「ビューティー、説明を求む」
「えー、私もよく分かってないんだけど」
深海にあるアクア団アジト、その奥に破れた世界とのゲートがビューティーによって繋げられた
そこからエリクサー、イクスパンション、レイの3人が出てくる
資料を回収し、音の激しい入口の方へ向かってみるとバクーダとラグラージのバトルが繰り広げられていた
「カガリはなんでハルカと戦っているんだ?」
「ハルカってあの女の子?」
「あぁ、オダマキ博士の娘だったかな、もう旅に出ているとは思わなかったけど」
「ふぅーん、詳しいね?」
「ブルー?」
「ナンデモナイヨー」
「ラグラージ、これ食べて!」
ハルカがラグラージにヒメリの実を投げた
ゲームではポケモンの技、パワーポイントを回復させるアイテムで、ここ現実だと、使いすぎて出力の落ちた技を回復させる木の実となっている
随分と長期戦のようだ
「バクーダ」
カガリがバクーダに投げたのはマックスアップだ
マックスアップは体力の基礎ポイントを上げる薬アイテムだ
戦闘中に使うものでは無い
バクーダは投げられた瓶を頭突きで割って中身を浴びる
飲み薬では?
「あ、アクア団のリーダーには逃げられたっぽいんだよね」
「なるほど、じゃあビューティーとイクスパンション、カイオーガのところに先回りして潜伏してもらえる?」
「ん、わかった」
「わかりました」
「わたしは?」
「顔のたつブルーは人の目に晒したくないから一旦ステイで」
「顔の可愛いっていった?」
「言ってないけど否定はしないよ」
しばらくして、ラグラージが力尽きた、目を回していないが、その場で動けなくなったのだ
バクーダの耐久勝ちという結果だ
「…もう、あ、博士」
カガリはバクーダを戻し、エリクサーに向けて駆け出した
途中にブルーが立ち塞がり、カガリは顔をしかめながら立ち止まった
「随分やんちゃしてるようね?」
「ふん、ボクは前と違って強くなったから、もう負けない、上から目線も今ダケ」
「どーだか」
バチバチと睨み合う二人
「あの、エリクサー博士にカントーチャンピオンのブルーさん、ですよね」
カガリの後ろから声が掛けられた
疲労の顔を見せているハルカだ
「こんにちは、オダマキ博士の娘さんのハルカくんだね」
「あ、お父さんを…はい、私の事知ってるんですね」
ゲームの主人公だからね
この世界で女主人公のハルカが博士の娘、ユウキがジムリーダーの息子なのをライトニングが調べてくれていた
そのユウキはまだホウエン地方に来ていないが
「その、そちらの方は?」
「ボクはプ…むぎゃ」
カガリの口を遮る、プラチナ団と名乗りあげるときではない
「彼女は研究所のメンバーだよ」
ハルカの表情が少し引きつった
「えっと、アクア団じゃ、ない?」
どうやらアクア団だと思ってバトルを挑んだようだ
「そうだね」
「あ、ご、ごめんなさい、てっきり…」
「バースト、アクア団じゃないって言ったの?」
ブルーがカガリに問う
一瞬バースト?だれ?みたいな表情をしたがすぐに自分だと思い当たったようだ
「バーストしてないかなぁ」
口を塞いだ手を頭の上に持っていきセルフでよしよししているカガリからは反省の様子は全く見られない
仕草は可愛いので手の力は抜いたままにしておく
「なら今のバトルは勘違いで起きたものだろう、誰も悪くないさ
バースト、コレを、グラードンを目覚めさせてきてくれ」
「はぁーい」
べにいろだまを受け取ってブルーに連れられてアジトの奥、ゲートへと向かった
ハルカはその様子をぼんやりと見ていた
考えているのは先のバトルのことだろうか、弱点をついているはずのラグラージの攻撃がバクーダには効いていなかった
返しの炎の渦かステルスロックでジワジワ削るカガリの戦法もラグラージには効かなかったが、力を出し尽くしたのはラグラージだった
『服がボロボロで控えめに言って扇情的なんだよな
しかし主人公格、お触りとかしてアルセウスが出張ってくる可能性も生みたくないし』
「博士、エリクサー博士、わたし、強くならないと」
誰もかれも強さを求める
この世界に強くなる知識を持って落ちたことがどれほど幸福だろうか、少しだけ堪能してもバチは当たらないさ
◇◇
奇跡のような確率で話題のエリクサー博士に会うことになった
ポケモンの知識が豊富で、バトルも強い
知識を授かれば、途端に世界が広がるという
そんな幻のポケモンのような人だ
「口外しちゃいけないよ」
エリクサー博士は私とオデコをくっつけた
こちんとぶつかると、頭が、体がフワフワとした気分になる、力が抜けて、いつの間にかエリクサー博士にお姫様抱っこをされていた
ぼんやりしたまま、海底のアジトの奥に連れていかれる
「はかせ?なんでむねにかおをうずめて」
「いやいや、気のせいだよ」
目が合った
あれ、気のせい?
「ももの、てつきが、なんか…いやらしい」
「気のせい気のせい」
目が合った
なにか、考えていたような?
「バーストは強かったかい?」
「…うん、」
◇
「強かった…あれ?」
ぼんやりした風景が鮮明になる、横になっていて…
眠っていた?
「おはよう、ハルカちゃん」
「あ、はい…カグヤ社長?」
私はソファで横になっていた、声をかけたのはエリクサー研究所のメンバーかつ服飾ブランドの社長のカグヤさんだ
コンテストでカグヤブランドのドレスを着るのは一つの夢だから
「ふふ、私も有名になってきたかしら」
コンテスト界隈ではエリクサー博士のコンテスト理論よりカグヤブランドのドレスの方が有名ですよ?
周りを見渡す、どこかの一室で、何着かドレスも見える
ある種の憧れの部屋でどうして2人きりに?
「あの、エリクサー博士は?」
「おいたが過ぎたので別室です」
おいた?
「セレビィが全部見てましたからね…
それよりハルカちゃん、服のことなんだけど」
「あ、えっと、はい」
いまの私はダボッとしたパーカーを着ていた
そういえばいつもの冒険着はバトルでボロボロになってしまった
変えはあるけれど
「生地の都合で青系の用意になってしまってごめんなさいね
いえ、そもそもバーストがやりすぎたのよね」
「えっと?」
「あなたの服を今用意しているから、もう暫く待ってて」
「あ、ありがとうございます」
あまり理解は及んでいないけど、服を用意してくれているということかな?
それはとてもありがたい事だ
「ふふ、あれが気になる?」
会話中だと言うのに、上の空だった
失礼なことだけど、目の前に飾ってある赤いドレスにずっと目を奪われていたのだ
「とても、素敵で」
「ありがとう、ふふ、まだ時間はあるから試着してもらおうかしら」
「えっ!?」
「ハルカちゃんは素材もいいしきっと似合うわ
あれはラティアスというポケモンをイメージした一着でね…」
まだ、夢の世界をさまよっているみたいだ
◇
「さて、セレビィ氏から報告を受けたのですが」
「ライトニング〜このツタ剥がしてー」
エリクサーは植物のツタに巻かれて部屋の一室で転がされていた
「おいたが過ぎたとブラスターから聞きました」
「ライトニングー…」
「博士を好きにしてもいいとも言われてます」
「ライトニングさん?」
「博士は変わりましたね」
「…そうかな、体の構造なら変わってるけど」
「女性を知ってからでしょうか…」
「……アビーさん?」
「私の名前、覚えててくれて良かったです」
「そりゃ、うお
あの
ちょ
…ぴちゅん」