかんない料理作るんだよね、美味しいから良いけど」
「うーん…魔術で料理……うーん……でも皆食べてるし…………うーん…………」
「まあいいじゃんいいじゃん、少なくともこの学校の職員さんだし変な物出さないよ」
「…………それもそっか」
暗にアルシーダ様が関係してるから大丈夫でしょ、と仄めかすと納得したのかウキウキと料理を受け取ると何故か変な顔をする。なに?
その料理をじっと見た後キョロキョロと見回してしばらくすると、何か見つけたのかキッチンの方を見て「あ」と呟いている。
すわ爆弾でもあったかと思いそちらを見ると新しい調理場の人。
何故か常にメイド服を着ていることで有名な新人さんだ。
……………………ユニと同時期に入った新人さん?
んー…………メイド服…………ユニが「あ」…………
あ゛〜〜〜〜〜〜〜貴方も関係者なんですね〜〜〜〜〜〜本当に爆弾あるのかよ〜〜
「……どうかしたの?」
「ううん、気のせいだった。何でもない」
「うーーーーん何かあったんじゃない??教えて欲しいな〜〜???」
「……ちょっと、知り合い…というか、顔見知り?が居たからびっくりしちゃって。気にしないで」
「そっかーあの人かな?最近入ったんだよね」
「そうなんだ…………私のせいかな…………」
多分ユニのせい?と聞かれたらそうなんだろうけど思ってるのとは違うと思うな。
あーーこれはアレかな?
自分が突然学校に行くことにしたから仕事が無くなっちゃってそのせいでここで働くことになってるとかかな?
いやーそれは無いと思うなー…………だってみてよアレ。
凄いもん結構離れてるここからわかるくらいにはすげぇガンギマった目でこっち見てるよ??
アレ、ユニの事心配してここに入り込んだタイプの人だよね???私今まで色々命の危機は感じてきたけど一番感じてる気がするよ??
血走った目で睨まれるなんて初めての経験だな……あと視線だけで私の事殺そうとしてるのも。
やばい、そういえばアルシーダ様とかカジュアルな偉い人ばっかりで忘れてたけど不敬罪って本人より周りの方が気にするものだったね!
やっべ〜ユニのファンなんて結構多いんだから何されるかわかんないかな。
ほら見てよアレ、手の動きヤバいもん、なになに〜?
『こっち』
『来い』
『来ないと』
『君』『消す』
うっひょ〜〜!ド直球〜〜〜!
「ユニ、私ちょっと行かなきゃ行けないところあるからみんなと食べててくれる?」
「ん、何か手伝う?」
「委員長の集まりみたいなやつだからへーきへーき、じゃ!ここの絶品料理楽しんでね〜」
「ん……カレンちゃん、汗凄くない?大丈夫?……体調とか悪い?」
「え!?大丈夫、大丈夫、気にしないで!」
「ちょっと待ってね……その、これ、飲みかけだけど、薬草のジュース……あの、痛いのとか減るから…………ご、ごめんね汚くて、一応ちゃんと拭いてあるから…」
「ん~~~ありがとうね!回し飲み位私気にしないし大丈夫!後で全部頂くよ!」
やっばい。
背中に何かもう物理的に圧を感じるくらい殺気を感じる。
ユニさん?ユニアさん??私の事もしかして陥れようとしてるのかな?
私!怖くて後ろ向けないかな〜!
間接キス位で恥ずかしがるピュアっピュアなユニは少し耳を赤くしたまま皆の所に戻って行くのを見届ける。
いや〜普段なら可愛いなーくらいは思うんですけどね!
今ちょっとそれどころじゃないかな!
だって明らかに包丁っぽい感触が背中に当たってるからね!!そりゃあ物理的に感じる訳だね!!
いつ間にここまで来てたのかなぁ!?
「ッス〜…………あの、何か…………?」
「ユニア様に近づきすぎですね。近すぎる上に飲みかけの物を頂く?万死です。極刑です。獄門根切り打首。相応しいのはどれだと思います?」
「あの……どれも嫌かなって……」
「成程、なら苦しむようなるべく時間をかけて殺してあげます」
「普通逆じゃないかなって私思います…!」
話がいきなり通じないLvMAXの人が血走った目つきのままとんでもない事口走っている。
ユニと同じ様な無表情だけれどどちらかと言えばクール系って感じの美人なお方だなぁと思います。
その瞳孔開ききってガンギマった顔さえ無ければ。怖い。
「あの……一応、確認ですけどユニの知り合いですか?」
「ユニア様」
「え?」
「ユニア様」
「ウッス……ユニア様のお知り合いでしょうか…?」
「以前のメイドです。2年程お世話させて頂きました。」
「あ、教えてくれるんだ」
どうやらユニ…「ユニア様」…………ユニア様が引きこもっていた「違います、あの御方はただ傷心の御心を癒そうとするべく伏せていたのです。」…………ユニア様が傷心中の間身の回りの世話をしていた人らしい。
……まさか前にユニ……ア様が言っていた『給仕係のおねーさん』とはこの人の事「そう呼ばれていましたね」…………この人の事らしいです。はい。
……この人私の心の中読めるのぉ……?なんなの……?怖い……
「貴方が顔に出やすいだけでしょう」
「私言語化できるくらい顔に出るんだ」
「そもそもこれはメイドには必須のスキルです。この程度で驚くだなんて…はぁ……」
「私メイドは初めて見たけど違うのだけは分かるかな」
「主人の求める物、言葉、行動、それらを全て読み取ってこその一流ですので」
「多分メイド以外の方が向いてるんじゃないかな」
ようやく包丁を仕舞ってくれたその人はずっと無表情のユニとは違い、機嫌悪いですって顔を隠さないまま私とようやく向き合ってくれた。
ふんふん、この人が給仕係のおねーさんか。
成程ね…………
こいつか〜〜っ!
こいつがあのカスみたいな呪物を与えて訳分からん常識を植え込んだボケナスか〜〜!!
私こいつのせいで振り回されてるんだよね!?!
「何ですか?そんなに恨めしそうな顔をして」
「とりあえず国家転覆を狙っているとして訴えてもいいですか?」
「待ってください、流石にその返しは予想していませんでした。」
「あの『学校無双〜実は世界最強の俺がクラスで実力を隠しているとバレてしまいハーレムに!?〜』をユニに与えたせいで私達すっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっごい苦労してるんですけど〜〜〜〜〜???」
「あああの……ユニア様が御所望なさっていた本ですね、少しばかり私の趣味もありましたが」
「趣味全開の間違いでしょ????」
とりあえず全く悪びれていない済ました顔で宣うこの女を私は脳内にある『どうにかしてぶちのめさねばいけないリスト』に書き込んだ。
この女ァ…!舐めたマネしやがって……!
あの本何故かフルネームしか言えないからおかしいと思って調べたらめっちゃ呪われてたし!読んだ端から脳みそに書いてあった内容が書き込まれていくし!
読み進める程読みたくなくても読まなきゃいけない呪いもかかってるしさぁ!?おかしくない!?
何であれが一般書籍として売られてるんだよ!
「ご心配なく、ユニア様は呪いの類に関しては完全防御をしておりますので呪われておりません」
「そういう問題じゃ無くない??」
「つまりあれは素で行っているという事です」
「畜生っ……!解呪すればどうにかなると思ってたのに……!」
「私はユニア様が最も求めている物を提供したに過ぎませんので」
悲しい事にそれ等の呪いはユニには効いていないらしい。
どうしてああなっちゃったんだユニ。
くそう……!私がちゃんと育てていたら……!
…………まあ、一旦それは置いておこう。希望は潰えていたというだけの話だし。
「……それで?ユニが心配で貴方もここに来たって訳?不敬罪で私たちを処す?それとも秘密裏に消す?」
「………………ほう」
「別に今更ビビったりなんかはしないよ、とっくに覚悟は決めたし、こちとらアルシーダ様相手に啖呵切ったんだから舌を引っ込めるようなダサい真似はしないからね」
私達はとにかくこの学園生活を楽しんでもらうことに今全力を置いている。
けれど何かを特段するわけでは無い、ただ素のままの私達を見てもらってお互いに楽しもうってだけの話なのだから、特別扱いを求めているならお門違いだ。
「……ふむ、アルシーダ様から伺っていた通りの方ですね」
「……まあそりゃ知り合いか」
「質問にお答えするなら、まあ、別に何かをする気はありませんよ」
「……じゃあなんで私を呼んだわけ?」
「……………………こうして、少し話したかっただけですので」
「えぇ……?それだけじゃないでしょ、さっきの様子だと」
「う…………」
そう言ったと思いきや、今までと違い機嫌は悪いままだが後ろめたそうにし、目を合わせてくれなくなる。
言おうか言うまいか悩んでいるのか、口をパクパクと開閉させしばらく……ようやく決心したのか口を開いた。
「…………嫉妬ですよ、嫉妬。私は2年間ユニア様にお仕えしましたが何も出来ませんでしたので。たったの2週間で絆してしまった貴方達が気になったのです」
「……はぁ」
「…………貴方達に何もする気はありません、きっとユニア様が悲しみますから……ですが、私は彼女に救われた時からあの方の為になる事だけに働くと決めているので」
「…そっか…悲しんでくれるかー」
「……あの方が自分から話しかけるのは、英雄の皆様だけでしたので。かなり惚れ込まれていますよ」
「…なら、私としては嬉しいかな」
「ええ、ですから私は貴方が気に入りません」
「ものっそい個人的な理由」
「それが私ですので」
要は好きな人が他の人についていってしまって気に食わないって話か。なーんだ。
……全く…ユニといいアルシーダ様といい、英雄の周りの人って皆拗らせてなきゃいけないとかルールがあるのかな?
まあそんな時代だったからね、思う所もあるのかな。
皆視野が狭いぜ。
「なら、私の方こそ嫌いかな、貴方のこと」
「……包丁を突きつけた事なら謝りますが?」
「ううん、私がユニと出会えたきっかけを作ったのは貴方のおかげだし、貴方があんなもの渡さなきゃユニはああして何時もより刺激的な毎日を過ごせなかっただろうし」
「………………?何が言いたいのです?」
「貴方のお陰でユニが楽しめてるって話。ちぇー私が一番最初にそうしたつもりだったのにな」
「……それは」
「まっ、これからは私達の方が楽しませるけどね。残念、精々悔んでよね」
皆とご飯を分け合ったり、食べ比べをしているユニを見ながらそう笑いかけてやると、驚いた様な悔しがる様な複雑な顔をした彼女はギュッと服の裾を掴むとしばらく目を瞑り、ようやく向こうも私に笑いかけてきてくれる。
うんうん、ユニも皆も美人さんはやっぱり笑ってた方が良いね。
「……私、まだユニア様を笑わせる事諦めていませんので。精々帰りたいと言われぬ様に。そうなれば私はどんな手を使ってでも家に連れ帰りますので」
「無茶な目標は掲げるものじゃないと思うけどね、どんな手を使ってでも私達はここに居たいって思わせるから」
「……口減らず、ならユニア様を、どうかよろしくお願いします」
「こちらこそ、これからよろしくお願いします」
どうやら私達A組にまた新しいライバルが増えたらしい。
油断するとクラスメイトが連れていかれてしまう!
なら私達はそうならないように毎日楽しく過ごしていかなくちゃね。
その中でなら、少しくらいならこの人と仲良くなれるかもしれないしね。
「…………ところで、最後に聞きたいんだけど」
「何でしょうか?」
「何で『学校無双〜実は世界最強の俺がクラスで実力を隠しているとバレてしまいハーレムに!?〜』にしたわけ???意味不明なんだけど???」
「は?1番面白いでしょう、小説の中で」
ごめん、やっぱり仲良くできそうにないかも
最終回とかじゃないです(2回目)
アーテル
▶B組の委員長。
爽やかな顔に嫌味ったらしい性根が現れている複雑な顔をしている常識人。一人称は「俺」だが初対面では「僕」と言って爽やか感を出している。
彼女が居るらしいが臀に敷かれてるとか何とか。
得意魔術式は加速魔術式。カレンとお互い相性がクソほど悪い。
お前も…僕を裏切ってボケ始めるのか……?