自縄自縛の十種影法術〜平穏に過ごしたいのに、私の周囲が許してくれません〜   作:多眼犬

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( ゚д゚).*:∵宇宙.:*∵



一夕ヒ 見猿聞カ猿言ワ猿

 どうしてこうなった⋯⋯。

 

 私は余りにも悲惨な現実を直視しきれず、逃避するように天を仰いだ。

 

 ドブカス(禪院坊ちゃん)の犬神族事件の後、真白共々呪霊の格納庫に放り込まれ、真白により呪霊の血で浴をする事になり、もうどうにでもなれとヤケになり笑ってたんですが⋯⋯。

 

 最悪にも丁度私が狂ったように笑ってたタイミングで、私を反省部屋から引き上げる為に人が来ちゃって⋯⋯。

 

 格納庫内の呪霊を大量虐殺してその血を全身に浴びて何故か全裸で、狂ったように笑う幼女と言う明らかにやべぇ構図にしか見えない光景を目撃されてしまった訳で⋯⋯。

 

 いや⋯⋯そのせいか真白がますます戦闘が得意な事が知れ渡ってしまいまして⋯⋯。

 

 でっ⋯⋯結果どうなったかって言うと⋯⋯。

 

「対象補足。コレより斬滅に移行します」

 

 私の前では法陣と退魔剣を装備した真白の背中⋯⋯。

 

「真白⋯⋯私達の目的は捕獲やから斬滅はあかんよ」

 

 私はさりげなくそうツッコミを入れる。まぁ⋯⋯要は戦闘出来るなら貯蔵庫の呪霊を勝手に使用し消費した罰として、自力で呪霊を補充してこいと沙汰が下った訳ですね⋯⋯はい⋯⋯。

 

 後、私がしてた浴に興味を持った連中もいたみたいで、元来は蠱毒で生み出した毒虫の体液を使用して呪具作ってたので、呪霊の血での呪具との差異とかの検証もしたいらしいのでその分も持って来たら、床の弁償代分はチャラにするとの事でした⋯⋯。

 

 まぁ要は私を呪霊回収の為の使いっ走りにしたいって話なんだろうけどね⋯⋯。

 

 はぁ⋯⋯正直いってマジでダルいです。

 

 禪院家のお膳運びや掃除せんで住むのは悪くは無いんだけど⋯⋯電車やらタクシーやら車やらで、あちらこちらに走り回らないと行けないのはマジでダルい。

 

 いっその事、影に潜って移動するとか出来ねぇかな⋯⋯原作だと伏黒恵(超絶シスコン野郎)とかが影に物を収納とかしてたし⋯⋯宿儺も影に潜る的な事してたから⋯⋯多分行けそうではあるんだよなぁ⋯⋯。

 

 まぁ⋯⋯それはそれとして真白はムゥって頬膨らませてもダメなものは⋯⋯。

 

「はぁ⋯⋯確保する分はちゃんと残しなさいよ」

 

「──っ! 了解しました」

 

 そう言われて、真白は嬉しそうに私達の前に湧いてくる、有象無象の雑魚呪霊を次々と薙ぎ倒して行く⋯⋯。

 

 うん⋯⋯やっぱり厳しくするのは私には無理ですね⋯⋯好きな相手や気に入った相手とか、気をゆせる相手だとどうしても甘やかしちゃうわ⋯⋯。

 

 嫌いな相手とか苦手な相手とか、どうでもいい奴とかなら、流れ作業の様に無関心にはなれるんですがねぇ⋯⋯。 

 

 いや⋯⋯それはそれとしてむっちゃ嬉しそうに、目元の翼をピコピコさせてるの可愛いなぁこんちくしょう!!

 

 何か真白の奴、どんどん表情が豊かになって言ってるなぁ⋯⋯何と言うか成長が感じられて何よりです⋯⋯。

 

「とっそれはそれとして⋯⋯今回の本命を探さないと⋯⋯え? 猿?」

 

「「「「キィーッ? キキッーッ!?」」」」

 

 私は建物の置くから突如現れた()()の猿の姿をした呪霊を見て一瞬呆気にとられるが、直ぐに警戒しながら猿達を観る。

 

 何と言うか他の雑魚呪霊と比べて、何処か異質な雰囲気を感じると言うか⋯⋯なんて言うのだろうか⋯⋯多分だけどコイツらが今回の本命って所かな?

 

「何か嫌な予感がするなぁ⋯⋯」

 

 私はポツリとそう呟いた。いや⋯⋯だってこの異質さってだいたいのお決まりパターンと言うか、多分術式もってそうな気がすると言うか⋯⋯。

 

「キィーッ! キキャキャッ!!」

 

 そんな事を思ってたら、猿達は飛び上がり一斉に襲いかかって来た。

 

 当然私達はそれに迎え撃つ目的で身構えるが、突然⋯⋯四匹の猿達の1匹が自らの手で自らの目をドスッと潰しだし⋯⋯そして──私の世界から光が消えた。

 

「は?」

 

 そして急に右肩に電流が走り焼けるような激しい痛み。

 

 ここまで来ると一周まわって逆に冷静になったと言うか、私はあぁ⋯⋯あの猿の爪でヤラレタのだと理解する。

 

「キッキー♪ キッキャッキャッ♪」

 

「ちぃっ!? してやられたわ⋯⋯」

 

 手を叩き愉快げな声を上げる猿達⋯⋯目は見えないから分からないけど、多分私を馬鹿にするように愉快げに踊ってるんじゃないかな⋯⋯ムカつくけどこう言う時こそ冷静に⋯⋯私はひとまず一呼吸置くと全神経を集中させて耳をそばたてる。

 

「───ッ!?ソコッ!!」

 

 やがて、空間内で地を蹴る音を確かに耳にすると、当てずっぽうながらそちらに向けて手持ちの刀を振るった。

 

 私が呪霊の格納庫で入ってた血溜まりに、禪院家のクソ野郎共が興味本位で漬けて、適当に渡してきた一品だが⋯⋯まぁ腐っても呪具は呪具だ。一応呪霊相手ならそれなりに効果はあるだろう。

 

 まぁ⋯⋯当たればの話だけど⋯⋯当然ながら私の刀は何かを掠めた感覚だけで終わり、再び私の身体に激痛が走るしかも今度は背中ときたもんだ。

 

 てか⋯⋯この猿達⋯⋯絶対に私で遊んでるでしょ。

 

 多分だけど私を散々いたぶってから、ボロ雑巾の満身創痍の状態になった所で、最後に飽きた的に留めって所かな?

 

 そして次にパァンと叩く音が耳に響き、今度は私の耳から音が消える。

 

 流石にここまで来ると奴らの正体に当たりが着いてきたなァ⋯⋯。

 

 多分だけどコイツら猿神信仰の三猿って所じゃないかな?

 

 ただ本来三猿は文字通りに見ざる聞かざる言わざるの三匹のはずだから、()()()()せいで判断が出来なかったけど、目の次に耳とくればおそらく四匹の内の1匹が本体で、残りは本体から生み出された分身じゃないかしら?

 

 そして術式も多分⋯⋯分身の目や耳等の機能を物理的に奪い回復させない事で、対象の目や耳の機能を奪うと言ったものだろう⋯⋯。

 

 あのパァンって音も、四匹中三匹の内の一匹が両耳を叩いて鼓膜を破ったって所でしょうね⋯⋯。

 

 そうなると見ざる聞かざる言わざるってなるから、最後は各自に声を封じてくる奴かな⋯⋯と言うよりももう、耳も目も機能を奪われてるから分からないだけで、声も既に封じられてると見るべきか⋯⋯。

 

 そんで術式が術式だから、こうやって調子こいて相手を遊ぶようにいたぶって来ると⋯⋯。

 

 何せ目も耳も機能しない、ましてや声出せないなら助けも呼べなし、祝詞とか領域展開等の1部の技が封じられるのは致命的⋯⋯そりゃあ余裕こいてなぶり殺しも出来るでしょうよ⋯⋯。

 

 まぁとはいえ、まんまと敵の術中にハマってる状態なのもまた事実な訳で⋯⋯はてさてどうしたもの⋯⋯ん?

 

 私はそんな事を思案してた時だ⋯⋯私が目を封じられた辺りで、動きを止めひとまず静観してた真白が突然動き出し何かを切った。

 

 と言うか真白の術式が発動したのか、私の目や耳以外の感覚器官⋯⋯味覚、嗅覚、触覚が強化されもはや肌だけで音や光を感知すると言う状態になって来てた⋯⋯。

 

「キッキーーッ!!?」

 

 いや⋯⋯マジで今の段階だと何かボヤけてる感じなんだけど、マジで目や耳は機能してないんだよね? 的に段々と輪郭とか地形が段々認識出来てきてるし⋯⋯猿達の鳴き声とか聞こえだしたし、コレがありとあらゆる事象への適応って奴なのかな⋯⋯やっぱりすごいわね⋯⋯。

 

 てか床に猿の首が転がってる所から見るに、多分あれが真白の襲撃を受けた個体って所かな?

 

 まぁ⋯⋯とはいえ当然ながら突然の襲撃に驚き慌てふためく猿達⋯⋯。

 

 私はコレはチャンスとばかりに、近くにいる目の潰れた猿目掛けて刀を振るう。

 

「キッキーーッ!?」

 

 私の刀が猿の首を捉え完璧に目の潰れた個体は、胴から首が分離して飛び上がる。

 飛んだ猿の首は、まるで某世界一慈しい鬼退治の作品に出てくる鬼の様に、ボロボロ崩れて塵となるかの様に消滅した。

 

 なるほど⋯⋯分身は倒すとこうなるのね⋯⋯それと心なしか目の機能が戻った気がするから、分身を倒したらその分身が封じてた機能が戻るって感じかな⋯⋯。

 

 そうなると、真白が跳ねた個体が本物臭そうね。未だに消滅する様子は無い見たいだし⋯⋯。

 

 とっそうこうしてると真白の方は、下から退魔剣を振り上げ、喉が潰れた個体を縦一直線に真っ二つに切り裂き、その勢いのまま起動を変えて斜め下に向かってもう1匹の猿を肩からそのまま袈裟斬りする。

 

「キッキィッ!?」

 

 その光景を見て慌てふためく猿の首⋯⋯私はそれの頭頂部を引っ付かみ持ち上げる。

 

「散々やってくれたわね⋯⋯あっマシロ⋯⋯()()()()()()()コイツを正のエネルギーで炙るわよ」

 

 私は何処か晴れやかな笑顔でそう言う、まぁマジで酷い目にはあったが、ひとまずコレで呪霊は確保って所かな? まぁ⋯⋯今後もこんなのが何回か続くかもとかマジでダルいわ⋯⋯はぁ⋯⋯面倒くさっ!!

 

 私は内心でそう愚痴りながらもとりあえずその後は、真白と一緒に生首と化した猿を滅茶苦茶炙ったのでした。




白井あおいさん誤字修正と高評価ありがとうございましす。

流れ星キラリさん高評価ありがとうございましす。

ちなみに次回は⋯⋯幼少期編前半の最終話の予定です。

その後は閑話を少し挟んでからの後編を書くつもりですね⋯⋯。
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