お疲れ様会が隣の大部屋から聞こえてくる
遊びに来たリーフとステインがメインだ
私は明日の決勝戦を前にソワソワして落ち着かなかった
博士を連れ出して薄暗い部屋で二人きりになる
やることはもちろん
戦略の企てだ
「博士はどう見る?」
レッドの手持ちは
ラプラス、カビゴン、ドードリオ
リザードン、サンダース、ピカチュウ
大会登録は八匹まで可能なので
サワムラーとあと一匹がいるけれど
七匹見えていれば見通しも経つ
「目が怖いなぁ」
「はかせ?」
横に座る博士が目元を覆ってきた
かなり密着して、心臓のドキドキが聞こえないか心配だ
「まずはおつかれ、振り返ろうか」
「なにを?」
イチャついてる場合じゃないよ
あの不死身のレッドなんだから
「ナッシー、フーディン、ウインディ
カイリキー、カメックス、ピジョット」
それはグリーンの手持ちのポケモン
私が目で見て、タイプ相性と行動を予測
ミュウツーが読み取って、四方から技を繰り出し封殺する
ピジョットは早すぎて目が追えなかったけど、ミュウツーが押し通してくれた
「…」博士がセクハラしてくるけれど、そんな場合じゃないので全然興奮しない
「フシギバナ」
一戦目のリーフ、本当に硬かった、どうして?
持ち物は食べ残し、ほんの少しだけ、継続的に回復するエリクサー印のポケモン道具
でもミュウツーの火力は確実に上回ってた
「恐ろしい耐久性だったね、あれは絆の力と思っている」
「じゃあ、メガシンカしてたの?」
「そういう訳でもない、だから連れてきたんだろ?」
そこまで深く考えてなかったけど
おかげで昨日、本気でチャンピオンになろうと思ったし、思考もクリアになった
あぁ、勝たないと、リーフに見せつけるように、頂点に君臨するように、手本になるように、圧倒的な力で、圧倒的な、勝利を
「ブルー」
負けてはダメ、許されない、勝つことだけが
「レイ」
勝って、勝って。勝って勝たないとかたないと
「唇を失礼」
「んぐ」
!?
博士!?ちょっと、ま、急に何!?ながっ
ながい、長いって!
ちょっと!
「ぷはっ、ながい!息が苦しい!」
「ははは、すまん」
「はぁあーーもう…なんか、あれ?」
甘い香り
ねむ、ねむい。
◇
「このお香マジでやばいな」
『ギラティナが作成中に眠っただけはあるわね』
部屋に眠りのお香を焚いた、ポケモンを眠らせて捕獲する代物予定だったが
作成者にも効くし
なんなら人間にも効く
ほら
ねむ…
セレビィ頼んだ…
◇
うーん、うーんと苦しそうな声で目が覚めた
どうして私は博士の上に?
何となく服装を確認した、はだけているとかは無い
時間は起床予定時間よりも早い
でも、とてもスッキリした気分
ちょうどいい敷布団があるからもう少し堪能しようかしら
ふふん
◇
対戦相手のブルーは喋らない
口下手な自分とは違う、自分に技を読まれないための作戦としてだ
開始前のセリフも「リーフ、見てて、コレがメガシンカよ」だけだ
ちゃんと喋ってる
うん、強いな
対戦相手のブルーは目をそらさない
対峙しているポケモン、今はカビゴンのゴンをじっと静かに見つめている
ゴンと気持ちが通じて技を選ぶ
メガトンパンチ
少し高い位置にいるブルーのポケモン、ミュウツーに目掛けて跳躍をしたところで
ミュウツーの姿が変わる、ゴーリキーのようなムキムキの姿だ
そしてゴンのメガトンパンチを真正面から受けて、圧倒的な力で返した
ラプの時と同じだ
ラプラスのラプの時は技を繰り出す瞬間に、ちょっと小さいミュウツーに姿が変わって、技を相殺した上で追加の技を3つ使ってきた
圧倒的な力で返してくる
それでもミュウツーが疲れた様子は無い
姿違いは疲れるのだろうか、技を使う度に姿を変えている
向こうから動き出さないのはどうしてだろうか
隙を生まないためだろうか
ああして構えられるだけで、ジリジリとコッチの何かが減る気もする
対戦相手のブルーは油断しない
全ての選択を最善手だろう技で返してくる
そこに隙はなく、悔しいがまだ一撃も有効打を与えられていない、それでもあの構えは止めない
ゴンはルールの時間までに起き上がれなかった、ノックアウトだ
ジリジリと追い詰められていく
「ピカ」
そうだね
ワクワクするね
ピカチュウはモンスターボールを毛嫌いする
だから頭の上とかで待っている時が多い
さすがに砂嵐だとか、そうも言ってられない時はあるけど
ミュウツーとみんなの戦いを見て燃え上がっている
試してみたくなるよね
『アイアンテールと10万ボルト』
尻尾に鋼を纏わせてバチバチと電気がほとばしる
そのまま跳躍し、ミュウツーの上を一瞬捉え、振り下ろす
「バリアー!」
焦った声のブルーが声を荒らげて指示を出した
同時にかえんほうしゃとはどうだんもとんでくるけど
バリアーも含めて、合計3つ、ひとつ減った
『かわらわりと10万ボルト』
尻尾で跳躍し鋭い拳を電気を纏わせながら落とす
ピカは頬袋から体に電気纏わせ尻尾の先から微力ながら電気を放出する
いいセンスだね!
それは今練習中のあの技を基準にしたのかな?
もっと、もっと試そう!
ミュウツーは両手でバリアーを展開
反撃はサイコキネシスかな?ピカが捕まって地面に落とされた
2つ、また、減った
『アイアンテールとなみのり』
なみのりは練習中だったし、ここには大量の水は無い
呼び水を尻尾の先から生み出す
それを噴出させながらミュウツーに迫っていく
尻尾に鋼を纏わせる
線状に生まれた水はミュウツーに襲いかかっていく
一部の水は勢いが増していく、どの水が痛いかはもう分からない
バリアーを球状にして全身を守った
反撃は無くなった
『電光石火と10万ボルト』
あれ、コレって練習中のあの技かも?
なんだ、10万ボルトをまといながら走るんじゃなくて
走りながら纏わせれば良かったんだ
ピカも分かっちゃったらしい
『水滴をなみのりして、空に駆け上っていく』
いけ
『ボルテッカー』
「全力で守って!!」
先程と同じように両手にバリアーを準備し始めたミュウツーに声がとぶ
ブルーとミュウツーの連携もこの速さには崩れたようだ
ピカは光の線となり目では追えない、でもどこを狙うかは感覚でわかる
だってピカだから
『迸った雷の残滓を足場にして背後に回る』
ピカならできると思うんだよね
え?無理?
いやいや、やってみようよ
ほら、出来た
ミュウツーの球状のバリアーが割れた
背中から一撃を与えた
ピカも今の反動で意識を持ってかれたらしい、声が聞こえない
「思いっきり上!全力で!落として!!」
ピカの姿が掻き消えるように空高くに弾き飛ばされた
次の瞬間、空から何かが地面に突き刺さる
ピカだ
意識はとばしたままだ
変わらず、声は聞こえない
?
腰になにかつけている
確か、エリクサー印のポケモン道具
パワーウエイトだっけ?
重いけど、その分成長しやすくなる…
『ピカのハチマキがない!』
すぐに上を見る
腕を回しているミュウツー
『随分と動きやすそうだ、そして、腕にピカのハチマキがある』
確か、技のトリックというのに互いの持ち物を入れ替えるのがあったはず
『この一撃のために、今まであまり動かなかった』
気がついた
同時にピカのノックアウトとなった
近づいて抱き抱える
パワーウエイトごと、かなり重い
地面にめり込んでいる
抱き抱えると同時にピカの目が覚めた
やられたことを悟ったらしい
悔しいよな、うん
わかるよ
今は休んでて
立ち位置に戻りブルーとミュウツーをみる
まだまだやれそうって感じだ
よし
いこう、リザードン