パーティから一夜明け
カントーへ戻る者、ホウエン地方をここからカイナシティへ行ってから始める者と別れていった
「拉致みたいな会場移動だったけど、誰も文句言わなかったね」
「どうも、博士の最初の挨拶が効いたみたい?」
「感想を垂れ流して、改善出来る物やら案を教えただけだから、そんな効くもんでもないと思うけど」
皆が皆ポケモントレーナーだったってことかな
あとは優しさかな
みんなやさしいねぇ
「なんかイヤにやさしい顔してるけど、なんで?」
ブルーと一緒だからかなぁ
「みてこれ、ギラティナ達のテレパシーの人間版」
『見た目が前のドローンと同じだからよくわかんないけど』
「テレパシーできるってこと?」
「あー、なんか思ったのと違ったかも」
『ブルーの困り顔が可愛いなぁ』
「やっぱりまだ試作ね…ちょ、待って、逃げないでっ」
ブルーがエリクサーの周りをぴょんぴょんする
ドローンの安全装置で物にぶつからないように逃げているため、ブルーはドローンを捕まえれなかった
『ぴょこぴょこブルーも可愛いなぁ』
「頭お花畑さんっ、これっ回収っ手伝って!」
エリクサーも回収しようとしたが無理だった
「そんなわけで、思考が筒抜けになるらしい」
『まぁポケwikiの内容は見ないと思い出せないから大丈夫だろうけど』
「…はぁ、博士は垂れ流してる言葉を把握してるんですか?」
「してないよ、自分には聞こえないみたい」
『カグヤも可愛いなぁ変な気分になってきた』
「欠陥では?」
「欠陥だね」
カグヤとブルーはそう結論付けた
「超能力があれば回収できると思うんだけど」
「ギラティナ氏もセレビィ氏も破れた世界に戻ってますね、メロエッタちゃんは昨日のパーティでお疲れなのでまだ出したくないです」
「じゃあ誰にも会わせない方向性で」
「そうですね」
「え、今日は人と会う約束が…」
「博士、いますか?」
「あ、ライトニング」
『でっか、どことは言わないけど固有資産税がかかるぞ』
「あの、博士?」
「終わった」「終わりました…」
「いまのはなんですか」
「なにって、なにが?」
『あー!あー!おきゃくさま!でか、ちっか!ちょ、おきゃくさま!まって!プレッシャー!プレッシャーです!技ポイント減っちゃう!』
「この、おしゃべりなやつなんですけど」
「あー?そんなに喋ってる?」
『鼻に香るアビーの匂い、シャンプーかな?頭クラクラしてきた、襲いかかる前にハヤクニゲテ!』
ライトニング、さすがに気がつく
エリクサーの周りに飛ぶ小さなドローンに、後ろでため息をついているカグヤとブルー
そして聞こえてくるセクハラボイス
「博士、わたしも嫁に貰ってくれませんか」
『もちろん!式の日取りは4人で決めよう!』
「いや、待って待って、どうしてそうなった」
3人、沈黙する、もはや心の声が先に聞こえてきたレベルである
「不味いなぁ、ちょっとセレビィ呼んでこよ」
「記録しますね、私は構いませんので、続けてもらって」
「え、何この空気、もしかして不味いこと言った?」
「ふふ、俺の剣のサビにしてくれるーって言ってましたよ」
笑いを堪えながら返事するライトニング
何故か嘘をついた
『いやいや、サビよかサヤでしょ、相手はアビーだぞ?』
「サビ…?」
「ぷぷ…くく…ひ、酷いっ」
笑いをこらえるライトニング、必死だ
「とりあえずこんな博士は誰にも合わせられませんね」
「そんな酷い?」
『取り柄がないからかなぁ』
そんな所に、扉が開く
ブルーが早くも戻ってきたのかと視線を向けると、そこには緑髪のドレスの女性が、後ろに数人連れて入ってきていた
バトルシャトレーヌの4人だ
「ライトニング様、面会は」
『おや、ルミタンじゃん実際に見るとクールビューティーが滲み出てるな、鋭い目線にスラッとしたスタイル、その中に慈愛の雰囲気が滲み出てる、あ、でもほっぺたモチっとしてそう、かわよ』
「こんにちは」
ルミタンの目が細くなった警戒心だ
その目線に気が付かずに、他のシャトレーヌに目線を向けるエリクサー
『警戒心マックスなラジュルネ、もう少し気の強いイメージだったけど今は少し怯えているような、それでも胸張って強く見せようとするのは解釈一致か?不思議と負かしてやりたくなる雰囲気がある』
『大人しそうで、実際オドオドしているルスワール、天使と呼ばれるのも納得の可愛さ、何故か今は隙を見て反旗を翻そうとする雰囲気を感じるけど、トレーナーとしての闘争心のひとつだろうか、目尻下がって涙目に…か、可愛い、なるほどエンジェル』
『と、姉たちの後ろに隠れているけどラニュイ、ぺろぺろりーん、飄々とした雰囲気が、あれ、してない、めっちゃ怯えた目で見てくる、めっちゃ泣きそう、震えてる。いつもの元気はどうした、いや、弱った姿も可愛いけれど』
「こん…」「博士!マホイップを出してください!すぐ!」
ライトニングが叫んだ
「え、うん」
『はぁ〜!マホイップ!可愛いなぁ、このぽてっとしながら見てくる無感情なつぶらな瞳、何考えてるの?あー!にっこり!笑顔です、笑っていますっ、可愛いねぇ!よーし、モチャモチャしてあげよう、え、なに?可愛いおててを振り上げて、そんな姿も可愛いけど!』
「ミ"ッ!」
マホイップが博士の首元に飛んでいたドローンを叩き落とした
マジカルシャインで
「っ!?目が!目がっ!?」
シラケた場でエリクサーは目を抑えて転がっていた
◇
(エリクサー、カグヤに台車で連れていかれる、すぐにカグヤは戻ってきた)
「お姉様、アレに付きたくないです」
「あ、わ、ウチもそう思います」
「ラニュイもう、あれ怖い」
「…概ね同意しますが、1つ疑問が生まれました、ライトニング様」
「はい」
「私たちはトレーナーの最高峰の地位として上り詰めました、しかし試験と審査ばかりで表舞台では小さい頃のジュニアトーナメントなどでしか出ていません
なぜ、昔から知っている風な喋り方なのでしょうか
ほっぺたがどうとは映像でも見ましたか?まだ紹介映像すら公開されていませんのに。
解釈一致とは、どの時のラジュルネと比べて?見る方法は無いはずです
天使と呼ばれる?誰に?ルスワールは特に表に出ておりません
ぺろぺろりーんはつい先日思いついたラニュイの挨拶ですわ、むしろ、本日私たち以外に初めて披露しようとしたものです
エリクサー博士としてでは無い、アレは何者でしょうか」
ライトニングの顔が引き攣る
彼女はエリクサーを慕う気持ちはあり、恋慕もある
その知識は感銘を受けている
しかし、何者か、それを知らない
アビーとして、彼女の個性の話をするなら「そんな些細なこと、どうでも良くない?」があるのだが
ここはその言葉は飲み込んだ
カグヤを見る
「そうですね、博士は未来の人と言っておきましょう」
そう言い切り、もう言うことは無いと沈黙する
その様子は挑発とも取れるものだったが、ルミタンはその言葉を何度か呟いていた
「分かりました、最後にエリクサー博士の実力を確認しましたら、博士の元に付いてもよいでしょう」
「ルミタンおねーちゃん…おわぁ、最悪ばい、あのトレーナーしゃんばり怖かとよ…」
「ラニュイッ!私たちはバトルシャトレーヌなのよ?そげんこと言ってもオーナーには負けた上に施設ごと買われてるの、そのオーナーがまた変わるって話なのよ?」
「そんなんしらかとよー、ラジュルネおねーちゃんも楽しければいいって言っととよ」
「それは!そう、だけど!あのお客さまはなんか違うじゃない!?ね!?ルミタン姉さま」
「そげんこと言われても、ウチらに決定権がないのも事実……ルスワール?また緊張しとっと?」
「…」「ルスワールっ!」
「ひゃっ…お姉さま、あっ、あれ、あの人ばり怖か…う、うちのこと天使ば言うけん」
ライトニングが先導してバトルフィールドに移動を始める
四姉妹もそれに歩き会議をしながらついて行く
「そういえば」
そんな頃にライトニングが話しかけた
先程のエリクサーの状況、思考が垂れ流されてしまう特殊な状況だったことを伝える
「見ただけであそこまで言葉が出とーと?」
「怖か、夢出るけん」「…」
「あ、う、ウチらを辱めようって訳じゃなかとね」
「ルスワール?」
「…ルスワール?」
「あ、いや、ちゃうよ!?あの人とバトルしとーないと思っただけけん」
「なんも言っとらんよ?」
「どしたと?」
慌てているルスワール
そうこうしているうちにバトルフィールドにたどり着き
ポケモンたちの調子は大丈夫かと声掛けをしていた
そんな時にエリクサーは戻ってきた
「酷い目にあった、とても」
4姉妹の顔が強ばる
「さて、バトルシャトレーヌ四姉妹
ライトニングに実力を見せればいいと言われているが
本気で来い、弱かったら鍛え直してやる
もちろんお前たちの得意なバトルルールでだ」
彼女たちはプロである
安い挑発、口だけの男の挑発に乗るようなことは無い
しかし表に出さなくても、バカにされて気を良くする人物などいない
「ふーん、じゃあラニュイからいっちゃうよ!」
シルクハットにドレスというマジシャン風の衣装。イメージカラーは黄色。手袋の丈は末っ子の彼女が一番短く、手首まで。
コホンと一呼吸を置く
「ぺろぺろりーん! ラニュイだよー! ようこそ! バトルハウスへー! えっとー 決まりやけん いちおー 自己紹介するねー! バトルシャトレーヌ 四姉妹の 末っ子! ラニュイ ばいー! でねー バトルハウスの 元、オーナーで シングルバトル 担当ばいー! それじゃあー 今から ラニュイが 楽しませて あげるけんねー! 覚悟してねー! てやーっ!!」
◇
「ひぐ…何あれ怖かと、もぉやぁ…」
プクリン、ブービック、ブニャット
ラニュイのポケモンは一瞬でノックアウトしていた
エリクサーはガルーラを繰り出し、メガシンカした
そのポケモンバトルはバトルと呼べるものではなく
ガルーラは傷1つ負うことなく完全勝利を飾った
虐殺か蹂躙
文字通り手も足も出ないままラニュイは敗北した
ラニュイは泣いてしまっていた
末っ子だから、キャラ付けだから、そんな理由ではなく
今のバトルが悲惨なものだったから
審判をしていたライトニングも顔が引き攣っていたし
記録をとっていたカグヤも苦笑い
ラジュルネは口元がふにゃふにゃしていて
ルミタンは口元を手で隠したまま動かない
ルスワールはそれ以上下がらないと言うほど目尻が下がり、若干泣いているようにも見えた
少し離れてブルーとセレビィ、ギラティナも見ていたが唖然としている
それほどまでに酷かった
「よし、ラニュイこっちに来なさい」
ラニュイは食べられる〜なんてことを言いながらエリクサーの近くに歩いていった
「次はルミタン嬢、準備を」