新運命「愚弄」の行人「マネモブ」   作:異常猿愛者

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2万UAと赤バーMAX折り返しの達成感謝しますっ
タフクロスで赤バーMAXにするのがワシの長年の夢だったので今後も精進しますよククク


”世負い”の神からお告げが下ったあっ 火追いの旅開始だGOーッ

光歴3760年3月(長夜の月)

 

「しかしキツイ生活だったな悪魔王子。」

「ああ、まさか10年もヤヌサポリスで待ちぼうけを喰らうとは思わなかった。」

”門と道”のタイタンを信仰するこの都市国家郊外の無人宿を購入し、愚弄派閥と自ら同行を願った現地の放浪者”キャストリス”の拠点に構えていた。

 

ヤヌサポリスは今の所未曽有の危機に陥るような事はなかったが、人間達を襲う”タイタンの眷属”や”暗黒の潮”、そして人同士の”紛争”は今日もどこかで絶え間なく起きている。

特に人同士の争いに関しては、”紛争のタイタン” ”ニカドリー”を信仰し他の国に侵攻する事しか考えていない野蛮人国家の”クレムノス”が被害を出しまくっている。物乞いや戦災孤児を見かけない日はなく、ここで生活しているだけで気が滅入って来る。

彼等の故郷でも有数な大国の大統領である”強引な男”や”あの男”ですらここまで大っぴらな戦争はしない。

 

「お前が”心の眼”を開眼し”陰陽互根の術”に覚醒したのは二年目だったか?」

「いえマネモブさん。悪魔王子様が魂の同調を可能としたのは一年もかかりませんでしたよ。」

現地の同行者キャストリスの指摘、愚弄派閥は今日も暇を潰すように、退屈で他愛のない雑談を繰り返していた。

 

「フッ、痴呆老人かお前は。」

「俺達がオンパロスでどれだけ生活してきたと思ってんや。もう故郷で生きた半分くらいはここにいるんやぞ。」

精神体である為か肉体に変化は見受けられないが、もうアラサーの熹一さんと同年代になってしまったとマネモブは嘆いている。

 

「”カフカ”ト”銀狼”ハワシ等ノ後スグニ列車モ来ルッテ言ッテタデース。ソシテソレガ”オンパロス”救世ノヒントニナルトモ。」

「意図的に現実とオンパロスの時間の進みの差異を隠していたんだろうな。」

悪魔王子のキツイ視線の先にいるのは…

 

「えっ、なんでウチを見るの?」

”星穹列車”所属”三月なのか”原因は不明だが、意識だけここオンパロスに飛ばされ列車組に先んじて迷い込んでしまったという。彼女が誰にも感知されない孤独な旅を続けて三カ月程経った頃、ここヤヌサポリスを拠点に死んだように生きていたマネモブ達と偶然相対し、なんやかんや一緒に行動する事にしたのだ。

まあ、開拓者や丹恒を宛もなく探す中、見知った顔に保護されたのは彼女の安息には繋がったようだが。

 

「俺達が相まみえた星穹列車のメンバーは今の所お前だけ…で、お前にこの世界を救う力はあるってのか?」

「ううっウチにそんな事いわれても分かんないよ…それに列車を恨むのは筋違いでしょ。悪いのはあの悪名高いハンター達だよ。八つ当たりはやめてくれる。」

「フッ、この星に来たばかりのお前には俺達の苦労は分からないだろ。」

なのかの言う通りではあるが、”部族の神”と”星核ハンター”が残した予言だけを頼りに、10年も先の見えない徒労を送って来た悪魔王子は苛立っている。

 

「落ち着いて下さい悪魔王子様…今日、メルテス様のご子息である”トリスビアス”様がオンパロスの根幹に関わる神託を授かったと連絡があったでしょう?」

「うむっ、勿論約束の時が来たら聖女様の邸宅まで向かうつもりだが…」

オンパロスに初めて訪れた10年前、”赤髪の聖女を助け、横で支えろ”というお告げを受けたマネモブは、予言通り暗殺の危機にあった聖女”メルテス”を救った。

 

………

 

「マネモブさん!恐らくこの現象は”死の権能”かと思われます…」

「ふうん、そういうことか。」

”魂の同調(シンクロ)”により予期せぬ形で”死の権能”を発動してしまったマネモブ。死地から救ったメルテスを死に追いやってしまった彼だったが…

 

「灘神影流は活殺自在…死んだ者さえ生き返らせてみせる。」

キャストリスに陰陽互根の術を掛けるのはリスクを孕むものだったのかと理解した彼は、一先ず彼女との繋がりを断つ。

周囲の人間は担架代わりの台車を持ち寄り、今にもメルテスを病院まで連れて行ってしまいそうだが、その前に彼女を治療しようと、マネモブは自身の体内を巡る”気”を掌底に一点集中させる。

 

”灘神影流” ”活法術” ”気動波”

”塊蒐拳”や”塊貫拳”のような内部破壊を目的とする技ではなく、その対極にある治療や蘇生を目的とした”気”の施術。”灘・真・神影流”当主である”宮沢熹一”も得意とした技だ。目に見えない体内エネルギーが心臓を強引に動かし、生気を取り戻す為の活法のツボも刺激する。

 

「かはっ…」

呼吸が再開された事で口内に貯たまった涎を吐き出しながら息を吹き返すメルテス。

「おおっ聖女様が息を吹き返してる。タイタンの奇跡がまだ効いてるんやっ」

民草は一連の事象を神の御業だと勝手に結論付けて盛り上がっている。

 

「あ、貴方は…?」

メルテスと対話する為、彼女が見えざる者を見えるように”心眼”を同調させるマネモブ。

ニィッ 全身黒を基調とした服を身に付けた大男、意識体の為に輪郭が揺らいでいる様は得体の知れない何かを感じさせる。”ジョーイ”の神託にあった”赤髪の聖女”と”愚弄の行人”の邂逅、これから1000年余り続く苦行の始まりである。

 

………

 

「しかし、かつてのメルテスとその娘トリスビアスは事実上の軟禁生活だったらしいが…」

司祭共の薄汚い金銭欲に神託を利用されていた彼女達だったが、今では神罰を恐れたのか割と自由に外を出歩いたりしている。

 

『私は…ここヤヌサポリスが大事なのです。』『私は民に神託を授け続けます。』

過去のメルテスはそう言っていた。暗殺を企てられても尚、故郷に残って民達の心を支える事を選んだ底抜けの善人である。

 

「善良もここまでくるとかえって苛ついちゃうよね。」

彼女の邸宅に向かいながら毒を吐く悪魔王子。彼の場合、周囲から非人道的な扱いを受けて一時は復讐に走った経験から、彼女に思う所があるかもしれない。

 

「ツイタヤンケ。モシカシタラ、モウ”ヤヌサポリス”トモお別れカモシレナイデース。」

聖女なだけあり、彼女の邸宅は流石に立派なものが用意されている。マネモブ達は遠慮なくずかずかと入って行く。

 

「来てくれたのですねマネモブ様…」

メルテスと彼女の娘トリスビアスが愚弄一派を出迎える。死地を救われた彼女は、マネモブ達が天外から来た神の遣い、あるいは神そのものだと本気で信じ込んでいる。

彼女の横にいる愛娘のトリスビアスは今年で齢20らしいが、母親と瓜二つの美しい女に育った。正直な所、マネモブは未だにどちらが母で娘なのか間違える事がある。オンパロス人は長命な為、見かけが中々変化しないのだ。

 

「今朝、日課の礼拝にて山々の頂で祈りを捧げていた時…”世負いのケファレ”からお告げがありました。」

「ケファレって、あの遠くでオンパロスの空を支えてるあの巨人だよね?」

初々しい態度で淡々と事を述べるトリスビアスに、忌憚のない返答をぶつけるなのか。

 

「ええ…」「そんな事今はどうでもいいんだよ…問題なのは予言の中身だ。」

悪魔王子の言動になのかはムッとし、二人の間にバチバチとした雰囲気が流れる。

「お、落ち着いて下さいお二人共…」「ヤンケ?」

キャストリスは仲裁の為にあたふたしているが、オンパロス内でミーム体を感知できないトダーだけはキョトンとしている。

 

「まあ二人の喧嘩はどうでもいいけど…実際予言の内容はどうなんですか?」

要約すると12のタイタンを殺して火種を返還するとオンパロスが救われるらしいっス。

「なんか…それ不味くない?」

タイタンとはオンパロスの信仰対象だ、それを殺して火種、タイタンが司る神権を奪えだなんてどれだけの反感を買う事になるか…なのかは訝しんでいる。

 

「し、しかし…ケファレがそう言っていたのです。」

折角集まってくれた皆が微妙な反応をした事でトリスビアスはあたふたしている。

「どうするマネモブ?」「まあ、ええやろ。」

微妙な反応ではあったが、”赤髪の聖女”を支えろというのがマネモブの授かったお告げ、その為には彼女の選択や意思はなるべく尊重する。元より10年ひたすら耐えたのもそれが理由だ。

 

「取り合えずここ”ヤヌサポリス”には”門と道のタイタン” ”ヤーヌス”の火種が保管されていますから…かの神は既に逝去してますから。」

「マサカ盗人ニデモナルヤンケ?」

オンパロス救世の旅の始まりが窃盗だなんて酷い話だ。まあこれが予言だというなら仕方ない、本当に仕方ない。重い足取りではあるが、火種が保管されているという場所まで皆歩いていく。

 

「そういえば…娘の予言には少し不穏な一文もありまして。」

「何ヤンケ。」

『汝は千の破片に砕かれ、異郷の地で朽ち果てるだろう。』

これはトリスビアスが迎える最期を示しているというが…

 

「どういうことだ?」「さあ…」

悪魔王子は神託の意味を考え込んでいるが、今のところは誰にも分からない。

「とにかく、この星の地母神であるタイタンの神権が宿ってるとかいう”火種”、取り扱いには大っぴらに気を付けた方がよさそう。」

各々が話し合った結果、奪った火種はとりあえず猿空間にワープさせる事に決めた。

 

◇既に死んだ弱きタイタンの火種から狩る…最初の標的(ターゲット)は…”ヤーヌス”!?

◇次回、火追いの旅はどうなる…




「第3355万336回目の永劫回帰、光暦3750年に突如として現れた正体不明の変数…」
「”死”と”門と道”、二つの”壊滅”育成モデルと早期に接触する縁。そして…」
魂の同調により”権能”を部分的に引き出すという今まで見た事のない特異性、知的好奇心が唆られると同時に、それは迂闊に手を出せないという危険性も意味している。

「まあいいでしょう。」
だが全ては些事に過ぎない、オンパロスが導き出す解は9割9分”壊滅”だと決まっている。
この星の終わり具合は初見だけ多少驚かされる程度の芸でどうこう出来るようなものではない。
万が一、億が一失敗するような事があれば、また最初からやり直せばいい。忍耐(タフ)こそ、私の一番の武器なのだからと、表情変わらぬ謎の鉄面皮は傲岸不遜に嗤う。

………

「はあっ?なによマネモブって♭あの子を救うのは私なんだけどふざけないでよボケが♭」
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