怪獣超戦艦   作:ロールクライ

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なんか、アシハラが思ったように動いてくれねぇのです…!


極北方面艦隊旗艦

 

 

 

 

口から白い息がとびでる。

アシハラは今、北極圏を航行している。

 

人類に存在を悟られないよう、霧の艦艇特有の静穏性を最大限に活かす。

 

けれども、一人での航行というものはやはり寂しいモノである。

 

人は孤独であると死んでしまうという。

なら、人の身体を真似したこのメンタルモデル(からだ)はどうなのだろうか。

 

「…っとこんなことを考えている暇なんかなかったんだった。で?いい加減通してくれない?」

 

先ほどまでの静寂は一瞬で破られた。

 

目の前にいるのは大戦艦ネルソンとそのメンタルモデルだ。

 

「いやさ、起きてるのは知ってたよ?うん。でも、ちょっとくらい連絡をしてくれてもいいんじゃないかな?」

 

ネルソンはアシハラが用意した椅子に腰かけ、テーブルに置かれた紅茶を見る。

 

灰色の長髪が赤いドレスによく似合っている。

 

もちろん、飲む必要などない。飲食そのものが、メンタルモデルには不必要だ。

ただ、摂取しようと思えばできる。

それだけの話だった。

 

「…我々はあなたという存在をどう扱うべきか、決めあぐねている…のですわ。」

 

とってつけたような語尾。

しかし、彼女は目は真剣だ。

 

「あなたは我々が本来知り得ない──いえ、これから知るような事実を知っていた。それは何故です?」

 

「たぶん言っても信じないと思うんだよね。霧の艦隊としてイッチョ前に理論を持つあなたじゃ。」

 

「…ほう?それは俄然気になります、のですわ。」

 

「間違ってないその使い方は…?まあいいや。わたしとしてはこのまま大西洋に行ってレパルスと話したいんだけど…」

 

レパルスとアシハラが口にしたときネルソンの口元が僅かに動く。

 

「何故──何故彼女なのですか?西欧の艦艇とのコンタクトならば、(わたくし)でも可能でしょう。それをしないのは何故?…いいえ、単純に連絡を取る手段なら、霧である我々は遠隔でも連絡する手段はあります。実際に会いに行く必要があるのは何故なのです?」

 

嫉妬などではない。

純粋な疑問である。

 

確かに、ネルソンの言うことは正しくて、実際に会う必要などないのかもしれない。

 

でも、アシハラには霧の艦艇超戦艦葦原となる前の()()がある。

 

前世と片付けてしまえばそれまでだ。

霧の艦艇という人工知能的存在同士でも、そうした概念があり得るのなら。

もしくはスピリチュアルな方向で生物間同士ならあり得ると納得できるかもしれない。

 

それでも、アシハラは話さない。

 

ネルソンは理解できない。

理解できるはずがない。

言えば嘘だと思われるだけだ。

 

「これだけではありません。まだ、超戦艦の特権であるというのなら納得が出来ましたわ。ですが、あなたが戦術ネットワークに出したこの情報はまるで…。」

 

「まるで──空想の御伽噺を聞いているみたい?」

 

ネルソンの目に動揺が走る。

 

「だってしょうがないもの。わたしにはそう()()()のだから。これが超戦艦だから持つ能力ってわけでもないようだしね。」

 

アシハラが軽く肩をすくめて言った瞬間──ネルソンの瞳の揺らぎが、はっきりと警戒に変わった。

 

「……アシハラ。あなたは自覚が薄いのですわね。」

 

ネルソンはゆっくりと立ち上がり、テーブルに置かれた紅茶の湯気を一瞥した。

霧の艦艇の動きとは思えないほど、静かな怒気をはらんでいる。

 

「あなたは、一つの艦隊の旗艦にすぎません。霧の艦艇全体の指揮権を持つ ()()() ではないのです!」

 

その声は、北極の冷気よりも冷たかった。

 

「身勝手にこちらへ出向く必要などない、のですわ。」

 

アシハラは黙った。

ネルソンの言葉を受け止めながらも、反論しない。

いつもの軽口も出ない。

 

「……。」

 

その沈黙が、ネルソンの警戒をさらに強める。

 

「あなたは、説明できない何かを持っている。それは能力ですらなく、ただの妄言かもしれない。ですが──今のあなたは、霧の艦隊の秩序を乱しうる存在なのですわ。少なくとも(わたくし)にはそうであるようにしか見えません!」

 

ぐっと詰め寄るように、彼女は続ける。

 

「レパルスに会う? 大西洋に渡る?そんな行動、独断専行以外の何ものでもありませんわ!」

 

アシハラは、まだ沈黙のままだった。

 

ネルソンの口元がわずかに震える。

 

「……確かにそうだね。あなたの言う通りだとも。私の独断専行だし、あなたたちから見て、わたしが怪しいということもよくわかる。」

 

アシハラは顔を上げて、言う。

 

「でも、別に何の目論見もないんだよね。実際。ただ会って──ただ話してみたかっただけ。」

 

ネルソンの眉がわずかに寄る。

 

「大戦艦コンゴウにしかり、あなたにしかり、慎重…いや、変に生真面目というか。霧の艦隊って、そういう気質が標準なのかもね。」

 

ふっと視線を落とし、アシハラは胸の奥の()()を探るように呟いた。

 

「──やっぱ今のなし。元々だわ。それが()()()の性格ってわけだ。」

 

「何を言っているのです?」

 

アシハラは笑わない。

冗談めかした語尾もつけない。

 

「いや、なに。頭の中を少し整理していただけ。」

 

ふぅとアシハラは深呼吸をする。

先ほどまでの緊張が嘘のようである。

 

「ねぇ。極北方面巡行艦隊旗艦殿?わたしはそんなに怪しい?」

 

「ええもちろんですわ。話す前よりかもずっと。」

 

ネルソンに緊張が走る。

 

別に殺気とかそういうものが出ているわけではない。

 

ただ、アシハラは静かに柔らかく笑っているだけ。

 

「あなたとはいい関係になれそうだね。ネルソンちゃん?」

 

「──勘弁してほしいですわ。」

 

極北方面巡行艦隊のネルソン以外はこの会話を聞いていない。

 

だが、アシハラを怪しんでいる存在はなにも彼女だけじゃない。

 

本来知らないことを知っているのはそれだけに十分怪しいのだ。

 

「では、最後にいくつかの質問をしますわ。……あなたの人となりは把握しました。ですので、この質問の回答次第では、今回の件を不問としましょう。」

 

「お気遣い感謝するよ、ネルソン。」

 

ネルソンは半眼で見据えながら問う。

 

「あなたは霧の艦隊の敵となる存在ですか?」

 

「いいえ。」

 

「あなたは人類の敵ですか?」

 

「それが必要になるのなら。」

 

「あなたは怪獣の敵ですか?」

 

「…たぶんね。」

 

「それらを何に誓いますか?」

 

アシハラは迷わず言った。

 

「霧の超戦艦として。アドミラルティ・コードのために。そして最後にわたし自身のために。」

 

「…いいでしょう。あなたをこの先に通すことを許します。」

 

その声には、警戒だけでなく、旗艦としての判断と得体の知れない何かを感じ取った直感の両方が滲んでいた。

 

 

 

 

______________________________

 

 

 

 

 

「大戦艦コンゴウにしかり、あなたにしかり、慎重…いや、変に生真面目というか。霧の艦隊って、そういう気質が標準なのかもね。」

ふっと視線を落とし、アシハラは胸の奥の記憶を探るように呟いた。

 

この部分でアシハラが何を思い出したかは想像にお任せしますが、だいたいは乙女プラグインなどを想像してもらえればよろしいかと…。

 

 

 

設定資料集

 

 

アシハラの記憶と性格。

端的に言えば前世の記憶。しかし、完全に思い出せるわけではない。今のアシハラは断片的にしか読み取れていない。性格に関しては話す相手と状況によってかなり変化する。アシハラに過度なストレスがかかると前世の性格が自然に出てくる。曲がりなりにも兵器なのにストレスとはこれ如何に。

 

総旗艦について

ここにきて重大な情報。

アシハラは総旗艦ではないのである。本当の総旗艦もちゃんと超戦艦である。

 

 

 

掲示板回を作ってもよいか。

  • やってもいいと思う
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