異世界家電量販店~魔改造した家電で僻地を開拓しちゃダメですか?~   作:荒井竜馬

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第14話 異世界での現代での移動手段

 

「ラインさん。お待たせしまし……た」

 

 俺たちが支度を終えて『家電量販店』の入口に向かうと、俺が多めに置いておいたラインの分の食事が綺麗になくなっていた。

 

 まさか、この短時間で完食するとは思わなかった。腹が減っているだろうかと思って数食分置いておいたんだけど。

 

 ラインさんはそれでもまだ足りなかったのか、スプーンを使って容器の隅にある食べ物を慎重に掬おうとしていた。

 

 しかし、ラインさんは声をかけられて俺たちが来たことに気づいたようで、慌てたように容器を置いて背筋をピンと伸ばす。

 

「はっ、メビウス様! お見苦しい所を見せてしまい、申し訳ございません!」

 

「い、いえ、綺麗に食べてもらえたのなら良かったです」

 

 俺がそう言うと、ラインさんはまた深々と頭を下げた。

 

 おかしいな。俺がもう貴族ではないことはラインに教えてあるんだけど、やけに畏まってしまっている。

 

 俺は頬をかいてから本来の目的を思い出して続ける。

 

「それじゃあ、ラインさんのお仲間がいる所まで案内してもらっていいですか?」

 

「分かりました! 荷物は私がお運び……あれ? メビウス様。荷物はどちらに?」

 

 ラインさんは顔を上げて立ち上がってから、俺たちの荷物が俺の背負っているランドセルだけだと気づいたようで首を傾げていた。

 

 まぁ、これから食料を届けに行くと言っておいてランドセル一つで出てきたら、そんな反応にもなるか。

 

「ちゃんと村の方たちの分の食糧はここに入っていますよ。えっと、特殊な鞄なので村の人たちが何人いても平気なくらいには食糧が入っています」

 

「なるほど。魔法袋みたいな鞄でしたか。すみません、初めて見るタイプの鞄だったので気づけませんでした」

 

 ラインさんは感心するようにそんな言葉を漏らした後、すぐに何かを思い出したように顔を曇らせた。

 

「ラインさん?」

 

「非常に言い出しにくかったんですが、実はここから結構距離あるんです。私も二日間歩き続けて、ようやくこの館にたどり着いたので」

 

 ラインさんはそう言うと、申し訳なさそうに頭を掻いた。

 

 多分、あえて言わなかったのではなくて本当に言い忘れていたのだろう。あれだけフラフラの状態だったんだから、そうなるのも当然だ。

 

 俺はラインさんが眉を下げたのを見て顔を横に振る。

 

「大丈夫ですよ。そうなるんじゃないかと思って、良い物を持ってきたので」

 

「良い物?」

 

 俺はラインさんがきょとんと首を傾げたのを見て、後ろに控えるアリスの方に振り返る。

 

「アリス」

 

「はい、旦那様」

 

 すると、アリスは頷いてから入り口の自動ドア付近に立った。

 

 そして、ラインは自動ドアが開いた先にあったモノを見て目を細める。

 

「こ、これは……なんですか?」

 

「特定小型原付です。こじんまりした原付みたいな感じですね」

 

 自動ドアが開いた先にあったのは、三台の電動の特定小型原付だった。

 

 本来は自転車と原付の間のような物なので、タイヤも小さく折りたためるタイプが多い。しかし、どこでも走れるようにとか速度面とか色々と仕様変更をした結果、ほぼ原付みたいになってしまった。

 

「げ、原付というのは?」

 

 俺はそんなラインさんの言葉を聞いて、昔見たテンプレのアニメやラノベと近いものを感じた。

 

 なんかこの感じ、文明レベルの低い世界に転生して、薄い知識で無双する系のアニメとかラノベみたいだ。

 

 ……うん、実際に体験してみると、この感じは結構悪くないかも。

 

 俺はそんなことを考えながら、特定小型原付に跨ってアクセルをふかして説明をする。

 

「こんな感じで跨って、アクセルを回すと走るんです。大気中にある魔力を吸って動くようにしたので、燃料が尽きることもないんじゃないかなと思います」

 

 常に燃料を消費するものだからどうしようかと思ったが、そこは太陽光電池とかの原理をイメージしてみた。

 

この世界には大気中にも魔力が存在する。だから、それを吸う仕組みにしたら面白いんじゃないかと思い、仕様変更をしてみた。

 

 アクセルをふかしても問題がない所を見ると、今回も仕様変更が上手くいったみたいだ。

 

 俺がそんなことを考えながら得意げに笑みを浮かべると、途中まで真面目な顔で話を聞いていたラインさんがぽかんと口を開けていた。

 

「もしかして、メビウス様は発明家様なのですか?」

 

「発明家? いやいや、そんな大層な物じゃないですって」

 

 俺は頭をブンブンと振って否定したが、ラインさんは俺の言葉が聞こえていないのか羨望の眼差しを俺に向けていた。

 

 どうやら、どんどんとラインの中での俺の評価が上がっていっているような気がした。

 

 そんなことがあって、俺たちはラインさんの仲間の元へと急ぐことになったのだった。

 

 

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