光のオタクなマキマさん   作:ガテル

8 / 8




第8話

 

私は今コウモリとヒルの悪魔討伐の事後処理で山積みの書類作業に追われている所だ、普段なら鎖でズタズタに引き裂きたいと内心思いながら仕事するけど今回は違う。それは何故かと言うと。

 

 

「私の支配の力で悪魔を拘束して、チェンソーマンがぶった切る。これはもう最強のコンビが出来ちゃったよ」

 

 

地獄ではチェンソーマンに関わるなんて恐れ多く、そして戦い彼を傷つけるなど論外だと思っていた。だから私のスタンスは毎回ただ観戦しているだけ、でもそれでファン活動は成立していたし心も十分に満たされていて……だけど今回のヒル戦ではサポートという形でチェンソーマンの活躍に貢献する事ができたんだ。

 

その事実に思わず笑みが零れて―――いやこれじゃあダメだよね??叫ばれた悪魔も助けを求めた悪魔も両方殺す、そもそも敵味方の概念すら存在しないめちゃくちゃっぷりが彼の良さなのに誰かの力を借りるチェンソーマンをチェンソーマンとは到底言えない。でもあの瞬間に抱いた幸福感を嘘とは否定できず……そんなときふと床からサメの背ヒレが浮いているのが視界に入った。

 

 

「―――ビーム君、前にも言ったよね?キミがこの部屋に入るときは合言葉が必要だって」

 

「ヒャ!?オレうっかり忘れてた!もう1回やり直してくる!」

 

 

背ビレが沈んでいき、数秒後にドアの向こうから声が聞こえてきた。

 

 

「チェンソー様!」

 

「最高」

 

「チェンソー様!」

 

「最強」

 

「……入っていいよ!」

 

「ワアアアアアアアアア!!」

 

 

改めて部屋に入ってきたのはサメの魔人ことビーム君、公安に所属している魔人は皆地獄での記憶を保持しておらず私がチェンソーマンの活躍を熱く語ってもみんな理解してくれなかった。でもビーム君は……唯一地獄時代を覚えており同時にチェンソーマンの大ファン、言わば彼は貴重な同志だ。だからこうしてチェンソーマンの話をよく2人で交わしている。

 

合言葉は私以外の人がいるときでも関係無しにこの部屋へ入ってきちゃうから定めたもの……まぁそれは建前で本当の理由は。

 

 

「チェンソーマン最強最高!」

 

「チェンソー様!最強!最高!」

 

「「いえーい!!」」

 

 

素直にこの流れがめちゃくちゃ楽しいからなんだ。

 

 

 

 

「今日はどうしたの?」

 

「ギャワ!オレはマキマ様とチェンソー様に関する勝負しにきた!」

 

「第345回はつい数日前に終わったばかりだよ、第346回の開催日は明日のはずだったけど……いやそっか。明日は予定があるから今日に前倒ししようって前回の最後に私が言ったんだったね」

 

「そうそう!今日こそオレ絶対負けない!」

 

 

ずっとヒルの悪魔との戦いばかり考えちゃってて、私もうっかり勝負を忘れてたよ。これじゃビーム君の事を言えないね?でもちょっとモヤモヤしてたからこれは良い気晴らしになるかな、今までこの勝負は345勝0敗で私がずっと勝ち続けている。ビーム君も十分に素晴らしいファンだけど……チェンソーマンの戦法、何の悪魔といつ戦いどう殺してきたか、叫び声のレパートリーまで彼の事なら全て把握済みな私には流石に勝てないよ。

 

―――また記録を更新させてもらおうかな。

 

今日もクイズ勝負だと思い、私はチェンソーマンのナンバーワンファンとして余裕の貫禄をビーム君に示していたけれど……彼がズボンのポケットに手を突っ込みゴソゴソと何かを取り出しているのを見て思わず首を傾げた。

 

 

「ビーム君?」

 

「今日はクイズじゃなく……これで勝負するんだ!」

 

 

そう言ってビーム君が見せつけてきたのは。

 

 

「これは……チェンソーマンのぬいぐるみ?」

 

「正解!!正解!!マキマ様が作ってるのを見てオレも作りたくなった!」

 

 

サイズは最近私が24時間ぶっ通しで作ったミニサイズと殆ど同じ、ビーム君のこれで勝負という発言。要は―――私にぬいぐるみのクオリティで勝負を挑んてきたという事なんだ?

 

天才とお墨付き(パワーちゃんから)されているこの私にそれで勝とうとするなんてね、キミのその無謀さ……私は嫌いじゃないよ。

 

 

「いいよ、受けてあげる。ちょうど私も昨日新しいぬいぐるみを作った所だしさ」

 

「ギャワ!!」

 

「ただそうなると第3者でジャッジする人が必要だね、ビーム君以外の魔人はチェンソーマンを覚えてないからクオリティの判断ができない。どうしようか……あっ」

 

「マキマ様?」

 

「思いついたよ、ここは彼女に頼めばいい」

 

 

 

 

 

「―――ワシ参上じゃああああ!!!」

 

 

またしてもドアを壊しそうな勢いで開けてきたパワーちゃん、私のチェンソーマングッズをよく見せている彼女が適任だと私は判断した。

 

 

「何でか分からんがデンジが今日の朝からボケーッとしておってな、ワシが話しかけても全部無視するんじゃ。だから退屈で仕方なかったんだがのぉ……これは面白そうじゃ!」

 

 

デンジ君にもこの後書類作業を手伝ってもらう事になってるんだけど……一体どうしたのかな?

 

疑問はあるけれどそれは直接本人に聞けばいいか、とりあえず今は目の前の勝負に意識を集中させよう。

 

 

「パワーちゃんにはこの2つのぬいぐるみを見てどちらの方がクオリティ高いかをジャッジしてもらうよ、ちなみに私とビーム君のどちらが作ったものかは言わないでおくね。そっちの方が公平だし」

 

「了解じゃ!ぬいぐるみの商品開発で特許を1000個持ってるワシに任せておけ!」

 

 

 

パワーちゃんは前回と同じく顎に手を当ててまるで鑑定士のように2つのぬいぐるみをじっくり見ている、左に置かれたのが私制作で右に置かれたのがビーム君制作のだ。彼には悪いけど……グッズ制作で私が負けるなんてあり得ないよ。そうして数分後、彼女は自信満々な表情で1つのぬいぐるみに指を差した。

 

 

「勝負は―――この右に置いてあるぬいぐるみの勝ちじゃ!というか完成度が比べ物にならんわ!左のひっどいコレはなんじゃ?確かウヌの名はビームじゃったか、もう少しマシなものを作らんか!こんなのゴミじゃゴミ!!」

 

「チギャウチギャウ……右のがオレで左がマキマ様の作ったやつ!」

 

「は?」

 

 

今パワーちゃんは何て言ったの……?

 

私の、私の作ったぬいぐるみがゴミ?

 

 

「……そういえばワシ、今からアメリカに行く予定があるんじゃった「パワーちゃん」マ、マキマ!?いい今のは違うんじゃあ!」

 

「……冗談、だよね??」

 

 

パワーちゃんはただ黙って頷いていて―――うん!やっぱり冗談だったんだね!全く、パワーちゃんもイタズラが過ぎるよ!

 

 

「マッ、マキマの作ったぬいぐるみは最高じゃ……」

 

「フフ、ありがとねパワーちゃん」

 

 





  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

壊れかけの聖女に俺がインストールされたらしい(作者:あまぐりムリーパー)(オリジナルファンタジー/冒険・バトル)

聖女ちゃんが、心を閉ざして動かなくなっちゃった、どうしよう!?▼せや、適当にそこら辺の魂突っ込んどけばええやろ!▼それで、俺が選ばれたってわけ▼んで、死なない体で化け物退治とかさせられてたんだけど、なんか聖女も狂信者も神官くんも、様子がおかしくない?▼※不定期更新▼カクヨム、小説家になろうにもマルチで投稿始めました


総合評価:3570/評価:8.14/完結:93話/更新日時:2026年08月01日(土) 08:03 小説情報

虚飾の権能を持ってTS転生した上で英霊として召喚されましたが、マスターが可愛いので満足です(作者:プラチナムウィッチ)(原作:Fate/)

ところでマスター?私に肉弾戦をやらせようとするのはやめませんか?見てください。この細腕と細脚を。


総合評価:9399/評価:8.63/連載:6話/更新日時:2026年07月16日(木) 22:00 小説情報

アラサーTSメスガキ魔法少女に煽られて恥ずかしくないの?♡ざぁーこ♡(作者:夏川優希)(オリジナル現代/冒険・バトル)

アラサー社畜男性がメスガキ魔法少女に転職し、(口が勝手に)敵を煽って煽って煽りまくってボコボコにやっつけちゃう話。▼七瀬律はブラック企業でパワハラ上司にこき使われる社畜である。▼オフィスにて突如怪人に襲われ、死の淵に追いやられた律は思った。もっと自由に生きれば良かった、と。▼その願いに魔法の力が応えた。▼律は魔法少女に変身したのだ。▼アラサー男性なのに。しか…


総合評価:10732/評価:8.78/連載:44話/更新日時:2026年08月06日(木) 07:06 小説情報

ド直球な陵辱エロゲ世界で何も知らずニチアサやってる奴(作者:らっこ)(オリジナル現代/冒険・バトル)

 魔獣と戦ったりオークから人間にまで陵辱されたり箱化したりしそうな世界観で戦う少女達と、それとは全然関係ない所で勝手に改造手術されて戦う羽目になったニチアサ野郎がドッタンバッタンするお話▼「なんだあの露出度……痴女か!?」▼「なんであの重い鎧装備して動けるんだろう……ゴリラ?」


総合評価:8846/評価:8.2/連載:16話/更新日時:2026年05月15日(金) 16:41 小説情報

TS転生した元おじさん一般村娘。将来結婚相手になるだろうからと優しく接していた幼馴染が村を出た。そして十年後、立派になりすぎて帰ってきた。(作者:パンデュ郞)(オリジナルファンタジー/ノンジャンル)

やあ、おじさんは村娘に転生したよ。▼どうやら村長の一人娘みたいだから、将来子供を産んで村を存続させるのが役割なんだ。▼最初は受け入れがたかったけれど、まあ人生って諦めと妥協の産物だよねってことで受け入れたよ。▼せめて結婚相手は仲良い相手がいいなぁ、と思って幼馴染と親しくしようとしたけれど、あんまりうまくいかなくって。▼その子は村を出ちゃったんだ。▼しょうがな…


総合評価:12379/評価:8.01/連載:38話/更新日時:2026年06月25日(木) 06:03 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>