約一週間に渡るホウエン大災害
晴れと雨を繰り返したこの災害はホウエン地方だけでなく他の地方にも影響を及ぼした
野生ポケモンの大移動、生態系の変化、ポケモンの暴走
それらが各地で発生した
エリクサー研究所のメンバーは破れた世界の研究所に集まり会議を開いていた
「各地のゲートの確認、無くなっていたらなるべく近くに部屋を借りよう」
「生態系の調査はどうしますか?」
「そっちは専門外だからしないことにする、アローラ地方はパラサイトを中心に確認するが」
「かなり人手不足なので厳しーんですけどー」
「そうか
以前より働きかけてたスカル団を取り込む話は?」
「変化なし〜」
「ライトニングさん、パラサイトさんもう溶けてますよ、脳」
「まぁうん、ここまでヘナヘナなのは初めて見るから、流石にわかる」
ライトニングが会議の指揮をとり、カグヤは資料の精査
他の面々も資料を手に真剣に悩んでいた
エリクサーはその様子をぼんやり眺めている
『こういう災害の後処理ってゲームだと当然カットだし、話題に出てもあの時は〜って感じだもんな』
『ビィ?私のあんこくせかいも後処理とかはなかったわね』
『あの、思考に割り込まないでくださいます?』
「博士、そんなわけでバトル施設の土地を整備する人員とエーテル財団で動かす人員が不足してます」
「なるほどなぁ」
人手、人手かぁ
ポケモンにも手伝って貰うから想像よりは少なく済むだろうけど、そのポケモン達を指揮するのにもひとが必要だ
優先順位として、ホウエン地方の買い占めた土地、バトル施設予定地は計画遅らせても大丈夫な方かな
エーテル財団
出来ればしたくなかったけれど
「ルザミーネ前代表に連絡取るかぁ」
ついでにスカル団のグズマ達も使おう、できるなら
動かせる人員って難しいから
「シェフならいますわよ!」
グラトニーは料理人集団を抱えてるんでしたっけ
「あ、実家に連絡しましょうか?」
ラナの実家は格闘道場だっけ
「カントーの被害はどうなんだろう、そっちも大変なら遠慮しよう」
「そういえばロケット団とプラズマ団の団員のその後って?」
「散り散りですね、肩書きなしのトレーナーに戻る方も多くいるようです」
「まぁそうか」
「マグマ団の残党なら使えル、あとアクア団は捕まえっぱなし」
カガリが後ろから話しかけてきた
たぶん胸を当ててると思うんだけど、嬉しいけどやめなさい、みんなの目が怖いので
「そういうことならP2、技術者に声をかけてましたよね」
「はい、プラズマ団残党みたいなもんですが
肉体労働は向かないですよ?」
人手もいればいいってモノでもない
ヒョロヒョロな自分が外で土地の整備と言われても役に立たないだろう
まぁポケモン達に手伝って貰うので単純な労働とは違うか
ちなみに他に宛がありそうなのは
ビューティー、スラッシュ、ステイン、レイ、ミル、N、マキナ…
「見られテも何も出まセンヨ」「あ、はい」
ないな、よし
「メインはアクア、マグマ団の残党か、まぁ発端の組織でもあるし動いてもらおう」
「まかチて〜」
囁くのはズルいよカガリさん
会議は終わり、やることがあるものは動き出す
無い者は雑談を始めた
「博士」
「ん?どうしたパラサイト」
以前のような毒々しい気配は完全になりを潜め、エーテル財団の代表として風格も出始めたパラサイト
眼の超能力者が、その目を擦っていた
「なんか、三つの亡霊みたいなのがずっと見えてるんだけど」
「え、なにそれ、こわ」
「あか、あお、き」なに?三原色の亡霊?
「なんか怖いからスルーしとかない?」
「博士がいいならそれでいいと思う、悪いことにはならないと思うし」
よし、スルーで
「ルザミーネ前代表は呼んでおいてください、カリスマっていうのはいるだけでも仕事しますから」
いるだけでもか、パラサイトの人の使い方はなんだか面白そうだ
そんなパラサイトがジトッ見てくる
「博士は来ると仕事にならないので大人しくしててください」
先に釘を刺されてしまった
◇
ふと、パッと思いついた事が口に出た
「パラサイト、今って楽しい?」
「…」
合っていた目が一度離れ、下を向き、上を向いて、もう一度目が合う
「たのしい、ですね。不思議と
部下を持つのも悪くなくて、研究所の同僚との研磨も悪くない、むしろ良い
博士への執着が無くなってしまって実は迷子になってたんですが、いつの間にかこんなところにいたなんて」
曲がった背筋を伸ばし眠そうな目がしゃんと開かれた
「ありがとうございます、博士」
破壊力すらあるその笑顔に、やられてしまうのも仕方がないだろう
「どう?俺の女にならない?」
「あら、とっくに博士の女ですよ?」
「そ、それはそれでこわいな」
なんで誘ったのにたじろがないといけないんだよ
再び猫背気味になってしまうパラサイト
「ま、そのうちにでももっかい声掛けてください、とりあえずカグヤに言っとけば何とかなりますよ」
うちの嫁、一夫多妻制推奨してる人だからね
少しばかり浮かれ気味な足取りでパラサイトは会議室から出ていった
「おめでとうございます、アナタ」
いつの間にかカグヤに後ろを取られていた
いやまあ、資料の影に隠れてただけで会議室のボード前にいましたもんね
「とりあえず今は忙しいので後にしますが、進めときますね」
忙しくなかったら進むってことなんです?
怒りどころか喜びの感情が見えていたのが逆に怖かったのでとりあえず頷いておいた