自縄自縛の十種影法術〜平穏に過ごしたいのに、私の周囲が許してくれません〜 作:多眼犬
私には
彼女⋯⋯禪院真魅との出会いは、言ってしまえば運命、と呼ぶべきものだ⋯⋯。
なにせ⋯⋯彼女と私は呪術高専に入る以前より、共に語り合い共に戦った大切な友人だ。
本音を言えば呪術高専の卒業後は、彼女と共に旅等をしたかったものだが、その頃には既に彼女は実家で女中として働いてた為、そこは私としても断念せざるを得なかった。
とはいえ今となっては実家で、女中として働いている身の上の彼女だが、今でも交流が無い訳では無く定期的に私が彼女に顔を見せに言って偶に話す中となっている。
それに⋯⋯彼女との語らいは私には無い智見を与えてくれる。
特にそのおかげか私が考えていたAとBのプランとは別に第三のCのプランを考えるに至った程だ。
他にもプランAであった非術師の呪力への最適化やBプランの呪力からの脱却に対するプランは、私が思うよりも様々な問題が山積みで、現時点だと大幅な見直しが必要だと言う事も判明したりして⋯⋯実に優雅な一時だと言うべきだろう。
そして今、私はそんな彼女と手合わせをしている。
「ウゴホッ!?」
私の拳を受け地に倒れる彼女⋯⋯まさか私に直接頼んで来た時は私も驚いたが、聞けば彼女の勘なのか今も絡んでくる五条が、高校生位の年に反転を覚える気がするからとの事だった。
とはいえ⋯⋯本来なら根拠としては薄い話だが、私は彼女の戦闘におけるポテンシャルを知ってる身の上として見れば話は違ってくる。
幼くして領域展開や反転術式を行使できる才能、噂によればかの五条悟すら倒したと言う実績を持つ神童⋯⋯。
現にこうして手合わせするからこそ分かる事だが、彼女は呪術師として戦闘における才能は本当に高いとしか言いようが無い⋯⋯。
例えば彼女のお得意の領域展開を行使されると流石にコチラも困る為、領域展開の使用に関しては禁止させて貰ったが、それでも最初の手合わせの時は数分だったのに比べ、次の時には数十分⋯⋯今となっては数時間以上も耐えられるようになってきた。
コレは異常なまでの成長速度としか言いようが無いだろう⋯⋯。
そんな彼女だからこそ、五条悟にその可能性を見出したのだと私は確信した。
「ふう⋯⋯ひとまずはこれくらいにしとくか」
「そっ⋯⋯そうですね⋯⋯」
とはいえ、それでもかなりの時間が経過したのも事実⋯⋯とりあえず私は切り上げる為に地面に倒れふす彼女に私はそう言った。
彼女は地面に倒れながらも返事を返す。相変わらず回復だけは早いと言うか⋯⋯。
「しかし真魅⋯⋯君の戦い方は式神との抜群の連携が持ち味な所もあるだろう? 何故今回は式神を使わなかったのかい?」
私はふと何気なしにそう言った。実際、彼女とは以前に御前試合等で戦った事もあり、彼女の式神との連携にはかなり手を焼いたのは記憶に新しい。
あの時は彼女の領域展開により、術式が封じられ、身動きがある程度阻害されてただったとはいえ、あの阿吽の呼吸とも言える連携は、それが無くてもある程度は私に通用してたはずだ。
言ってしまえば式神との連携による攻撃は、彼女の強みでもある⋯⋯手合わせで使わないては無いはずだ。
「真白ですか? 今は女中の仕事をしてるので⋯⋯」
私はそう言う彼女の言葉に内心歯痒い思いになる。御三家は呪術師の名門の一族と聞けば聞こえは良いが、代々古い因習に囚われた家柄だ。
保身的で古い仕来りによる現状維持を良しとし、新しき風を酷く嫌う⋯⋯彼女もまた禪院の血筋である以上は、その家の呪いとも言える仕来りを受け入れてる。
私もそんな呪術界隈の老害の連中とは、反りが合わず反発してる状態なのが今の現状だ。
この禪院家にだって目的の人物と対話すると言う動機が無ければ来てなかったし、今も彼女と言うマイシスターがいるからこそ、こうして定期的に顔を見せにきてるのだ。
「女中の仕事⋯⋯あぁ⋯⋯そう言えば君は禪院家では女中の立場にあったね⋯⋯全く⋯⋯こういう所は実に厄介だと思うよ⋯⋯」
「まぁ⋯⋯真白の方は駆けつけようとしてたので⋯⋯私が全力で説得して止めましたが⋯⋯後で真白の我儘を1つは聞いて上げないとですね⋯⋯」
私はマイシスターも苦労してるんだなと言った感じで話すと、彼女も苦笑しながらもため息混じりに肩をすくめてそう言った。
「そうか⋯⋯ん? 今なんて?」
「え? あっ⋯⋯」
だが⋯⋯私は彼女との会話に違和感を感じ、彼女に尋ねる。
そう⋯⋯彼女はなんていっていた? まるで式神が自らの意思で思考し行動してるような口ぶり⋯⋯。
そもそも⋯⋯真白には色々と違和感があった⋯⋯と言うのも領域展開を行使し⋯⋯言語を返し行動する。
それはまるで式神と言うよりも⋯⋯。
「⋯⋯まぁ九十九さんなら良いか⋯⋯簡単に言うと真白は式神ではあるんですが、同時に私の妹でもあるんですよ⋯⋯」
「妹⋯⋯?」
「えっと⋯⋯詳しく話すと、真白は式神の肉体に
私にとって彼女のその言葉は余りにも衝撃的だった。
何せ彼女は何でもなさそうに答えてはいるが、それが以下にとんでもない事かを私は理解していた。
双子の天与呪縛⋯⋯本来なら一つの魂を二分化し二人で一人の呪術師とする産まれ持っての先天的な縛り。
そして彼女の場合はどのような経緯かは分からないが⋯⋯考えられる可能性としては後天的か先天的かの二択になる。
先天的なら産まれる前に片割れが何かしらの要因で消滅し、その魂を術式を介して式神として縛った。
だが⋯⋯後天的な場合⋯⋯元々彼女には双子の妹がいて、何かしらの要因でその妹が死亡⋯⋯双子は言わば魂の片割れだ。
それを失う悲しみは相当なものなはず⋯⋯そして彼女がその死を受け入れれぬままに、彼女を式神の術式による媒体にしたのなら⋯⋯。
それは言わば愛する者を人工的に呪霊にする縛り⋯⋯呪力を持つ物が呪霊を人工的に生み出せると言う可能性⋯⋯私は禪院家の実情を私は知らない⋯⋯だからこそ彼女が先天的か後天的かは分からないが、もし後天的ならそれは⋯⋯(瞬間、九十九の脳内に溢れだした存在しない記憶)
────⋯⋯⋯⋯
───⋯⋯⋯
──⋯⋯
学校の屋上への扉が開き一人の幼い外見の少女が、屋上に入ってくると周囲を見回しある一点を見る。
「はぁ⋯⋯やっぱりここに居たんですね姉様⋯⋯そして九十九さん!」
彼女はそうため息混じりに、床に大の字に寝そべる少女と瓜二つの容姿をした少女と、その傍らで片膝を立て、もう片方の足を伸ばした体制で座り空を見上げる背の高い女性にそう言った。
「ん? あぁ⋯⋯真白か⋯⋯」
「へ? 真白?」
九十九由基は真白? を見ながらそう呟くと、それに反応してなのか寝ていた真魅は、目を覚ましてそのままゆっくりと上半身を起こした。
「えぇ⋯⋯授業も終わり放課後になっても教室に来ないので、まさと思い来た訳ですが⋯⋯」
「ハハッまぁいいじゃないか! たまにはこんな風にサボりたい時もあるってものさ!」
「九十九さんの場合は何時もでしょう⋯⋯はぁ⋯⋯私としては、二人の分もノートを書くのは大変なんですよ」
そう言って彼女はヤレヤレと肩をすくめる少女、そして九十九と真魅は立ち上がると、そのまま屋上を後にするのだった。
────⋯⋯⋯⋯
───⋯⋯⋯
──⋯⋯
「そうか⋯⋯」
私は彼女を見ながらそう言った⋯⋯いや⋯⋯それしか言えなかった⋯⋯。
まさか⋯⋯あの式神が
「えっと⋯⋯九十九さん」
「あぁ⋯⋯皆まではいい大体分かったからな⋯⋯」
彼女は何か言おうとしたが、私はあえてソレを制した。
私が会わないうちに⋯⋯彼女達の身に何が起きたのかは知らないが⋯⋯彼女にとってそれはとても辛い過去のはずだ⋯⋯親友とは言えそれ聞くのは彼女にとって酷と言うものだろう。
とはいえこの事を知った以上は、式神の身とは言え彼女にも今後はそれなりの対応は必要かもしれないな⋯⋯。
おまけ
Windoweggさん、フォーグルさん、ヨツンさん、far さん、日向@さん誤字修正ありがとうございました。
TABASAさん、いちごもなかさん高評価ありがとうございました。
書いてたらなんか幼少期編の続きが思いついて、気が付いたら書いててその分時間がかかった⋯⋯とは言え出来た幼少期編の続き⋯⋯どうしよう⋯⋯。
Q自分の娘のはずなのに、扇さん蚊帳の外になってませんか…⋯?
A扇さんは真魅の出生に関わる重大な秘密を抱えてたりして、なんて言うか無茶苦茶出しずらいってのが本音ですね⋯⋯ちなみに未だに真魅の実力は認めてなかったり周囲が何か言ってるがアレは無能だと思って(思い込もうとしてるとも言う)たりします。(その為、御前試合もみる価値無しと判断して御前試合中の見回りと言う面目で、外をほっつき歩いてたりします)一応、思いついて最近書いた幼少期編の続きでチョロっと出しました⋯⋯投稿するか否かで高校生編の出だしが少し変わるので、投稿するかどうかで⋯⋯正直悩んではいますが⋯⋯。
Q禪院家を蹂躙出来る実力あるのに、好きに振舞わずに従ってるのはなんでですか?
A前世が社畜だった事と今世が禪院家の女中だった為、禪院家=ブラック企業的な感じになって、禪院家の男性陣=上司みたいな認識になってるのと、本人は自覚が無いだけでワーカーホリックなのが原因ですね⋯⋯。
後⋯⋯やらされてる事が結果的には自分の利益にもなってる為、断る理由が無いので利用させてもらってるてのと、基本的に面倒臭がり屋なので、好き勝手に唯我独尊して面倒事を増やすよりも、必要最低限でやりたい事が出来れば、それでいいやって考えてるのがありますね⋯⋯。
まぁ⋯⋯色々と言いましたが⋯⋯ぶっちゃけると真魅にガチで好き勝手させると、禪院家飛び出してアルバイト等で稼ぎながら、普通過ぎてクソつまらない日常生活を送るだけの話になって⋯⋯物語そのものがガチで破綻するからってのが本音ですね⋯⋯。