光のオタクなマキマさん   作:ガテル

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第2話

 

「違うよデンジ君!?そこはチェーンを使ってゾンビ達を纏めて切った方が効率がいいの!やっぱりダメだね……でっ、でもどうしてだろうな。ダメダメなチェンソーマンって何か新鮮で悪くないかもフフフ」

 

 

本当はこの体たらくに怒るべきはずなのに、心の底からゾクゾクと沸き上がってくるこの感情は一体何なんだろ……デンジ君は今ゾンビの残党と戦っている真っ最中で、物陰に隠れた私が思わず声を出してもこちらにはまるで気づいていない様子だった。恐らくヤクザ共を殺すのしか目が行ってなくて、他の情報なんて一切入ってきていない。

 

その狂気―――ふ、ふーん?キミも0.1%ぐらいはチェンソーマンらしいね?

 

この後もしばらく戦闘は続き、1時間ほど経った辺りでようやくデンジ君は最後の一体を倒した。戦いも終わったので私は彼の前へ姿を見せる事に、物陰から出てみればチェンソーで切断されたゾンビ達がそこら中に血だらけで転がっているのが目に入ってきて……昔地獄で見た光景を連想させられた。それにもう長らく見れてなかったチェンソーの切断痕―――これだよこれ、私はこの切断痕が大好きなんだ。

 

 

「や、やってくれたキミには感謝しかありません」

 

「よ、よく分かんねぇけど抱かせて……」

 

「―――えっ?抱いちゃっていいの??」

 

 

私はあくまでファンだよ?なのにこんなの、こんなのダメじゃないかな……まぁ結局やらせてもらうけどね!!

 

その場に倒れそうになっているデンジ君を私は両腕でギュッと抱きしめた、チェンソーマンの心臓の音が鮮明に聞こえるなぁ。それもこんな至近距離だからこそだね、ちょっと最高すぎて私は興奮のあまり倒れそうだよ。

 

変身が解除されて中身のデンジ君が現れた、私は思考を切り替えて彼に真面目に公安の厳しさを伝える事に。

 

 

「私はゾンビの悪魔を殺しに来た公安のデビルハンターなんだ、キミの選択肢は二つ。悪魔として私に殺されるか……ごめんチェンソーマンを殺すとか言っちゃダメだよね私の大バカ!」

 

「あ、あァ?」

 

 

デンジ君が困惑しながら私を見てくる、これじゃいけない。今度こそ真面目にしないと。

 

 

「そしてもう一つの選択肢、それは人として私に飼われるか……ごめんチェンソーマンを飼うなんて恐れ多すぎるよ!というか逆にもう私を飼ってくれないかな!?」

 

「コワ~……」

 

 

私は自分のファン心を必死に殺し、デンジ君に改めて「人として私に飼われるか」と言葉を伝えた。すると彼は朝食のメニューについて聞いてきたから正直に答えた所、最高だと喜んでくれて……同意してくれて良かったよ。だって私が殺すなんて選択肢は絶対嫌だもん。

 

 

 

 

チェンソーマンも無事回収し、私達はデビルハンター東京本部へと戻っている最中ふと車内で誰かの腹の音が鳴った。その腹の主は間違いなくデンジ君だろうね、彼は気まずそうな表情を浮かべながら。

 

 

「俺のハラの音っす……」

 

「私達も朝まだだったね、パーキングエリアで適当に食べよ」

 

「……すいません、俺カネないんですけど」

 

 

申し訳無さそうに伝えてきて、そんなの心配する必要ないよ。完成版とはあまりにかけ離れたショー、私自身不満は沢山あるのに―――どうしよう。手が勝手に財布へ伸びる、ゾンビVSチェンソーマンの鑑賞代払いたくなってきちゃう。

 

 

「好きなのいいなよ、私お金出すから……10万円」

 

「ええ!?じゅ、10万っすか!?」

 

「多分パーキングエリアの食べ物半分ぐらいは買えるよ、後半裸じゃ目立つからこれ着てね」

 

 

(汚ぇ臭ぇと言われ近寄られもしなかったこの俺が初めて優しくされた、10万もくれてしかもツラのいい女に……好き。何か外をぼーっと眺めてるけど、きっと頭ん中ではすげえ事考えてんだろうな~)

 

 

……私の服をチェンソーマンが着てると思うと最高だね?

 

 

 

 

パーキングエリアに到着し、デンジ君が私から渡された10万円で屋台のメニューを全て買おうとしていたそのとき。突然頭から血を流して負傷している男性が助けを求めて入り込んできた、何があったかを聞けばどうやら悪魔が娘をさらって森の方に逃げて行ってしまったらしい―――私はカラスの情報で知ってたけどね。でも把握した上で助けを求めに来るまで放置していたのには理由がある。それは。

 

 

「キミ、名前は?」

 

「デンジっす」

 

「デンジ君、今からキミには悪魔殺しに向かってもらいます。返事はワンかはいだけ、いいえなんて言う犬はどうなるか分かる?」

 

「ど、どうなるんすか……?」

 

「使えない公安の犬は安楽死させられる―――なんて嫌だから私も一緒に向かうよ!でもちょっとだけ待っててね?車に戻って準備しなきゃいけない事があるんだ」

 

「分かりましたァ!」(ヤベェ……マジで好き)

 

 

車に戻った私は後ろのトランクを開けて一つのバッグを取り出した……ついにこの中に入っているものを使うときが来たんだね?私が1人で制作したはいいけれどずっと日の目を浴びなかった、でも今日ようやく活かせるよ。

 

私にとってのファン活動、それは。

 

 

「お待たせデンジ君」

 

「あっ戻ってきたぜ!準備しなきゃいけないやつって一体何なんす、か……?」

 

 

デンジ君が私の姿を見て呆気に取られたように固まっている、彼の反応も当然だね。私のチェンソーマン愛を持ってすれば高クオリティなんて当たり前、この自信作―――上から羽織っているのは背中に自分で描いたチェンソーマン入りのはっぴ。それに「CSM」と大きく書かれたハチマキ、これは完璧な応援スタイルだよ。

 

 

「デンジ君はこのイラストどう思う?私が描いたんだ」

 

「うわヒデ―――め、めちゃくちゃウマいっすね!?マジで天才画家じゃないですか!!」

 

「そ、そこまでじゃないよ」

 

 

まぁいつか美術館に飾れるとは……思っているかな?

 

 

 






筋肉の悪魔「はよこいや」
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