『学校無双〜実は世界最強の俺が以下略〜』って本読んだけどこれ私のことだ… 作:んえその木
ギャグほぼ無いです、カレン出てこないです
①フリアンとユニ
②ライネル少年
③アルとユニア
の三本立てです。
ですですですです。
『のんびり』
給仕係のおねーさんが何故か学校に来てた。
私のせいで職を失ったのかもしれない……恨まれてるかもしれないし、私のことをバラされたら困るのであんまり近づかないようにしなきゃな。
私のせいなのに?
自分の都合ばっかりだ、いつもいつも
「…………あー…今日ダメな日だ………」
本日は雨。
雨の日はダメな日だ。
お姉ちゃんが死んだ日に雨が降っていて、それ以来雨の日はいつも以上に身体がダルくなる。
それだけなら頑張って動くけれど、おねーさんの事もあったせいか今日は起き上がる気すら起きない。
全てがめんどくさい。
こういう日が突然来るのが1番困ってしまう。
「おはようございます〜ユニちゃん、起きてますかー?」
「……ん………フリアンちゃん……」
ドンドンとドアを叩く音が聞こえて来たので扉を開けようとするが、動けない。
というか声も多分届いてない。
返事するのもめんどくさい……
…………今日何する日だったっけ、確か実習の時間を使ってたいいく祭の為に特訓する日だったっけ。
……ライネル君に教えるって言ったのにな…
………ミラちゃんにもお姉ちゃんが使ってた魔術式教えてあげるつもりだったのに……
あ……ダメだ……ダメな事すらダメになる日だ。
面倒臭いと思う事すらダメになる。
脳みそが腐っていく。
「ユニちゃん〜?………開けますよ〜!」
「……ん、フリアンちゃん……」
「……あら〜体調、悪そうですね?お休みしますか?」
「…………ううん、ごめん、大丈夫、すぐ行く……ごめんなさい……」
謝るときっとめんどくさいと思われてるんだろうな。
理由も無いのに謝られると、凄く困るってことは分かってるのに口からつい出てしまう。
どう思われてるか、分からなくて布団を取るのが怖いけれど、迷惑をこれ以上掛けたく無くてのそのそと起き上がると心配そうな顔をしたフリアンちゃんが居た。
「やっぱり、大丈夫じゃ無いですよその顔は」
「………………ごめんなさい」
「謝ら………うーん、違いますね…ユニちゃん、ちょっと待っててくださいね」
フリアンちゃんは少し考えるような顔をしてからタタタと階段を降りていく。
私の為に、私のせいで、そう考えないようにしてたのに雨の日だけは本当にダメになってしまう。
最近楽しかったからその反動だろうか、別の夢を見るようになって来たのだ。
毎晩毎晩、もう忘れることが出来ない潰れた顔が最近話しかけてくるようになった。
私が爆破して、頭が半分欠け目玉が零れ落ちそうになった血に汚れた制服を着たかつてのクラスメイトが、千切れた舌を見せつけながらこう言うのだ。
「また殺すのか?」
誰を
とは聞き返せなかった。
私は、もしまたあんな戦争が起きてこのクラスでも同じ事が起きたら、私はどうするのだろうか。
私は、殺せる?
A組の皆を
ライネル君を
ミラちゃんを
皆を
カレンちゃんを
「っぶ……おえ゛っ………………」
みっともなく布団から転げ落ちながらゴミ箱へと縋り付き吐瀉物を吐き出していく。
一瞬、想像しただけなのにもう耐えられなかった。
私はもう軍人には戻れない、戻る気もないけど、戻れないんだ。
もうアルやレオと一緒に肩を並べられない。
きっと命令に従えない。
私───もうこのクラスの皆に縋るしか無いんだ
そう思うと、皆の為に出来ることをしなくちゃいけないと考えが湧いてくる。
私が出来ることをしないと、きっと見捨てられる。
こんな出来損ないはまた見捨てられる。
だから、早く立たないと。
「ユニちゃん!?大丈夫!?」
「………フリアンちゃん、ごめんなさい、すぐ行くから…」
「…………!」
ぺしん!
なんて言う思考は、突然響いたその音で中断される事になった。
何が起きたのかと呆気にとられていると、怒った顔のフリアンちゃんが私の顔を掴むようにしている。
両手でほっぺたを叩かれたのだ。
「……ユニちゃん、私今怒ってます。なんでか分かりますか?」
「…………え、あ、その、や、約束してたのに…行けないから……」
「違いますよ〜、私の嫌いな事してるからです」
「き、嫌いなこと……」
嫌いなこと?
わからない、わからないけど何か怒らせてしまったんだろうか。
謝らないと
謝らないと、私は
「ご、ごめんなさ──んむ」
「もう!いいですか?よーく聞いて下さいね?……私の嫌いなことは無理をする事です」
「ん……」
「無理なら無理、ダメならダメだって言ってしまえばいいんですよ〜、皆無理しいでカッコつけですから、パランもカレンちゃんもライネル君も、出来ないなら出来ないっていえばいいんです。」
「んむぅ」
「ほら、ユニちゃんもですからね〜のんびり、のんびり私とお茶でもしましょう?」
何か喋ろうとするとほっぺをモチモチされてしまい何も言えないまま、抱き上げられ布団に再び連行される。
約束が、でも、とか言おうとしても有無も言わせぬまま布団に寝かせられ口を拭かれ、横に座ったフリアンちゃんにお腹をぽんぽんとされる。
あ、赤ちゃんじゃないよ私。
「言えなくて我慢してたんでしょうけど、言える人はここにはいっぱい居るんですから素直に言いましょうね〜」
「………………う…」
「なので、もう1回聞きますね?……今日は、おやすみしますか?」
…………いいんだろうか
私は甘えん坊なんだとここに来てから思い知らされた。
だからこれ以上甘えたら嫌われると思っていたのは確かだ。
嫌な事も抱えてる事も全部ぶちまけてしまいたいこともある。
でも、それは言えないから…
……もうちょっとだけ、甘えてもいいだろうか。
「…………う、ん。ごめん、なさい。今日、私、行けない」
「うんうん、大丈夫ですよぉ私から言っておきますね」
「…………ライネル君、と、ミラちゃんに、ごめんなさいって」
「2人は怒ったりしませんから、大丈夫大丈夫」
「…………うん……」
「のんびりして元気になったら、一緒にタルトタタン作ろうねぇ」
「………………うん……ありがとう、フリアンちゃん」
「うふふ、どういたしましてぇ」
昨晩寝れなかったぶり返しが来たせいか、すぐにウトウトしてしまう。
まるで赤子の様だと認めてしまうがそれでもいいかなと思えてしまった。
私は、本当に恵まれたクラスメイトに出会ったみたいだ。
『ライネル少年と白くて早いアレ』
「おにーちゃん、まってぇ」
「おせぇ。手つなぐぞ」
「んー、おにーちゃんおこんないで」
「怒ってねぇ」
俺が物心着いた頃には、この国は荒れ果てていた。
王族や貴族は城に引きこもり金を湯水のように使い酒池肉林の豪華な暮らしをしているらしいが、俺たち庶民はそういう訳には行かなかった。
7つになった俺は妹を連れて毎日靴磨きをして小銭を稼ぎながら、その日その日を凌ぐので精一杯だった。
ばあちゃんは腰を悪くして家から動けないし、おふくろも毎日忙しそうにしている。
オヤジは毎日兵士として一日中働いている。
身体がデカかった俺は少ねぇ飯じゃ全然足りなくていつも腹が減っていた。
そのせいか機嫌が悪くて我慢しようにも目付きがどんどん悪くなってくる。
だからだろうか、チンピラに絡まれやすくて、喧嘩っ早いせいで生傷が耐えなかった。
「おにーちゃん、またけんかしたの?ここケガしてる」
「してねぇ、転んだ」
「うそー、おにーちゃんいっつもけんかしてる」
「オヤジには言うなよ」
「んー」
俺は、とにかく強くなりたかった。
こんなクソみたいな場所でも、俺はまだ恵まれている。
オヤジもおふくろも働けているし、腹は減っているけれど飢えたことは無かった。
それでも妹にはもっと幸せな暮らしをして欲しいし、オヤジたちにも楽に暮らして欲しい。
だから強くなって、いつか魔術も使える様になって、みんなを守れる位すげぇ金持ちになるんだって思っていた。
所がある日、喧嘩に負けちまった。
反省しない馬鹿なままな俺は相変わらず喧嘩を続けて、そのうち大人に目をつけられてぶん殴られる。
下らない結末だ。
でもそれでいいと思っていた。
俺は人一倍食うから、俺が居なくなれば家族はもっと食えるようになる。
妹ももっと食えればデカくなれる。
だから本気でそれでもいいと思っていたんだ。
「…………ころすなら、さっさとやれよ」
「生意気なガキだなぁおい…おめェが手ぇ出したのが誰かわかってんのか?」
「……へっしらねーよばーーか」
「ガキがよ…」
この辺を仕切り始めた奴らにとって俺自体はどうでもよかったらしい。
ただ、オヤジが街の衛兵として働いていたのでその脅しとして俺のことを捕まえておくつもりだったのだと、後で知った。
俺は、とんでもない馬鹿だった…………
所が世の中にはそれ以上の馬鹿が居るらしい。
いざその大人達にどこかへ連れて行かれそうになったその時、突然窓から何かが飛んできたんだよ。
飛んできたそれは大人にぶつかりとんでもない勢いのまま材木に突っ込んでいって見えなくなる。
死んだんじゃねえの?って思うくらいデカイ音がして、全員思わず固まっちまったんだ。
今思うと、ありゃ無免許の飛行魔術式使いだな。
「やべ…ぶつかっちゃった、ごめん」
「な、はぁ!?なんだテメェ!?」
「どーしよ、お姉ちゃんに怒られるかも……」
「さっさと応えろや!」
いきなり修羅場に飛び込んできたって言うのに余裕そうなそいつは、土煙でよく見えなかったけど確か女の声だった。
危ねぇと思ったけど、チャンスだと思ったから俺もそいつに協力してコイツらをボコボコにしてやろうと思ったんだよ。
そしたら、そいつなんて言ったと思う?
「…………全員気絶させればバレないでしょ、ついでに金貰ってくから!」
ってよ!
それでそいつがスゲェスピードで動き始めて…白い何かが動く度に大人達が轢かれていって…………俺?
俺ァ轢かれはしなかったけど途中で頭ぶん殴られて気絶してたな。
だからこの後どうなったのかは知らねぇ。
……あー、けど、何故か起きたら怪我が全部治ってたな。回復魔術式も使えたのか?あの人は。
ま、とにかくとんでもねぇ体験だったが、俺ァあれ以来反省してちゃんと勉強するようになったっつー訳よ。
あの女みてぇに暴れ回るんじゃなくて、ちゃんと正規の手段で頑張ろうってな……
ま、これが俺がガキの頃から勉強してた理由───
あ?どうしたカレン。
え?ユニが顔真っ赤にして逃げ出した??
なんで???
『あくる日』
「アル、これなんて読む」
「ん〜?それは『せんさいか』魔術式を発動する時により結果を微細にする時の組み込み方の話さ」
「……ありがと」
「良いとも、精々感謝してくれよ」
「うざい!」
とある寮の1日。
今日は僕の部屋に1人の少女を招待している。
…と、行っても別に呼びたくて呼んだわけではない、ただ呼ばざるを得なかった、と言うだけの話だ。
僕には親友と呼べる男が1人いるが、そいつが申し訳なさそうな顔で頼み込んでくるので、仕方なくユニアをこうして部屋に入れている。
今月既に4回目だ。
ハッキリ言おう、ブチ切れそうだと。
親友解消秒読みというところだ。
「ねー、アル……部屋帰っちゃダメ?」
「ダメだ、その本読み終わるまではここに居なさい」
「んー…お姉ちゃんと一緒に寝たいのに、なんでこんな眼鏡と居なきゃダメなの」
「僕もこんなちんちくりんしか部屋に招けないなんて悲しくなってくるよ」
「ちんちくりんじゃないですー!私もすぐお姉ちゃんみたいに大っきくなるから!」
そう怒鳴る11歳のおチビさんはぷんぷんと顔全体で不満を表しながら本を再び読み始める。
如何せん、貴族からのやっかみや嫌がらせ、他にもその他諸々のストレスが溜まっているせいか普段は割としっかりしているのに、僕らの前になると子供っぽくなってしまう。
いや、子供なんだけどさ。
「…………ねーアル…」
「んー?」
「…………お姉ちゃん、私の事嫌いになったのかな……」
「……はぁ…そんな訳ないだろ?」
そしてこれだ、そりゃ気持ちはわかる。
付き合い初めて最初の月とはいえ、突然週に一回部屋から出てくれない?なんて言われたら事情を知らなきゃ何かあると思うさ。情事だけにね。はっ。
マジで恨むからな思春期真盛りのボケナス発情期カップルが……!
何で僕が場所を提供した挙句メンタルケアまでしなきゃいけないんだ!
おかしくないか!?
というかヘレナも男の部屋に預けるなよ!妹を!
「ヘレナが君を嫌う事があるとしたらこの国がひっくり返る時くらいだよ」
「……そうかなー私、お姉ちゃんと違って何にもできないし」
「えぇ…めんどくさ…」
「面倒くさくない!ちゃんと褒めて!」
「はいはい、分かりましたよお姫様」
こういう時、ユニは魔術を使ってやると喜んでくれる。
おチビさんは好奇心旺盛なわんぱくな御方だ。
飛行魔術や爆破魔術だけじゃない、色んな魔術を見せて可能性がこんなにもあるのだと見せてあげると目をキラキラとさせて喜ぶ。
……まあ、この瞬間は嫌いじゃない。
ユニは僕の作る式を下らないだなんて言ってこないし、僕の話をちゃんと聞いてくれる。罵倒もセットだが。
「ほら、少しだけ遊覧飛行と行こう」
「また新しいの作ったの!見たい!」
「そうとも!今回のは熱魔術の応用で……」
「後で!先に見てから当てる!」
「へぇ?ユニにこの崇高な魔術式が読めるのかい?君が?「せんさいか」も読めないのに?」
「うざ!私も新しいのあるし!見せ合いっこして格の差っての見せてあげる!」
ここはいい。
寮の屋根の上は、僕らだけの秘密の場所だ。
他の人より、少しだけ魔術が使える僕らだけの遊び場。
互いに新しく作った魔術式を見せ合い、お互いダメ出しをしてまた新しく考える。
試行錯誤と期待だけがそこにある掛け替えのない時間。
お互いの光る魔法陣と、式、その結果だけを目に灯しながら───
「…あれ、アル。また来てたの」
「……やぁ、ユニ」
パチッと目を開けると、先程とはまるで違う、笑顔の欠けらも無いユニがそこに佇んでいた。
どうやら僕は寝ていたらしい。これはうっかり。
新しい魔術式を思いつき、少し練り上げてみようかと考える為にここに来たのに、寝てたら世話ないな。
「……ここ、良く来るの?」
「魔術式を考えるならここが1番いいからね」
「…あぁ、うん。そうだね、ここなら色々考えられる」
色々考えられる、と言う彼女こそ何か考え事でもあったのか星空をぼんやりと眺めている。
昔と違い、今の僕はユニの気持ちを汲み取りきれない。
お互い変わり過ぎてしまったのだから。
立場も。
心も。
気まずい沈黙の中、手元の魔法陣にガリガリと新しい式を刻んでいく。
式は並べる順番や描き方のルールは決まっているが、不具合がないかどうかは実行するまで分からない試行回数の産物だ。
さて、この式はどうなるかな?
そう考えているとユニも気になったのか僕の手元を覗き込んでくる。
「……それ、何の魔術式?」
「これかい?これはひとつの魔法陣でお湯を出せる調整ができないかと思ってね、ほら、そしたら簡単に料理が出来るだろ?」
「…ふーん……なら、そこの辺は微細式で上限を繊細化した方が操作しやすいんじゃないの?このままだと蒸発しちゃうでしょ」
その言葉を聞いて、思わずユニの方を見る。
本人は覚えていないのか不思議そうな態度を見ているとついクククと笑い声が漏れてしまう。
ああ、済まない。怒らせるつもりじゃ無いんだ。
僕が笑うと、無表情の癖に昔良く見た不満気な頬を膨らませる表情が横に見える気がして、ついついからかいたくなってくる。
「………………何?」
「くっ…ククク……いや、ふっ……気にしないでくれよ、思い出し笑いさ」
「………なんか、ムカつく…」
「いやいや、何も変化ってのは悪いものばかりじゃないと改めて思ってね………丁度いい、寝れないんだろう?この式を完成させるのを手伝ってくれよ…昔みたいにね」
「……まあ、良いけど」
あの日はもう二度と手に入らないかつての夢なのだと思っていたけれど、そうでもないらしい。
願うあくる日は存外望めばそこにある物なのだから。
気が向いたらまた唐突に短編集書きます。
誰のが欲しいとかあったら教えて下さい、参考にします。