新運命「愚弄」の行人「マネモブ」 作:異常猿愛者
「予言の時、来たれり!!」
うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
マネモブが”星核ハンター”越しに伝えた予言、”星穹列車”の再来が遂に成された事で”カイザー軍”の士気は最高潮に達し、タイタンの眷属共を次々と駆逐していった。
タイタン側は”アグライア”や”トリスビアス”の貼った強固な結界を破れずにいる。
「何々この出迎えムードは………」
開拓者と丹恒は露知らぬが、”愚弄派閥”は列車組に先んじてオンパロスの結束を促し、天外から救世主が来る予言を広めていたからだ。
”幽幻真影流” ”陰陽互根の術”
ニカドリーの”魂抜き”に対抗すべく、悪魔王子は紛争の神が奪った”ファイノン”の魂の一部を取り返した。
「ありがとう………相変わらず、”灘・真・神影流”は変わった術を扱うね。」
「フン、俺がいれば奴の魂抜きを恐れる必要はない…」
「臣下達よ、神を殺せッ トドメを刺した者には100テヌスを贈呈するッ」
ケリュドラも勿論、その好機には気付いている。悪魔王子とマネモブは後方から自軍の魂が抜かれぬように保護し、残りの軍すべてで”多勢に無勢”を仕掛ける。
「あの銀白色の奴を倒せばいいんだね?」
状況をそれとなく掴んだ開拓者はバットを取り出して大きく跳躍する。
「独断専行はきけ…」
丹恒は慎重になれと言い掛けたが開拓者はそのまま行ってしまった。
「この感じ、懐かし―!1000年振りの安心感だよ。」
だがなのかはそんなやり取りを再び見れたのが心底嬉しいようだ。
「予言にあった天外の救世主…面白い武器を使うんだね。」
ファイノンは猪突猛進に駆けていく彼女を興味深そうに見つめていた。そして自分も手柄を立てなくてはと駆け出す。
「………。」
ニカドリーの分身は既に満身創痍であった。モーディスやカイザー直属の黄金裔達が削っていたからだ。
「未来は、絶対だッ」「はーっルールは破る為にあるッ」
空から振り下ろされるヘリオスとバットが、ニカドリーの分身の頭を割った。
おおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ
天外からの英雄は予言通りの強き者、これでオンパロスは安泰だと兵士たちは叫ぶ。
オンパロスを救う為に必要なピースは揃った…いよいよ救世が始まる。
………
「しかし三月やマネモブが1000年近くオンパロスで活動してたなんてな。」
「ああ、滅茶苦茶キツかったよ。」
丹恒はそのスケールの大きさにしみじみといった感じで感嘆を零し、悪魔王子は列車組にキツイ視線を向ける。
「なんか、思ったよりオンパロス大丈夫そうじゃない?」
開拓者達が降り立った”オクヘイマ”には、カイザー率いる強大な軍隊がおり、内部分裂などの気もない。
「それはマネモブ殿の尽力あってこそ………」
「とはいっても、全てを狂気に呑み込む”暗黒の潮”の脅威は依然健在だ。既にいくつもの国が吞み込まれている。」
予言の救世主として”オクヘイマ”の政治拠点である”元老院”の議会に呼ばれていた開拓者と丹恒の前に、内政のトップである”カイニス”と軍事作戦を担当する”カイザー”がやって来て、開拓者達がやってくるまでの千年余りの活動を話す。
「へぇ、オンパロスの結束を深める為にひたすら慈善事業や宗教運営に勤しんでたんだ…」
今まではただの野蛮人だと思っていたが、開拓者と丹恒の認識が改められる。
「今思えば、俺達はお前らが来るまでのお膳立てを星核ハンターに任されていたのかもしれないね。」
実際その通りなのだろうが、悪魔王子の頭のキレは依然健在だ。
「さて、天外からの英雄が来訪するまでは時を待ち、戦力増強に勤しむと決めたのは500年ほど前だったか…」
黄金裔が抱える欠陥が原因なのだろうか、背もそこまで伸びなかったカイザーが次の一手を考えている。
「”紛争”の方からけしかけてきたんだ。」
議会に集まった要人の意見は固まっていた。そろそろ”紛争の火種”を狩り、オンパロスから”紛争”を消し去る時だと。
ファイノンと共にニカドリーの分身を屠った開拓者殿は正に、英雄に相応しい見事な活躍だったと、皆が褒め称えている。
「えへへ、それほどでも///」「ミュミュ。」
今までいくつかの星や舟を開拓してきたが、ここまで扱いが良かったのは産まれて初めてだぜと開拓者は気分上々、周囲を浮遊している謎のピンク妖精も、心なしか嬉しそうだ。
「狂気に堕ち我が祖国”クレムノス”を滅ぼした”ニカドリー”はそこに居座り続けている筈だ。」
「ゴア博士ノ”虚数エネルギー探知レーダー”ノ反応カラ見テモ間違イナイデース。」
モーディスとトダーが討つべき敵の場所を示す。
「紛争への凱旋は黄金裔や愚弄派閥、そして天外の救世主による少数精鋭で行う。」
”火追いの旅”も遂に佳境、”オンパロス”が遂に動き出す。
”愚弄”が皆の魂を守り”列車”や”黄金裔”がニカドリーを討つ…ある意味最強の戦略だ。
「あとは、”神悟の樹庭”の学者達を説得し”理性”の火種を返還させる必要が…」
「………アナクサゴラス殿か。」
彼は”黄金裔”の中で唯一”火追いの旅”に反対している変わり者、その苛烈さから”神を冒涜する
「うむ…勿論”ニカドリー”討伐さえ終われば話をしに向かうつもりだが………」
オンパロスにもようやく希望が見えて来たと、皆の活気が上がっている。
「相棒、一緒に英雄になろう!」「我らオンパロスの黎明を目指す!」
まだ”日が昇る”前のあかつきの中、出陣前の雄たけびがオクヘイマ中に響いた。
◇最後の火追いが動き出す…!