遠い宇宙のバトンリレー   作:黒兎可

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違いすぎる意気込みと視点

 

 

 

 

 

 ヒカルにとある勝負……どちらかといえば課題だとアキラは認識したが、それを受けた彼の姿は数日後、海王中の囲碁部にあった。 

 入部前に日数こそないものの色々と準備を終えたアキラの姿は、優し気で少女らしくも見える容姿でありながら明らかにギラギラと、熱意と野心と戦意に満ち溢れていた。

 

 明らかにただならぬ様子で入室してきた彼に、部室からは音が消えた。特に、そのアキラが入部することで今度の大会からあぶれかねない三年生たちは特にだが、誰しもが自らのチャンスを奪うだろうアキラに対して潜在的な敵意があったものの、アキラのその様子を前に馬鹿には出来ない。

 小生意気な、と思わせないだけの何かがそこにあった────要するに、イケメンがただならぬ様子だったから視線が集まったというだけかもしれないが。

 

 一年生の新入部員の紹介にあわせて、彼も頭を下げる。

 

「以上、続けて…………、って、塔矢にばかり注目せず目の前の碁盤に意識をまわしなさい」

 

 顧問の言葉に、仕方ないとばかりに、しかしまばらに段々と対局へと向き合う上級生たち。下級生たちもアキラを意識してかちらほら視線が集まっているが、これも顧問がにらみを利かせて対局へと向かわせた。

 

(ユン)先生、ボクは────」

「そうだな。誰と打たせるべきか

 棋力的には下手な相手と打つのはあまりよくないかもしれないし────」

「いえ、先にハッキリ言っておきます」

「ん?」

 

 そこでアキラは、戦意をまとったままの鋭い表情で顧問の尹を睨むような真剣さで、言った。

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()。その代わり、出場者が決まり次第その人たちと打ちます」

 

 

 

 その発言に対する、周囲の反応は様々。ざわざわと声をひそめるが、困惑か、反感か。後者の方が割合大きく、楽しむような誰かは尹くらいだ。この場に彼の棋力を超える者はおらず、そしてその実力差も()()尹先生が贔屓するのだからと事前の噂もあり、納得と反感が増した。

 

「ほう、大きく出たね。……内向的な子だと聞いていたけど、中学デビューかな?」

「そんな烏滸がましいことを言えるだけの圧倒的な棋力を、ボクは持っていません。けど、海王中が今年の二大会に優勝をするつもりなら、必ず力になります」

「そうか。……続きは、私と一局打ちながら聞こう。どうせ耳は立てられているだろうし」

「知りたければ話します。このことに、ボクは一切妥協するつもりがないのだから」

 

 やけに思いつめてるな、と尹は小さくため息。移動中、女子生徒たちの対局をちらりと見てアドバイスを一つ送った。

 予想外だったのは。

 

「尹先生は上手を打つと弱いといったけど、活路は他にもあるかもしれない。最後まで読み切るんだ」

「え? う、うん!」

 

 メガネの、宇野といった彼女に言った言葉に、アキラは()()()()()()()()()()()一言授けた。これは────ちらりと周囲を見れば、やはりというべきかアキラへの怒りの感情が増したのを察する。しかしアキラは、そんなことなどどうでも良いとばかりに視線は鋭いまま。

 どう解したものかと、真面目な顧問として尹は考えながら、アキラと一局打ち始めた。

 

 最初父たる塔矢名人のことを聞けば、まだ定先(置き石なし)で打たせてもらえないと少しだけ優し気に微笑む。

 

「最近できた友達と打ってて、まだ期間は短いけど良い影響があると喜んでもらったので、今は一つ一ついこうかなと。()()、です」

 

 あかりが居ればなんとなく目からハイライトを消しそうな風に、照れながら放ったアキラ最後の一言であるが。そうだね、と尹もまたほほ笑みを返す。

 少しは肩の力が抜けたかもしれない。そして、そう。一局一局、一手一手積み上げていくしかないのだと、そのアキラの言いぶりは彼としても好ましいものだった。

 

 自分の身の上話を少ししながら、韓国で教えていたときより日本全体としての子供の棋力が低いこと、この海王中はその中で特に高くそん色ないことなどを楽し気に教える。

 そして……、そういった話題に触れた瞬間、アキラはまた視線とまとう空気が鋭く重いものになった。

 

「……なるほど。平常心でないように見えるが、何か気合が入るようなことがあったかな?」

「…………はい」

 

 そして、そう。

 平常心でないだろう今のアキラにすら、盤面が圧倒される尹なのである。

 このまま打ち続けても投了になるのは目に見えているくらいには、尹も読みはそれなりに鋭いと思っているが……、やや見慣れない段階で早々に三々を打ってきたりと、塔矢行洋の棋譜と異なる点もいくつか見て取れる。 

 そして何より、打ち込みが早い。まるで()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()との対局を想定しているような、そういった素早さと言えば良いか。

 

「葉瀬中、前のリーグでは友達と一緒に見に来ていたね。ガールフレンドも」

「えっ? ……あ、違います、あの子は友達の彼女で」

「へぇ」

 

 そして話題が友達(ヒカルやあかり)の方に触れると、また険しかった表情が柔らかくなる。百面相してるのが可愛らしいが、打たれてる盤面に乱れがないあたりはやはりその棋力の差と言うものを思い知らされた。

 そしてここまでアキラが表情をくるくる変えるという事実が、尹にひらめきをもたらす。

 

「そうすると、あの時の彼は葉瀬中から出るということかな?」

  

 と。彼の言葉に少し百面相したせいか肩の力が抜けたらしいアキラは。先ほどまでのようにギラギラとした雰囲気を抑えながらも、生真面目に、当たり前の事実を確認するように続けた。

 

 

  

「────進藤ヒカル。読みだけでもボクよりも上の、最低でもボクと同じかそれ以上の棋力がある子です」

 

 

 

 それを言われて一瞬、尹は絶句した。

 にわかには信じがたい。現状ここまで打てるアキラ自体が異常である。同年代でも、テレビで出ていたこども名人の少年はこども本因坊の関東予選で惜敗の準優勝、中学三年生だった優勝者の隣で悔し涙を流していたのを尹は覚えている。

 その彼に圧倒的な差をつけるだろうこの塔矢アキラと、引き分けるレベル?

 

 アキラとしては真実を話したものの、アキラ()()という言葉を尹は正しく理解することができなかった。

 

「棋譜並べ、詰碁、検討、求められるのなら対局もボクはやります。

 ただ今年、このクラブが戦う対局者には絶対に彼がいる」

「…………ふむ」

「おそらく彼も()()()出場するでしょうし、できればボクが戦いたい。けれど、それが許される状況かと言えばそうではない。

 夏が終わればプロ試験もあります。そんな中で突然現れて、荒すだけ荒して去っていくようなことは、ここで何年も頑張っている人たちへの失礼に当たるでしょう」

 

 よく考えている、とアキラの物言いに尹はうなった。

 …………実際はヒカルに電話で「こういう風に自己紹介とか、色々やろうかと思ってるんだけど……」と言って行ったムーブに対して「アキラ馬鹿、お前馬鹿いくら何でもそれやったらいじめられるとかそんなレベルじゃねーから!? 二年生はまだしも三年生とかお前が参加することで今年大会出られないんじゃないかってピリピリしてるだろーところに『棋力不足です』って事実でもぶっこむよーな物言いして首突っ込むやつがあるかァ!?」としこたま説教された影響だったりするが、そこは言わぬが花であろう。

 最終的に、棋力と経験値に裏打ちされた()()()()()()を拭い去るのは難しいだろうということで、ヒカルはヒカルでそのアキラの思考の調整にかなり手間取ったりしている。もちろん、傲慢であれど慢心はなし、その傲慢さは言い換えればそれまでアキラが碁に向きあってきた真摯さと努力を足場としているものなので、アキラの強みでもあるからそれ自体を曲げる必要はないと思っていることも、調整の難しさに拍車をかけたりしていたのは余談である。

 

 さて。

 

「だからこと、ヒカルに関してだけで言えばボクは少しでも力になれるはず……、だと思いたいです」

「思いたいか」

「…………彼も言ってたんですけど、飲み込みの早さやそれを活かすことが出来るかどうかは、本人の気持ちだけでどうにかなることじゃありませんから。ただ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()という気持ちはあります」

「いやはや! そこまで言えるなら大したものだよ。それに、良い友人じゃないか塔矢君」

「…………はい」

 

 そこは、はにかむように照れるんだなあとアキラの様子に何とも言えない苦笑い。

 

「私も赴任してきてまだ一年だが、お互い全力を尽くそう────っと、この盤面についてって意味じゃないけどね。いやはや」

「あはは……、はいっ」 

 

 そうこう話しているうちに尹の白地を徹底的に荒しだしたアキラに、彼は苦笑いを深めるほかなかった。

 とにもかくにも、アキラの誠意────というにはいささか負けん気が強いようだが────を受け、尹は両手を上げて降参をした。

 

 話を聞きつけてか、それともアキラの容姿に惹かれてか。女子生徒数人(さっきの彼女もいる)も含めて指導碁を打ってもらいに来たようだが。そんな彼女たちより後に声をかけた日高と言うショートカットの上級生女子を、アキラは射貫くように見た。

 

「強いっていうなら三年の私相手が先じゃない?

 ようこそ海王中囲碁部へ。私、日高。まず私とお相手願お────」

「棋力は?」

「────うじゃな、って、へ?」

「だから、棋力は? 直近でどれくらいです? リーグの順位は? 校内での順位は?」

「そ、そんな急に言われても、えっと、最後に測ったのは……、あれ? 何か月前だっけ?」

 

 ええと、と指をさして何やら数え始める日高の様子に苦笑いし、尹は「おそらく部内リーグの女子では上位に来るよ」と教えてあげる。

 

「先輩が大会に出れる、というなら……。

 すみません。先に声をかけてもらいましたけど、また後で打ちましょう」

「あら、道理ってものをわかってるじゃない」

「?」

 

 アキラに微笑まれてきゃーきゃー言ってる女子三人と違い、やけに偉そうに腕を組んで構える日高。年齢相応に大きくなってきている胸部が強調されているものの、アキラはそちらよりも適当に構えた彼女の指先と、その顔に視線が行く。

 三人に向けたほほ笑みではなく────戦意にあふれた先ほどの視線で。

 

「な、何よ」

「いえ。────よろしくお願いします」

 

 その全く媚びる気配のない、この年齢にしては異様な雰囲気に、周囲は押し黙りながら彼と彼女の対局を見守った。

 

 

 

   ※  ※  ※

 

 

 

 その日、三谷祐輝は()()()()()()を見て、放課後に理科室へと足を向けていた。

 バスケ部とかの横にひっそりと置いてあった小さいポスター。詰碁の問題が書かれていたのを見て、なんだ簡単だと赤ペンで印をつけた。

 それが翌日、ポスターがもう一枚張られており、また新しい詰碁の問題が書かれていて。

 そして以前書かれていた詰碁の問題には────赤ペンで「アマ二級、残念! 詳しく知りたければ囲碁部へGo!」とやや煽るように書かれている始末。

 

「くだらねぇ。けど…………、あんだけ人のこと小馬鹿にしてんなら、おとしまえはつけないとな」

 

 ややいらいらしながらも好戦的な笑みを浮かべた三谷はそのままたどり着いた先、理科室の扉を横に引き。

 

 

 

 ……何かこう、さえない男子生徒を相手に足つきのボロボロな碁盤で、前髪の色素が薄い子が自分より背の高い女の子を後ろから抱きしめながら、彼女に一局打たせていた。

 

 

 

「ほらあかり、石もってそこ、置くところわかるな?」

「う、うん…………、く、くすぐったい……」

「仕方ねーだろ? 加賀のアドバイス通りにやってんだから。実際お前、効果出てるんだし」

「いや、むしろごほうび……」

「へっ?」

「んな、何でもないよ!?」

 

「進藤たちは相変わらずだなあ……」

 

 こう、いちゃいちゃとしてる二人と、相対する男子の何とも言えない半笑いが印象的だ。

 面食らったのも無理はない。思わず踵を返そうとした三谷だったが、自分の背後から現れた体操服な女子生徒の()()に押しのけられ、部室へと巻き込まれるように入らされた。

 

 新入部員希望!? とメガネの先輩が声をかけてくるが、転ばされたことに怒りのあまり立ち上がろうとする三谷。……何と言うかこう、無表情の彼女は妙に()()()()()()。直接口で「横にデカい」だの何だのけなすことにためらいを覚える眼力であった。強い。

 

「あれ、金子さん!? 来てくれたんだ~」

「大会は出れないって言ってなかったっけ?」

 

「筒井先輩から年二回あるって聞いたし、冬の方は出れるかもしれないから顔出しくらいはね。……で、こっちの彼は?」

 

 肩をまわしてニヒルに微笑む彼女、金子というらしい迫力のある女子生徒に視線を振られ、三谷は何故か頬が引きつる。

 自力で立ち上がった三谷は、とりあえず自己紹介。そして……絶賛いちゃいちゃしてるようにしか見えない二人に「あれ、何?」とだけ聞いた。

 

「俺、進藤ヒカル!」

「私は、藤崎あかりよ」

「藤崎? ……あー、何かクラスの女子が噂してたな何か…………。いやそれはいいんだけど、さっきから何やってんだ?」

「一応は碁の勉強っつーか、()()()?」

 

 は? とよくわかってない三谷に、ヒカルは「だって仕方ねーじゃん」と肩をすくめる。

 

「あかりって何か俺に関することだけ妙に記憶力良くなるらしいから、碁を打ってる時に一緒にこうやってくっついてた方が作業効率上がるーって本人言ってるし」

「いや、無ぇだろ」

「それが予想外なことに、棋譜の記憶量とか定石の記憶量がこれでちょっと増すんだわ」

 

 女子の部は女子の部で金子さん出らんないなら全体の棋力は上げたいし、と肩をすくめるヒカル。あかりはそんなヒカルに視線だけ振り返って「久美子も入ってくれたし、こっちももう一息なんだけどね~」と困ったように笑う。

 大丈夫かこの部活、と白けた目になりかけるが、ヒカルたちと対局していた夏目、部長のメガネな筒井、今この場にいないがあかりの友人の津田久美子、体操服のままの金子といった面々が各々三谷に自己紹介をする。

 

「オレ、別に入部とか考えちゃいないけど…………。詰碁の問題のあれ、残念って何だよ?」

「お? とすると解いたのお前か三谷~」

 

 やるじゃん、と普通に言うヒカル。あかりをだっこしたままの体勢で言うものだから、三谷もリアクションに困る。というか問題出したのお前か? と聞く三谷に、ヒカルは軽く笑った。

 

「一応、塔矢名人の選んだ詰碁のやつの()()()だから、半分くらいは自作だな」

「自作、ねぇ。で、何が残念なんだよ」

「そりゃあ…………、()()()だから?」

 

 意味が分からない。いぶかしむ三谷を見て、ヒカルは一度あかりに頼んで退いてもらい、卓上の板碁盤に白と黒の石を並べる。出来あがった盤面はポスターの問題、三谷が解いたもののそれだ。

 

「これって()()()()()()()()()()として作ってるからな。どれくらい先を読めるかで、相手の棋力をなんとなくわかるようにしてあんだ」

「…………は?」

「三谷は、ここに赤ペンつけたな。ちょっと続き打とうぜ」

 

 そう言って椅子をすすめるヒカルに応じて、彼の隣に座る三谷。……また、あかりは当然のような顔をしてヒカルの後ろから両肩に手を置いて盤面をのぞき込む。スキンシップに余念がない。

 

「ここに打つと、俺はこっちにノビる」

 

 三谷の回答に対して、ヒカルは黒石を進める。この動き自体は予想通りであったため、三谷もまた普通に応じて白石を置く。

 何度か繰り返して、ここまでは三谷の読み通りの展開であったが…………、途中、ヒカルの打った手を見て気づいた。自分の打った手のすぐ近くに、別な正解があることを。

 

「そうか、ここに打たれるとコウになるのか……」

「そういうこと。で、仮にノビるのを抑えようとこっちに打っても────」

「そうすると俺はこっちに打つとして……、というか、アレだ。これ、もっとまじめに考えたらわかったやつだ…………。ここはもう、これしかないって一手」

「ぱっと見でこれくらい出来るなら上々じゃねーの? やるじゃん三谷!」

「うっせ」

 

 どうやら正解を導いたらしい三谷。どれどれ、とあかりに続いて金子、夏目、筒井も盤面の石の動きを見る。……ヒカルの一手一手が若干()()のように見えなくもない打ち方をしてるのが気になる筒井だったが、そもそも問題自体はヒカルが改変した問題だしと何も言わず続きを見守った。

 そして、ヒカルは三谷に笑う。……何というか、初対面なのにずいぶん馴れ馴れしい感じの笑顔だった。

 

「ま! これもまだ、上から二番目なんだけどな」

「…………は?」

 

 ただ、放たれた言葉の破壊力は強い。再び困惑した三谷に、石を並べなおしたヒカルは「一番の正解は…………」と、どう見ても悪手にしか見えない位置へと一手。

 

「続けてみよーぜ?」

「……」

 

 言われるがままに三谷は、その悪手に対してブツケるように石を置く。

 悪手といえど、ここを放置すると黒石全体に影響が出るので、そのまま放置しておけない。ただこれ自体は全体に影響はしていないように見えるため、問題はないと思ったのだが。

 

「そこで改めて、二番目のところに打つと────」

「……………………は?」

 

 そして、三谷は思考停止した。

 どう見ても悪手だった一手に、たった3手続けただけでその一手が明らかに息を吹き返した。いや、指摘され打たれるまでの白地と黒地の境が、一手一手つづけた結果一瞬で様変わりしたというべきか。ある種地雷のように、設置されていたその最初の一手がさく裂したようなのを見た三谷は、しばらく盤面を受け入れることが出来なかった。

 

「さっきのがアマ初段くらい? で、こっちがアマ三段くらいのイメージだぜ」

「……解説されたらわかったけど、いや、何だこれ?」

 

「何かこう……、エロい一手ね」

 

 エロい? と。思わずヒカルと三谷と、ついでにあかりは感想を言った金子を振り向く。神妙な顔をして「外堀埋めていくみたいでこう、エロいわよ進藤のこれ、藤崎さん」とか謎のコメントを煽って、あかりはあかりでわかりやすいくらい顔を真っ赤にして慌てていた。

 

「というわけで納得したか?」

「………………納得せざるを得なかったけど、あー、そうだ、進藤って言ったか」

「ん?」

 

 ちょっと今度、付き合って欲しいところがあるんだけどいいか? と。

 ばつが悪そうな三谷の一言に「ん?」と疑問符を浮かべ……内心では何をしたいのかおおよそアタリをつけてるヒカルであるが、そんな彼らのやりとりに何故かあかりは、ヒカルの頭を背後からぎゅっと抱きしめて「ん!」と自己主張した。

 

 何だよ、と少し三谷はずっこけた。

 

 

 

 

 

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