新運命「愚弄」の行人「マネモブ」   作:異常猿愛者

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「ベロブルグ」借金騒動
マネモブは株とFXでアホ程稼いどったんや その額…500億


「ねぇ、ウチら今日はお祭りがあるからってベロブルグに呼ばれたんだよね?」

「うん。」

「じゃあこの諍いは一体?カンパニーの連中も練り歩いているし。」

 

三月ナノーカと開拓者、田代さん時空の権能により本来列車がヤリーロ‐Ⅵを救う本来の脚本とマネモブが滅茶苦茶にした現在時間軸の混ざった虹色世界線の中にいる彼等は星核から寒波を救った英雄としてベロブルグの祭典に招待されていた。

数百年もの間寒波と闘ってきた境遇からかここの住民には太陽信仰が根付いており、日の暖かさを称えるという。

 

「なんなんだお前等!いきなりずけずけとやって来たと思えば人様の物を勝手に奪うだなんて…」

「奪うだと?人聞きの悪い…差し押さえだと言ってくれよ。」

 

初めてこの地を訪れた時のようにバカ騒ぎを期待していたが、実際に目の当たりにしたのは現住民とカンパニーの社員が言い争う悪い意味での騒ぎであった。

 

「アンタ達なに揉めてるの?」カンパニーを諫めるつもりで直球に聞きに行くなのか。

「誰だお前等。」相手は余所者らしいと判断したカンパニーは部外者が口を出すなと突き放す。

 

「部外者じゃないけど?」ウチ等はこの星を救った英雄、”星穹列車”だと誇示する二人。マネモブの権能によりしっかりとその”記憶”を植え付けられている。祭典に誘われてきたのに台無しにしたのかと苛立っている。

 

列車が助太刀に来てくれたぞと湧き上がる住民達。二人に頼る人集まりが出来る。

「な、なんだよこのクソ展開!」俺達は仕事をしてるだけなのに悪役扱いかァ!?とキレる一般社員である。

 

「じゃあなんで皆の物を取り上げてるの?」そんな横暴を働く理由を説明しろと列車は求める。

「何って…俺達は借金の取り立てに来たんだけど。」社員が言うには、この星の700年程前の統治者がカンパニーから信用ポイントを借りていたという。飛来する反物質レギオンに対抗する為の苦肉の策だったと。

 

レギオンとの戦争に疲弊する民たち、そのトップであった大守護者(大統領…?みたいなもんですよ)”アリサ・ランド”は星核の悪魔の囁きに乗ってしまった。レギオンを駆逐してくれという歪んだ願いを叶える為、この星は大寒波に飲み込まれたというのが真相である。

 

「俺達カンパニーは数百年前に通信が途絶えたベロブルグの事を不良債権と見做し回収を諦めていたんだ。」それがどういうことか、つい最近になって反応が復活、列車の”開拓”航路にも組み込まれたというではないか。700年間ベロブルグは自治組織を維持してきたならば、当然返済の義務は消えていない。

 

「確かに、筋は通っているけど…」カンパニーにも言い分があると理解した開拓者達はどちらの味方をすればいいのか分からない。しかし、住民達は今更なんだと、利子も天文学的な額まで嵩んているというのに返せるわけがないと怒る。

 

「そんな事俺達に言われても、」祖先達の悪因悪果を恨めとしか言えない。二人の仲裁でも事態が収束する気配はない。祭りどころではない雰囲気に陰鬱になる。

 

スウウウウウウ…

 

その重苦しい雰囲気を消すように静かなエンジン音を奏でながら一台の車が走って来た。黒色のコンパクトボディカーである。

 

「な、なんだあれは…自動車か?」ベロブルグ住民やカンパニー社員に見覚えがないのも無理はない。この車の名は日出る国日本が誇る大企業”卜ヨタ”が作った”bB煌”なのだ。エンジンが煩くないのは流石卜ヨタと言ったところか。

 

ボンッ 蹴り上げるようにドアを乱暴に開けながら運転手の正体が現れる。

 

「久しぶりだね。元気してた?」

「ま、またアンタか…」これで会うのは何度目だろうか。こんな変人は開拓者以外にはただ一人、”愚弄”の行人”マネモブ”しかいない。

 

「あれぇ」ギャラリー、全然湧いてないんスけど…いいんスかこれと困惑するマネモブ。おかしい、bB煌に乗れば

 

「あの車カッケ~」「超クールやん。」と市民たちから絶賛されると聞いていたのに…

「漫画ノ読ミ過ギヤンケ。」隣からのそのそとトダーも降りてきた。彼の場合走った方が早いので態々車で移動した意義を感じない。

 

「結局誰なんだよ…」「あっ、でもこの人達前の式典に来てなかった?」

チラホラ見覚えがある住民もいるようだが、殆どの者は彼を訝しむように見ている。

 

「こ、これはこれは!」そんな淀んだ空気を炸裂する爆弾が投下される。なんとカンパニーの連中がマネモブにごまをすりだしたのだ。話を聞くに大事な顧客、スポンサーとの事。

 

「今回のビジネスに誘って来た”トパーズ”ちゃんはどこにいるのか教えてくれよ。」

「ハッ、総監は今この星の代表達と交渉の場を設けている所でして…」しかし、この星の現守護者がかなり苛烈な人格らしく、話し合いは難航しているとの事。

 

「ちょっと待てよ!」お前もカンパニー側の人間だったのかとキレる住民達、この前祭りに参加したのは偵察の為だったのかと邪推しだす者も現れる。その実マネモブが星核を持ち帰った事で気温が上昇し、信号を探知したカンパニーに誘われたのは単なる偶然だが。

 

「そないガイガイ言わんでもよろしいやん。」熱くなる住民を他所にマネモブは知らぬ存ぜぬという態度である。

「意外、アンタがカンパニーと協力関係にあったなんて。」開拓者は全身野蛮人の彼にビジネスライクは似合わないと思った。

 

「こう見えてもマネモブさんは個人投資とトパーズ総監の投資信託でアホ程稼いでるんだぞ。」その額…500億信用ポイントと自分の収入でもないのに鼻高々と語る社員であるが、その余りの桁の大きさにその場にいる全員気圧される。

 

「お前達は借金を返す為にカンパニーの犬になって働くんだよ…」ベロブルグに住む全員がカンパニーの社員となり必死こいて働く。見返りとしてカンパニーがこの星の復興を支援する、その復興事業のスポンサーがマネモブらしい。

「ふざけんなよボケが。」俺達はペラロス島のディンゴじゃないとでも言うように反発する民。

 

「ペロペロ島?」「マネモブ、一般市民ト話スノハ時間ノ無駄ヤンケ。」この星の代表と話さないと決着はつかないと促すトダー。

「バイバイ。」そうだなと頷いたマネモブは逃げるようにクリフォト城に去って行った。人間とは思えない脚の早さに追い付ける者はいない。

 

「皆焦らない!ウチ等が話に行けばうまく纏まるかもしれないし…」住民はもう貴方達しか頼れる人はいないと言う。

「行こうかなの。」「うん!」列車の二人もマネモブを追って走り出した。

 

………

 

「ですから、これは隷属関係ではなく…」

懇切丁寧に契約内容を説明する”トパーズ総監”、彼女は銀河一の大企業スターピースカンパニー最高戦力”十の石心”の一人で”黄玉”の名を冠する。若干25歳にして類まれなる投資の才能を発揮したたき上げで出世したやり手である。

 

「雇用も奴隷も、言葉を変えただけで一緒じゃない!」

強い語気で反発する全身紫基調の女、彼女の名は”ゼーレ”。ベロブルグ下層部の治安維持組織”地炎”の戦闘員兼幹部、魂を意味する名を持つ女傑だ。どうやら上層部と下層部の交流が復活した事で下層部の代表的な面々もこの場に呼ばれたらしい。

 

「何度も言わせるな、貴様等の要求は断じて受け入れない。」ゼーレとは違うがその静かさには彼女以上の怒気が含まれている。この星の頂点に君臨する”カカリア・ランド”だ。マネモブが色々やらかしたお陰でまだ生きている。

 

「………。」会合を静かに見つめるのは大守護者の娘”ブローニャ・ランド”。規律に厳しく、母を深く愛している彼女がカカリア側なのは確かだ。

同じく機械集落のリーダーであるロボット”スヴァローグ”も重厚な雰囲気を発しながら無言の圧を掛けていた。その傍らでは彼(ロボットに性別は些かおかしい?ククク…)の家族、ロボットを深く愛する少女”クラーラ”が怯えながら様子を伺っている。

 

「トパーズさん、俺達にも返済の意思がない訳じゃないんだ。」地炎のリーダー”オレグ”が重苦しく口を開くが、

「私達が提案するプラン以上の代案はあるのですか?」そんなのすぐ答えられる訳がない、言葉を返す者は誰もいない。

 

場合によっては武力衝突も、そんな考えがカカリアの頭をよぎる。この辺境の星がカンパニーに勝てる可能性は皆無だが、下々の者も既に社員達と衝突を起こしている。少し前に星核を失い、仕方なく別の方法で前進しようと考え始めた。最近自分にも物を申すようになった娘の進言でようやく下層部との関係が復活してきた最中だったというのに。だが星核の精神汚染が未だに残っている彼女は最終戦争(アルマゲドン)も厭わないかもしれない…

 

「何カ揉メテルヤンケ。」

「俺も仲間に入れて欲しいんですけど。」

 

「やっと来た、約束した時間はとっくに過ぎてるよ。」太客であるマネモブの登場に、彼ならこの停滞した話し合いの起爆剤になるかもと彼女は考えた。

 

◇何が始まるー!?

 

 

 




500億稼いでもbB煌に乗るのが真のマネモブなんだぜ。
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