新運命「愚弄」の行人「マネモブ」   作:異常猿愛者

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オンパロス編書く上で歴史年表必死に見返したけど光暦4000年まではメッチャ濃いけどそれ以降は分かんねー事が多いノン。ムフッ、取り合えず平和な時代だったって事にしようねぇ。


列車とニカドリーがオクヘイマに御到来だあっ

 カイザー軍が”黄金戦争”を収束させ、”第一次火追いの旅”は痛み分けに近い終わりを迎え、仮初の牧歌的な平和に甘んじていた”オクヘイマ”。

光暦4931年

平穏は血と腐臭の匂いに満ちている”紛争のタイタン”の襲来により崩壊しようとしていた。

 

 オクヘイマを侵略せんとする”ニカドリー”の分身とその眷属たち。しかし、オクヘイマの防壁を突破するのには思いの外手こずっている。

 ”金織卿” ”アグライア”の金糸が紡ぐ結界、”門と道のヤーヌス”の加護を受ける”トリスビアス”の結界が聖都を強固に守っている。

 

 「皆ひるむなっ」

 都の外では、オクヘイマに統合された元”クレムノス”の兵士たちが、オクヘイマを守る為に”カイザー”の指揮の元、紛争の神の眷属達と命を賭して闘っている。

かつて信仰していた神と闘う事になるなど皮肉なものである。

 

 「「………。」」

城壁の前、分身だというのに強烈な闘争心や殺気を神を前に、ニカドリーに故郷を滅ぼされた因縁のある”モーディス”と”暗黒の潮”への復讐心に燃える”ファイノン”が睨み合っている。

銀を基調とした、少々機械染みているようにも見える、おおよそ生命体には見えない歪な姿をしている。

 

「奴は絶対に聖都の中へ通してはならん。」

「言われなくとも分かってるさ。」

ニカドリーの権能が原因なのか、視界は赤くなり、頭がグラングランと揺れて痛むが、

 

「トドメを刺した方が、神殺しの英雄になる!」

この非常時にも、二人は互いを研鑽するライバル関係を忘れていない。

ダッ 死地へ駆ける二人 戦闘開始だGO-ッ

 

数百年に及んで平和だったオクヘイマにも、いつかは暗黒の潮やタイタンの脅威が及ぶことになるのは分かっていた。今日この日の為に、鍛えて来たのかもしれない。

「はーっ」

キンッ、キンッ ヒュンッカッカッ

 

タイタンの中では比較的小柄とはいえ数メートルはある巨人が振るう黄金色の巨大な矛と互角以上に撃ち合う二人、そこに至るまでに、一体どれ程の鍛錬を積んできたのだろう。

「………。」

 

突如として動きを止めるニカドリー。好機と見たファイノンは勇猛果敢に攻めるが…

「気を付けろ!なにか目論んで…」

ニカドリーに近付きすぎたファイノンの体から靄がかったもう一人の彼が抜き取られ、

ザンッ

巨人の持つ金の矛に貫かれ固定された。

 

「うぐっ…」「大丈夫か!?」

一旦距離を置くべきだと判断したモーディスは力の抜けた彼を抱えて後退する。

「カイザー、ファイノンが…」

 

「うむ、一旦下げさせろ。”剣旗卿” ”冬霖卿” ”断鋒卿”!」

眷属達の相手はクレムノスの雑兵達に任せ、ニカドリーと相対せよと女皇は命じた。モーディスとファイノンがニカドリーの持つ厄介な能力の情報を掴んだ事で、あまり深追いしないようにせよと共有出来た。

 

「ニカドリーめ…魂をどうこうする術を持っていようとは…」

苦々しげに悪態をつくモーディス。全てを抜き取られた訳ではないが、一部とはいえ魂が不完全な形になる事は肉体にも不全を及ぼす。ファイノンの"欠陥のない完全な肉体"も、力が抜けては上手く扱えない。

 

「”先生”は魂を錬金に使ったりできるからその分野のエキスパートだから取り返してくれそうだけど…」

ファイノンの言う先生は今、”神悟の樹庭”というオンパロスでも有数な学者が集まる場所にいる。いくらなんでも遠すぎる。

「悪魔王子やマネモブの使う”灘・真・神影流”…」

 

モーディスの言葉で、魂のプロフェッショナルがすぐ近くにいたじゃないかと、ファイノンはハッとする。

「体の調子は悪いけど…二人を呼んでくる位は出来る。」

ファイノンは二人を探しに、聖都の中にとんぼ帰りした。

 

「………。」

ニカドリーの分身は、自らに歯向かってくる黄金の血流れる猛者たちには目もくれずに上空を眺めている。余所見をしている余裕があるのか。

「気に食わねぇ。」

 

神は人間など眼中にないとでも言いたいのか。冬霖卿が全てを凍てつかせ、断鋒卿が断とうとする。が、刃は通らず。その硬さに、”あらゆるものを断つ”という意味を込められてカイザーに付けられた自身の二つ名が廃ると嫌な汗をかく。

 

「おっと、あぶねぇあぶねぇ。」

魂を吸い取る謎の攻撃、そして”剣旗卿”の繰り出す”白鯨(モビーディック)の攻撃の余波に巻き込まれないよう、断鋒卿はすぐさま下がった。

 

バチッ パリッ

”海洋の火種”を宿す”剣旗卿” ”セイレンス”の繰り出す白鯨に呑み込まれた者は感電や裂傷に苛まれる。

 

「俺はあの二人ほどの"陰使い"じゃないが…」

モーディスは再び戦線に戻り冬霖卿が凍りつかせて隙が出来た巨人の肉体を勇猛果敢に拳で責め続ける。飛んで火に入る夏の虫とばかりに巨人は彼の魂も抜いてしまおうとするが…

 

「………?」

魂を掴もうとした手は弾かれてしまう。

「はっ、悪魔王子の奴から100年単位で灘の技を喰らい続けて来たんだ。」

灘や幽玄のオカルト術、魂の防衛法程度は身に付けたと、ニカドリーが言葉を理解出来るかは知らないが、攻撃の手が緩まった事で畳み掛ける。

 

「やるな"オタリア"…」

「俺達もその灘とかいうのを学ぼうかなあ…」

モーディスのように魂抜きへの対策こそないが、なれば彼に前線で責め続けさせ、残りの黄金裔は後方から責める事にした。

 

「………。」

ニカドリーは物言わぬ寡黙な神だが、立て続けに属性攻撃を喰らったで少々効き目はあったように見える。

 

ミシッ パリィーン

 

ニカドリーは己の体を拘束していた氷を力任せに砕いてしまった。人間にはとても出来ない芸当だ。そして黄金の矛を構築すると…

 

ビュンッ

 

天高くに向かって、その矛を投げてしまった。その目的の分からなさに、ニカドリーと相対していた者達は困惑する。

「狙いが外れた…って訳じゃないよな。」

 

◇このタイタンの投擲の目的は一体…?

 

………

 

 「何が………一体、開拓者………!」

オクヘイマの郊外、矛に貫かれて半壊した列車が墜落していた。血だらけで満身創痍の開拓者、そして致命傷こそ負ってないが、軽く脳震盪を起こして意識を失う寸前の丹恒がいた。

 

 グラン

「ミュ………ミュミュ………」

丹恒が完全に意識を失って間もなく、ピンク色の小さな妖精が、死に掛けている開拓者を心配そうに見つめていた。

 

ダッダッダッ

「…ントに列車が来たのか?ニカドリーが攻めて来たこの非常時に態々抜け出したんだ。何もありませんでしたは許されないぞ。」

「間違いないよ!…多分。なんて言えばいいんだろう…ウチと開拓者達に託したなのカメラの繋がりなのかな?」

「つまり、お前の直感ということか?」

 

墜落の轟音を聞きつけたのか、三人の男女の声と足音が近付いてくる。

「ほら!ウチの言った通り、って!!」

地に伏せている二人を見て、一体誰が何の為にこんな残酷な事を…!と、星穹列車所属の三月なのかは泣きながら駆け寄っている。彼女にとっては1000振りの再会だ。こんな形は望んでいなかっただろう。

 

「ここに来るまでの道中で、オクヘイマの空を斬るような金色の線が走っていたが…」

恐らく、ニカドリーがオンパロスに降下してきた列車を感知し、その見境のなさから攻撃の対象にしたのだろうと、冷静に俯瞰していた悪魔王子は分析する。

 

「………この小動物は?」

「ミュミュ………」

「やめろ悪魔王子、危険な匂いや陰は感じない。」

正体は分からないが、敵ではないとだけ分かればそれで十分である。

 

丹恒は”持明族”という”長命種”、”不朽の龍”という星神の末裔だからか持ち前のタフさからかただ意識を失っているくらいで命に別状はなかった。

「はあっ…はあっ…」

問題なのは開拓者だ。全身から血を流し、肩で浅い息をしている。恐らく全身の骨は折れて、内臓も破裂していそうだ。

「まずはコイツを何とかせんと…」

マネモブは開拓者に”活法”を授けるから場所を変わってくれとなのかを離れさせた。

 

マネモブは”猿空間”から”自己治癒力促進剤” ”豊穣の祝福”を500億分の1に薄めた ”NEOタチカワ・スペシャル”を取り出すと、注射機で開拓者の体内に撃ち込んだ。

「おおっ」

開拓者の体が治癒されていく様に、悪魔王子となのかは感心したのか嘆息を漏らす。

 

「チィッ…タチカワ・スペシャルだけじゃ足りんわ。」

”灘神影流” ”気動波”

大怪我をした人間は体内の”気”が乱れてしまう。その流れを正常に戻す事も、治癒力の向上に繋がると東洋医学では考えられている。

 

ハーーハーー

呼吸の間隔は長くなってきた。だが、あと一歩足りない…いくらなんでも怪我が重すぎたのか。

ベルトに仕込んだ針でツボを刺激したり色々と試してみるが…

「ミュミュ………!!」

もうこれ以上”活法”の手札はないと手あぐねていたマネモブの横から、先程の謎のピンクの小動物、妖精のような生命体が開拓者を”見つめ”、手をかざしている。

 

なんとなく、言葉で説明しようがないのだが、このピンクの行動を止めようとするものは誰もいなかった。悪意が無い事が分かっていたからか。それとも、このピンクなら開拓者を救う最後の一手になると思ったのか………

「んぅー…」

 

開拓者が墓から甦える!

「開拓者ァ!!」ドンッ

マネモブを横に押しやって、開拓者を抱きしめてギャンギャン泣いているなのか。彼女の涙には、1000年分の重さがある。

「ミュー…」

なのかと開拓者が抱きしめ合う様を、ミューミューと鳴く謎のピンクはなんとも言えない表情で見つめている。

 

「なの…?えーと…さっきぶりだよね?」

開拓者は事態を呑み込めてないようだ。体調不全を理由にオンパロスには来なかった彼女が何故ここにいるのか。つい数刻前に別れを告げたばかりなのに、久しぶりだの何年待ったと思ってるのだのまくしたてる彼女を見て、先ほど事故にあってからまだ夢でも見ているのかと困惑している。

 

「1000年も待ってたんだぜ。そりゃ泣くだろ。」

「ったく…来るのがおせーよ…」

悪魔王子はその様子を見てニヤニヤしていたが、マネモブは心労が勝ったのか文句を零した。

 

◇再会ー




ちなみに丹恒もなのかのギャン泣き抱擁を喰らったらしいよ。
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