どうやら私の義弟は年上らしい 作:ニートになりたい社畜
ルディが剣術を護身程度に父様に習い、そして反復練習の打ち合いに私が付き合う様になった。そんなルディはやはり闘気が練れない様なので、なるべく手加減して相手をすることとすることになるがまぁフィジカルの差が浮き彫りになってよくよく吹っ飛ばしてしまうことが増えてしまっている。
「あ、ごめん! 加減間違えた」
「いてて、大丈夫ですよ姉様」
心配して損した気分だ。ウェヘヘと鼻の下が伸びた笑顔を見せて、躓いたフリをして胸元に飛び込んで来たらそのまま顔を胸に擦り付ける我が弟。避けないことをわかっているからまぁ、やりたい放題と言うか性欲に忠実すぎる。
闘気で強化した握力でルディの頭を掴み持ち上げて灸を据えるべく。にっこり微笑んでマッスルベアーを励起して人差し指を引き絞る様にデコピンの準備。
「ルディぃ? セクハラは控えろって、こう言う訓練の時はするなっていつも言ってるよね?」
「あの、姉様痛い、痛いです!?」
「問答無用、ちったぁ反省しろこのすけべ小僧!」
「いってぇぇぇぇ! もがっ!?」
渾身のデコピンがルディの額に炸裂してそのまま、土魔術で構築した土塊のクッションに頭から突っ込んでそのまま突き刺さるルディ。ジタバタしてもがいているのをよそにとりあえず今日の訓練は切り上げると告げて家に入った。
別に覗きやら視姦、乳揉みという普段のセクハラに鬱憤が溜まっているとかそんなことはない。多分、きっと、メイジェイ。そして、ロキシーさんもジロジロ見ないで欲しい。自分より身長が高くて(155cmになった)乳房が大きい(大体Dくらいのカップ数になった)子供なんざごまんと居るだろうし。
「ははっ、無詠唱もできず、発育まで抜かされて私に何が残るんでしょうかアイリ」
「虚無った顔でそんなこと言わないでくださいよロキシーさん。ミグルド族って小さい種族なんでしょう?」
「そうなんです、そうなんですけどぉ!」
種族的な宿命は逃れ得ない。蛮族としてドレイクの成長ってのはよく分からないが発育はかなりいいからなぁ、イラストを思い返すと。恵体に育ちやすいのは竜の因子が悪さをしてるのかあるいは。
しかし、胸がここまでデカいのは正直勘弁して欲しい。動きにくいし、下着だってすぐに合わなくなる成長スピードはちょいとなぁ。剣術を阻害する大きさになるのはいただけんぞこれ。
「アイリも私並みにスタイルが良くなるわよきっと」
「神官やら魔術師ならほぼ動かなくてもいいけど剣士志望だから邪魔で辛いです母様」
それとなく相談したが、母様は私の成長が嬉しいのかあらあらと全て流してしまう。リーリャもまた「お嬢様ならきっと素敵で立派なレディになられますよきっと」で誤魔化す。いや、成長を止める方法を教えて欲しいんだよこっちは!
が、そんな願いも虚しく。結局15歳になる頃には、Hくらいの大きさになった。まぁ、苦労するのは未来の私だから今はその話は無しだ。
で、成長といえばついに私にも初潮が起こったのだが困惑してしまう出来事だった。と言うのも、ドレイクという蛮族は設定の都合上竜を模した種族。故にその繁殖は鴨嘴に似てる卵生だ。産卵は竜化した状態行う事なるのだがどうやら私は人間体の方で過ごしてるからなのか普通に月経が起こると思っていたのだが。
「う、動けないっ……!」
「どうしてこんなことに!?」
「落ち着いてください奥様」
「アイリが妊娠したかもしれないのよ!? 落ち着いてられますか!」
「妊娠するようなことはしてないから母様!? 相手が、番いは居ませんから!?」
大騒ぎになった。体調が安定しないなぁと思ってたところにお腹が苦しくなってきたと思ったら膨れてきたのである。明らかな異常に母様に相談したら逆に大騒ぎになってしまったのである。あれよあれよと数日過ぎて、ベットから動けなくなったのだ。
「アイリ、取り乱しちゃダメよ。ひっひっふー、よ!」
「取り乱してるのは母様ですよね!?」
「あ、アイリ。気を確かに持ってくださいね? 大丈夫、大丈夫ですから」
「ロキシーさんも落ち着いてください、リーリャは落ち着いてるよね!?」
「はい、お嬢様。産湯の準備は済んでいます」
「ダメだ全員ポンコツになってるぅ!?」
頼れるのがいない、と思っていたらお腹が痛くなり。思い出したくもない大騒ぎの中で私は確かに産んだのだ。生まれてきたのは赤子ではなく……無精卵だった。どうやって産んだのかとかはもう思い出したくない。
「た、卵が生まれたわ!? 大きい卵が」
「はぁ……ふぅ……ふぅ〜……ど、ドレイクは卵生、なんですけど……こんなのだっけか」
「つまり、これは無精卵でよろしいのでしょうか?」
「ええ、近所の猫の餌にでもすればいいですよ。自分が産んだ卵なんて食べたくないです」
後日、無精卵は庭に埋められて処理された。だって食べるわけにもいくまい、あんなの。蛮族が持つ穢れを私がもっているかとかは一切わからんが、そんなものを食べたらどうなるかわかったものじゃない。
しかし、この先の生理がコレなのかと思ったが、それ以来さっぱり途絶えている。まぁドレイク自体の生殖って生涯に数度だというし。
そんな大騒ぎの間、父様とルディは何やら男同士で何かあったのか距離を縮めていた。リーリャからの又聞きでは父様がルディのセクハラを咎めたら、私に対しての愛情を語ったルディに父様は丸め込まれたのだとか。何やってんねんあいつ!?
「だって僕は、姉様が欲しいから。誰よりも優しくて、父様よりも強くて綺麗な剣舞をモノにしてて。ブエナ村で一番綺麗な
後日問いただすとあんまりにもあんまりな、どストレートの欲求が飛び出して頭を抱えた。ルディ曰く初めて見た銀髪青眼の
「安心しろルディ、私は生涯独身のつもりだから。そのシスコン拗らせるな、私にとってルディは弟で大事な家族の一員から変わることはないんだ」
「絶対振り向かせて見せるから、その時まで待っててくださいね姉様」
「無敵かこいつ!?」
初恋を諦めたくないと、ルディは硬く決心している様で。某バイオでハザードな物語が主役の新米警察官が困った時のセリフを引用するなら‘泣けるぜ’、いや笑い事じゃねえんだよなぁと思いながらルディと打ち合い、魔術の訓練をしてあれこれやっていたある日。ロキシーさんがルディに最後の授業を行うと言った。いよいよ大詰めの聖級の認定を行うために、明日遠出をして魔術の授業を行うそうだ。
「ロキシーさん、明日はルディをよろしくお願いします」
「はい、お任せください。と言いたいところなんですが、明日はアイリにも付いてきてもらいます」
「え?」
§§§:ロキシー
カッポカッポと道を行くカラヴァッジョ、目的地までの道のりとしては二時間ほどで到着できるでしょうが。震えていたルディもいつの間にか上機嫌で揺れを楽しんでいる様で、何よりです。
「アイリ、疲れてませんか?」
「腐っても剣士志望ですから体力には自身がありますよ?」
「野暮でしたね。失礼しました」
「構わないですよ、姉様は体力バカですから」
そう言ったルディの額に石粒が飛んでクリーンヒット。その場で額を抑えて悶絶していたが、気にしない。カラヴァッジョが若干呆れた様に嘶いた気がするけどきっと気のせいだ。
さて、奥様からはアイリが聖級魔術師としてやっていけるかを見定めて欲しいと頼まれて今回同行してもらっている。カラヴァッジョの鞍のサイズ的に私とルディの2人を乗せるのが限界だったが、アイリはその腰元に備わった翼を用いて飛翔することができる。カラヴァッジョの歩みに合わせてアイリは並走ならぬ並飛翔でついてきてくれているというわけですね。
その飛翔の原理は彼女にも不明と、研究すれば革命が起こりそうではあるけれど‘ドレイク’と言う希少種族も真っ青になる龍族の血筋の彼女だからこそ出来る芸当かもしれない。
「ここですね、着きました」
「いい場所ね」
「はい、とても良いところです。では、ルディ始めましょうか」
「はい、よろしくお願いします!」
私の一言に彼女は満足そうに辺りを眺めています。そして、私はルディに卒業試験の課題を通達します。キュムロニンバスを成功させると言う課題を。
「まずは手本を見せます、良いですか2人とも。よく見て、聞いててくださいね」
「その前に、カラヴァッジョは大事な父様の馬だ。私が守っておくよ」
「……そ、そうですね! 万が一がありますからお願いしますアイリ」
そう言って‘アースフォートレス’を無詠唱で発動するアイリにムッとなりつつ、いつもやらかすわけじゃないんですよ私も! と内心で抗議してこの2年間の思い出が頭を過ぎる。詠唱を刻みながら想いを馳せて、久々に行使する。
「雄大なる水の精霊にして、天に上がりし雷帝の王子よ! 我が願いを叶え、凶暴なる恵みをもたらし、矮小なる存在に力を見せつけよ!」
杖を掲げ、強大な作用を図る風を呼び雲を作り出す。発生した積乱雲は稲光と雷鳴を響かせてその凶悪なる光を強く、もっと強く!
「神なる金槌を金床に打ち付けて畏怖を示し、大地を水で埋め尽くせ! ああ、雨よ! 全てを押し流し、あらゆるものを駆逐せよ! ‘キュムロニンバス’ッッッッ!」
魔石が魔力を増幅する。その雨は地を潤すだけに飽き足らず水難水害をもたらさんと強く降り落ち、風は力強く大地から木を引き抜き振り回しかねない暴風。その刹那に、アイリの発生させたアースフォートレスに雷が直撃した。
「「「……」」」
気まずい空気が流れるが、ごほんと咳払いで誤魔化す。アースフォートレスの中にいたルディに笑いかけながら、詠唱をもう一度伝える。
「──こ、これがキュムロニンバスです。さ、さぁ次はルディの番ですよ」
「アッハイ」
彼が入れ替わる様に出て行き、私はその土の壁の中に避難させてもらいます。じとりとした非難がましい視線が痛い。恐縮で小さくなっている私に対してため息を一つしたアイリが
「父様には何も言わないでおくよ。今回のは不幸な事故だからさ」
「は、はい。ありがとうございます、アイリ」
「ロキシーってたまにうっかりと言うか洒落にならない失敗するしフォローは大事でしょ?」
「うぐ」
そんなやりとりで緊張をほぐして外を見ると、ルディがコチラを見て笑ってくれた。その仕草にこう、胸が熱くなる様な感覚を覚えましたがその直後です。
「雄大なる水の精霊にして、天に上がりし雷帝の王子よ! 我が願いを叶え、凶暴なる恵みをもたらし、矮小なる存在に力を見せつけよ!
神なる金槌を金床に打ち付けて畏怖を示し、大地を水で埋め尽くせ! ああ、雨よ! 全てを押し流し、あらゆるものを駆逐せよ! ──‘キュムロニンバス’!」
アイリもそれを見上げて、驚いてました。先ほど私の見せたそれより、はるかに大きな積乱雲がそこには鎮座していたのだから。蓄えた稲光を地に叩き込み、雷鳴が弾けて轟音と爆風が爆ぜる音が聞こえましたが……
「うちの弟、すごいでしょ?」
「そうですね。天才です、おめでとうルディ」
その後、アイリがその仕掛けを話してくれましたがよくわかりませんでした。すーぱーせるとはなんぞや?
「で、私もやれば良いのよね?」
「はい、見極めさせてもらいたいです」
「了解。ちょっと派手にやってみますか、本気で」
アイリは混合魔術を用いて、ルディのやっていた方法を真似たのか気流を上に上に伸ばして空をかき回すだけに飽き足らず。ヒートアイランドで広範囲を加熱。その上に凄まじい数のウォーターボールを乱射して大量の霧を作り出すを作り出しながらさらに加熱。膨大な霧が上に、どう言う理屈なのか風の魔術もなしに昇っていく。
「三種混合魔術っ!?」
「姉様にとっては簡単かと。このアースフォートレスも維持しながらやってるみたいですけど」
詠唱もなく、凄まじい魔力を直接操作すると言う出鱈目具合はよく見知っていましたが、普段の5倍の魔力を使っているのも見えます。その魔力は高い素養のあるルディよりもはるかに、逸脱しているのがよくわかります。
「まだまだ、もっとかな?」
「アイリ、これ以上は危険です! アースフォートレスが砕けかかってます!」
「あ、ごめんなさい」
空の果てまで伸びる積乱雲はとんでもない大きさになっている。蓄えた稲光と雷鳴はそれはもう……若干漏らしかけました。
「──大地を焦がし、開闢せよ」
その命令が聞こえた途端、私は見ました。キュムロニンバスが児戯に見えるほどの、大きな雷が付近に落ちるのを。世界が真っ白に染まって、直後に地震と見紛うほどに大地が揺れて、爆音や轟音が耳を貫き。思わず尻餅と共にへたり込んでしまいました……あっ、これはいけませんね……。
目が慣れて、腿をつたる不快な濡れも意識の外に。アースフォートレスから身を乗り出して見るとそこには巨大な窪みが地に刻まれていました。豪雨に打たれて雨に濡れる体が冷えますが、これは。
「これがキュムロニンバスなんですか?」
「うん、やりすぎちゃった」
「きゅるんとして誤魔化さないでください」
べし、とチョップで抗議して。杖もなしによくぞここまで出来るモノだと呆れと関心が半々で。私はこの日、一から己を鍛え直す決心がつきました。
「アイリ、あなたはすでに聖級の範囲を超えています。ですがその判断は私にはできません」
「まぁそうだよね」
「ですので、この試験に関しては保留とさせてもらいます」
なんとなくわかってたと言わんばかりの表情に、待ってるからと応えてくれた気がします。
「必ず、私も王級になって見せます」
「ん、待ってるよロキシーさん」
判断できる基準を身につけて、再会を約束した。そして、翌日……私はグレイラット邸を後にする。奥様も旦那様も引き留めてくれたが、自分にはもうできることも教えることもできないのだから当然だと。
「また会いましょう、師匠!」
「またどこかで」
長くも短い2年の月日。それを思い出しながら、私は前に進んだ。
??????「なんだこの異常な魔力の動きは……前にはなかったし、確認して見るか?」