遠い宇宙のバトンリレー   作:黒兎可

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方法論の違いと段階

 

 

 

 

 

 進藤ヒカルにとって三谷祐輝は、何というか()()()()()友人であったということになる。

 ヒカルの自己認識におけるかつての中学時代、部活動をあまりに下に見たような「お高くとまった」ようなアキラの振る舞いに少し腹を立てたヒカルがその後に勧誘した、同級生の部員。当時の部員の中では加賀程とはいわずとも高い棋力を持った、ヒカルに身近な等身大のライバルが彼であった。その後、ヒカルがプロになる際の諸々で不仲となり中学時代は関係修復が上手くできなかった。結局、後年にOBOG訪問ということで中学の囲碁部に来訪するときまで何とも言えない関係のまま続いたが、最終的には「ぼちぼち」という感じで和解していた。

 ……まあ、そもそも彼が高卒後に結婚後すぐ離婚したらしく、娘を連れてきたり、付き合いがあるのか女医(当時は研修医)になった金子と娘が仲良くしてたりと色々当時同棲中だったヒカルとあかりを置いてきぼりにする展開があったりもしたが。

 

 そんな彼との最初の接点が、現在ヒカルたちが向かっている「囲碁さろん」。ヒカルいきつけのラーメン屋の裏側から入る地下にある碁会所である。……名前が塔矢一門の出没する駅前の「囲碁サロン」と被ってるとか言ってはいけない。こういうのは分かりやすさが大事なのだ。

 

「そりゃ、今の時代って不況だしなー。……俺も週刊碁とか買えないくらいに余計な小遣いねーし。食費はちょっとオマケしてくれっけど、イベントとかは基本貯めてたお年玉崩したり親頼ったりしてるしなあ」

「親、頼れるんじゃねーかよ」

「いやほら、だってデートって言えば少しくらい奮発してくれるし? ()()()()()()()()()()()()()

「…………」

「あー、そう。……ここまで噂マジだと流石に笑えて来るわ」

 

 道中、半笑いの三谷にヒカルはあかりと顔を見合わせて肩をすくめていた。あかりはあかりで「デート」だの何だの言われた時点で顔を赤くしてはにかみながら「えへへ……」とヒカルの手をとってぎゅっと握ってる。スキンシップに余念がない。そんな二人の姿を見て、三谷は「進藤に頼んだのは間違いじゃないだろうけど……」と少し自分の判断が正しかったか疑問符が浮かんだ。

 週末の放課後、ヒカルたちは件の碁会所へと三谷に連れられていた。「ラーメンくらいおごれよー」というヒカルに「そんな金ねーし」と返した三谷に、少し事情を聞いたヒカル。もともと囲碁部に来た時に彼から「ちょっと一緒に行って欲しいところがある」という流れでの今日なのだが、ヒカルは「まあ、小遣い稼ぎだろう」とアタリをつけていた。

 三谷祐輝、ヒカルと同じくらいか下手をするともっと小遣いが足りない。

 趣味や自由に使いたい分の買い物などのため、費用を工面するために彼は碁会所を利用していた。

 

 いわゆる、()()()というやつである。

 

「で、俺も勝てそうだから協力しろってハラだろ? んまあ、元金は確実に回収はできるだろうけど、俺使うのズルとか思わねーの?」

「うるせーっ! 最新のMDプレイヤー(※ハンディサイズの小型オーディオディスク及び再生機器。当時の音楽再生の最先端)とかフツーにセールでも2万はすんだよ! 背に腹は代えられねぇ…………!」

「売り切れる前に金額稼ぎたいっつーことな。ふーん」

「何だよ、進藤だって音楽の一つや二つ聴くだろ」

「…………あー、悪ぃ」「ヒカル、その分のお金ぜんぶラーメンに消えてる……」

 

 マジかよ、と唖然とする三谷の表情が年相応に幼く、目を細めてついかっかっかと笑いたくなるヒカルだったが。なんとなくあかりから「お祖父ちゃんみたいだよ」と言われるのは少しグサッとくるので、はははと愛想笑い程度にとどめておいた。

 …………なお「そうやってラーメンばかりの不摂生だから髪のハゲ散らかし方が成ってないんじゃないか? ヒカル」などと仙人スタイル(?)な老アキラに煽られた記憶もあるが、それはそうと若い身体はラーメンを求めてやまないので、ある程度諦めの境地なヒカルだ。日本のラーメンは最高である。

 

「でも今の自分の有り金以上を使おうとするならちゃんと気を付けとかないと色々ダメだぞ~三谷お前。そういうことやってると将来娘のためにすげぇ高い幼児の玩具とか拘ってセットで買っても『パパ、これね、もうあそばない』とか言われてめちゃくちゃショック受けてしかもその日の夕食とかそれ買った分に消えてせっかくのお誕生日なのに寂しい感じになったりとかして金子あたりから『リサーチ不足ね』とかフツーに言われて『うるせェ!』ってキレることになるぞ」

「お前がうるせェ!」

「はっはっは!」

「というか何、何だその変な未来予想? あと何で金子だよ!?」

「いやだって、苦手そうにしてたし」

「別に苦手じゃねーし!」

 

 年相応に反発する三谷をどうしてもからかってしまう。悪い老人見本な振る舞いは本因坊奪取後に一時、桑原に師事を仰いだことがあったせいか。好々爺というにはいささか()()()()()である。

 とはいえ話したエピソード自体は()()()()()()()()()()()ではあるのだが。現時点で娘のことなど全く考えられない三谷には、その話の子煩悩あるあるな切実さは伝わっていなかった。

 

 要するに、毎年毎年女児向け変身ヒロインは様変わりするということだった。

 閑話休題。

 

「で、俺が稼いだ半分はお前が受け取る代わりに囲碁部、ちゃんと入ってくれるんだよな」

「ああ。……それくらいの借りは返す」

「何っつーか、あんまりこういう黒い話? とかしたくねーんだけど。…………それはそうと、残りの金は俺が自由に使って良いんだよな?」

 

 ああ、という三谷に、ヒカルは少し考えながら彼の後をついて階段を下りる。あかりが少し不安そうにヒカルの手を握るが、横を向いて目を合わせ、ニヤリと笑い、小声で言った。

 

「大丈夫、大丈夫。()()()()()()()

「……へ?」

 

 アポイントメントの意味が分からない(年相応の単純な語彙不足)ゆえの反応であったが、ヒカルは気にせず戸を開けた三谷に続いた。

 

 受付をしているのは、碁会所の席亭たるご老人。三谷と仲が良いのか、応対が適度に気やすい。……どちらかというと孫を見るような目だな、と実際に孫を見る目をもつヒカルは、なんとなくその修老人に共感を覚えて目を線みたいに細める。

 

「友達、連れてきた。全員で打ちたい」

「トモダチ! ほお君が、おトモダチ……」

「な、何だよ!」

「いやぁ? サテ……」

 

 修の視線を受け、おずおずと頭を下げるあかりと、なぜかⅤサインをするヒカル。そのヒカルの動きを見て「ああ、うん」と修は何かを納得した。

 個々で席料を払った後(※あかりの分はヒカル持ち)、じゃあそれぞれ適当に席について、と三谷が誰か相手を見つくろおうとしたとき、ヒカルが「待った!」と声をかける。

 

「せっかく三人で来てるんだから、団体戦みたいにしてやろうぜ? 団体の勝ち抜き戦。これだったら、三人カンパになるから一回にかかる金額が高くなっても、向こうもちったー抵抗がないだろ」

「団体戦、ねぇ……」

「それだったら()()()()()()()()()()()()()、大きく構えてられるだろ? 反則とかズルっこしたら全員失格になるけど」

「や、やらねーし別に。フツーだろ」

 

 そんなこと言う三谷だが、ヒカルから視線をそらして声が少し上ずってるのを見逃さない。あかりはよくわかっていなさそうなので、後で色々教えてやるかとヒカルは肩をすくめた。

 さて。この団体形式で、目標額は3万円。一回分を三千円として、おおよそ3回戦に勝ち抜けば良いことになるだろう。三谷としては1万あれば良いつもりなので、一人1万というのなら多少は罪悪感が軽減される面もあったが。

 

 ここで、ヒカルは少し予想外の提案を修にした。

 

「残りの2万円なんだけどさ。それ使って、ちょっと頼み事したいんだけどいい?」

「頼み事? うーん、言ってミテ」

「賭け碁やってるくらいだから()()()()()()()()っているよね、ここ。整地ごまかしたり一目ずらしたりとか、それくらいなら余裕綽々に対応してけちょんけちょんにして巻き上げるような人みたいなの」

 

「────────」

 

 そして、ヒカルの確認に三谷があからさまに顔色を悪くした。ヒカルはそれに気づいてない体で話をしているため後ろを振り向かずに、話を続ける。

 

「その人っていくらくらいで雇えるのかとか、教えてくれると嬉しいんだよね」

「そりゃあいるけれど、ウン、またどうして?」

「できればだけど、呼んでもらってウチの部員と打って欲しい!

 うちのガッコ、囲碁部作ってまだ全然日が浅いんだ。だからとにかく棋力上げないと、大会に出てもけちょんけちょんなのは目に見えてるじゃん? で、どうあがいても促成栽培だって限界はあるけど、それでも慣れない場所で、知らない強い人と多く打っとくって効果あると思う」

 

 碁会所で揉まれるとか院生あるあるじゃん? というヒカルの言葉に「ウチからは出てないケドね」と修老人は苦笑い。かつて(未来で)、プロ入段試験を受けた際のヒカルもまた、そうやって先輩の院生たちに連れられて、碁会所で大人との対局に慣れていったことがあった。実際のところ、多くの院生は碁会所で大人たちにウデを磨かれることも多いらしいというのは後日に知ったことだが。少なくとも高段者との対局であり、大会とはまた少し違うが普段ならぬプレッシャーを浴びるというのは悪い経験ではないだろうという判断である。

 そういう意図自体は察したのか修老人は「面白いこと言うネ、キミ」と笑い。そしてちらりと三谷を見て、少し寂し気な表情になった。

 三谷も三谷でバツが悪そうに視線をそらすが、ヒカルはそれでもあえて気づいていないように話を続ける。

 

「団体戦っていうのもさ。いや、実際は勝ち抜きじゃなくて勝ち抜き戦? ん?(※チーム対抗戦) まあそんなんだけど、少しでもそれっぽくしたいからっていうかさ。でもそれはそうと、賭け碁って形じゃないとその人とか呼べないわけだし」

「考えているのは良いけど、そうだネ。2万だと1局か2局ってところだが…………、一回や二回で済まさないんだろう? それだけ稼げるつもり?」

「もち! あ、でもこれに関してだけは出禁止めてよね、本当にその人と打ちたいときだけ俺、今回の後は出るようにするからさ────」

 

 そして、ヒカルは後ろを振り返り……、今のヒカルの話を聞いていたらしい、碁会所のいい年をした大人たち全員へ向けて得意満面に宣言した。

 

 

 

「────だって俺、今ここにいる人たちのなかじゃ最強だし! 大ボスの俺を倒してみせろよ!」

 

 

 

 一瞬、静まり返り。

 おう良い度胸じゃねえかボウズ、後で泣いても恨むんじゃねェぞコラ! などと突如柄悪く立ち上がった大人たちに、ヒカルの背後に隠れたあかりはともかく流石に三谷も表情が引きつっていた。

 実際のところはアルコールも多少入っていそうではあるが、三谷自身はここの碁会所でかなり()()()()()()()()。みんな、子供や孫相手にちょいと軽く小遣いを渡すくらいのノリで打っていたのもあったのだが、だからこそイカサマをして掛け金を吊り上げ続けた三谷には、オイタがすぎるとそのうち灸をすえられることになりそうだったのだが。

 まあ、全員ノリが良いだけではあるようだが……。仮にも駅周辺の碁会所ではあるので、大人げないだけでそこまで()()()の人間がいる場所ではないことを、後に(未来では)ここでアルバイトしていたらしい三谷に聞いたヒカルなりの雑な判断で。

 

 修は修で、そんなヒカル相手に「孫の友達(新しいおもちゃ)が来た!」とばかりに元気良い大人たちにため息をついて「とりあえず茶でも入れてやるか」と椅子から立ちあがった。

 

 

 

   ※  ※  ※ 

 

 

 

「おれとしてはここの所を攻め落としたかったんだけど、予想以上に早く地が生かされたあ……。流石、あれだけ啖呵切っただけはあるかな?」

「そういう訳じゃないですが……。でも、先輩の意図だけは早々にわかったんで、まず要石そのものを置けないように先に地を優先しました」

「あら? でもそれだったら、こっちの方に飛び火してるのってどういうこと? ちょっと手順が見えないんだけど────」

「あ、それか。そもそも塔矢くんがいきなり三々に────」

「新手じゃないけど、ここでブツケに三々?」

「友達と打っていて、最近ちょっとだけ研究してる手で────」

 

 一方、ほぼ同刻の海王中囲碁部。

 広々とした部室の一角で、アキラは検討をしていた。 

 

 対面するのは体格の大きい、ややぽっちゃりとしたにこやかな三年生。……そしてその二人の検討に「せっかくだから混ぜなさいよ」としゃしゃり出てきているのは、最初にアキラと対局してぼろ負けし「試すつもりで打つのであっても、全力で勝ちをもぎ取らなければ斬ります!」とかなりアレな剣幕のアキラから言われて涙目になっていた三年女子・日高だった。

 

 部室において、入部早々のアキラの張りつめた雰囲気に、当初は一部の女子以外は近寄れなかったものの。平常時は「誰が訪ねても良いように待ってます」とばかりに棋譜を並べたり、誰かが手書きしたノートの詰碁を解いたりしていたアキラ。

 実力的にも雰囲気的にもお高くとまってると浮いている……、仲間外れにされて(ハブられて)いるのは実はヒカルが体験した人生一周目とそこまで違いは無いのだが。ただ、今回は少々様子が違った。

 

 三年の青木、校内リーグで言うと三番手にあたる彼がアキラと打ちに来たのも変わらずなのだが…………、対局するアキラの視点が、あからさまに異なった。

 

『先輩の棋力とボクの棋力とを比べるのもそもそも間違っています。だから、対局を望むんだったら先輩を強くする方に軸を置きましょう』

『……指導碁か?』

『指導碁です。でも、より実践的に先輩が強みを引き出せるように尽力します。…………苦手なんですけどね、そういうの』

 

 でも友達がよくやるので負けてられないかって、と。そこで苦笑いするアキラの表情に、青木もまた少しだけ気が抜けた。

 本来なら彼、自分などよりも当然出場者にふさわしい。出ないと言っているが気を遣わせているのならば、その実力を正しく部内にも認めさせたい。それが今後にも良いだろうと。面倒見が生来良い彼らしく、そう思っての青木の対局であったのだが。

 実際、時折()()()()()()()が散見されて指導碁というにはいささか好戦的だったが、対局が終わった後に席を立とうとした彼にアキラが声をかけた。

 

『検討しますよ、何を立っているんですか。小用とかでしたら待ちますから、できるだけ早く戻ってきてください』

『あ、嗚呼……』

 

 ものすごい剣幕であった。

 そのまま眼力で射殺されるんじゃないかという気がして、青木は別な意味ですくみ上った。 

 

 実際に一局打ってみれば、彼我の実力差は嫌でも思い知る。これがかつて()()()()()()()()プロの道への実力かと。下手に気遣うなど烏滸がましい立場であったと、一手一手に感じた青木のいたたまれなさは、アキラの「逃 が さ ぬ」とばかりの鋭き視線に縫い留められた。

 

 そんな青木の様子を見て、何か面白そうなことしてるじゃない! と下級生女子たちの検討にアドバイスしていた日高が乱入してきて、現在に至る。

 アキラいわく「日高先輩は読みよりも単純なセンスで打ってるところがありますけど、つまり形勢判断がより速いとも言えます」と、特に参加は拒まない。青木と日高とで打ち方がそもそも違うからこそ、これはこれで刺激になるのではないかと…………、徹底した進藤ヒカルの指導方法の模倣であった。

 泰然自若とした打ち方を起点として検討を深めていく塔矢一門の勉強会らしからぬ自由さ。ヒカルを意識しすぎている。

 

「でも意外よね。塔矢あんた、私相手にはあれだけ『ぶっ殺す!』って感じの一局だったくせに……」

「先輩は形勢判断は早いですけど、詰めが甘いですから」

「どういうことよ!?」

「塔矢くんはこう、つけこむ隙があるところは容赦なく切り崩してくるからな……。俺もちょっと、こことかノビたし」

「てっきりカカってくると思ってました。……定石が少し古いように思いますけど、意識してですか?」

「あー、いや、何というかこう、棋力的に塔矢くん相手でここ守り切れる自信がなかったから、あえてというか…………」

「……ご評価は嬉しいですけど、ここはそれでもカカった方が良かったと思います。()()()()()()()()()()()()んですけど、彼はちょっと特殊なんで比較対象に入れるのは難しいですし、おそらくあっちもそういう指導をすると思うので」

「進藤ヒカル、とか言ったっけ? あんたのその友達」

「はい!」

 

 と。そこだけ喜色満面に目を見開いた笑顔を浮かべたアキラに、ちょっと可愛いわねとちょっと照れながらも、日高は何故か後ずさる。下級生の交友関係とかを見ていることもあってか、青木からは「まるで小さい子が、人生初めての友達を紹介するような喜び方だ……」とそれなりに正鵠を射た評価を得ていたり。

 なおアキラ的に、人生初友達は塔矢門下の芦原現四段だったりする……、年上のプロだがライバル視される余地がないあたりは、彼個人の人徳がなせる業か(?)。

 

「ただ、彼もボクみたいなものだと思うので、出るとしたら自分にハンデを課したりすると思うんですよ。それがどうにも歯がゆい……」

「とっととプロになっちゃえば良いじゃない? そういうのって。あんたはうちの校長から、在籍してるって実績が欲しいって打診されたから仕方ないにしても」

「彼も家庭の事情なので…………。ただ、それでも間違いなく強いので、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、誰が当たってもそれなりに苦しい戦いになるとは思ってます」

「…………うち一応進学校だから、三年は冬大会参加できないのよね。じゃあ、今こっちにかかりきるのも当然ってこと? どれだけ強いのその彼」

 

 興味があったら棋譜を並べましょうか!? と、これまたものすごい喜びようのアキラである。犬だったら尻尾をぶんぶん振り回していそうなその勢いに、やっぱり日高は何故か一歩引いて、青木はとてもとても生温かい視線を送った。

 

 ともあれ「少し慎重なところもありますし、あえて森下九段の棋譜などを一度参考にされては? ここぞというところで強く斬りこみますから」というアドバイスをもとに、青木はアキラに感謝する。

 そのやりとりの真摯さをもって、囲碁部でのアキラの立ち位置が少しでも良くなればと…………、()()()なのかベタベタと日高がからんでいるアキラへの様々な視線を見ると、なかなか大変そうだと青木は気合を入れた。

 

 なお。

 部活動終わりに「どっかの碁会所で打ってく~?」と気楽な様子の日高。ついでに青木も話を聞きつけて同伴したそうな雰囲気を出したのを見て、アキラは隣駅の「囲碁サロン」を検討するも。

 ちょうど「アキラくーん♪」と雨の日ゆえにか下心ゆえにか(?)、わざわざ車で迎えに来た囲碁サロン受付嬢の市河が、二人で楽しくドライブしようと思っていたところに現れた上級生二名を前に「ぶぅ」と不満げだったとか何とか。

 

 

 

 

 

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