世界各国が水面下で熾烈な情報戦を繰り広げる時代。男は医者として多くの人を救っていた。
男の名はロイド・フォージャー。精神科医をしていた。ロイドはオスタニアの病院に新たに赴任してきた。
そこで新たな生活を始める。
「こちらがお部屋になります。お一人では少し広すぎる気もしますが……」
「ここに決めます」
一人には広すぎる部屋だが、ロイドはある考えがあってこの部屋に決めた。
「ではフォージャー様、こちらの書類にサインを」
ロイドはスラスラとサインをした。
「いやー、いいですね、家族で新居! お子さんは? 男の子? 女の子?」
「あーそれは……、これから決めます」
「へ……?」
これからロイドはここで幸せな家庭を築くのだ。
※
ロイドは薄汚れた孤児院に来ていた。
「あぁ? 里親になりたい?」
「えぇ、こちらの孤児院で縁組を行っていると聞きまして」
「いいよ、どれでも好きなの持ってきな」
酒臭い孤児院の男はロイド側の理由を聞くこともせずに子供を持っていけと言った。
「え……?」
「勝手に入ってくれ」
ロイドは孤児院に足を踏み入れた。
(劣悪な環境だな……)
廊下にはゴミが散乱して、子供たちの身なりも汚かった。
「ああ、出来れば読み書きができる子を探しているのですが」
「あー、だったら……、おいアーニャ!」
男は一人の子供をロイドに紹介した。
「ウチで一番賢い。無口だがまあ……、いい子さ」
男はロイドにアーニャを引き合わせた。
(不気味でいけすかんガキだからな。とっとと貰われてくれりゃ願ったりだ)
男はアーニャを好いていなかった。
「ほら、挨拶せんか」
「えーっと、すみません」
ロイドはアーニャを見て迷った。
(子供にはイーデン校でいい教育を受けさせたいが、学校は6歳から。この子はどう見ても4、5歳かそこら……)
ロイドはこれから子供になってもらう子にはいい教育を受けさせたかった。それが亡き妻との約束だからだ。
「むっつ!」
「ん?」
「むっつ」
「お前6歳だったのか?」
孤児院の男はアーニャの年齢を知らなかった。
(いや身長とか……)
ロイドはアーニャが年齢より小さいことを気にした。
するとアーニャは背伸びをして自分を大きく見せようとした。そしてアーニャは走って新聞を持ってきた。
「ん? 新聞?」
アーニャはクロスワードをロイドに見せた。
「クロスワード? 子供には難しすぎるんじゃないか?」
それは到底子供では解けないような難易度だった。
(医者である俺にとっては児戯だが……)
ロイドはクロスワードの答えを考えた。賢いロイドはすぐに答えがわかった。するとアーニャはスラスラとクロスワードを解いて見せた。
アーニャは自信満々に見せてきた。
「できたの!? まじで!?」
ロイドは驚いた。
(恐るべき知力! これなら入学試験も容易に突破できる!)
ロイドは賢いアーニャに決めた。
「この子にします! 手続きの書類は……」
「そんなんいいから、さっさと引き取ってくれ」
孤児院の男はどこまでも適当だった。
「おまえはそれでいいのか?」
アーニャはロイドに期待していた。
(おいしゃさん、がっこう。わくわく……っ!)
少女は超能力者だった。被検体“007”、彼女は人の心を読むことが出来た。とある組織の実験によって偶然生み出されたのちに施設を逃亡。保護対象を求めて施設を転々としていた。
「いいか、お嬢ちゃん」
「アーニャ!」
「いいか、アーニャ。今日からお前はウチの子になる。俺のことはお父さまと呼ぶように」
「ちち!」
「よし」
こうしてロイドとアーニャの生活が始まった。
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