怪獣超戦艦   作:ロールクライ

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星山プラン

 

 

 

 

「星山プラン…?」

 

急遽政府から発表されたそのプランは対怪獣について念入りに考えられたプランである。

 

デルフィスと言う名の怪獣用に新開発された深海探査用ドローンを使い、怪獣を即発見し迎撃する。

言うなれば、上陸前に怪獣を撃退するプランである。

 

民間人がいなければ、その分強力な兵器が使えるのだ。

ヒルコ程の怪獣であっても殺すこと自体は難しくないだろう。

 

星山内閣の支持率が低下しなかったのは実際のところ、怪獣による民間人の被害がゼロであったからだ。

 

しかしカガチ、ヒルコとオロチを除けば怪獣の殺しているのは日本でもアメリカでもなくU.M.Fだ。

そのせいもあってU.M.Fを崇め奉る人まで現れる始末。

 

仮にU.M.Fが人類に友好的な存在だっとしても、怪獣の発見が増えてきている以上国として怪獣の対抗策を作らないわけにはいかないのだ。

 

「えぇ。この新型母艦もデルフィスを運用するためのモノだそうですよ。」

 

「私は上に空母のような滑走路があるように見えたのでてっきり…」

 

「ははは、そういう狙いがあるのも間違いじゃないでしょう。実際ヘリなどは新型母艦に載せれますしね。でも、どうやら無人機を乗せるみたいですよ。」

 

海中ドローン運用母艦一番艦セタス。

 

デルフィスを最大60機展開することができるそれはオロチやヒルコのようにレーダーの死角を利用するような怪獣でも捉えることができるだろう。

 

防人このえはこのセタスとデルフィスに感動を覚えていた。

 

実戦運用こそまだだが、オロチやヒルコなどと違って人や街の被害が出ないうちに怪獣を撃退する兵器に。

 

「これ、いつから運用するんですか!」

 

「聞いてないのか、このえ?もう何週間かすれば整備が終わるそうだ。そうなったら運用試験がてら太平洋に出るってよ。」

 

 

 

 

 

アシハラがネルソンと対話しているころ太平洋ではセタスとディルフィスの運用が始まっていた。

 

「怪獣発見!」

 

観測員の声がセタス艦橋に響いた。緊張が走るかと思われたが、空気は驚くほど落ち着いている。

 

表示されたモニターに、海中をゆっくりと進む巨大な影が映し出される。

 

甲殻に覆われた異様な巨体。

その形は、巨大なロブスターか、あるいは巨大化したザリガニのようだった。

 

怪獣08個体ともいうそれはその中でも最大とされ、全長約50メートルほどの大きさを持っている。

 

だが、セタス艦内に焦りはない。

 

「デルフィス群、追尾を開始。リンク安定。」

 

防人このえはモニターのデータを見ながら、自然と息を飲んだ。

人類はこれまで回避と後追い、そして幸運に頼らなければ怪獣を撃退できなかった。

だがいま、この瞬間──人類の手で怪獣を先に見つけている。

 

「デルフィス全群、包囲態勢完了。誤差なし。」

 

「バラクーダ、発射準備入ります。」

 

星山プラン。

怪獣上陸前に深海から捕捉し、必要な火力を一点集中させて撃破する。

その理念が、いま実証されようとしていた。

 

「距離、適正射程内に入りました。」

 

「──撃て!」

 

艦長の短い命令が落ちる。

 

瞬間、発射口から一条の白い尾が海へ消えた。

 

対怪獣用精密誘導魚雷──バラクーダ。

深海での怪獣運動を解析し、最適コースを自律判断して誘導する最新兵器だ。

その炸薬量も通常の魚雷の比ではない。

 

バラグーダは巨大ロブスターに接近し、接触する。

 

次の瞬間、画面が白く弾けた。

 

「命中確認!」

 

モニターが復帰すると、巨大ロブスターの甲殻は砕け、海中に静かに沈んでいく姿が映っていた。

 

抵抗らしい抵抗はない。

反撃の兆候すらなかった。

 

「対象、沈黙。撃破完了しました!」

 

静寂が艦内を包む。

だがそれは恐怖ではなく、呆然とした感嘆だった。

 

防人このえは息を吐きながら呟いた。

 

「……本当に、上陸前に倒せた。」

 

「星山プラン、初実戦にて成功。民間被害ゼロ。」

 

誰かがそう言った瞬間、艦橋の空気が一気に明るくなる。

 

人類の手で怪獣を倒した。

 

人類が倒した怪獣はオロチに次いではあるものの決定的な違いは犠牲者がいないところだ。

 

U.M.Fでもなく、偶然でもない。

計画し、準備し、その通りに実行して得た人類の勝利。

 

セタス艦内には歓声こそ上がらなかったが、そこにいた全員が確かに理解していた。

 

 

 

 

 

 

「総理!星山プラン成功したそうです!」

 

空気感を壊すように議員の大きな声が響いた。

 

皆が喜びの声を上げる。

 

オロチに次いでの人類の怪獣の撃破。

 

怪獣の報告数が上昇傾向にある現在、星山プランの有用性が証明された。

 

「…これで、ようやく人類も追う側になれたというわけだな。」

 

誰かがそう漏らした。

星山総理は報告書を受け取りながら、しかし喜びよりも安堵の色が濃かった。

 

机上に置かれたタブレットには、セタス艦から逐次送られてくる戦闘ログが映っている。

デルフィスの展開、バラクーダの誘導軌跡、対象の沈黙確認。

すべてが理想通りだった。

 

「星山内閣の支持率…これで、急落は避けられますね!」

 

「怪獣に対して確かな牽制力を得た。国民の安心にもつながるでしょう。」

 

議員たちの口調は明るく、浮足立っている者すらいる。

だが星山は静かに首を振った。

 

「……これで終わりではないのです。むしろ、ここからが始まりだと言えるでしょう。」

 

その声音には、どこか沈んだ影が落ちていた。

 

「確かに怪獣の撃破は素晴らしいことでしょう。しかし、学者たちの見解によれば今回の怪獣はヒルコやカガチには遠く及ばないと聞きました。仮にヒルコのような怪獣であれば、どうなっていたかわからないでしょう。」

 

「では、今回の件はたまたまである、と?」

 

「不確定要素が多すぎるという点がある以上、まぐれなどという言葉は使いたくはありませんがね。」

 

室内の熱気が、少しだけ冷めた。

 

星山はタブレットを閉じ、議員たちに向けて言葉を続けた。

 

「ですが、今日の成果は揺るぎがありません。この事実は私によって…否、この国にとって必ず有用であったことを示しましょう。」

 

 

 

 

 

 

その頃、アメリカ北西部・サンフランシスコ沿岸。

 

海兵隊の情報部隊は、セタス運用開始のニュースを受け、ある種の緊張を抱えて会議を続けていた。

 

「…つまり、日本はU.M.F依存から脱却し始めた、ということか。」

 

「ええ。第3勢力であるU.M.Fの影響力は今後低下するでしょう。」

 

「しかし日本はU.M.Fと敵対はしていないんだろう?」

 

「U.M.Fとのコミュニケーションが確立されてない以上どうなっているのかは不明ですが…問題はそこではありません。」

 

表示された衛星データには、怪獣出現頻度のグラフが映っていた。

緩やかな上昇線。

数か月前の倍近くまで増えている。

 

さらにいえば、肝心のU.M.Fも増加傾向にある。

圧倒的な力を持つU.M.Fに渡り合うにはまず怪獣をなんとかできるレベルが望ましい。

 

「増え続ける怪獣に、人類各国が独自の対怪獣戦力を持ち始める。その過程で、U.M.Fへの依存が崩れる。つまり──」

 

「均衡が変わる、ということか。」

 

その予測は、決して杞憂ではなかった。

 

 

 

 

 

 

同じ頃、日本。

 

セタスの帰還がニュースとなり、街の人々はどこか浮き立っていた。

 

「これで……怪獣、怖くなくなるのかなぁ。」

 

「さぁ? でも、初めてじゃない? 上陸する前に倒したのって。」

 

「U.M.Fより先に見つけて倒したってのがすげーよな!」

 

テレビが星山内閣の会見を流す。

星山は珍しく穏やかな笑みを浮かべていた。

 

『我々は、怪獣に対して初動での勝利を掴みました。だが人類にとって最大の敵は、怪獣そのものではありません。備えがないことです。星山プランは、いままさにその備えを形にしたのです。』

 

記者たちが拍手を送る。

世論は一気に好感へ傾き始めていた。

 

 

 

 

 

 

人類が勝利に酔う裏で、海の底では別の現実が進んでいた。

 

霧の艦隊……東洋方面第一巡行艦隊旗艦コンゴウは甲板の上で悩んでいた。

 

それは人類の生み出したディルフィスやバラグーダと言った新兵器──

 

──などではない。

 

霧の艦隊は人類が想定している以上に怪獣と戦闘行為を行っている。

 

人類との接触を避けるために海底で活動する霧の艦隊の情報を人類はまだ知らないのだろう。

 

アシハラ曰く、怪獣は霧の艦隊を外敵として攻撃していると。

 

だから、霧の艦隊の面々が怪獣と戦闘をするのは何も不思議なことじゃない。

実際、コンゴウも巨大なロブスターなどは何度も撃退している。

 

コンゴウはたとえ、どれだけ弱い怪獣であっても情報を伝達するように自身の東洋方面第一巡行艦隊に伝えている。

 

それが功を奏したのかそれともそのせいでこうも悩んでいるのか。

 

霧の駆逐艦が負けた。

 

やられた駆逐艦……アケボノの最後の情報はどんな怪獣にやられたかの見た目の情報だけ。

アケボノの反応はその時にはすでになかった。

 

任務に忠実であったアケボノがやられたことは口惜しいが、嘆いても仕方がない。

 

アシハラから聞いた()に残骸として霧の艦艇があったことからわかっていたはいたが怪獣もなめてかかれるような相手ではないということだ。

 

「コンゴウ!本当に聞いてくれてるのー?」

 

「……マヤ。その楽器はなんだ。見た目こそホルンだが音が違うぞ。」

 

「え……。」

 

 

 

 

____________________________

 

 

 

セタスとかその他もろもろの星山プランはよくも悪くも原作にはいなかった霧の艦隊のせいで原作よりも時期が遅くなっていると考えておいてください。

怪獣ホムスビどうしようかね……。完全に陸上戦なんだよね。メンタルモデルだけで行くか……?

 

 

 

 

設定資料集

 

 

 

 

 

星山銀河総理大臣

一応、怪獣自衛隊原作では二人目の総理大臣。

一人目は怪獣オロチの段階で辞任しているので今作では未登場。

星山プランの成功で支持率があがった。

 

 

セタス

ディルフィスを運用するための母艦。

ヘリ空母などとしても使えなくはないが、あくまでメインはディルフィスの使用。

現在二番艦から四番艦の建造中。

 

 

ディルフィス

海中探査ドローン。作中の人類基準で最新技術を搭載しまくったもの。

 

 

バラグーダ

対怪獣用の魚雷で手動操作と自動操作が可能。

手動の場合は超音波信号で操作するためタイムラグが少しある。

 

 

 

(もうすでに数種類出しているけど)オリジナル怪獣の有無。

  • どんどんやっちゃてー
  • 好きなように
  • これ以上はやめてほしい。
  • 原作の怪獣を出し終わったなら…
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