仮面ライダーローサー×カルヴァリア ~守りし想い、交わりて~   作:虎ノ門ブチアナ

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#1 ローサー世界・プロローグ

「カミセン! コイツ強くないすか!?」

 

 白い鎧の戦士が花の意匠を持った怪人の剣戟を回避しながら、その場から離れたアジトの男に通信しつつ叫ぶ。

 男──神瀬(かみせ) 失人(ろすと)は通信を聞きながら花の図鑑を開いていた。

 

「んー、ソイツは“キョウチクトウ”って花の力を有したヴィードだ。多分結構おそらくメイビー強力だと思うが、こないだのニートよりはマシだと思うから頑張ってみてくれ」

「曖昧な評価ですね!?」

 

 『ヴィード』、それは神秘の時代を復活させんと目論む神秘復権結社『ティタネス』が死者の魂を材料に生み出した魔獣である。

 人々の平穏な日常を脅かすそれと対峙する白い鎧の戦士こそが、(すめらぎ) 深紅(しんく)“この世界の仮面ライダー”、『ローサー』なのである。

 

 ローサーが手に握る剣『ローズカリバー』をキョウチクトウのヴィードに突き出すが、寸前で体に触れない様にかわされてしまう。

 

「良い剣捌きだ、オレと鍔迫り合うに相応しい!」

「コイツもしゃべるの!?」

 

 いきなり言葉を発したキョウチクトウのヴィードは一気に跳躍してローサーから距離を取ると、見栄を切る様に剣を構える。

 

「オレの名はオレアンダー……鼓動を高鳴らせしヴィード!」

「鼓動……? 何言ってんのコイツ」

「皇くん、キョウチクトウには人の心筋収縮力を高めるいわゆる強心作用がある、ヤツの剣にはその作用があるかも知れん!」

「鼓動が高鳴るってそういう事? 厄介──」

「隙ありィ!!」

 

 オレアンダーの剣がローサーを狙い、咄嗟にローズカリバーで防ぐ。

 

「その雰囲気で不意打ちとか正気!?」

「オレの戦いにおいてはアンブッシュも基本なり。油断する方が悪いのだ!」

「っ……最悪の理論武装だよ!」

 

 素早い動きでローサーの動きをかわすオレアンダーだったが、何かにつまずき、体を大回転させながら転げてしまった。

 

「すまない深紅、着替えに戸惑った」

「まさか神瀬様の発明した服で以てしても瀧様が脱出困難になるとは思わず」

「今回も大変だったみたいですね……」

 

 意味不明な言い訳と共に合流したのは(たき) 純一郎(じゅんいちろう)──仮面ライダーラータスと、宮古(みやこ) 愛華(あいか)──仮面ライダーシャーリィであった。

 

「ここからはわたくし達も参戦いたしますわ」

「心強いです!」

 

 3人のライダーがオレアンダーへと駆けると、ローズカリバーがオレアンダーの刃と交わる。

 

「こっちだ!」

 

 オレアンダーがローサーに集中している間に背後に回ったラータスがその手の弓矢『カマルダッタ』でオレアンダーを撃ち抜く。

 

「ぐああっ!!」

「今度はこちらですわ」

 

 シャーリィが上空から優美なる剣『リスユース』を振り下ろし、オレアンダーの腕を切りつける。勢いのついた剣戟でオレアンダーは剣を握っていた右腕を傷付けられ、剣を落としてしまう。

 

「3体1など卑怯では無いか!?」

「不意打ちがアリなら3体1だってアリでいいでしょ、油断する方が悪いのだ」

 

 ローサーに言い負かされ、オレアンダーが全身から種子を撒き、雑魚ヴィードを大量に生成する。

 

「ここは撤退、それもまたオレの戦いだ!」

 

 コイツにとっての戦いってなんだよ、と心の中でツッコみながらローサーがオレアンダーを追う。が、雑魚ヴィードに阻まれる。

 

「……! いつもの事ながら邪魔!!」

 

 が、ラータスの放つ大量の矢とシャーリィが繰り出す神速の斬撃が雑魚ヴィードを片付けていく。

 

「今の内にあのヴィードを!」

「ありがとうございます、瀧さん、愛華さん!」

 

 ローサーがオレアンダーを追って街を駆ける。

 

「待てぇオレ……オレヴィード!!」

「変なあだ名付けないで欲しいが!!」

 

 追いかけるローサーに振り返りながらオレアンダーが叫ぶと、目の前で何かにぶつかった。

 強大な力を持ったヴィードが突撃して破壊されない物の方が少ない筈だったが、オレアンダーの前に立っていた“ソレ”は微動だにしていなかった。

 

「えっ何だ急にぶつかって……!」

 

 オレアンダー、そしてローサーの眼前に立っていたのは、別の怪人であった。

 

「ふむ、確かに人の魂が詰められているな、よしよし」

 

 ヴィードに見られる花の意匠を持たないその怪人を前に、ローサーが困惑する。

 

「カミセン、新手が現れたんですけど……あれもヴィードなんですか?」

「よくわからない……知らん、こわ……」

「はぁ……?」

 

 神瀬からも有力な情報が得られないが、こちらにとって敵か味方かも分からない相手に、ローサーは手出し出来ずにいた。

 

「あんた何者!? ヴィードに用があるの?」

「おっと名乗るのを忘れていた──」

「アンブッシュ!!」

 

 怪人が口を開いた途端、オレアンダーがその怪人へ攻撃した。その剣が油断していた怪人へと直撃すると思われた瞬間、その怪人は片手で刃を防いでみせた。

 

「君らの攻撃は効かんよ、吾輩にはね」

 

 と、オレアンダーの剣が怪人の手に吸収されていく。その勢いはさらに増し、剣を手放さないでいたオレアンダーさえも吸収し始めた。

 

「なッなんだこれは!?」

「君の力、貰い受ける」

 

 ついにはオレアンダーが完全に怪人に吸収され、その場から消失してしまった。

 

「……味方、って感じではなさそうだね」

 

 ローサーが構えると、まぁまぁ、と怪人がなだめる。

 そこにラータス、シャーリィが合流し、3人が怪人を睨む。

 

「吾輩はミスケレ、正体は不明、目的も不明、とりあえず名前しか名乗らない怪人だ」

「異質すぎるでしょ」

「文字通りの怪人ですわ」

「何もかもが不鮮明すぎる」

 

 3人から文句を言われるも怪人──ミスケレははっはっは、と乾いた笑いを浮かべて背を向ける。

 

「では吾輩は忙しいのでこれで失敬する」

「お待ちください」

 

 シャーリィがミスケレに斬りかかる。が、ミスケレの背部から生えた、花の意匠を携えた触腕がそれを阻んだ。

 両手で押し切ろうとするシャーリィだったが、ミスケレの力が勝り、弾かれてしまう。

 

「っ!」

「愛華さん!」

「もういいか? 吾輩行く所があるのでドロンさせていただく」

「死語を使うとは……過去から来た怪人なのか?」

「瀧さん多分違うと思います」

「──ではまたいずれ」

 

 問答を続けるローサー達に構わず、ミスケレは煙幕を発してその場から消え去ってしまった。

 

「ドロンってマジで忍者みたいにドロンする奴いるかよ……」

 

 ローサーが呟くと、敵がいなくなった事を確認して変身を解く。

 それに合わせてラータス、シャーリィも変身を解除した。

 

「あの怪人……ヴィードを吸収したまま逃亡されてしまったが、どうする?」

「とりあえず発信機を取り付けておきましたわ」

「さっすが愛華さん! それを辿ってヤツの居場所を突き止めましょ!」

 

 

 一旦アジトに戻った深紅らは、発信機が示している座標を確認する。

 

「少し行った先の廃工場……いかにも怪人が潜伏してそうな場所ですね」

「君らの補給が終わり次第ここに向かってもらう事になるね、よろしく頼んだよ」

「カミセンに言われなくても行きますが?」

「うーん返しが辛辣」

 

 半ベソをかく神瀬に誰も目もくれず、廃工場の場所を共有する。

 ミスケレと名乗る怪人がそこから移動する前に叩く。それが全員の考えであった。

 

「瀧さん、愛華さん。準備は出来ましたか?」

「勿論だ」

「参りましょう、深紅様」

「気を付けてね、みんな!」

 

 深紅の弟、橙弥(とうや)が身を案じて言うと、深紅らが強くうなずいてアジトを後にする。

 

「目指すは廃工場、今度こそアイツを倒す!」

 

──────────────────

 

 廃工場に到着した深紅らは、ミスケレがいないか調査を開始する。

 手分けして捜索するが、中々敵は出て来ない。

 痺れを切らした深紅が瀧、愛華に連絡を繋ぐ。

 

「見つかりましたか?」

「いえ、物音もほとんどしません」

「俺達の気配くらいしか感じないな」

 

 おかしいな、と深紅が呟き発信機の座標を再度確認する。

 そこによれば深紅が丁度立っている位置にミスケレがいるはずなのだ。

 

「カミセン、こういう状況に思い当たりありません?」

「そうだな……まさかな」

「何か思いつきました?」

「異世界に移動した可能性がある!」

 

 もし神瀬がその場にいれば、深紅が直々にチョップしてツッコんだだろう。それ程までに突拍子の無い発言をされて、深紅は返す言葉も見つからなかった。

 

「私の開発した発信機があまりに優れすぎていてこことは違う異世界の位置情報を取り込んでいる可能性があるんだって。ホラ、この前“異世界とこの世界を繋ぐフラフープ”作ったが、あれの機能とかもフィードバックしてて作ってるから世界を越えて繋がる発信機になっちゃったんだよきっと」

 

 そんな馬鹿な事象が起こり得るのか、と内心文句を言いながら、深紅が成程、とだけ呟く。

 

「もしこの仮説が本当ならば朗報があるぞ」

「なんですか、朗報って」

「この発信機を辿ってあの怪人ミスケレがいる世界に直接あのフラフープを繋げられる」

「いつ聞いても開発力飛び抜けてんなぁ……」

「そうと決まればもう一度アジトに集まってくれ、その廃工場に用は無くなったからね」

 

──────────────────

 

「も~~結局工場に行ったの無駄足だったんで事じゃないですか~~」

 

 悪態をつく深紅の頭を愛華が撫でる。

 

「とりあえずフラフープの改良版は作ってあったから、これで異世界へ行けばミスケレを追える確率は格段に高まるだろう」

「アイツの事は何も分からないからな……さっさと異世界へ行ってミスケレの正体を掴むぞ」

 

 瀧の指示に深紅、愛華がうなずくと、壁に取り付けられたフラフープを覗き込む。

 

「ちなみに異世界へ行っていられるのも時間制限がある、それまでにミスケレを見つけ倒すってのが目標になるな」

「メンドくさい……」

 

 肩を落とす深紅に、神瀬がさらに言葉を続ける。

 

「あと、ミスケレが異世界に行っている時点で、ハッキリ言って我々とは関係無い。別の世界の問題な訳だからそっちの世界で何とかしてもらう事なのかも知れないよ」

 

 神瀬の指摘に深紅はいえ、と返す。

 

「別の世界の問題だからって放っておくような人には私はなりたくありません。それにミスケレは“いずれ”と言っていた。このまま待っていたってまたこの世界に戻って来る可能性があるんです。だったら今からブッ倒しに行ったって良いと思います……それに前、異世界の人が私達の世界を助けてくれたんだからお互い様ですよ」

「……そう言うと思っていたよ。調整は済んでる、いつでも行けるよ」

 

 深紅が深く息を吸い、吐くと、フラフープの前に立つ。

 

「行こう、愛華さん、瀧さん」

「仰せのままに」

「ああ」

「あっちょっと待ってね、今回は私も同行しよう」

 

 そう言い放つと、大きめのリュックサックを背負って神瀬がフラフープの前に来る。

 

「異世界の方々と協力してミスケレを倒す事を想定して、私も情報提供や研究の足掛かりとして馳せ参じる事にした」

「カミセンも異世界行ってみたいだけじゃ……」

「それも6割はあるが? 悪いか?」

「開き直りやがった……」

「こっちの事は任せてよ、姉ちゃん」

 

 橙弥が神瀬から受け取ったフラフープのマニュアルを持って告げると、深紅が微笑む。

 

「橙弥がいてくれるなら安心だね」

「という訳で、向かうぞ!」

 

『アーティファクションキー認証。コード:RC起動』

『アーティファクションキー認証。コード:KD起動』

『アーティファクションキー認証。コード:LY起動』

 

「変身!」

 

 神瀬を後方に、同時変身したローサー、ラータス、シャーリィが異世界へと向かう。

 

 

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