新運命「愚弄」の行人「マネモブ」   作:異常猿愛者

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カンパニーとファミリー両方から誘われたんだッ もうこれはどうすればいいんだッ

「それにしても偉い大事に巻き込まれたな。」

ただマネモブに誘われて遊びに来ただけだと思っていたのにとしみじみ語る悪魔王子。

「マズ誰カラ当タルヤンケ?」「うーん、誰からでもいいだろ。」

 

容疑者52人に対して虱潰しにマサイの権能を使っていればその内犯人は見つかる。大した仕事ではない。ついでに各所の観光も兼ねて一石二鳥だ。

 

「やあ、”マイフレンド”のトモダチ。」呑気にドリーム・タウンを練り歩いていたマネモブ達にまたも声を掛ける者がいた。彼等”愚弄”派閥は結構色んな勢力に注目されてるらしい。

 

「アベンチュリンか。」マネモブは自分達より一回り程小さい金髪優男の事を知っていた。

彼のビジネスパートナー”トパーズ”と同じ”十の石心”、カンパニーの最高戦力と呼ばれる武闘派集団の一人だ。

 

「どうやらオーク家当主に取り入ったんだってね?」

カンパニーの情報収集能力は恐ろしい。まだそう時間も経っていないというのに、誰から聞き出したのだろう。

 

「取り入ったというより、あちらから擦り寄って来たという感覚ッ」

「ハハッ、羨ましい限りだよ。」どうやら彼も殺人事件の事を知っている、というより彼がロビンの遺体の第一発見者だったようで、その捜査協力を出汁にサンデーに近付こうとしたのだという。

 

「ただ、”カンパニー”と”ファミリー”はあまり仲が良くなくてね…」

「その歴史は俺も知っているぞ。」

今でこそ宇宙一の観光地であるピノコニー、その昔は夢を具現化する便利物質”憶質”が大量に採掘出来るこの場所にカンパニーが監獄を築き、囚人達に過酷な発掘作業を強いていたのだという。

最終的にはサド看守達の圧政に反旗を翻し革命軍が勝利、カンパニーを夢の地から追い出し現体制の基盤を気付いたという。

革命から間もなく、ピノコニーでは”星核”問題が勃発。”万界の癌”の対処に手を焼いていた所に信号を受信した”ファミリー”が合流し、星核をエネルギーリソースとして制御する方法を伝授する。

そうしてファミリーと元罪人のレジスタンス共の提携により宴の星は築かれていくが、星核騒動はピノコニー介入の為にファミリーが起こしたマッチポンプ、自作自演という都市伝説も密かに囁かれているとか。

 

「悪魔王子はよくそんな事知ってるなあ…」

「ソンナ歴史ガアッタラ信用サレナイノハ当タリ前ヤンケ。」

サンデーがカンパニーではなく自分達を依頼相手に選んだのは至極当然の選択だ。

 

「実際、カンパニーはピノコニーでビジネスをする事を一切許されてないんだよ。」

自嘲気味に語るアベンチュリンだが、

「そこでだ…僕と取引をしよう。」

 

「マネモブってのは結構人気者なんだな。」

いつもの皮肉ではなく、カンパニーとファミリー双方から協力を持ち掛けられるのは凄い事ですと素直に賞賛する。

 

「悪いのォ…」お前より先にオーク家当主に誘われてしまったわというマネモブ。

「しかも当主が提示した報酬メッチャ凄いんやで?」その内容…ピノコニーの非上場株全体の1%!

「ハハッ、確かに破格の条件だ…」だがアベンチュリンは引き下がる気はなさそうだ。

 

「ワシ等ヲ引キ抜コウトイウ事ハ、モット豪華ナ物ヲクレルヤンケ?」

「勿論、僕達カンパニーは何琥珀紀もピノコニーを取り戻そうと画策していてね…」

数百年振りの調和セレモニー、遂に本腰入れて動き出したのだという。アベンチュリンの他にも”ジェイド”や”トパーズ”などの石心が投入されてる事から、カンパニーの本気度が伺える。

 

「チョット待テヤンケ。」ファミリーはカンパニーを快く思ってないというのに、そない大っぴらに動いて大丈夫なのだろうか。

「ああ、それについては安心して。」彼は見覚えのある紙切れを胸元から取り出した。開拓者が持っていたのと同じ、セレモニーへの招待状だ。

 

「尚更おかしいだろう。」因縁のある相手を普通招待するか?罠なんじゃないかと勘繰る悪魔王子。

「罠で結構、」ハイリスク・ハイリターン…何かを得る為には犠牲がつきもの…寧ろ向こう側からゲームのテーブルに座らせてくれたのはありがたいと言う。

 

「寧ろ…ファミリーの中には現体制をグッチャグチャに崩壊させたい者もいるのかも。」

「確カニ、ロビン殺害ノ容疑者ハ全員ファミリーメンバーヤンケ」

ファミリーも一枚岩ではないのかもしれないと考察する面々。その観点から言うと、招待状を貰わなかったマネモブ達の方が、余程招かれざる客なのかもしれない。

 

「お前がイカレギャンブラーな事はよく分かったよ…」

問題は、カンパニーがピノコニーで張り巡らせている陰謀にマネモブ達を巻き込む見返りとして、一体何を差し出せるのかという事だ。話は少し脱線してしまったが、一番重要なのは実利である。

 

「さっきも言っただろう?カンパニーはファミリーの利権を取り戻そうとしている。」

一番手っ取り早いのは株式を抑える事だ。三割も集まれば相当な発言権を得られ、過半数なら最早支配している様なもの。企業同士の買収に使われがちな汚い手だ。

 

「フッ、つまりお前はまだ手に入ってもいない物を交渉のチップにしようというのか?」

父親譲りの頭のキレを見せる悪魔王子は論外だと切り捨てる。

「確かに、僕達はまだピノコニーを手中に収めていない…」

だが、仮にも宇宙三大勢力の一角、群星に存在する経済の殆どを彼等が発行する”信用ポイント”という独自の通貨に取り込んでいる大企業を舐めない方がいい。カンパニーは目的を達成する為に手段を選ばない。

 

「ソウイヤ博士ハヨク言ッテタヤンケ。”カンパニー”ヲ余リ信用スルナッテナ。」

カンパニーには事業開発の為に原住民を殺戮する”人面獣心のクソ野郎”もいるという。

三人の故郷である地球も、”愚弄”の”星神”を擁立していなかったら、危うく同じ目に遭っていた可能性があるのだ。

「ハハッ、随分と警戒されてるみたいだね…」トパーズとマネモブは協力関係にあるというが、自分とは偉い違いだ。

 

「そんな事よりアベンチュリン」報酬や信頼の話も大事だが、結局俺達に何をしろって言うんだよえーっとマネモブは問う。今の所彼の提示出来るカードに中身はないが、彼が”愚弄”派閥に求めている内容次第では、考えてもいいという。

 

「大したことじゃないよ。あの羽頭に殺人事件の捜査を依頼されてるんだろう?」

羽頭とはサンデーの事だろう。彼はそのまま犯人捜索を頑張って欲しいと言う。

「ソレダケ?」「………。」芯が食えない奴だと余計怪訝そうな顔をする悪魔王子。

 

「簡単な話だよ。僕達カンパニーの目標がピノコニーの株を奪取する事で利権を取り戻す事なのは知っての通りだけど、」

銀河の歌姫”ロビン”の殺人事件の概要を明らかにする事、それが”ファミリー”が10琥珀紀もの間築いた盤石な支配を瓦解させる手掛かりになるかもしれないと。

 

「殺人事件を公にするぞとでも脅迫するつもりか?」

「うーん、それだけじゃ弱いかな。」

確かにファミリーは夢境に危険は存在しないと公言しているが…人が一人二人死んだ所じゃ偶発的な事故、はたまたファミリーのセーフティーネットの穴を発見した外部勢力が卑劣にも凶行に及んだなど幾らでも言い訳が効く。この広大な夢の中ではその程度のゴシップなどすぐ流されるだろう。

「シャアケド今回殺サレタノハ有名人ヤンケ。」

「その辺もファミリーは用意周到だよ。」既に変身能力のある”仮面の愚者”を代役として立てているという。

 

「兎に角、この招待状や殺人事件から察せられるファミリー内の不穏な動き。真相を明らかにすれば…」ファミリーのドス黒い暗部を白日の下に晒せるのではないかと彼は予測している。

 

「うーん、まあいいんじゃないか。彼の取引に乗っても。」アベンチュリンが求めている事はサンデーと全く変わらない。相反する要求をされようものなら断ったかもしれないが、例えカンパニーの目論見が失敗したとしても、ファミリーからの報酬があるのでタダ働きする事はない。

 

「ワシハマネモブノ意思ニ従ウヤンケ。」

「いや、俺はまだコイツの事は信頼出来ないぞ。」

態々餌をチラつかせてまでサンデーと同じ頼み事をする意味が理解不能だ。傍から黙って見ていれば、勝手に捜査は進んでいくのに。悪魔王子だけが唯一反対意見を出した。

 

「そこの王子様と違って、僕達カンパニーは”愚弄”の潜在価値を高く評価しているという事だよ。」

ようはピノコニーで動くにあたってマネモブ達を敵に回したくないと、予め釘を刺しに来たのだ。

「ふうん、ああそう…」本音を話しているのか、それとも建前を並び立ててるのかよく分からない男だが、自身の望む返答を得られなそうだと、悪魔王子はそれ以上の応答を諦めた。

 

「ただ、これだけは一つ言っておく。君達はもうゲームの場に巻き込まれている。」

いつの間にか取り出した硬貨をピィーンと親指で弾きコイントスをするアベンチュリン。

 

「報酬の件、忘れるなよ?」トダーが一連の会話を全て録音しているぞとマネモブが念押しする。言った言わないの話は通用しない。

「当然さ。取引に応じてくれたお礼と言っては何だけど、」有益そうな情報を2つ提供しようというアベンチュリン。

 

「これはロビンが殺された”夢境ホテル”の一室…まあ”ハウンド家”が調べ尽くしてるから新しい発見は何もないかもしれないけど、一応共有しとくよ。そしてもう一つは、」彼の口から聞き覚えのない人物の名が飛び出る。

 

「君達は”黄泉”という人物を知っているかい?」

「誰?」「サア…」

「知らなかったか。ファミリーは内部の人間を疑っているというが…僕は彼女こそ殺人事件の真犯人なんじゃないかと思っているんだ。」

彼女には大っぴらに気を付けろよという注意喚起も兼ねて、その女の写った写真を三人に見せて来るアベンチュリン。

 

「へぇ、ごっつうカワイイ女やん。しかも意外と際どい恰好をしているという…」

マネモブは彼女の容姿にしか気を取られてない。

「この女、」「ヤンケ?」悪魔王子だけ意味深な反応をする。

 

「なんだ、そっちの王子様は彼女と知り合いだったのかい?」

「………俺は二度目の死を経験した時、この女に会っている。」衝撃の真実ー

 

◇悪魔王子と黄泉の関係はー?




臨死体験した時に会ったと言った矢先に◇この二人の関係はー?みたいな中身のないアオリを書く…それが龍継ぐクオリティです。
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