冨岡義勇は無惨討伐一周目を思い出した   作:高橋夏帆

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無限列車から帰還した義勇は重傷を負い、蝶屋敷に入院していた。


未熟者

「なんでお前がいながら煉獄が死んでるんだよ!!!!!」

 

 蝶屋敷に実弥の怒号が響いた。

 

 義勇のベッドの周りには、実弥、天元、しのぶがいた。隣のベッドには炭治郎が横になっていた。

 

「実弥さん、もうこれ以上は……」と炭治郎。

 

「ったく、お前はいつも人に守られてばかりで、誰も守れてねぇじゃねぇか!」実弥は怒りが止まらなかった。

 

「実弥さん!」と炭治郎が叫んだ。

 

「未熟でごめん……」そういうと義勇は涙を流した。

 

 実弥は唇を噛み締めるとそのまま部屋を出て行った。

 

「まぁとりあえず、お前が生きていてよかったわ。まずは怪我を治せ」天元は義勇の肩をポンポンと叩くと部屋を出て行った。

 

 その日、義勇は蝶屋敷を抜け出した。

 

 なぜだ。なぜ勝てなかった。準備は万端のはずだった。下弦の壱はすぐに倒し、炭治郎も怪我を負うことなく、猗窩座を迎え撃った。3人でだ。それなのに猗窩座には全く歯が立たなかった。そのうえ、煉獄は自分を庇って死んだのだ。俺が行ってなければ、煉獄は生きていたかもしれない。

 

 義勇は吐血した。

 

 あの時と同じように、背中を強く打ち付けたのに、痣がでなかった。実弥の言う通りだ。俺は誰の役にも立てていない。守れていない。これでは二周目を迎えている意味がない。俺じゃなくて、錆兎が二周目を迎えていたら、こんな末路にはならなかったかもしれない。

 

 ふと、路上の暗がりに刀を持った人影が目に入った。蝶の髪飾りをしている。胡蝶か?いや違う。カナヲだ。そこで何をしている。任務か?

 

 そんなことはどうでも良い。気にしている余地はない。義勇は足を引き摺りながら自分の屋敷へと向かった。

 

 鍛錬を、鍛錬をしなければ。十分な準備をしたはずだったのにまだ足りなかった。もっと力をつけなくては。

 

 義勇はやっとのことで屋敷へと辿り着くと、布団の上に死んだように倒れ込んだ。

 

 次の日、義勇の屋敷へしのぶと実弥がやってきた。襖の向こうで2人は座っていた。

 

「冨岡さん、なんで勝手に屋敷を抜け出したんですか。冨岡さん、安静にしてくださいって言いましたよね?ねぇ冨岡さん、あなた重傷なんですよ。意味わかっています?私たち、あなたの血の跡を追ってここにきたんです。冨岡さん、聞こえてますか?襖を開けてください」

 

「義勇、昨日は言いすぎた。悪かったよ。俺は、その、不安になっちまったんだ。お前の力をもってでしても勝てないなんて、結局未来は変えれないんじゃないかって。弟が、玄弥が、死んじまうじゃないかって。怖くなったんだ。それでお前に当たってしまった。悪かった、許してくれ」と実弥。

 

「帰ってくれ」と義勇は言った。

 

「もう!薬、置いておきますから。また明日来ますから。明日も出てこなかったら勝手に襖開けますからね。わかります?私忙しいんですよ。あなたの穴埋め、しなきゃいけないですからね。それに、珠代さんや愈史郎さんとの共同研究も始まるんです。輝利哉様がご連絡を取ったみたいで!」しのぶの声が屋敷に響いた。

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