異世界家電量販店~魔改造した家電で僻地を開拓しちゃダメですか?~   作:荒井竜馬

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第47話 グラン大国からの視察

 

「少し強く言い過ぎたかな?」

 

 ラキスト『死地』を去ってから数日後、俺は『家電量販店』の家具売り場にあるダイニングチェアーに腰かけてそんなことを呟いていた。

 

 今後の建国に向けての方針などをラインさんやアリスたちと話し合っている最中、『死地』の防衛について話していると、どうしてもラキストとの一件を思い出してしまった。

 

 ラキストとは歳が離れており、俺がもっと小さいうちに『死地』の近くにある領主を任され、アストロメア家の屋敷を出ていった。

 

 だから、そこまで話したことはなかったし、俺に庶民の血が入っているせいか帰って来ても俺とは距離を取っていた。

 

 話さなくとも、ラキストがプライドの高い人間であるということは知っている。

 

 そんなラキストが俺なんかにあそこまで言われたら……切れ散らかして、仕返しでもしてくるんじゃないか?

 

 つい色々と言ってしまったが、もっと仕返しのこととか考えて発言するべきだったかな?

 

「いえ、旦那様は何も間違っていないです」

 

 俺が腕を組んで頭を悩ませていると、隣に座っているアリスがそう言って頬を膨らませていた。

 

「そうだよー、ご主人様間違ったこと言ってないじゃん」

 

 カグヤもアリスと同じように数日前のことを思い出したのか、眉間を寄せていた。すると、ラインさんも同意見なのか、カグヤの言葉に何度も頷いていた。

 

「全くですな! メビウス様には隠れているようにと言われましたが、皆聞き耳を立てていました! 何よりも、メビウス様は我らのためにあのように強く言ってくれた! 感謝いたします!」

 

「あ、頭を上げてください、ラインさん」

 

 ラインさんが深く頭を下げてきたので、俺は慌ててその頭を上げさせた。

 

 確かに、下手に貿易の可能性をちらつかせると、いつかラインさんたちとも鉢合わせるかもしれないと思って強く言ったというのもあるが、何もそれだけではない。

 

 単純に、自分を殺そうとした相手に利益になるようなことはしたくないという理由が大きかった気がする。

 

 だから、ラインさんに頭を下げられるようなことではないのだ。

 

 俺はなんとかラインさんに頭を上げさせて、小さく咳ばらいを一つする。

 

「まぁ、それでも備えはしておこうかな。うん、それじゃあ、警備体制は少し強化しておこうか」

 

 俺がそう言うと、カグヤが手元にあるタブレットを素早く操作しながら小さく唸る。

 

「じゃあ、お掃除ロボットを追加する感じかな? もう結構置いてあるけど、どこに置くのがいいかーーあっ」

 

「カグヤ?」

 

 すると、突然カグヤが何かに気づいたような声を漏らした。どうしたのだろうかと思ってカグヤを見ていると、カグヤがパッと顔を上げてこちらに顔を向ける。

 

「ペット監視カメラの映像に馬車が映ってる」

 

「え、まさか……ラキストが仕返しにきた?」

 

カグヤは俺の言葉に首を横に振ると、タブレットを操作して近くにあった液晶にタブレットの画面を飛ばした。

 

「ううん。違うみたい。今回はグラン大国の馬車だね」

 

「な、なんだグラン大国か」

 

 俺は液晶に映し出された画面を見て安どのため息を吐く。話しの流れ的にラキストが攻めてきているのかと思ったが、どうやらそんなことではないらしい。

 

 多分、以前にエミーさんが言っていた視察という奴だろう。

 

「あれ? この馬車は知らないな。」

 

 カメラが切り替わって別の視点から国家騎士団の馬車を映したとき、見たことがない高そうな馬車があった。

 

 どうやら、国家騎士団の馬車が高そうな馬車を囲んで走っているみたいだ。

 

「そういえば、前にエミーさんが視察の時は誰か連れてくるかもって言っていたっけ?」

 

 どうやら、グラン大国で俺たちの国に強い興味を持ってくれている人がいるらしい。勝手に商人さんかと思っていたが、普通の商人をあんなふうに国家騎士団が囲うだろうか?

 

 ……いや、待てよ。

 

 さすがに、貿易をしたからと言ってすぐにすぐ商人とかに商品が届けられるだろうか?

 

 前にローアさんに聞いた感じだと、しばらくは一部の貴族間で取引されることになると言っていた。

 

 その話を聞いた後に、エミーさんから視察の話を聞いたということは、以前に献上品としてグラン大国に届けてもらった商品を知っている人ということになる。

 

 ということは……あれ? あそこに乗っているのって相当の大物なのでは?

 

 俺はそう考えて、慌てて支度を済ませて、一階の自動ドアの前まで馬車のお迎えに行くことにしたのだった。

 

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