異世界家電量販店~魔改造した家電で僻地を開拓しちゃダメですか?~   作:荒井竜馬

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第27話 今後の方針について

 

「それじゃあ、今日は今後の方針について話していこうか」

 

 魔物のお肉を食べて小さな宴会が開かれた翌日。

 

 俺はアリスとカグヤと共に、家具売り場にあるダイニングチェアーに腰かけて今後の方針について話し合うことにした。

 

「まずは、財源の確保からじゃない?」

 

 カグヤは顎に人差し指を置いてしばらく考えてからそう言った。

 

「うん。やっぱり、財源がないことにはどうしようもないもんね」

 

 俺はカグヤの言葉に頷いて、昨夜寝る前に考えていたことを思い出す。

 

 ずっと俺の『家電量販店』にある物だけでラインさんたちを養っていくことはできないわけではないが、それでは他国に対抗できる国を作ったとは言えない。

 

それに、『家電量販店』にない物はラインさんたちにあげれないので、今後ここで定住していくのならば、ラインさんたち自身もお金を稼ぐということが必要になってくると思う。

 

 新しく国を作るために何かをしてもらっても、現状はその労働に対する対価は家電だけ。いつまでも、現物支給というわけにもいかない。

 

 そうなると、その対価を硬貨で払うための財源が必要になってくる。

 

「手っ取り早いのは、『家電量販店』にある家電を仕様変更して販売することだけど、それって結構危険な気がするんだよなぁ」

 

 俺がそう言うと、俺の意見にアリスがうんうんと何度も頷いていた。

 

「旦那様。私もそれは危険な気がします。もしかしたら、珍しいものがあるっていう理由で、他の国が一気に侵略してくるかもしれませんし」

 

「やっぱりそうだよね。国の騎士とかに押し寄せられたら、さすがに俺たちだけじゃ勝てないだろうし」

 

 俺は一瞬最悪のパターンを想像してしまい、眉間にしわを入れて小さく唸る。

 

 多分、ここで財源を得ることだけを考えれば『家電量販店』にある物を売って、それをお金に換えてしまえばいい。

 

 きっと、世界にはない常識で作られたものだし、高値で買い取ってくれるはずだ。

 

 しかし、それは初めの数回とかで終わってしまう気がする。

 

 お金払って俺から商品を買わずとも、他国の騎士などが大勢で『家電量販店』に押し入って、アリスとカグヤを人質に取って俺に無料で家電を売らせるなんてこともできてしまう。

 

 そんなことになってしまっては、ほぼ奴隷のような扱いを受けることになるだろう。

 

 そんなふうにならないためにも、『家電』を売ってお金に変えようというのはやめておいた方がいい。

 

 少なくとも、後ろ盾も何もない状況でその商売をするのはリスクがあり過ぎる。

 

 俺はため息を漏らして頭の上で手を組んで考える。

 

「他の方法で財源の確保かぁ……異世界系の定番で言えば農業とかだよな。でも、ここって土が死んでるんだよね。それに、種を植えたからって、すぐにすぐ収穫はできないし、出荷ルートを確立させないとだったり、色々準備が必要だよなぁ」

 

 よくアニメやラノベとかだと簡単に農業を始めるけど、農業ってそんなに簡単なものではない。

 

 商売としてやるからには、色々と決めたり考えなくてはならないことが多いのだ。

 

 これまで色んな事がアニメやラノベ通りにいかなかった経験から、どうしてもテンプレ通りに進んでも成功しないんじゃないかと思ってしまう。

 

 でも、ラインさんたちって元々農家の人たちらしいし、経験を活かせる働き方を考えると、農業でお金を稼がせてあげた方がいい気がする。

 

「まぁ、どっちみち栄養のある土とか肥料がないとどうしようもないか」

 

 さすがに、家電量販店でそんなものは置いていないだろう。

 

 そう思って諦めるように深くため息を漏らすと、カグヤが何かを思い出したように声を漏らした。

 

「あっ、土とか肥料なら私見たことあるよ」

 

「え? 本当に?」

 

 俺は思ってもいなかった言葉が返ってきたので、俺は思わず前のめりになる。

 

 しかし、どれだけ思い返しても『家電量販店』の中に土や肥料が置かれていた記憶がない。

 

 俺は隣に座るアリスの方に顔を向ける。

 

「アリス、どこかで見たことあった?」

 

「いえ、私は見たことないですね。売り場もどこにあるのか分からないです」

 

 アリスは眉を下げて顔をふるふると横に振っていた。

 

 そうだよな。『家電量販店』に何があるか見て回ったときに、園芸コーナーとかはなかったよな。

 

 俺が眉を寄せて首を傾げていると、正面に座っているカグヤががたっと椅子から立ち上がった。

 

「しょうがないなぁ。それじゃあ、私が案内してあげるよ」

 

 カグヤはそう言うと、腕を組んでどこか自信ありげに笑みを浮かべた。

 

 こうして、俺とアリスはカグヤに案内されて、とある部屋へと向かったのだった。

 

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