「あ、義勇さん……」
義勇の姿を見て、病床につく炭治郎は笑みを浮かべた。
「話は聞いたぞ」と義勇。「次の煉獄との任務に俺も行くことになった。俺とお前は上弦の参に勝っている」
「そうですか。義勇さんがいれば頼もしい限りです。でも義勇さんも別の任務がおありなのでは?」
「煉獄を生かすのが鬼殺隊における最優先事項だ」
「それはそうですね…… でも、しのぶさんにも釘を刺されていますし、カナヲも……。助けたい気持ちはわかるけど、鬼殺隊も一つの任務に人員を多く割けないと」
「煉獄が生きていればより多くの人を生かすことができる」
「……。」
「列車で何が起きたか説明してくれ。あの時一応報告書には目を通したが、より詳しく聞いておきたい」
「わかりました。ではまず、下弦の壱についてから説明しますね」と炭治郎は言った。
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「それで、問題はそのあとです。猗窩座がやってきて、俺は何もできなくて、それで煉獄さんが……」
義勇は唇を静かに噛み締めた。
「炭治郎、あの時どうして俺らは上弦の参に勝てたと思う?」
「実はそのことを俺もずっと考えていました。猗窩座の首が落ちた時、一瞬笑った気がしたんです。そして感謝の匂いがした。それが、あの自殺行為と関連しているかはわかりませんが……しのぶさんや珠代さんにも聞きましたが、鬼は人間の時の追憶を残すそうです。僕らの何かが猗窩座を刺激した。でもその何かがなんなのかわからないんです。猗窩座の苦しみがわかれば……」
「一周目だろうと二周目だろうと鬼には同情するな」
「同情とは少し違います。もし猗窩座がなんで鬼になったのかわかったら、何かこう交渉できるかもしれないって思ったんです」
「炭治郎、俺が25で死んだ後に何があった。お前じゃないみたいだ」
「別に僕は何もありませんよ。ただ少し、年齢的にも大人になったって言いますか。歳をとって色々と考えるようになったというか」と炭治郎は笑った。「と言っても25なんですけどね、へへ。義勇さん、俺ずっと聞きたくて、前は聞くに聞けなかったことがあるんですけど、義勇さんはどうして禰豆子を助けてくれたんですか」
「理由はない。他の鬼とは違う。そう思ったまでだ」
「義勇さんは優しい人ですね。俺はどちらかというと鬼としての素質の方があったというのに……」
「炭治郎、胡蝶に言われた。なぜ二周目を迎えることになったのか心当たりはないかって。何かあるか?」
「心当たりですか……」
「なんのために我々は二周目を迎えたと思う?」
「なんのために……うーん、考えてもいませんでした。誰かを生かすためでしょうか。みんな生かしたい人がいてそれで……」と炭治郎。
「でも姉さんも錆兎も死んでいる。俺の記憶はさきの山での任務からしかない。もしもっと早くに記憶を取り戻していたら……」
義勇はつぶやいた。
「でも義勇さん。猗窩座戦に関しては、あの時とは勝手が違いますよ。あの時は城の中でした。今回は外です。太陽が昇るまで、猗窩座をそこに止めればいいんです。無惨と同じように」
「そうだな」
「それまでに俺は全集中常中を会得しておきます。それからヒノカミカグラの鍛錬も積んでおきます」
「俺も痣が出るように鍛錬をしておこう」