怪獣超戦艦   作:ロールクライ

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そういえば、時系列を話すのを忘れていました。
時系列的には怪獣ヒルコを初めて海中で観測したときです。
なので、怪獣自衛隊の一番最初に出たオロチはすでに撃退済みです。





出現

 

 

 

 

午前五時、太平洋南東。

 

 

夜明けの空を横切る一筋の飛行雲。

 

その下で、海上自衛隊の哨戒機P-3Cが静かに旋回していた。

 

艦影を捉えたのは、前夜の二十三時三十八分。

 

赤外線カメラに映ったそれは、確かに存在していた。

 

レーダー反射波も音響も正常に記録。

だが、奇妙なのはそのシルエットだった。

 

「……おい。これ、旧式の重巡じゃないか?」

 

「そんなわけない。あの艦橋構造、70年以上前の設計だぞ」

 

「ああ。…船体の形は…大戦時代の最上型にしか見えん」

 

オペレーターたちは顔を見合わせる。

 

波間に揺れる黒い艦影は、確かに存在している。

 

報告は即座にTaPs本部へ上がり、翌朝には防衛省を通じて首相官邸へ。

 

それと同時に、アメリカ太平洋艦隊司令部も緊急会議をすることになる。

 

 

 

 

 

 

 

東京・市ヶ谷。防衛省にある「特災統合指令会議室」は、異様な沈黙に包まれていた。

 

壁面のスクリーンには、衛星監視網から送られた解析画像が投影されている。

 

海面に浮かぶ、旧帝国海軍最上型巡洋艦――「三隈」に酷似した艦影。

 

「映像、拡大」

 

特殊災害対策室──TaPsの責任者にして海上自衛隊の海将補の弘原海の声が低く響く。

 

操作員が応じ、画像が数倍に拡大される。

 

艦体の上部構造物は確かに戦中のシルエットを持ちながらも、光を放つラインが艦首から艦尾へと脈打っていた。

 

「この反応、通常のエネルギー放射じゃありません。」

 

弘原海は眉をひそめる。

 

空気が凍る。

わずか数週間前、カガチと呼ばれる怪獣が日本近海で出現。

TaPsによる全力の対応準備が進む中、その怪獣を撃破したのは、正体不明の旧型駆逐艦――後に分析で「朝霧」と識別された艦影だった。

 

現場の哨戒機部隊の通信記録には、あり得ない光学兵器の描写。

 

「赤白い光を放つ砲撃」

「怪獣の攻撃を無力化する半透明の障壁」

 

いずれも人類の兵器体系とはかけ離れたものだった。

 

そして今度は、巡洋艦「三隈」。

その存在が確認された。

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・ナニコレ?

 

思わず、声に出してしまいそうになる。

先ほど構築されたばかりの戦術ネットワークに現れた、たった今の戦闘記録。

 

いや、アドミラリティ・コードで怪獣という存在は知っていた。

知ってはいたが、こうして目にすると、少し心が惹かれるものがあるな。

 

まあ、実際に見たわけではないから、そう思うのかもしれないが…ふむ。

 

わたしは人のネットワークにアクセスし、情報を漁る。

──ユニオンコア様々だ、などと呟きつつ。

 

ひと通り情報を収集したあと、辺りを見渡す。

 

暗く深い海の中。

 

一度は海上に姿を現したものの、人間がいる以上、仕方なく再び海中へと戻ったのだ。

 

こういうとき、霧の艦艇は便利だ。水上艦でありながら海中に潜れるのだから。

 

それにしても、怪獣はどれほど強いのだろうか。

 

人類が「カガチ」と呼ぶあの存在は、駆逐艦でも撃退できた。

だが、油断できる相手ではないことは確かだ。

実際、戦闘を経験した朝霧の記録を借りれば、「クラインフィールド飽和寸前だったわぁ(意訳)」らしい。

 

超戦艦なら問題はないレベルだが、同じ霧である以上、失うものはなるべく避けたい。

 

「メンタルモデル、か。」

 

わたしは形成した自分の身体を見下ろす。

 

…なかなかに美形だと言っておこう。

 

演算能力は必要になるが、戦術を知る上で重要な存在だ。

これさえあれば、霧は戦術を知ることができる。

 

そんなことを考えているうち、一つの疑問が頭から離れない。

 

わたしが超戦艦だからなのか、霧のことを知っている。

いや、単なる記録情報としてではない。

どこかで、客観的に見た──まるで物語の中で見たような気がしてならないのだ。

 

「まあ、仮にそうだとしても、やることは変わらない。」

 

──アドミラリティ・コードの命令に従う。

 

それが、今、私に課せられた使命なのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

「理解したいのはそこじゃない!」

 

会議室のスクリーンが切り替わる。

 

そこに映るのはワシントン・ペンタゴンの作戦会議室。

 

アメリカ国防長官リチャード・クーパーが声を荒げていた。

「私たちは朝霧の戦闘データを確認した。貴国の哨戒機が収集した映像には、明確にエネルギー兵器の発射が記録されている。あれはどう考えても旧型艦が出せる火力じゃない! 一体何が起きているんだ?」

 

弘原海は眉根を寄せたまま、言葉を選んだ。

 

「我々も調査中です。ですが、現時点で朝霧は我々の艦艇ではないと断定しています」

 

「では、どこの艦だ? ロシアか? 中国か? それとも、あなた方が隠している怪獣対応の実験艦か?」

 

「どの国にも該当艦は存在しません」

 

一瞬、通信が沈黙した。

そして、米国務省の分析官が言った。

 

「……まさかとは思うが、怪獣の擬態ではないのか?」

 

その言葉に、会議室の空気が重くなる。

だが弘原海は静かに首を振った。

 

「あり得ないとは言えません。怪獣とて未知の存在なのですから。しかし、生物の擬態にしては些か精巧でしょう。それに擬態であればあのような魚雷など出せはしません。」

 

「では、どう説明する?」

 

弘原海は答えず、かわりに操作員に目配せする。

 

次の映像が再生される。哨戒機が捉えた朝霧の最終行動。

 

カガチを撃沈した後、艦体がゆっくりと海霧に包まれ、数秒後には完全に姿を消した。

海面に残ったのは、微細な電磁ノイズのみ。

 

「我々の結論は――朝霧は人類の艦ではない。ただし、怪獣とも異なる。第三の存在。TaPsでは暫定的に未確認機動艦体(U.M.F)と呼称しています。」

 

クーパー長官が舌打ちする。

 

「新たな分類か……。まるでSFだな」

 

「ですが、現実です」

 

「で、その三隈とやらはどこにいる?」

 

「太平洋。硫黄島右方、およそ300km地点です。現時点では活動の兆候はありませんとのことでしたが……。」

 

そのとき、情報幕僚が通信を差し出した。

 

「失礼します。衛星より新規データが入りました。対象、三隈と思しき艦体、行動を開始しました」

 

会議室の誰もが息を呑んだ。

 

弘原海が小さく呟く。

 

「……やはり、朝霧だけではなかったか」

 

 

 

 

 

 

数日後。

 

SNSでは太平洋各地で現れ始めた謎の艦隊の話題で持ちきりであった。

 

幽霊艦事件、時空の亡霊、旧帝艦の帰還、などという言葉がトレンド入りした。

 

映像はいつの間にか海外の掲示板にも流出し、

やがてそれは陰謀論と都市伝説を巻き込むかたちで拡散していく。

 

一方、防衛省とTaPsは観測体制を強化。

 

哨戒網を拡張し、各国との情報共有を進める。

だが、その最中に――

 

「新たな艦影、北緯34度東経146度。例の旧式戦艦と思われる」

 

という報告が上がったのは、三隈が消えてからわずか九日後のことだった。

 

海は、再び静かに波打っている。

 

だがその下で、巨大生物らしきナニカが人類に近づいてきていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

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設定資料集

 

 

 

共同戦術ネットワーク

霧の艦艇のみがアクセスできる戦術ネットワーク。本作品では葦原の影響でメンタルモデルなどの本来目覚めた直後の霧の艦隊にはない概念も含まれている。

 

 

 

 

駆逐艦…「朝霧」

 

    全長等:大日本帝国時代の駆逐艦朝霧と同様。

   

    機関:重力子エンジンS型 24基

   

    最高速力:80kt以上(水上)

   

    武装:127mm荷電粒子砲

      :610mm魚雷発射管 ×3

      :13mm パルサーガン ×4

 

 

 

 

 

TaPs

怪獣自衛隊に登場する自衛隊内に設立された「特殊災害対策室」の略称。陸海空全ての職種から人員が構成されている混成部隊である。本作品では、霧の艦隊に関しても一応管轄となっているが、怪獣と違って人工物であるため手出しは厳禁とされている。

 

 

 

オロチ

怪獣自衛隊世界において人類が初めて観測した怪獣。成体は全長200メートル以上で、音に対して非常に敏感である。また、口内にかなりの数の棘付き触手を持つ。

※ここら先オロチが登場するかはわかりません。

 

 

 

 

 

 

蒼き鋼のアルペジオ本編に出るメンタルモデルを出すかどうか

  • 出す
  • 出さない
  • 戦艦系は欲しい
  • 重巡系は欲しい
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