ポケモン世界をゲーム知識で好きに生きる   作:ふぁいる

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36 悔しい

 

 

破れた世界の自室でテレビを見ていた

 

写っているのはポケモンバトル

カントートーナメントの中継映像だ

 

地方トーナメントの中でもカントーは一番の注目を集める

多くの人が見守るのだ、新たなチャンピオン戦の資格を得る者を

 

 

 

 

「アーゴヨン、りゅうのはどう」

 

粘性のある毒液で足元をとられた相手にアーゴヨンのりゅうのはどうがモロに当たる

 

その一撃でノックアウト、瀕死となり、決着が着いた

アーゴヨンは嬉しそうにトレーナーの元に向かった

スーツのようなピシッとした姿のトレーナーはアーゴヨンを撫でている、表情は笑顔で今の勝利を喜んでいるようだ

 

 

カントー地方におけるトーナメント

出場者は全員がカントーのジムバッチを8個集め、殿堂入り試験にクリアした者だ、実力者揃いで中継で流れるバトルはどれもレベルが高い

 

今のバトルでベストフォーが決まった

 

グリーン、レッド、ステイン、ブルーだ

 

明日には準決勝のレッドVSステイン

グリーンVSブルーが行われる

 

「私も出たかったなぁ」

選手控え室には私以外にも敗退者がいる

上の観覧席に行くと出場者はもみくちゃにされると聞いたからだ

 

「リーフも運が良ければ出れたわよ」

私の横に座っているブルーちゃんが声をかけてくれた

 

私は相棒のフシギバナと臨んだトーナメント戦、初戦にブルーちゃんと当たって敗退してしまった

つい数時間ほど前のことだ

 

ブルーちゃんとはカフェ巡りとかもする仲だけど

バトルはいつだって真剣じゃないといけない

 

もちろん私も本気で戦った

フシギバナも

 

でも届かなかった

 

 

くやしいよ

 

 

「…わたし、明日の調整に出るわね、ホテルからホームに戻るわ、さっき言った通りよ」

 

そういうとブルーちゃんは行ってしまった

ホテルは選手が泊まれるホテルで出場者全員に部屋がある

ブルーちゃんの言うホームはエリクサー研究所のことで、ワープ装置が簡単に設置できるらしく、簡単に出入りできるらしい

 

私はブルーちゃんにホームに来る許可を貰っていた

合鍵もある

 

 

本日のスケジュールが終わったためか映像は今日のハイライトに変わっていた

 

 

フシギバナがブルーちゃんのミュウツーの猛攻に必死に耐える様子と私が声をかけている様子が映った

 

運が悪かった?

私が五匹がかりで倒せたブルーちゃんの二匹のポケモンはどちらも恐ろしく練度が高かった

ポケモンのレベルも技のキレももちろんのことだがトレーナーとしても負けていた

常に冷静に指示をだす、もちろん正確な指示を

 

 

私はこの時、フシギバナになんて声をかけた?

打開の策は生まれず、ミュウツーの猛攻から耐えれるよう精神的な声かけしかできなかった

 

 

こんなんじゃダメだ

行ってみよう、エリクサー研究所に

 

 

 

 

ブルーが研究所に戻ってきた

真っ直ぐにエリクサーの部屋に直行し、頭突き、ではなく頭をエリクサーの胸に預けて精神統一をし始めた

 

ここまで無言だ

 

『…いいにおいする、抱きしめていいかな?既に役得だけど、ブルーだし

…震えている、今日の二試合、危なかったのはリーフだったな

二試合目は初手のツンデツンデだけで勝っていたし』

 

抱きしめるのは少し躊躇われ、頭を撫で始めた

 

「さすがリーフと言ったところか」

「うん、ミュウツーを使うつもりはなかった」

 

2匹目のピクシーは善戦した後、ハードプラントで一撃だった

ブルーはフシギバナにビビってミュウツーを出したのだ

 

「研究されるだろうな」

「うん、確実に、負け筋」

 

頭を撫で始めてから治まった震えがまた出てきた

明日のグリーンか明後日のレッドかステイン

ステインにも最近のミュウツーは見せていなかった

 

技の種類も、技の練度もバレたわけだ

 

「でも、それでも、あのフシギバナにはそこまでしないと押し切れないと判断した、そうだろ?」

 

一回の会話のスパンが長いせいで部屋の外にリーフが来たのだが、こちらに聞く耳を立てて止まっている

案内したはずのセレビィは既に居ない

 

「うん、強かった、ミュウツーがあそこまでしてようやくだよ?」

「20分耐えてたからな」

「…そんなに?」

 

「ああ、だから誇るといい、あのフシギバナを倒せるのはこの大会だと

レッドのリザードン、グリーンのフーディン、ブルーのミュウツーだけだ、ステインは、無理だな、戦闘スタイルが合ってない」

 

「私の他の子も?」

「残念だが無理だろう」

「そっか」

「あぁ、それに、そんな彼女を呼んだんだろ?次は勝てなくなるぞ」

「うん、かもしれない」

 

そう言いながら顔を上げたブルーは笑顔になっていた

ニカッと笑ったブルーはかなりレアだ

こころのアルバムに保存しておこう

 

 

「じゃ、入っていいよ」

ガチャリと音がする

ブルーの表情は目がまん丸と言ったところ

 

「え、えっと、褒めてくれてありがとう?」

「あ、あ、えっと」

 

2人して顔を真っ赤にして俯いている

波長が合うんだな

 

 

 

「私はみんなの様子を見るわ!」と言ってブルーはそそくさといってしまった

あなたの客でしょうに

 

「えっと、お邪魔しています」

「あぁ、まずはおつかれ、いいバトルだった」

「本当に、いいバトルでしたか?」

 

いいバトル

そう聞かれると返答は難しい

ゲームなら相手の行動を読み、交代したり、技を選んだりする

相手の手持ちを読んで、構成を読んで、技を読んで

最後に運の差で勝ちを取る

全て読まれた対戦は運ゲーに持ち込むことすら出来ない、持ち込めたのならその戦略が通った成果だろう

 

ここだと?

 

高速移動をして素早くなったポケモンはターン制から外れる

この時点でゲームとは違うだろう

 

努力値は上限がなく、絆の力で強くなる

種族値は飾りになり技の威力もただの基準値となる

技は残るし次の布石になる

 

だから、防戦一方だったとしてもいいバトルは起こり得る

 

 

「種族値、個体値、努力値ってやつですか?論文読みました」

 

その論文って3個目か4個目でこの世界だと正確性にかけるから取り下げて定義化の論文を改めて出したやつでは?

もう見れないし発行部数もセレビィに細工してもらって二桁に抑えたはずなんだけど

(唐突にトラブルに見舞われた印刷会社への謝罪の気持ちを思い出す)

 

「オーキド博士が読んどけって」

 

さすがです…

 

それらも踏まえて

ブルーのミュウツーは技を何十種類も使えるし

一度の行動で4つの技を同時に使える

 

ブルーもそれを制御するように指示の出し方を工夫している

 

「それを、キミのフシギバナは20分耐えた」

本当に、恐ろしい程に、とても凄いことだよ

 

 

 

 

リーフとフシギバナには固い絆を感じた

ミュウツーの攻撃に耐えられたのはそれだろう

メガシンカはしなかったが、それに似た現象がチラリと見えた

砂煙でよく見えなかったが、フシギバナの姿は少し違うように見えたのだ

 

これを絆変化と仮定する

アニメのサトシとゲッコウガが行った特別なメガシンカのような状態

それがリーフとフシギバナに起きても不思議では無い

 

一応フシギバナナイトとキーストーンを渡すが

 

『大丈夫だよな?カントー地方のストーリー的には終わるわけだし』

 

 

「また女性にアクセサリー渡してる」

 

いつの間にか戻ってきたブルーにイヤリング型のキーストーンを渡す瞬間を見られる

 

「メガストーンは小粒なものが多くてね」

バンドにつけるほど大きいものが用意できないだけなんだけど

 

キーストーン側はなんでもいいし、仕方ない

用意してるキーストーンは全部小粒なので

 

「ネックレスの方がいい?」

「だめー!」

 

ブルーに否定された

あまり違いは分からない

 

「おそろいだね」

ブルーの耳にもキーストーンのイヤリングがついている、制御をしやすくするためにふたつだが

リーフとお揃いになって嬉しそうだ

 

 

「ブルーちゃん」

「なに?リーフ」

 

「次は、負けない」

「…うん、待ってる」

 

 

ブルーの目に火が灯った

 

 

 

 

 

 

翌日

 

 

ブルーはミュウツーのメガシンカを使わずに、ほぼ無傷でグリーンに圧勝した

 

 

 

 

 

ニドキング

ニョロボン

キュウコン

ラフレシア

ジバコイル

 

アーゴヨン

 

僕たちのポケモンは

 

レッドの最後のポケモン、ピカチュウを倒すことが出来なかった

 

何度も

何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も

 

倒したはずだった

 

その度にピカチュウは歯を食いしばりながら立ち上がる

 

 

まるで不死身だ

 

倒し方が分からなかった

「本当にキツめに言っていいのか?」

「うん」

「録音してやる、話半分にでも聞いてな」

 

控え室に戻り

博士に評価を聞いた

 

博士だったらどうやって倒すの?

 

 

「最初にニドキングを出したな、ステインのキングは器用か記憶力が良かったからか、唯一4つ以上の技を覚えれた。だから最初に出して、どんな相手でも戦えるようにしたんだよな、それが間違いだ、ピカチュウが脅威なのは知っていただろう、タイプ相性重視で最後まで残すべきだった。持ち物も器用さからいのちのたまを持たせたのも今回に限りは悪手だ、温存が出来なかったからな。

カビゴンにキュウコンを当てたのはいい、だが相打ちしてからニョロボンを出したな、日差しが強い中でだ、リザードンにダメージがなかった、ジバコイルで倒せたから良かったが、アーゴヨンの方が安定していた。

サンダースに対してすぐに引いてラフレシアを出したがその時には日差しが弱まっていた、特性ヨウリョクソは日差しが強くないと機能しない

ドードリオが出た時にすぐに引いて追い打ちを食らったな、アレはレッドが上手い、おかげで次のラプラスもジバコイルで戦う羽目になった、ニョロボンが入ればラプラスは任せれた

 

そしてピカチュウ、アイツの持ち物は気合いのハチマキ、不死身にも見える根性は道具のバックアップもあった、腕に巻いていただろ?ニョロボンのはたきおとすをなんとか当てればノックアウトの可能性が高まった」

 

この世界だと気合いのハチマキは、やられた時に意識をとばさないようにする、という精神に働きかける物

 

レッドのピカチュウが不死身の理由だ

 

 

あとから聞いたエリクサー印のポケモン道具の効果もとんでもないものだった

 

 

「…勝ち筋はあったんだね」

 

「立てた戦略に囚われすぎて、タイプと技の特性、ポケモンの特性で戦う柔軟さが欠けていたな

 

とりあえずお疲れ様だ、帰ってきな」

 

 

うん、エリクサー研究所に行こう

 

 

くやしいなぁ

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