冨岡義勇は無惨討伐一周目を思い出した   作:高橋夏帆

6 / 17
上弦の参の勝ち方

「あ、義勇さん……」

 

 義勇の姿を見て、病床につく炭治郎は笑みを浮かべた。

 

「話は聞いたぞ」と義勇。「次の煉獄との任務に俺も行くことになった。俺とお前は上弦の参に勝っている」

 

「そうですか。義勇さんがいれば頼もしい限りです。でも義勇さんも別の任務がおありなのでは?」

 

「煉獄を生かすのが鬼殺隊における最優先事項だ」

 

「それはそうですね…… でも、しのぶさんにも釘を刺されていますし、カナヲも……。助けたい気持ちはわかるけど、鬼殺隊も一つの任務に人員を多く割けないと」

 

「煉獄が生きていればより多くの人を生かすことができる」

 

「……。」

 

「列車で何が起きたか説明してくれ。あの時一応報告書には目を通したが、より詳しく聞いておきたい」

 

「わかりました。ではまず、下弦の壱についてから説明しますね」と炭治郎は言った。

 

---------

 

「それで、問題はそのあとです。猗窩座がやってきて、俺は何もできなくて、それで煉獄さんが……」

 

 義勇は唇を静かに噛み締めた。

 

「炭治郎、あの時どうして俺らは上弦の参に勝てたと思う?」

 

「実はそのことを俺もずっと考えていました。猗窩座の首が落ちた時、一瞬笑った気がしたんです。そして感謝の匂いがした。それが、あの自殺行為と関連しているかはわかりませんが……しのぶさんや珠代さんにも聞きましたが、鬼は人間の時の追憶を残すそうです。僕らの何かが猗窩座を刺激した。でもその何かがなんなのかわからないんです。猗窩座の苦しみがわかれば……」

 

「一周目だろうと二周目だろうと鬼には同情するな」

 

「同情とは少し違います。もし猗窩座がなんで鬼になったのかわかったら、何かこう交渉できるかもしれないって思ったんです」

 

「炭治郎、俺が25で死んだ後に何があった。お前じゃないみたいだ」

 

「別に僕は何もありませんよ。ただ少し、年齢的にも大人になったって言いますか。歳をとって色々と考えるようになったというか」と炭治郎は笑った。「と言っても25なんですけどね、へへ。義勇さん、俺ずっと聞きたくて、前は聞くに聞けなかったことがあるんですけど、義勇さんはどうして禰豆子を助けてくれたんですか」

 

「理由はない。他の鬼とは違う。そう思ったまでだ」

 

「義勇さんは優しい人ですね。俺はどちらかというと鬼としての素質の方があったというのに……」

 

「炭治郎、胡蝶に言われた。なぜ二周目を迎えることになったのか心当たりはないかって。何かあるか?」

 

「心当たりですか……」

 

「なんのために我々は二周目を迎えたと思う?」

 

「なんのために……うーん、考えてもいませんでした。誰かを生かすためでしょうか。みんな生かしたい人がいてそれで……」と炭治郎。

 

「でも姉さんも錆兎も死んでいる。俺の記憶はさきの山での任務からしかない。もしもっと早くに記憶を取り戻していたら……」

 

 義勇はつぶやいた。

 

「でも義勇さん。猗窩座戦に関しては、あの時とは勝手が違いますよ。あの時は城の中でした。今回は外です。太陽が昇るまで、猗窩座をそこに止めればいいんです。無惨と同じように」

 

「そうだな」

 

「それまでに俺は全集中常中を会得しておきます。それからヒノカミカグラの鍛錬も積んでおきます」

 

「俺も痣が出るように鍛錬をしておこう」

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。