自縄自縛の十種影法術〜平穏に過ごしたいのに、私の周囲が許してくれません〜 作:多眼犬
最近、女中がしてる噂⋯⋯曰くソイツは式神の術式を使い、しかもその式神は幼い女子の姿で、女中の真似をしよるんとの⋯⋯そのくせ式神もソイツもよう働いて、女中としては優秀なんやと⋯⋯最近耳にするようになったそんな話⋯⋯ハッキリ言ってそれがなんやって鼻でわろうくらいにはくだらない話やと思うたわ。
女中として優秀だからって呪術師としては優秀やかは別の話やし、むしろ所詮は式神すら女中の真似事して終わっとる滑稽な落伍者やとか笑われて馬鹿にされてるのが現状や⋯⋯。
まぁ⋯⋯俺もそんな噂を聞いて面白半分で見に行ったら実に滑稽やとはおもうたよ。
なんせ式神が割烹着きてお膳を運んどるんやで、まっ所詮は術者が女々しい女だけにって事なんやろうな⋯⋯。
だから俺はその式神をちょいっと術式使って蹴飛ばしてやったんやわ。
「ハッ明らかに道の邪魔やったから、チョイイラッてきてな⋯⋯つい蹴飛ばしてもたわ」
まぁワザとなんやけどな、女中の真似事してせっかく運んどったお膳台無しになって、実に愉快やと思うたわ。
そう⋯⋯その時はな⋯⋯。
次の瞬間やったわ背筋が一緒で凍ったゆうんかな⋯⋯その場の空気が変わったて感じやったわ⋯⋯目の前の式神が割烹着から、片腕には刃を腕に布で巻き付けて、サラシに袴の姿になっとるわ、頭には訳の分からん車輪の様なもんが浮いとる。身体からは光の粒子みたいなもんが出とるし、しかも顔の部分⋯⋯目がある部分には本来有るべきもん無い代わりに、4枚の翼がある状態なのにも関わらず、何かソイツから視線を感じるわ⋯⋯元々異形の外見しとるだけにハッキリ言って不気味に感じてもうたんやわ。
だけど⋯⋯それ以上にソイツから感じよる気配⋯⋯まるで見るものを圧倒させるようなそれ、まるで圧倒的な⋯⋯。
いや⋯⋯ありえへん有り得てたまるかいな! さっきまで馬鹿にしてた様な奴やぞ! 式神なんて言う自分では戦わない様な女々しい術式なんやぞ? 目の前のそんな女々しい女の式神であるコイツやって、女の童のような姿なんやで? しかもさっきまで女中の真似事しとった様な奴やぞ!? そんな⋯⋯そんなんがアレと⋯⋯向う側の存在あるアレと同じやなんて有り得てたまるかっ!?
消さな⋯⋯。コイツは存在しちゃあかん!
俺は直ぐにソイツの身体に触れた⋯⋯ハッコレで俺の勝ちは確定したもどうぜっ
「はっ?」
何が起きた? なんで動いとる? なんでその刃は振り切れとる!? なんで俺の衣類が切れてる?
いや⋯⋯切られた⋯⋯間違いない俺の脳がそれを認識した⋯⋯確かに俺はアレに切り裂かれたんや。
なのになんで感覚や実感はあるのに、身体は切れとらんのや? 一体⋯⋯俺の身に何⋯⋯が⋯⋯?
てっアレ? 式神がおらへん一体何処に!?
「コレは貴方のせいで迷惑を被った姉様の分です」
俺は背後から聞こえたその声を最後に、首筋に鋭い感覚と共に意識は暗転しよった⋯⋯。
だが⋯⋯その後に目が覚めた時⋯⋯それが地獄の始まりやった。
「⋯⋯っ!?はっ? えっ? なっなんやってっおぉわっ!!?」
俺が目を覚ますと、何故か俺はソイツにお姫様抱っこさせられとった⋯⋯それだけでも羞恥で死にとうなるのに、ソイツはるか上空まで飛び上がるとそのまま俺を池の中に頭から叩き込まれ、俺は2度目の意識が暗転すると言う結果を迎えてもうた訳や⋯⋯。
その後に気が付いた時は布団の上やった。
思い出すのは沈められた時と違い、アレに切られた瞬間の光景⋯⋯。
はっきり言って完敗やった。
その後に知ったんやが、あの式神は俺を池に放り込んだ後、術者共々に呪霊を格納してる部屋に閉じ込められ、何を思ったのか穴掘って呪霊の血に浸かりながら狂ったように笑ろうとったらしいわ。
本人が言うには、呪霊の血をつこうて浴をやってた言っとたらしいわ。
浴言うたら蠱毒の呪法で生き残った虫の汁つこうて呪物を作る奴やろ⋯⋯自身の身でも生きたまま呪物化するつもりやったんやろうか? その上⋯⋯使用した呪霊を罰とは言え回収して回る事になってもうたらしいし、はっきり言ってアホちゃうか思うたわ。
まぁそんなもんも、数日後に呪霊の群れを従えて帰って来た時には、何も言えへんようになってもうたけどな。
しかも何体かは術式持ちがおるし、猿神、犬神、蛇神の信仰と結び付きのある呪霊とかなんやねん⋯⋯それも全部が力づくで主従関係の契約結んどるとか、ほんま頭イカれとるで⋯⋯。
正直言って悔しくはあるが認めるしかない⋯⋯この女は、実力だけは他の腐っとる連中に比べたら間違いなく本物や。
まぁ⋯⋯だから何やねんって話やけんどもな。
むしろ俺を負かしたんやから、それくらいやないと俺がこまる。
何せ何れは超えるにせよ、俺が超えるべき壁になるならむしろ高い方がえぇって話やろ。
まっそう言うわけやから俺は、今もそうやが何度もあの式神⋯⋯真白ちゃんに何度もいどんだ。
その度に何度も地を這いつくばされてんやけんどな⋯⋯。
てか殴ったらコッチの腕が痛どうなるってなんなん? しかもアッチは全くビクともせぇへんし、マジで訳が分からん!?むしろどうやってこんな式神を調伏なんて出来たんやって話しやわマジで!!
オマケにその術者である真魅ちゃんも真魅ちゃんや⋯⋯流石はこの真白ちゃんを調伏しただけあるわ⋯⋯背後から奇襲かけても、背中に目でもあるんか見たいに反撃してくるわ、真白ちゃん見たいに俺の術式で止まりもせえへんもん。
オマケに加速した動きにも追いついて来よって、術式が全く通用せんのよ? 一体どうなっとんって話やわ!?
挙句には壁やら岩やらぶった切って来るとか、流石にアレ見て武器持ってて軟弱とかは言えんなったわ⋯⋯。
ただ真魅ちゃんLvまで極めてない耄碌ジジイの奴は別やけどな。
俺に出来損ないだの人生の汚点とか言うて、殺して構わないだの、むしろ殺してくれ言うてきた時は俺もドン引きやったし、よくこんな奴が肉親におって真魅ちゃんは腐らなかったな思うたしな⋯⋯。
逆に真魅ちゃんの実力をなあんもわかっとらんあのジジイの方が出来損ないの落伍者やし、むしろお前の方が真魅ちゃんにとっての人生の汚点やから、首吊って死んだ方がえぇ思うたまである、まぁ流石にそれ言うのもアホらしかったから黙っとったけどな⋯⋯。
まぁそれはそれとしてやけどな⋯⋯。
「なぁ⋯⋯真魅ィこのボンタンアメって包み剥がそうとしたらめっちゃベタつくんだけど⋯⋯」
「⋯⋯五条さんや。ボンタンアメは包み紙ごと食べれますから、剥がす必要はありませんよ⋯⋯」
「え? マジでっ!?」
その隣の白髪で青目のガキは誰やっ!!?
ふーんさん、ヨツンさん、Nasinkamosikaさん、白井あおいさん誤字修正ありがとうございました。
またNasinkamosikaさん、天上桜さん、林森73さん高評価ありがとうございます。
今回は時期が時期でしたので、この日に投稿してみる事にしました。
実の所、せっかくなのでクリスマスを題材した番外編も考えていたのですが、いざ書いてみるとコレは酷い出来だったのでボツになり元から予定していた禪院直哉sideの話にしました⋯⋯ちなみに次回は五条悟sideの話です。
それが終わり次第、続きに移行する予定です。
Q主人公が岩とか壁切るって何があった⋯⋯。
A真白の術式の影響を間接的ながら受けてる影響で、所持してる刀を自分に適応させました。
それにより彼女が自身で愛用してる刀を振る事に関しては、それを振るう場合に限定してですが、最適かつ的確にして精密な動きを行える上に、自分の手足同然にぶん回せます。
Q何で真魅は直哉の奇襲を感知出来たの?
A三猿などの呪霊との戦いで、感覚器官や反射神経が異常発達した為です。
Q普通に殺意マシマシで直哉を攻撃してるようですが大丈夫ですか?
A禪院直毘人の一言によりにより、真魅は直哉の襲撃に対しての戦闘に限定して、殺さない範疇ならお咎めは無しとなってる為、死ななければいいんだろへーきへーきとなってたりします。また逆に直哉の方は殺してもお咎め無しなので、手を抜けないのと純粋に日頃からのストレスの発散も兼ねてたりします。
Q真白の身体から出てる光の粒子は何ですか?
A真白の呪力特質です。分かりやすく言うと真白の呪力は光を放つ性質を持つと、思って貰えれば良いと思います。ちなみにコレは真白が真魅の魂を適応し、自我を得た為に、【式神】と言うよりも【呪霊】に近しい存在となっている事が要因となってたりします。逆に真魅の呪力特質は周囲の重力を強める性質を持ってます。(その為、真魅の周期に近づいた対象は、何か真魅からプレッシャーをかけられてると勘違いしたりする)また双子や共有の縛りの影響により、真魅と真白はお互いの呪力を共有している状態になってます。(その為、五条からは二種類の特質を持った呪力を保有してる変な奴と思われてる模様⋯⋯)
今回は以上です。次回は正月を想定してます。五条悟sideの話を投稿する予定です。初詣までに完成出来たらいいなぁ⋯⋯。それでは皆様