「お館様のおなりです」
産屋敷耀哉が屋敷の奥から現れた。
柱と炭治郎は一列に並ぶと庭に一斉に跪いた。
「よく来たね。私の可愛い剣士たち。おはよう、みんな。今日はとてもいい天気だね。空は青いのかな。顔ぶれが変わらずに、半年に一度の柱合会議を迎えられたこと、嬉しく思うよ」とお館様は言った。
「お館様におかれましても御壮健で何よりです。益々の御多幸を切にお祈り申し上げます」と実弥。「つきましては、竈門炭治郎、禰豆子両名の解放を願います」
「まだ何も聞き出せていないと言うのに、勝手なこと言わないでくださいよ、不死川さん……」としのぶがつぶやいた。
「お館様、両名に関してご説明をいただきたく……」と小芭内が言った。
「そうだね、驚かせてしまってすまなかった。炭治郎と禰豆子のことは私が容認していた。そして皆にも認めてほしいと思っている」
「心より尊敬するお館様であるが理解できないお考えだ!!全力で反対する!!」と杏寿郎が言った。「人を喰い殺せば、取り返しがつかない!殺された人は戻らない!」
デジャブに義勇の胸の内が騒いだ。そうだ、殺された人は戻らない。でも、今ここに皆が確かにいるのだ。間違いない。あの時、あれだけ多くを失って無惨を討伐したというのにだ。転生でもしてしまったかのようだ。
「腕を切ってみたらどうだ、実弥」と義勇が唐突に言った。
え?と皆が口にした。
「実弥?」と天元。
「そ、そうです、実弥さん、禰豆子は血に反応しない」と炭治郎。
「……。反応しなければ人を喰わない証明になるな」と天元が言った。
「お館様……失礼、つかまつる」
そういうと実弥は禰豆子の箱を持って、屋敷の中へと侵入した。
「禰豆子、出てこい」
実弥はそういうと扉を開けて、禰豆子を箱の中から出した。腕を切ろうとする実弥の腕が震えている。
「大丈夫、大丈夫だ禰豆子」と炭治郎が叫ぼうとすると、小芭内が炭治郎を押さえつけた。
「伊黒さん、あまり強く押さえつけないでください」としのぶが言った。
「そうだ伊黒、そいつは怪我をしてやがる」と実弥は言いながら腕を刃で切った。その剛腕から血が滴り落ちる。禰豆子は肩を大きく振るわせた。必死に衝動から耐えているようだった。
その様子に義勇は不安になった。提案してみたは良いものの、あの時と同じようにうまくいくだろうか。もしここで前と同じようにいかずに不死川に喰ってかかったりしたら。あの時は、確か……。
義勇は瞬時に移動すると、伊黒の腕を取った。解放された炭治郎は拘束された縄を引きちぎり「禰豆子!!」と叫んで駆け寄った。
その瞬間、禰豆子は実弥の血を拒否するようにぷいと向こうを向いた。
実弥はほっとしたようにその場に座り込んだ。
「これで証明ができたね。裁判はこれで終わり。炭治郎と禰豆子は下がって良いよ」
なんの真似だ冨岡、と伊黒は言うと、義勇の腕を払い除けた。
「胡蝶、炭治郎の手当てを頼む」と義勇。
「はいはい、連れていってください」
しのぶがそういうと、隠したちは炭治郎と禰豆子を運んでいった。