遠い宇宙のバトンリレー   作:黒兎可

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そして、sai──

 

 

 

 

 

「ちょっと! 精次、いきなり部屋掃除しとけって何を……って、あら?」

「こ、こんにちは……」「どもっス」「あ、あわわ……」

 

 適当に上がってくれ、などと言う緒方精次に引き連れられ、とあるアパートまで連れてこられた子供三人。アキラは恐縮しっぱなし、ヒカルは「なんか拙いモン見たなぁ……」と言わんばかりの微妙な顔。あかりはといえば人見知りを発動してヒカルの手をつないで後ろに並んでいる。

 戸を開け応対した緒方と同年代と思しき……、切れ長の目のやや赤みがかった茶髪の女性。パンツルックスなバリバリキャリアのOLな雰囲気が漂っているが、特に紹介も何もせずズカズカと部屋の奥に行ってしまうのが緒方らしい。

 

 ちょっと! と怒りながらも急にやってきた子供たちにはどう接したら良いか悩んだものの、仕方ないんだからと苦笑いしてヒカルたちを室内に招き入れた。

 

「いきなり連れてこられたって感じですごいびくびくしてない? この子たち」

「囲碁仲間……というには年代は違うが、まあ、よくある話だ」

「無理やりつれてきたんじゃないでしょうね」

「気にするな、ちょっと打つだけだ。あと、()()()()家で子供が碁を打つなんて日常風景になる」

「ごまかしすらしないとか本当、囲碁に関してだけ面白すぎない貴方……?」

 

 視線をそらしてやや早口でまくし立てる女性。少し顔が赤らんで、首元を手で仰いでいる。そんな彼女を見てあかりは「わー! わー!」と両手で口元を覆って小声で悲鳴(?)を上げており、そんな彼女にヒカルは肩をすくめた。

 なお、ここの支払いだって半分は俺持ちなんだ、などと言う発言であかりのテンションはさらに加速するが、アキラはアキラでものすごく居心地が悪そうだった。

 

「別にハンザイしてる訳じゃないぞ。打てれば何でも良い」

「お姉さん、いっつもこのオジサンこんななの?」

「オジ……!?」

「────ッ! フフフ、ま、まあ、何ていうのかしら……。酔っぱらってる時以外はつまんない男よ」

 

 へぇ~、ともはぁ、ともどちらともつかない声を上げるヒカル。

 ……このあたりは()()()()嫌でも緒方にアルコールが入った時の、抑圧された情熱を語りだす囲碁オタク仕草やら野心じみたものを知ってるが故のリアクションである。桑原()本因坊情報でからかえば確かに面白いには面白いのだが(※大体ブチ切れてる)、それはそうと酔っぱらった状態そのものにはあまり面白味はなかったりするヒカル。

 まだしも「モノマネやります、塔矢行洋!」とか言い出して伊達に息子やってないレベルのモノマネ芸を披露する大人なアキラの酔った状態の方が面白いくらいであった。なお余談だが、ヒカルはヒカルで「光源氏!」とか言って佐為のモノマネをして「誰もわからないぞ!?」とアキラに突っ込まれるのがお約束だったりするが、割と酔いが閾値を超えると記憶が飛ぶタイプのヒカルなので、そのあたりはうすらぼんやりだった。

 

 まあ、あまり()()段階ではつっこむまい。「オトナの私生活」というやつだ。

 

 さて。そんなこんなんでヒカルと打ちたいと緒方九段はヒカルに迫る。曰く、

 

「あんなに対局中、面白い面白いという名人なんて初めて見たからな。俺にも何か面白いのを見せてくれよ、なァクソガキ」

「えぇ……? 人のことクソガキとかいうオジサンはちょっと────あっ痛いッ! アイアンクローは禁止だろってッ!」

「敬えとは言わないが俺はまだオジサンじゃねェ!」

 

 ぶち切れる緒方とわめくヒカル。止めに入ろうとおろおろしてるアキラとあかりに、仕方ないわねと苦笑いする女性。……こと、全員に冷えた紅茶をペットから注いで配膳してなお紹介すらされない女性の扱いがいろいろとアレすぎることには、突っ込むのは野暮である。

 

 そうこう話していると、ヒカルがリビングの奥にパソコンがあることに気づいた。すでに起動しており、画面には表計算ソフトのマクロで組まれたような棋譜と盤面が表示されており、その机にはほかにもマグネット碁盤がいくつか乗っていた。

 おそらくどちらも緒方の私物だろうが……、片付けずにおかれてるし、ついでにその机の椅子にはくたびれたワイシャツがそのまま引っかけてあったりとオトナな生々しさを感じて、うげぇと嫌そうな顔をした。子供の教育に悪い。

 

「というか緒方さん、彼女さん碁とか全然知らなそうなのにプライベート空間でも囲碁漬けかよ……」

 

 そしてこの雑な扱われ方に慣れっこなのか、彼女も彼女で「仕方ないわね」と微笑むだけで特に文句も言わず。学習性無気力の類なのか、こういう緒方の囲碁以外のダメなところがそれはそれで好きなのか。

 と、アキラとヒカルと緒方とでわいのわいのと話してるさなか、仲間外れにされたように会話に加われないあかりが瞳からハイライトを失ってヒカルたちを見ていると。女性は気を利かせてあかりにコップを渡して、声をかけた。

 

「はい! あなたも大変ね。……どっちが本命なの?」

「え? えっと、違います。ヒカルの彼女です」

「あら! 最近の子は進んでるわね~」

「エヘヘ~……!」

 

「あっそうだ! じゃあ、緒方さんと打ってもいいけど、その前にあかりに指導碁やってよ。十九はまだキツそうだから十三路盤で!」

「何? ……いや、十三路盤は一応確かにあるが」

 

 あるんだ、と言い出しっぺだったヒカルは何故かちょっと驚いた。

 そしてヒカルの物言いに、意外そうな目であかりを見る女性。ごにょごにょと何やら話しているのを見て、緒方もまた小声でアキラとヒカルとに確認をした。

 

「…………というか進藤、お前、俺のそういうやつって大体いくらくらいかかるかってわかってるか? 相場。あと本気で教えるのか、あの子」

「別にギブアンドテイクだからいいでしょ? こんなとこまで()()してきといて」

「人聞きが悪いことを言うなッ!」

「緒方さんは……、ちょっと、情熱が暴走してるだけだから…………」

「こっち見て言えよアキラ」

 

 視線をそらしながらもフォローを試みるアキラだが、こうなった緒方の強引さは上手く擁護できていない。おそらく彼も唐突すぎる緒方の言動に少し思うところがあったのだろう。

 

「ま、あとあかりについてはさ? んー、何だっけ。俺とアキラがケンカでもしても止められるくらいには、対局を理解したいーみたいなこと言ってたから。別にプロになるとかじゃなくって、ウデが良い人との対局経験をちょっと積ませたいってくらい。

 総合しても九路盤で十二級くらいだから、緒方さん最大レベルの三倍くらいとしても……、てつのさそりくらい?」

「えっ?」

「ド○クエ……、いや普通はやってるか小学生なら」

 

 むしろ緒方がわかることに、おぉと密かに驚いてるヒカルだったりする。

 なお、それで少し逡巡した緒方であったが。女性とあかりとの内緒話的なものが終わったあたりで「物好きねぇ、あなた」とあきれたようにあかりを見る彼女と「だって、おヨメさんですから!」などとフンス! と鼻息荒く両手を腰に当てて胸を張るあかりの姿に、何か感じるものがあったのか。

 あかりのサポートをアキラに任せ対局が始まると、ヒカルはPCの方に向かっていった。

 

 あっズルいよヒカル! とアキラが思わず叫ぶが、緒方は緒方で「棋譜が見たいならフォルダ分けされてるから、下のボタンみたいなやつから書類のファイルみたいなやつを選べよ」とアドバイスする緒方である。

 棋譜・棋力の独占を考えていない……というよりは、学ぶことで誰しも強くなってくれることが大事だと考えているらしい。このあたり、アキラとも似て緒方は碁に対しストイックだった。あるいは、塔矢行洋門下の特徴なのだろうか……と思ったところで、脳裏に「あっどーも♪」と気楽に微笑むプロの芦原の姿が浮かんだので、そのあたりは人それぞれかと目を細め、腕を組んで頷くヒカルだった。

 所作がじじくさい。

 

 そして手始めにマグネット碁盤の棋譜を見る。総譜と、いくつか部分的に再現したものと。四隅を使ってどこかの門での戦いを自分なりに打ちなおしているらしいが、その打ち筋にヒカルは違和感を覚えた。

 どこかで見覚えがあるというか。

 例えば。

 

「このフクレをアテに変える流れ……」

 

 そうだ、形は違うがそうだ、確か院生時代に韓国の洪秀英(ホン スヨン)と打った時の、ヒカル自身が打ったような動きではあるまいか。老齢になれど棋譜は並べ続けていたヒカルであるからして、全容を忘れたものもあるが、若かりし頃でも印象的だった棋譜はそれなりに覚えているのだ。

 そして開かれている表計算ソフトを最小化し(※魂の年代が年代なのでPC操作も多少は熟達している)、棋譜の元データになっているCSVファイルやら何やらのフォルダをさかのぼっていって、そして、気づいた。

 否、見てしまった。

 

 

 

「────sai対局棋譜分析?」

 

 

 

 意味が、わからない。ヒカルの感想はまずそれだった。

 sai? ということはネット碁か? かつて自分が亡霊・藤原佐為に代わり碁を打ちたいと思ったからこそ、佐為本人に碁を打たせる手段として考えたのがインターネット囲碁。その際にこそハンドルネームとして使っていたものが、「sai(佐為)」。

 当時ヒカル自身はそこまで理解が浅かったが、院生からアマチュア、果てはプロどころか全世界にかけて碁に携わる人間なら一度はその名を知られるレベルまで膨大に膨れ上がっていった。「現代によみがえりし本因坊秀策」やら「最新の碁を学びさらに強くなる秀策の亡霊」やら、佐為がかつてのヒカルのように秀策にとり憑いていた事実に微妙にニアミスするような言われっぷり。

 なんならJPN(日本サーバー)をよく使っていたことから、ヒカルが知る国内で開発された囲碁AIに「Shusaku(秀策) AI」=「SAI」と名付けられるくらいには、その影響度が大きかった。

 

 ……秀策AIでSAIなど、かつてのsaiを神格化するものほど反感を買いそうなものだが、これに対してそのうちの一人であったアキラからのコメントはない。ないというより、実はその頃にはヒカルから藤原佐為について聞き及んでいたため、それもまた神の一手のために未来へと引き継ぐべきものなのだろうと納得していたというのが正しいか。

 なお、その発覚する原因は二十代後半からヒカルが棋譜を監修した()()()()()()()()()()()()()()()に関係するのだが、閑話休題。

 

 知ってるのか? と緒方が幼児を見るような微笑ましい目であかりに打ちながら、ヒカルに声をかける。

 

()()()()()()()()不定期にネットに現れている碁打ちだ。プロなのかアマなのか判然としない。俺も何度かタイミングが合って打たせてもらってるが、世界中の打ち手が探せど探せど五里霧中…………っと、アキラ君も知らなかったか?」

「は、はい。……対局の約束をした相手と対面する時期が合わないときなど、たしなむ程度に打ってますけど、そんな話は」

「進藤、試しに打ってみるか? 運が良ければにはなるが」

「…………えっ?」

 

 思考の海に沈んでいたヒカルは、緒方の声にびっくりする。棋譜と盤面に視線を落とし考えを巡らせていた彼に、その周囲が見えない集中力に緒方はどこか微笑ましそうに笑う。珍しい表情なのか、紅茶を飲みながら()()()()()()()()少女漫画の単行本を読んでいた女性が、緒方を見て目を見開いていた。

 

「今、ログアウトしてるからゲストアカウントになるが、適当に名前を入れればその名前で打てるぞ。ゲストだと棋譜はダウンロードできないが、お前なら覚えてられるだろ」

「そ、それはそうだけど……、そもそもいるの?」

 

 というか、二年前から?

 時期が合わない────そもそも佐為から()()()()()ヒカルが碁を打ち始めたのは、中学での囲碁大会でのアキラとの一局の時からだ。だからこそ佐為が佐為として気兼ねなく打てるようにとネット碁を始めたのだから……。

 

 疑問がうずまくヒカルに、緒方は「この時間なら多分打てるぞ」と声をかける。

 

「不定期と言ったが今はいる時期だ。基本的に一度いると、午後は二時前後から夜の八時くらいまでは打ってる。……第一線を引退した誰かなのか、はたまたアキラくんや進藤のように尋常ならざる若手か」

 

 打ちすぎじゃね? と緒方の誉め言葉(?)も気にならないくらい、saiの打ってる時間にヒカルは違和感を抱くが。

 それでもはやる好奇心を抑えられず、ゲストアカウントで「HIKARU」とハンドルネームを入力して、開かれているインターネットブラウザを見た。

 

 現在対局中。相手は────zelda。

 和谷じゃん! とツッコミを入れたくて入れたくて仕方ないヒカルであるが、そんな院生時代の思い出(未体験の出来事)など話しても場が混乱するだけなので、思わず手で口元を押さえた。

 何の因果かちょうど投了した瞬間で、棋譜を解析する時間もない。

 ゲストユーザーだから機能が制限されてることもあり「対局データ表示」のボタンが非活性であった。

 

 そして画面を見て、なんとなく忘れてた当時の記憶が思い出される。……saiのアカウントに大量に送り込まれる対局依頼のポップの数々。それだけ誰もかれもが佐為と打ちたかったということなのだが、色々面倒だったよなーと。

 実際終局後、saiのアカウントは次の対局者を探したりせずにしばらく沈黙していた。おそらくかつての自分と同じ状況に陥っているのだろう。

 

 俺も対局依頼しようかなあと、リクエストのボタンがどれかと探し始めたその時────。

 

「────来た」

 

 何だと? と緒方が声を荒げるが、ヒカルは画面に来たsaiからの通知を前に、掌にじんわりと汗をかく。

 落ち着け、サイトのUI(インターフェイス)は未来程洗練されていないが、使い方はだいたい自分の記憶にある通りのはず。

 

 相手から申し込まれた対局リクエストに「OK」のボタン。

 ルールの設定は既に相手からされており────持ち時間3時間というのが、妙に笑えて来る。

 完全に互先(たがいせん)の構えだ……、かつての塔矢行洋との時のように。

 

「…………」

 

 ヒカルは無言で、石を並べる。

 定石通りというか、打ち方まで微妙に秀策流の布石にならうそのsai。

 あえてそんなsaiに対して、ヒカルは普段の打ち方を行わなかった。

 

「十七、十八……」

 

 呟きながら石を並べる────晩年、最期の瞬間までの記憶の通りに。

 

 いくら打ってもそれ以上先がない、中途半端な対局。序盤も序盤、全然展開も何もあったものではなかったその一局を、ヒカルは忘れることがなかった。忘れることが出来なかった。

 あの日、佐為がその姿を消したあの日の、遠い記憶の棋譜を────。

 

 一手、二手。お互い序盤も序盤故にか、特に待ち時間を消費することもない。

 三手、四手。重ねていくと、saiの手が止まった。

 

「……どうだ、やれるか?」

 

 …………古い記憶にはなるが、saiとして最初にアキラと打った際、アキラはヒカル(佐為)との最初の棋譜を途中まで踏襲していた。メッセージのように、何かの確認のように。ヒカルたちもまたそれに応じたがゆえに、アキラはsaiの正体についての知見を一つ得たことになるのだが。

 今回はそれに倣い、ヒカルはあの最期の一局、途中で放り出されたそれを踏襲していた。

 別に()()()()()()正体がバレても何も問題はない。

 

 むしろお前が本当にsai(佐為)であるのなら────。

 

「………………ッ」

 

 果たして、返答は明瞭だった。完全にあの棋譜の通りに、相手は続けてきたのだ。にやりと、ヒカルも思わず表情が鋭くなる。

 

 七手、八手、九手────そのままあの最期まで、お互いほぼ3秒以内に打ち込み、状況を進めていく。

 そして。

 

「ここから────!」

 

 ここから先は、佐為もまた未知の碁の世界。

 ヒカルが未来において研鑽し、その上でもなお打ち筋の中に眠る佐為が確かに存在している、九十代のヒカル本来の打ち方。

 若い情熱を無理に抑えてでも、この一局だけは逆行前のヒカルで打ちたかった。打たなければならなかった。

 

 ヒカルにとって、罪滅ぼしとは言わない。

 碁を打つことで佐為から受け継いだものを次へつなげていく。人から機械、機械からまた人へ。次代に託し、時代に託した自分の碁を、一つでもそのありったけを多く、佐為に見せなければならないのだ────。

 果たして相手は、時折長考すれどしっかりと自分の打ち方に対応してきていた。

 教科書から抜け出してきた本因坊秀策の打ち方ではない。塔矢行洋と真っ向から競り合った、あの打ち方で。

 

 ただ、棋力が増強されてる気がするのはヒカルの気のせいではあるまい────おそらくヒカルが知らない二年間とやらの間に、もっともっと多くの相手と打ったのだろう。

 その経験が、おそらく「未来の定石や布石すら含む」ヒカルの打ち方に対して、それらを真っ向から読み勝ち生き死にを操るその様の、嗚呼、なんと素晴らしいことか。

 

 基礎的な碁のセンスでいえば彼はヒカルに見出したものがあったのだろうが。だからこそ、ここまで経験を重ねて……おそらくあの佐為の四倍以上は生きて打って、初めてその背中の肩に触れるか触れないか。

 

「1目半……」

 

 ギリギリで追いすがり切れなかったが、それでも。

 途中で投了せず最後の最後まで、一手一手大事に、それでいてこらえ切れず早く早く、前へ前へと打ち続けたヒカル。

 周囲の声も状況も何も目に入らず耳に聞こえず。

 

 ふとチャット欄を見て、そこにカーソルを合わせ。

 

「……………………」

 

 佐為、俺さ強くなっただろ。

 衝動的にそう打とうとして、手が止まる。

 半ば確信しているとはいえ、勘違いの可能性もゼロじゃない。

 

 だからこそ「良い対局でした、また打ちたいです」と入力。この時代は日本語対応していないので、文字はアルファベットベタ打ちのローマ字であったが。

 

 

 

 

 ────あの十八手以降も、もっともっと神の一手目指して()()打ちましょう、HIKARU(ヒカル)

 

 

 

 返答されたメッセージに……、ヒカルは懐かしい声を聞いたような気がして、涙があふれた。

 ああ、佐為だ────本当に佐為がいる。

 俺の知らないところで、きっと、俺の知らない誰かと、()()()()()()()()()

 

 それが分かっただけで、長い長い年月に押しやられてた様々な感情が溢れ────。

 

「────だいじょうぶ、ヒカル、大丈夫だよ」

「……うっ、ううっ…………」

 

 いつの間にかあかりに抱かれ、ヒカルはその胸で泣いていた。

 

 

 

 

 




※対面してないのでまだまだ続きます。
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