自縄自縛の十種影法術〜平穏に過ごしたいのに、私の周囲が許してくれません〜 作:多眼犬
「ブッワッハッハッハッハァッ!?」
俺は思わず腹を抱え爆笑してしまう。コレが愉快と言わず何とするか! まさに滑稽ここに極まれりと言うものだろう。
「笑い事では無いぞ⋯⋯禪院直毘人⋯⋯」
爆笑する俺に忌々しいとばかりに睨みつけるソイツ⋯⋯五条家の当主様が俺にそう言う。
「あぁ⋯⋯悪い悪いククッまさかあの鮮血の羅刹女がなぁ⋯⋯」
おお怖い怖い⋯⋯とはいえ俺としてもまっとこんな結果になるとは予想外だったてのはある⋯⋯。
俺は酒を煽りながら件の女⋯⋯いや禪院家が産んだ羅刹女の事について思い吹ける。
思うは変な噂が流れ出した時だ。式神使いが女中として優秀な活躍してると言う話を耳にした。
まぁ⋯⋯だから何だと言う話ではあるが⋯⋯
それが禪院家の格言、故にその女が
ましてや女中の身の上のものであれば尚更だ。
女中として優秀だと言って、呪術師としても優秀だと言うのは違うわな⋯⋯だからこそその時はくだらないと鼻で笑ってたものだ。
その時の事は呆れる光景だ。女への責任だのなんだの⋯⋯聞いてるコチラが呆れる様な議論だ。
「ハッくだらぬわ⋯⋯」
俺はそう吐き捨てると酒を煽った。
そしてその一言でその場は静まり返り、くだらない議論をしてた連中は皆揃って俺を見る。
「ブハァ⋯⋯単に倅の馬鹿が油断してヤラれただけの話だろ? 所詮はガキ共の喧嘩だ⋯⋯ソレに対してヤレ責任だなんだのと⋯⋯無粋だとは思わないか?」
事実、俺もそれで倅が死んだなら考えただろう。だが話によれば件の式神は池に沈めはしたが、その後は死なないようにちゃんと引き上げたと聞く⋯⋯その時点で術者側には殺す意図は無かったと見るべきだろう⋯⋯まぁ多少やり方が過剰な気はするがな⋯⋯。
「今後ともガキ共の喧嘩には、倅が無事なようなら口出しも手出しも無用だ⋯⋯ハッそれじゃあ話はここまでで⋯⋯」
「大変です!!」
俺は直ぐ様話を終わらせようとした辺りで、急に慌てたような顔で駆けつけてきた奴の方を見る。
「たっくなんだ?」
「いえ⋯⋯実は件の女中を閉じ込めていた呪霊倉庫に見に行った所⋯⋯」
「ハッなんだ? 女中の死体でもでたか?」
「いえ⋯⋯全裸で呪霊の屍の山で狂ったように笑いなが、その血を全身に浴びてました⋯⋯」
「は?」
俺は一瞬だが報告に来た奴の言葉を理解出来ず。唖然となり手に持っていた瓢箪を、思わず手から落としそうになった。
「今、なんと言うた?」
「ですから!?地下の呪霊で屍山血河を築き、その血を全身に浴びてたんですっ! しかも狂ったように笑い声を上げて!!アレは鬼女です! 血濡れの羅刹女だ!!」
先程まで俺の一括で大人しくしてたが再び騒ぎ出した連中⋯⋯そこからは倅の話ではなく、かの女が屠った呪霊をどうするかについて議題が移る事となった。
まぁ⋯⋯結局の所、それはかの女に責任を取らせて呪霊を回収させる事で話はまとまったが⋯⋯。
まさか数ヶ月もせずに大量の呪霊を回収するとは誰が思ったか⋯⋯しかも殆どが術式持ちの呪霊ときたものだ。
しまいには犬神や猿神⋯⋯信仰と結び付きのある呪霊までも、主従の契約を結んだ上で回収してる始末⋯⋯。
流石の俺もこの時になってこの女の実力は本物だと薄々とは気づいていた。
あの愚弟ながら鳶が鷹を生むとはこの事だろうな⋯⋯まぁ当の生みの親である彼奴は全く気付いてすら居ないようだが⋯⋯。
とはいえ⋯⋯それでも女だと言う理由でよく思ってない連中がいるのも事実⋯⋯そのせいか五条家の訪問の迎えに彼女を支持する連中が出てくるのも必然だった。
まぁ五条の麒麟児の機嫌を損ねて失敗すればいいとか、あわよくば殺されたら儲けもの等⋯⋯指示してる連中の考えてる事は見え見えだったがな⋯⋯。
まぁ⋯⋯とはいえ五条家の麒麟児がこの羅刹女を見たらどんな反応を示すかと俺としても、興味が無いと言えば嘘にはなる。
むしろ面白い事にはなりそうな予感があった。だからこそ俺はあえて周囲の思惑に乗っかりこの女を五条家の迎えによこしたのだ。
まっその結果がまさかの五条家の誇る最強の麒麟児を、領域展開を使って倒してみせると言う前代未聞の事態だった訳だが⋯⋯それも術者本人では無く、まさかの式神がと言うんだから五条家からすれば屈辱の余りに腸が煮えくり返っても仕方があるまいよ⋯⋯。
「まっ責任言うなら、あの女に取らせれば良いだろう幸い奴は女なのだから、嫁がせるなりやりようは幾らでもある⋯⋯」
俺がそう言うと相手は何が言いたげな顔をしながらも押し黙る。
だが何処か納得はしてねぇって顔だ。まぁ当然だろうな、何せ式神に領域展開を使わせるなんざどういう仕組みか分からねぇが、領域展開以上に高度な技術⋯⋯言ってしまえば神業と言うべき御業だろう。
普通なら手離したくない逸材だ。それは逆にいやぁ相手さんも喉から手を伸ばしたい殆どの代物⋯⋯ましてや当主に継がせるにはうってつけの孕み袋だ。
そりゃあ向こうさんも、簡単には首を振らねぇし渋って来るくらいは考えてただろうな。
だが俺にとってはそれが狙い目だ⋯⋯。
「なぁに⋯⋯簡単な話さあの女に関して言わせれば1枚噛ませて貰えればそれでいいって話だからな?」
「1枚噛ませて⋯⋯か⋯⋯」
食いついた⋯⋯俺はそう確信してほくそ笑む。何せこっからは交渉なんだからな。
「なぁにそちの麒麟児があの女以上に相応しい嫁が見つかったり、何らかの理由で死亡、または意識能力を喪失した場合、俺の倅に代わりに嫁がせるって条件を飲んでもらいたいって話しさ⋯⋯まっ万が一にもありえない話だろうけどな⋯⋯」
まっ実際問題こんなのは可能性の話でしか無い⋯⋯だが五条悟と言う存在が産まれた今、呪術界のパワーバランスを考え、今後の禪院家の事を視野に入れるならば、五条家とは良縁の関係であった方がいいのは事実⋯⋯。
だがそれは五条悟がいた場合の話だ。 もちろん俺としても五条悟が何らかの理由で死亡、または意識能力を喪失した場合なんて言う、そんなもしもが起きて欲しいとは思っては居ない、だが万が一の保険と言うものは必要だ。
当主としては常に最悪の結果は想定してしかるべし⋯⋯それにその最悪の自体が起きた時は、例え十種影法術の術者が現れても、あの真魅の幼くして領域展開を行使できる才能⋯⋯あまつさえ五条を倒した実績を考慮すれば、力と才能を尊ぶ禪院家の当主に付けるなら後者に軍杯が上がるのは必然⋯⋯唯一女である事のみが悔やまれるが、そこは倅である直哉に嫁がし補佐を任せれば問題ない⋯⋯それで直哉が当主となれば禪院家は磐石な状態となると言えよう⋯⋯。
「⋯⋯まぁ良いだろう⋯⋯万が一有り得ない話ではあるが、その様な事が起きた時はその様にしよう⋯⋯」
五条の奴は暫く考えると渋々ながら了承した。まっ実際、そちら有利な条件なのだから断る理由もあるまいよ。
俺は酒を再び飲み始め⋯⋯。
「だが⋯⋯一つ条件がある」
「あん? 条件だ?」
飲もうとしたが俺の手は泊まり、改めて奴を見てそう言った。
「あぁ⋯⋯私達としては嫁がせるにしろ
⋯⋯はぁ⋯⋯なるほどな⋯⋯要は真魅の情報を世間に開示しろって事か⋯⋯とはいえ俺もそこまで知ってる訳じゃないんだが⋯⋯。
「⋯⋯あぁ分かった⋯⋯禪院家はアレの知ってる情報に関しては世間に開示しておく事は約束しよう」
「おぉ⋯⋯それは実にありがたい⋯⋯では今後はその様に⋯⋯」
まぁ俺達が知ってる範囲でいいか。それくらいなら問題ないだろうしな⋯⋯そうだな⋯⋯どうせだから俺が死んだ後の遺書にも同じように書いて置くかな⋯⋯。
とまぁそんな感じで五条との話は終わった訳だが⋯⋯。
「男性も女性も何方ともイケますが、男性だけなら暑苦しい位にゴリマッチョな男性ですね⋯⋯ちなみに華やかなイケメンの天才よりは、地道な努力と粘り強さのある泥臭い感じ方が好みですが何か?」
⋯⋯コレは中々前途多難だぞ⋯⋯
おまけ
アストロ流星群さん誤字修正ありがとうございました。
ちーずささみさん 鳥の巣43さん 虚無音さん
高評価ありがとうございました。
ちなみに直毘人さんはこの後にさりげなく、直哉に彼女の好みの男性像について話し、直哉は趣味悪いなぁ的に偶に真魅をカラカイながら、こっそり筋トレに励みだしたそうです⋯⋯。
Q鮮血の羅刹女の呼び名は本人は知ってますか?
Aもちろん周囲が偶に読んでるのを耳にしてるので、自分がそう呼ばれてる事は知ってはいます。ただ本人としては興味は無いので基本的にどうでもいいやと放置してる感じです。