ある日、義勇は同じく柱の胡蝶しのぶとともに任務に来ていた。
しのぶと二手に分かれたところで鬼と遭遇し討伐。
義勇は目の前の鬼殺隊隊員の少年に見覚えがあることに気がつく。
「お前は……」
冨岡義勇は目の前にうずくまる少年とその隣にいる少女の鬼を交互に見ると2年前のことを思い出した。
遠くからしのぶが虫のような速さで飛んでくる。しのぶが鬼を刺そうとする刃を義勇を弾いた。
「あら?」としのぶは言うと、勢いを保ったまま地面に着地した。
「冨岡さん、どういうことですか?」としのぶ。
「動けるか。動かなくても根性で動け。妹を連れて逃げろ」と義勇は言った。
炭治郎は一瞬息を呑んだように驚いた後、鬼と共に逃げ出した。
「冨岡さん、聞いてますか?」
その瞬間だった。体中に電気が通されたような痛みが走った。走馬灯のように、記憶が蘇る。
胡蝶しのぶが上弦の弐を相手して命を落としたこと。
無限城で目の前の少年とともに上弦の参を倒したこと。
多大な犠牲とともに鬼舞辻無惨を倒したこと。
-この記憶はなんだ?
「冨岡さん、そんなだからみんなに嫌われるんですよ」としのぶ。
「俺は……」
そう言おうとして、義勇はハッとした。
-そうだ。この記憶に覚えがある。あの時も、胡蝶と同じやりとりをした。
「え……どうしたんですか」しのぶは顔を顰めて乱暴につぶやいた。
義勇は焦った。刃をしのぶに向けつつも、目から涙が止まらないのだ。なぜだ、なぜ胡蝶が生きている。あの時死んだはずの胡蝶が。
「ああ、本当のことを言ってしまって申し訳ないです」としのぶは戸惑ったように言った。「でもこれ、隊律違反では?私は時間稼ぎに付き合うつもりはありませんので」
そういうとしのぶは勢いよく飛び上がり、木の枝を伝ってどんどん先へと進んでいく。
義勇はしのぶを追いかけた。
「もう1人いることもお忘れなく」としのぶ。
しのぶの言葉ひとつひとつが脳裏に刺さる。あの時としのぶの言動と同じなのだ。確かに存在する記憶として脳裏に刻まれている。この記憶は現実だというのか。
前の時と同じように義勇はしのぶに追いつき、拘束した。しのぶが何やら叫んでいるが言葉が何も頭に入ってこなかった。
これは一体どう言うことなのか考えなくてはならない。自分の身に何が起きているのか、これは夢なのか。それとも現実なのか。あるいは戻った記憶が夢だと言うのか。
「もしもーし聞こえますか、冨岡さん。これは最後通告です」
しのぶの腕に力が入ったと思うと、しのぶは軽々と足を上げた。その足の先には隠し刃がひそんでいる。もし一周目の記憶が正しいのだとしたら、おそらくこの時分でそろそろ……。
その時、カラスが飛んできた。
-伝来、炭治郎と禰豆子を拘束し本部に連れ帰るべし