遠い宇宙のバトンリレー   作:黒兎可

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次なる塔矢アキラへの課題

 

 

 

 

 

 棋力高き者求む────囲碁部。

 

 詰碁の問題が書かれたポスターを前に「何だこれ?」と訝しむバスケ部の面々だが、サイズは小さく隅の方に置かれていることもあり、特に気にせずペタペタとポスターを張っている。

 春先、新入部員の獲得に忙しいのはどの学校のどの部活でも一緒。ここ区立葉瀬中学校でもそれは同様だが、かろうじて虫の息の囲碁部のことなど誰も気にはしていない。もっとも今年になってから、正式に部員が三人となったので部活動としては辛うじてメンツが成り立ったのだが。

 

 そんな詰碁の問題を「何か変だぞ、これ」と興味なさそうながらも睨む茶髪の新入生がいたりはするが、それも特に気にはされたりしていない。

 

 さて、そのポスターに書かれた部室たる別棟の理科室においては────。

 

 

 

「この碁盤やべぇな……、もらいものにケチつけるの悪いけど星とかかすれてないだけ奇跡だろ」

「タマ子先生もお下がりだって言ってたからね……。足つきがあった方がそれっぽいってことで、譲ってもらったけど」

「ヒカル、買ってもらったあれ持ってこようか?」

 

 

 

 件の囲碁部が、三者そろって頂きものの足つき碁盤を見て、何とも言えない表情になっていた。

 部活動としては最低限の出場実績を二月にしたことで、はれて部活動として(辛うじて)設立とあいなった葉瀬中囲碁部であるが。神妙な顔で「足ここ欠けてるけど大丈夫かな筒井さん」と冷や汗をかいてる進藤ヒカル、「碁石はちゃんと置けるし音も悪くないから、ヒビとかは入ってなさそうだよね」と苦笑いする三年の筒井公宏、「私、そんなに打たないから新品ならあれでいいと思うけど……」と三月にヒカルからとある事情で碁盤をプレゼントされたあかりと、それぞれが目の前のボロボロの碁盤に色々と意見を言っていた。

 

「いや、せっかく俺が払ったんだからちゃんとあかりは使えよー。()()()だし」

「記念品?」

「後になってもまーた()()()()()()やってたら、煽り散らすのに使う」

「ええっと……、えっと、えっ?」

「定石定石」

 

 だから絶対その定石って使い方間違ってるよ~、というあかりに、腕を組んで目を細め頷くどこか所作がじじくさいヒカル。筒井はそんな両者を見て、苦笑いが深まった。事情はわからないが、相変わらず仲がよさそうだという感想であった。

 

「囲碁部発足記念ってことで、前から顧問をお願いしていたからね。好意で譲ってもらったものだから、それでも大事に使っていかないと」

「盤自体は安定してるし、とりあえず専用のワックス買って磨きます?」

「あっ…………、その、備品の予算はちょっとつけられてなくて」

「筒井さん、大会と交通費くらいってこと?」

「うん。うち、バスケ部強いから、そっちに取られてるし……」

 

 加賀がいれば交渉も有利だったかもしれないけど、と何とも言えない反応の筒井に、ヒカルは「こればっかりは仕方ねーか」と目を細めてため息。やや猫背で、やはり所作がじじくさいことこの上ない。

 加賀鉄男。アキラに絡み、()()()()小学生だったヒカルを中学の大会に無理やり引き込んだ張本人ではあるが、今回はそこまで無体なことにはなっていなかった。とはいえ棋力は認めているのか、顔を合わせたら「囲碁に飽きたら将棋(こっち)こいよ、悪くないぜ」とニヤリとゆるい勧誘をされたりといったこともあった。どちらにも、双方に生かせる素地のようなものがあるため、ある種の青田刈り(?)かもしれない。

 

 ワックス? と聞くあかりに、手入れ用に必要かなってこと、とヒカル。

 

「カビとかはついてねーけど、どう見ても先生の方のご実家とかで雑に放置されてたっぽい感じだろ? こことか傷入ってるし、水垢みたいなのもあるじゃん?」

「そうだね……、水垢」

「木の家具……家具? とかだし、良くないんだよな。多分、雨水か何かが掛かったまま放置してたとかだと思うけど。

 ほら、俺とかマグネット碁盤でも打てれば満足だけど、形だけでも綺麗なやつがあると、それだけでも集客効果みたいなのあるじゃん」

「そうかなあ……?」

「あかりも、ジュニア囲碁交流会に置いてあった碁盤とか、ずらーっと綺麗なやつでちょっと凄いみたいな感じのこと思わなかったか?」

「それは、うん……、キレイだなーって」

「そういうこと。だから、使い古されてるってのはどうしようもないけど、後は定石定石」

 

 あと多分あの碁盤も2年くらい経つまでは割れやすいから注意な~、というヒカルのアドバイスに、そんな取り扱い聞いてないんだけど!? とあかりは慌てた。

 

「ま、とりあえず板タイプの碁盤どうするかですよね~。俺とかはマグネット碁盤で十分慣れてるけど、初心者にはちょっとうぇってなりそうか? 安上りっつーか、低予算感というか」

「そ、そこまでじゃないんじゃないか? でも進藤くんの棋力が、あの安上りなので鍛えられたっていうのがにわかには信じがたいところあるけど…………」

「あっそういえばヒカル、この間いったとき部屋に碁盤あったよね? あれって、倉庫にあったやつ?」

「おう! ジイちゃんと賭けに勝ったからもらったよ」

 

 かけ? と首をかしげる二人に、簡単なあらまし────アキラと打つに至った理由その他もろもろを軽く話すヒカル。

 本来であれば佐為のあの碁盤は、幽霊が出るだの何だの言われ祖父の平八から「止しとけ」とか「儂に勝ったなら新しいのを買ってやる、安いのだが」とか言われて五万円くらいのものをポンともらったりといったことがあるのだが。今回、ヒカルは明確にあの碁盤を欲しがったため、小学生に対して本来なら厳しいだろう条件付きで許可となったのだ。

 ヒカルとしては、新しい足つきの碁盤を買ってもらうのが定石ではあるのだが……、あの()()()()()()、数年後に起こる地震で蔵の中身がしっちゃかめっちゃかになり、それなりにダメージを負うことになるのだ。修復といっても限界を超えており、それでも直そうというのならもはや別な碁盤となってしまうだろう。本因坊となった後に引き取った碁盤には、綺麗に亀裂が走っており、もはや碁を打つのには適していない状態となっていた。

 

 壊れるならせめて碁を打って壊れて欲しい、と。誰に言われたわけでもないが、そのことをなんとなく後悔していたこともあって、逆行後から早々に祖父にねだっていた。それが実を結んだ結果、現在ヒカルの部屋にはあの碁盤が置かれ、使われていた。

 実際、カヤのかなり良い碁盤に違いは無いので、これから出来るだけ大切に使っていくつもりのヒカルだった。

 

「で、それはそうとどうする? 筒井さん。打倒・海王中! ってことで考えるにしても、部員は男子もう一人どっかで確保してくるとして、問題は棋力だし」

「うん、棋力だね」

「…………わ、私、応援してるから」

 

 男子の部と女子の部とで中学生大会も分かれているので、そのあたりは仕方ないのだが。メンツについてはヒカル的には()()()()()ものの、それを踏まえた上でも棋力不足だけはいかんともしがたいところだった。

 夏大会も一つの経験と割り切って出場するのも良いかもしれないが、別に相手と実力が釣り合っている訳でも、ましてや指導碁を打ってもらいに行くわけでもない。

 

「碁会所とかどこか、提携っつーか、スポンサーとかなってもらえないかなあ。学校関係でそういうのやりたいーって言って、お金ちょっとマケてもらうとかして」

「どっちにしても今期は予算がないし、ボクが卒業するまではどうしようもないなあ……、ごめんね? 色々環境整ってなくて」

「いやー、普通に学校で打てるってだけでも、な?」「うん!」

 

 ヒカルとあかりが共に頷くのを見て、筒井は少しだけ口元が嬉しそうに緩んだ。

 加賀に対しては思うところがあるものの、それでも協力してくれたというのを踏まえた上で。その加賀と打って、彼より強かったヒカルとそのヒカルに教わってるらしいあかりが、共に囲碁部の存在をありがたいと言ってくれるのだ。

 上手くは言えないが、なんとなく感慨深くなった筒井は、やはりうまく言葉が出てこない。とりあえず「ありがとう」と一言だけ言って、詰碁の問題集を取り出した。

 

「……で、話戻るけど詰碁の問題って俺にやらせて良かったの? 勧誘ポスターのやつ」

「うん! 加賀が、あれは良くできてる問題だって言ってたから俺みたいに棋力があるやつを探すなら、アイツに任せた方が良いって」

 

 あかりも「ヒカルがいじった問題ってちょっと複雑だからね~」とにこにこ、どこか誇らしげ(?)に褒めてくるのだが。当のヒカルはあははと苦笑いするほかない。……そもそも加賀に出すはずだった、最終的に加賀が雑に解いたあの問題は()()()()()あり、読みを深めることで打つ手が変わるものだ。つまり、どの回答をしたかで相手の棋力をおおよそ測ることが出来る問題だったのだ。

 そんな訳で、あの時ヒカルは加賀をアキラと打たせまいと確信したのだ。アマチュアでも良い線行ってるとはいえ(こども名人の磯部よりは上)、棋力の差がアキラとはそれなりに開いていそうな気配を感じたためである。

 

 つまりは、雑に一刀両断されておまけに「大したことないなあ……」という顔をされかねなかったのだ。

 屈辱・禁断の“二度打ち”である。

 

 閑話休題。

 

「小さいサイズにして詰碁の問題でも載せたらっていうのは進藤くんのアイデアだったし、世話かけるけど、ありがとうね」

「そんな! 多分、二年から俺も出られなくなる可能性あるし、こーゆーのはちゃんとやっとかないとってことで」

「定石?」

「そそ、定石定石」

 

 あかりの確認に、いつものように応じるヒカル。

 筒井は少し寂しそうな顔をして、ヒカルにその出られない理由を確認しようとし────。

 

 

 

「────ヒカル! それって、今年はプロ入段試験に出ないってことか!? なんで……!」

 

 

 

「わわっ!? と、塔矢くんおはよう!」

「うぉあアキラ!? お前、いきなり声かけてくんなよ!」

 

 換気のため開けていた窓の外から声をかけてくる他校生……、見覚えしかない制服と見覚えしかないおかっぱ頭の子に、過剰に反応したあかりとヒカルとを見て、筒井は目を丸くした。

 

 

 

 

   ※  ※  ※

 

 

 

 時間があるなら、ということで、アキラは当然のようにここの中学の囲碁部の部室……部室とは名ばかりの理科室に招かれていた。

 なんとなくプールのような塩素らしき匂いがして、少しそわそわしている。……そして何だろうか、学校に来てから囲碁部の場所を聞いた女子生徒の二人組が、なんでか窓の外そこそこの距離からアキラの様子を伺っていた。

 

 特に何かあるわけでもなく、ヒカルは碁盤にぱちぱちと石を並べながら雑談を振る。

 

「今日はどうやって来たんだ? つーか平日だし、どうしてこっち? 連絡あったら俺、碁会所とかフツーに行ってるし、よくわからねーけど」

「碁会所も、前は緒方さんにつかまってそれどころじゃなかったけどね……」

「いや、あのオジサンのことはいいだろ? つーか、まあ、一回来てたから道覚えてたかもしれねーけど、海王中って電車の距離じゃん。あんま無駄に金かけるなよー」

「実は、囲碁サロンまでを定期にしてあるんだ。それと今日は、市河さんに送ってもらった」

「いちか……、あー、あの美人の受付さんなー。何だよ、デートか?」

「違うよ!?」

 

 何で!? とリアクションが大きいアキラをからかうように笑うヒカル。

 そんなヒカルの並べる棋譜を、あかりはじっと彼の後ろから肩に手を置いて覗いていた。……有体に言って、かなりベタベタしている。スキンシップの度合いが容赦ない。

 何やら三者で空気が完成しているというか、慣れた空気が漂っているというか。いたたまれず、筒井はアキラに声をかける。

 

「えっと、加賀も言ってたけど塔矢名人の────」

「ボクはアキラです。……初めまして?」

 

 どう挨拶したものか悩むアキラに「前に来た時一応会ってるぞー」と雑に言うヒカル。

 とはいえ特にまともな挨拶を交わしたわけでもないので、二人そろって丁寧に頭を下げあったり。

 とはいえヒカルと話したそうな空気を読んで、筒井は「どうぞ」と椅子をすすめてからは空気になることに徹していた。

 

「で、どうした? そっちの学校で何かあったか?」

 

 ぱちり、と石を置き終わったヒカルの確認に「いや、それは────」と言葉を続けようとして、しかし視線は完全に盤面にくぎ付けになっていた。

 

「ヒカル、これは……?」

「うちのポスターに書いてある問題。せっかく来たし、暇つぶしにアキラもやってけよ。お前なら多分、5分くらいで解けると思うし」

「う、うん。まあ、そうなんだけど────」

 

「ヒカルってば、塔矢くんに碁の問題とか出したらお話にならないんじゃない? 二人とも囲碁大好きなんだから、先に何できたのか聞かないと」

 

 あっ悪い、とあかりのコメントで正気に戻ったヒカルの一言で、いったん詰碁は中断された。タイミングとしては完璧で、よく見ている。

 そして珍しく視線を上にそらしながら、アキラは頭をかきつつ話す。

 

「その……、ボク、中学は一応囲碁部所属ってことになるんだ。進学が決まってから、前々から校長先生に打診されてて」

「そりゃ、塔矢名人の秘蔵っ子とか引く手数多だろうしなぁ」

「だけれど、大会に出てもいいものかと思っていて…………。お父さんも言ってたけど、あまり良い影響は残さない気がして」

 

 実際そうだろうな、とヒカルはアキラのコメントを聞きながらそう考える。

 ……中学時代、海王中囲碁部でのアキラの様子がどうだったかまでヒカルは特に聞いてはいなかったが、孫娘が囲碁部に入るかどうかという話になった時に多少もめたというのを()()()()()()()()経由でヒカルは聞いていた。その時の様子がどこか強い口調でのたしなめが多かったらしいというところから、まあ、あまり()()()()()良い環境とは言えなかったのだろうとアタリをつけている。

 

「多分だけど、お前もう棋力で言ったらプロ初段から三段くらいをさまよってるだろうし、大会に出たらそりゃあ無双にはなるだろうけどな~」

「…………」

「いや何照れてんだよ、事実だろ? で、そりゃフツーに考えてムテキだろうけど、それってお前っていうジョーカーがいきなり入ってきたことで、今までの部のメンツというかが、色々おかしくなっちまうだろうしな」

「そう、だよね……」

「で、何で今日来たんだ?」

 

 話していて少し「おや?」と思うヒカルだったが、アキラの反応を見ていて得心する。自分が入る部活のこともロクに何も考えていないような()()()()()()様子は、とてもじゃないが「君と戦うのはボクだ────!」と過去(未来)でヒカルにものすごい剣幕で迫るアキラのそれではない。

 だがそもそも、そのころのアキラはヒカル(佐為)の碁に魅せられたまま。その彼を、ある事情で塩対応したヒカルを振り向かせて対局することに強く執着していたからこそ、それなりに無茶をしたのかもしれない。少なくともそう思わせるだけの、碁と当時の自分に対する執着っぷりをヒカルは覚えていた。

 ……思い出しながら腕を組んで背を曲げて「うへぇ」と声を上げる仕草は、流石にあかりをしても「ちょっとおじいちゃんみたいなんだけど……」と突っ込まれるものだった。

 

「だから、ヒカルはどうするつもりなのかって思ってさ。ボク、君と対局するっていうのならボクが出ても誰からも何も言われないと思うんだ」

「……いや言われるだろ、何考えてんだよ。俺、全然無名だぜ? お前と違ってネームバリューもないし」

「それでも君の棋譜を見れば……!」

「見ても分からないだろ、お前の()()()()()()()だって緒方さんまだ意図に悩んでるくらいなんだし……」

 

 ダイレクト三々? と首をかしげるアキラとあかり。

 ヒカルは面倒になったのか、ごまかしもせず肩をすくめる。

 

「ん、でもそうだな……。それはそれで面白いかもしれないか?」

「どうしたんだ? ヒカル」

 

 と、ヒカルは碁盤越しに「ちょっと内緒話」と言いアキラを誘う。

 顔を横に向けて、アキラはヒカルの口元に耳を寄せる。 

 ……ついでとばかりにあかりもそのヒカルの小声を聞こうと寄っているが、苦笑いするだけでヒカルは何も言わなかった。

 

「────、────。──────── ……って感じなんだけど、やるか?」

「………………確かにそういうのは、やったことはないかな」

「俺思うに、アキラそもそも()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ってのが、同年代からするとだいぶアレに見えるって思うからなー。これも定石定石、ちったー碁を抜いて同年代のこと見るタイミングも作った方がいいぜ?」

「そ、そんなつもりないんだけどなあ…………」

 

 ヒカルの細かい作戦……というよりは、提案した()()の内容に対して、アキラは少し困ったような反応だ。さながら慣れてないことを課題に出された小さな子供のような微妙なリアクションである。……とはいえ、それが磯部や加賀、なんなら和谷あたりから「お高くとまってる」という一言で形容しきれない怒りを引き出すトリガーになっていることを思えば、今後のアキラの碁打ちとしての経験に含んでも良いだろうと思っての提案だった。

 

 何やら話がまとまった雰囲気に、筒井が声をかけようとヒカルたちに寄って行くが。ちょうどそこで「思い出した!」と言わんばかりにアキラが立ち上がった。

 

「そうだ、ヒカル。きみ、今年はプロ試験に出ないのか? お父さんもボクもけっこう、楽しみにしてたんだけど…………、どうして?」

 

 アキラのその確認に、ヒカルはあかりの方を一度見て。

 

 

 

「………………いや、その、俺の父ちゃんと母ちゃんとあかりのご両親を説得しきれなかったっつーか、な」

 

 

 

 俺の棋力を俺はよくわかってるけど碁がわからない人には思った以上に伝わってなかったわ、と。言われたアキラは一瞬、何を話されているのか理解が及ばず。…………つづけた説明を聞いて、肩を落とした。

 

「あかりと結婚するなら高校卒業認定くらいはって話があったんだけど、それはそうといきなりプロ試験の受験費出してくれって言ったって、せめて部活動くらいの活動実績みたいなのとか、そういうの出してからじゃないとダメだって……。

 いや、言い訳するとそれくらいはポン! て出してくれるだろうなとばかり……」

「うちの親もだけど、ヒカル心配してたからね……」

 

「家庭の事情なら仕方ない、のかな…………って、もうそこまで話が進んでるのか二人ともッ!!!?」

 

 小学校卒業式の日、進藤家と藤崎家で昼食を一緒に取った際に出た「ヒカルとあかりの将来の結婚」に関する議題とその話し合いの結果について、であった。

 流石にそこまで二人の関係が急転直下してるとは思いもよらず、顔を真っ赤にして固まるアキラと………………、ついでに流れ弾を食らってメガネが曇って硬直した筒井であった。

 

 

 

 

 




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