仮面ライダーローサー×カルヴァリア ~守りし想い、交わりて~   作:虎ノ門ブチアナ

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#2 カルヴァリア世界・車輪の魔

 東京、首都高速道路3号渋谷線。

 用賀出入口から白昼堂々、コードネーム・ホイールレーマが侵入。

 大橋ジャンクション方面へ暴走、中央環状線方面へ進行している。

 

 それを追うのは、警視庁対異形成怪物開発班「ユニットD」所属の信濃さだめ──仮面ライダーカルヴァリアであった。

 高速機動バイク、ライドゼファーの速度を上げながら、前方の車両を破壊しつつ走行するホイールレーマを追走する。

 足首が車輪になったフルフェイスのライダーといった姿の異形、ホイールレーマは時速100㎞以上で高速道路を駆け抜け、トンネルへ突入すると天井を滑走して車両をかわしつつ損壊、カルヴァリアの走行を妨害する。

 

「無事かい、さだめちゃん!」

「なんとか事故車両を避けながら走行していますが……複雑なルートなので、敵の動きが見えづらいです」

「レーマ因子を辿って敵のポイントを策定中だ……見えた、ヤツは中央環状線内回りに出ようとしている! 一旦後退して入口近くの右側ルートで行くんだ!」

 

 くっ、とカルヴァリアが力むと、地につけた足を軸にライドゼファーを回転させ、後方へ逆走すると、ナビに示されるルートを進む。

 

「それしても今回のレーマ、何が目的なんですか?」

 

 中央環状線にて警察車両群と共に待機する正義が金剛に問う。

 ふむ、と一拍置いてから金剛は推測を語る。

 

「大量の人間の殺戮と混乱だろうか、今回のホイールレーマは以前より現れていたレーマよりも行動が大胆で、多くの一般人を巻き込んでいる。彼ら──天渡会の教義いわく、人を超越した生命に転生させる……つまりめっちゃ皆殺ししたいって事だけは伝わるよ」

「今までの行動が比較的小規模だったのは一体なんだったんですか?」

「何か行動する地点に意図的な理由があったのだろうか、今までのレーマだった人達も口を割らないし、よく分からないんだよね」

 

 率直な意見を述べる金剛に正義は眉をひそめる。

 

「……今は出現したレーマに対処するしか無いですね」

 

 正義が呟くと、パンゴリンレーマに変貌し、ホイールレーマを待ち伏せる。

 警察車両から運ばれてくる機材をパンゴリンレーマに装着していくと、巨大な手持ち式の砲台──荷電粒子砲が完成した。

 準備を完了させたパンゴリンレーマの前に、ホイールレーマが姿を見せる。

 

「足止め程度かも知れんが、やるしかない!!」

 

 パンゴリンレーマが荷電粒子砲から放たれる熱線をホイールレーマに浴びせる。と、ホイールレーマの片方の車輪が破損し、速力を大きく落とす。

 が、未だ異常な速度で走行するホイールレーマを射線上に置くのは難しく、すぐに熱線から離れてしまい、荷電粒子砲の射程範囲から逃れられてしまう。

 

「ちぃっ……ポンコツめ!!」

 

 パンゴリンレーマが装備を全て解除してホイールレーマを追うが、圧倒的な機動力の差で振り切られてしまう。

 と、そこにホイールレーマを追っていたカルヴァリアが到着する。

 

「信濃、ここから先の車両はなんとかどかしてある、真っ直ぐ進め!」

「ありがとうございます」

 

 ライドゼファーが速度を上げ、片足のみで爆走するホイールレーマに接近する。

 

「追い付いた……!」

 

《Arms Transfer》

《Mortalzapper》

 

 カルヴァリアがベルト右横のスイッチを操作し、巨大な鎌『モータルザッパー』を呼び出す。

 重心が偏りバイクの操縦も難しくなるが、カルヴァリアはなんとかバランスを保ってホイールレーマへと刃を振るう。

 背中を斬りつけられる寸前で回避するホイールレーマだったが、その影響で片足立ちの様になっていた走行状態から態勢が崩れ、スピードを大きく落とす。

 

「っ……今!」

 

 敵の隙を見つけたカルヴァリアがモータルザッパーを押し出す様に投げつけ、ホイールレーマにぶつけて転ばせる。

 時速70kmの速さからアスファルトに転がるホイールレーマはダメージを受け、その場にうずくまった。

 レーマの耐久性を味方に、苦痛を覚えながらも立ち上がるホイールレーマだったが、その首にモータルザッパーが掛けられる。そしてホイールレーマに体を近付けたカルヴァリアが呟く。

 

「これで終わり」

 

《Jet》

《Set Import……Jet》

《Mortal Slash……Jet》

 

 モータルザッパーにジェットイートリッジを装填、敵を確実に撃滅する状態に移行する。

 敵に何かを言わせる隙も無く大鎌を振り上げ最後の攻撃を放った瞬間、それは空振った。

 

(……レーマがいない)

 

 焦るカルヴァリアが辺りを見回すと、ホイールレーマを抱えた謎の怪人──ミスケレが立っていた。

 

「レーマ……だったな? この怪人を弱らせてくれてどうもありがとう。おかげで難なく捕まえられたよ」

「何者ですか」

 

 警戒するカルヴァリアにミスケレが一礼する。

 

「吾輩はミスケレ。正体は不明、目的も不明、とりあえず名前しか名乗らない怪人だ」

「レーマを回収してどうする気ですか」

 

 モータルザッパーを構え歩み寄るカルヴァリアにミスケレはハ、と笑う。

 

「どこの世界でも吾輩は敵視されるのだな、心地良い」

「世界?」

「なんでも無い……それよりも」

 

 ミスケレが呟くと、小脇に抱えたホイールレーマを体に吸収させていく。

 

「!」

 

 驚くカルヴァリアを尻目に、ホイールレーマを完全に取り込み、中からレーマに変貌していた男を排出したミスケレは天を仰ぐ。

 

「ふふ、ははは、はははは! これで2つの力が手に入った。完全に吾輩に馴染んだならば、その力は驚異的なモノになるだろう!!」

「藤村さん、聞こえていますか?」

「ああ、全部聞いてたし見えてたよ」

「あの異形は敵対勢力と見なすべきでしょうか」

「多分そうだね、こちらに友好的な仕草を見せない相手だからね……ちょい待ち」

 

 と、カルヴァリアと通信する金剛が内線でユニットD指揮官の大淀に連絡を取る。

 

「大淀指揮官、カルヴァリアと接触した異形ですが、交戦許可をお願いします」

「了解、交戦を許可する」

「ありがとうございます……さだめちゃん、やっちゃって!」

 

 指揮官から直接の許可を得て、カルヴァリアがミスケレに接近し、モータルザッパーを振るう。

 

「あなたは警視庁の権限により国家に対する敵であると認定されました」

「それは残念……まぁ君らの世界を脅かす者であるのは事実だがね」

「やはりか……!」

 

 大鎌を振り回すカルヴァリアの攻撃をかわしながらミスケレが首都高から飛び降りて逃亡する。

 

「待て……ッ!」

 

 カルヴァリアはモータルザッパーに足をかけてミスケレを追う。

 

「さだめちゃん、追っても無理そうだ……ミスケレと呼ばれる異形が発していたレーマ因子の発信情報が途絶えた」

「途絶えた……?」

「奴はレーマを吸収している様に見えたが、それに伴うレーマ因子の消失は観測されなかった、アイツのいたポイントは常にこちらで探知できていた。すなわちミスケレとかいうヤツはなんらかの方法で瞬間的に別の地点へ転移した可能性がある」

「ここから追えますか?」

「それは無さそうだな……一旦撤収しようさだめちゃん、国内でレーマ因子を捕捉すればすぐに分かるから、とりあえずミスケレがまた現れるまで休憩タイムだな」

 

 敵を逃したまま待機に移ることに悔しさを覚えつつ、カルヴァリアはユニットD本部へ戻る。

 

──────────────────

 

「おかえりさだめちゃん! 私、なんにもできなくってごめんね!!」

「気にしないでください、花恋さん」

 

 戻って来たさだめを迎える少女──那珂花恋がさだめを抱きしめる。それを受け入れながらさだめは少し微笑む。

 

「お疲れ様、さだめちゃん。あの異形……ミスケレについて共有したいから会議室に集まってくれないかな」

「了解しました」

「あ、一応花恋ちゃんも来てね。場合によっては君もレーマとして協力してもらうから」

「お任せくださいっ!」

 

 意気揚々と返事をする花恋に金剛が笑うと、資料を持って会議室へと向かう。さだめと花恋も彼を追う。

 

 

 ユニットD本部、会議室。

 金剛、さだめ、花恋の他にも複数人の調査員と大淀指揮官、正義がその場に座していた。

 スクリーンにPCの画面を映して金剛がミスケレの説明を始める。

 

「先程確認されたレーマでは無い敵性体、ミスケレ──正直なところ奴の正体、というか生命体であるかすら不明なんですが、今のところ分かっている情報を共有しておきます」

 

 カルヴァリアに搭載されたカメラが捉えた映像が映し出される。

 

「ミスケレはホイールレーマを吸収し、変貌していた人間を排出してその場から去りました。この事から目的はレーマ因子の回収、もしくはレーマの持つエネルギーの回収。それによって何らかの強化を得られるものと考えています」

「奴がレーマである可能性は?」

 

 大淀の質問に金剛は首を横に振る。

 

「ミスケレからはレーマ因子が確認されず、レーマ吸収後に確認された因子の組成はホイールレーマと同一でした。これまでのレーマの特徴から因子を隠して行動できるレーマはおらず、ミスケレはレーマではない別の異形である可能性が高いです」

 

 今度は正義が挙手して質問する。

 

「で、その怪物がどこに行ったのかはまだ掴めてないんですね」

「ああ、残念な事に……因子の動きから見て、瞬間移動の類が可能であるとも推測して各地で捜索しているが、まだ何も情報は得られていない」

 

 金剛の情報共有に一同が眉をひそめる。

 そこに花恋が大きく手を挙げて金剛に主張する。

 

「はいはーい!」

「ハイ那珂くん、どうしたのかね?」

「そのミスケレは別空間、あるいは別世界に逃亡した……っていう可能性はありませんか?」

 

 花恋の突飛な質問にさだめが彼女の服の裾を引っ張る。

 

「あの……花恋さん、ここは真面目な会議の場だから……」

「私ふざけてるって思われてる!?」

「まぁ現実的な意見では無いな……」

 

 正義からも指摘され、困る花恋だったが、金剛は彼女の意見を評価する。

 

「それがあながち的外れとも言えないんだよね」

 

 苦笑いする花恋を見ていたさだめと正義がえ、と言い放ちつつ金剛に視線を移す。

 

「こことは時間の流れや文明の違ういわゆる別世界――俺の理論としては実在していると確信しているんだ。人や物体を別地点に転送する“ライドシステム”は今も仮面ライダーの変身や現場への移送で活躍しているが、あのシステムを応用すればゆくゆくは別世界への転送が可能になる予定だ。もしミスケレがこうした別世界への移動手段を持っているならば、レーマ因子の瞬間的な消失にも説明がつく」

「それが真実だとして──」

 

 大淀が口を開く。

 

「ミスケレを追う手段はあるのか?」

「現状のシステム開発スケジュールだと数ヶ月はかかります」

「その間にミスケレが行動を起こす確率は?」

「断定はできませんが非常に高い確率でこちらの世界を(おびや)かすでしょうね」

 

 金剛が言い終わると渋い顔をする。

 それを聞いたさだめ、花恋、正義も困惑と不安、緊張が混じった表情になる。

 

「正直、今の技術では、ミスケレがまた現れるのを待つ他無いですね……ただ」

「ただ、なんだ?」

「別世界からそうした転送技術が教示されれば、ミスケレの追跡も可能かな、と」

「現実味が無い……な」

 

 大淀が視線を落とす。それを見て金剛もですよね、と肩を落とす。

 

 

 と、会議室の壁に謎の穴が発生し、そこから物音が聞こえる。

 

「ぅぉぉおおおお!!!」

 

 女性の叫び声と共に、鎧の戦士が穴から次々と出てきた。

 目を疑う光景に、その場にいた一同がただ目を何度か閉じて、見開いた。

 

「ここなんか暗いな」

「会議室の様ですわね~」

「屋内に出ちゃった……?」

「つか……めっちゃ人いるぞ」

 

 鎧の戦士と1人の男性は呆気に取られたままのさだめ達を見て、小さく頭を下げた。

 

 

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